随分と放置してしまった……。
久方ぶりにまともに書くので、ちょっと濃ゆい話でもしてみようか?
オオアシカラカネトカゲが殖えている。
順調に殖えている。
コロナ禍の前のイベントで購入してから2年。
最初の頃こそ紆余曲折あったが、安定してからは大きなトラブルもなく。
今はこの現状。
大体の感じは掴めたので、色々語ってみる。
『オオアシカラカネトカゲ』
スキンク科のトカゲで、所謂ニホントカゲの仲間。割と昔から出回っていて、『シロテンカラカネトカゲ』とか『オセラータスキンク』なんて呼び名もある。カラカネトカゲの仲間は他にもいるけど、一番流通量が多く、安価なのはコイツ。
典型的な『乾燥系潜りトカゲ』で、一日の大半を床材に潜って過ごす。とは言え、他の地中性トカゲに比べればかなり陽気な方で環境に慣れれば結構顔を出す。
大きさはせいぜい20p行くか行かないか。
雑食。
胎生。
飼育するとなると、恐らくトカゲの中では飼い易い種の最上位に位置する。
人によってはレオパやフトアゴよりも楽かもしれない。彼奴等程メジャー化もCB化もしないのは単に地中性が故。確実にスター性に劣る。
あと、見た目もあるかも知れない。ヘビっぽいし、何なら変なミミズっぽいし。
そう言えば、ハンドリングにも向かない。ツルツルしてる上にグネグネ暴れるから、非常にやり辛い。思いの外力があるので、油断してるとスポーンと抜ける。摑み辛さにモタモタしてるとタンスの下とかに入られて面倒臭い事になる。
……うん、普通にスターになれんな……。
なりたくもないでしょうけど。
取り敢えず、飼うならまず床材。コレがないと話にならない。ひょっとしたら新聞紙やペットシーツとかでもイケるかも知れないが、どう考えてもメリットがないので素直に砂とか使え。
恐らく野生下で住んでるのは砂漠とか何だろうけど、実の所は砂漠の砂とかでなくても良い。乾燥してて潜れる素材なら何でもOK。砂系の他にヤシガラやクルミ殻の砕いたヤツなんかも使える。まあ、色々試した結果、やっぱ砂漠の砂が一番居心地良さそうではあるが。コレらを厚めに敷いておくと潜って落ち着く。
なお、園芸用の川砂は安価だけど使わない事。アレは言ってしまえば細かい石の集まりなので、トカゲの体を傷つけてしまう。
そして床材は決して湿らせない事。砂系の場合は自己浄化能力が皆無なので、残った排泄物が腐敗して環境が悪化する。ヤシガラや土系の場合は下手をするとダニがわく。大型の爬虫類なら猶予があるが、小型のカラカネトカゲでは数匹のダニに吸血されただけで致命傷になる。実際、当方もコレで四匹も死なせる羽目になった(→事の顛末)発生させない事が重要。
温度はかなり適当で良い。人間が快適に過ごせる温度ならOK。上は30℃位までは普通に耐えるし、下は18℃位までなら余裕と思われる。基本的な爬虫類の温度管理をしておけば良い。冬は暖房、夏はエアコン、である。
なお、多少の不適温は床材に潜ってやり過ごしてしまう。こう言う意味でも、床材は厚めにどうぞ。
地中性スキンクの常で、紫外線にはあまりうるさくない。無くてもイケると言う話は聞く。とは言え、バスキングは好きなので兼用で提供した方が優しい。ライトとの距離にもよるけど、そんな高温のスポットでなくて良い。50Wもあれば事足りる。
スポットの下にはレンガなり平石なりを置くとお腹も温められて効率的。お勧めはスレートプレート。平べったくて理想的な上に、その下に潜る事を非常に好む。なお、プレートはダイソーでも売ってたりするしそれで充分過ぎたりする。
厚めに床材を敷く関係上、前開き式の専用ケージだと良い厚さまで敷けなかったりする。
あんまり慣れる云々を考えるべき生き物でもないので、普通の水槽が適している。改造の手間を惜しまないなら、衣装ケースも便利。くれぐれも、スポットライト等の熱源対策は手を抜かぬ様に。
大事なのは高さで、床材の高さから更に個体の全長より上の高さが必要。非力そうに見える本種だが、実際は寸胴の様な体にミッチリと筋肉が詰まっていて非常にパワフル。壁沿いにシッポで立ち上がり、縁を超えて逃げ出すなんて事は普通にやる。
蓋もしとこう。
水は当然必須。砂漠出身故に渇きには相当強いが、我慢させる意味なんぞありゃしない。
湿り気を避けたいので、霧吹きはしなくて良い。止水を認識するので浅い水入れを置いておけばOK。
餌は何でも食べる。
ホントに何でも食べる。
一番好むのは当然の様に生きた昆虫。コオロギやローチ、ワーム等の飲み込める大きさのモノを放り込んでやれば積極的に出てきて追いかける。
首が太いので以外と大きな獲物も食べられる。
飼っていれば普通にピンセットからも採餌する。
冷凍コオロギ等の死に餌も食べる。慣らすとか特にせずとも、皿に入れて置いておくだけで自然に食べる。
他には刻んだ生肉(ササミやハツ等)、各種人工飼料(トカゲ用でなくとも。カメの餌や魚の餌も食べる)、果物やトマト、茹でたカボチャやサツマイモなんかも。
葉野菜は餌として認識しないのか、食べない事が多いし無理して与える必要もない。
感じとしては植物質を意識しなくても、昆虫だけで健康に飼える感じがなくもない。とは言え、あえて実験する意味はないのでたまに与えた方が無難。単純に雑食トカゲ用の人工飼料に餌付けるのが一番楽と思われ。
地味に使えるのが缶詰のドックフード。匂いが強いのが良いのか、かなり受けが良い。時間が経ってカリカリに乾燥したヤツもいつの間にか食べてしまう。使うなら野菜が入っているタイプのモノがバランスが良い(気がする)
カルシウムの添加は基本なので、たまにやっとくように。
基本的に協調性は良い。……と思っていたのだけど、Twitterやる様になって他所様の情報を聞くとどうも様子がおかしい。あれ? と思っていたらウチでも急に闘争が始まった。どうやら単に今までが絶妙なバランスで成り立ってただけで、後続が成長してバランスが崩れた模様。一旦始まるとかなりねちっこい。特に尻尾なんかは噛まれた拍子に自切とか普通にあるので、あからさまに相性が悪いなら個別飼育が間違いない。
コレに関しては完全に自分の認識違い。
誠に申し訳ないです。
他種のトカゲに対して無関心なので、異種同居は出来なくもない。ただ、食物連鎖では底辺に近い存在なのでむしろ被害者になる可能性が高い。
流石にモニターやテグーなんぞと同居させるトンチキはいないと思うけど、取り敢えずカラカネを食えるサイズの生き物とは一緒にしない方が良い。
昆虫しか食べないとか思ってても、そう言う連中は普通に小動物も食べる。レオパだってフトアゴだって、自分より小さいトカゲは餌と見なす。草食とされてるリクガメだって、実は動物質大好きだったりする。実際、自分もアダルトのレオパをロシアリクガメに食い殺された事がある。
特に、クビワトカゲやヒョウトカゲの類はタブー。生息環境も似てるし、割と小型だからいけそうに思えるかも知れないが、アイツらガチのトカゲ食いである。自分と同じ大きさのトカゲでも普通に捕食してしまう。細いカラカネなんぞ絶好の餌食である。
同居相手としてお勧めなのはサンドフィッシュスキンクの様な同じ乾燥系潜りスキンク。似た様な性格で我関せずの性格の為、普通に共存する。
相変わらず陸上には何もいない状況になるが。
なお、争いこそしないものの気の弱い奴が引き籠る可能性はある。自分の所ではサンドフィッシュスキンクの一匹がカラカネ共の威勢に負けて出てこなくなり、気づいたらゲッソリ痩せてた(即座に分けて食わせまくったら程なく元に戻ったが)
週一の掃除の時には全員掘り出して健康確認する様に。
結構な大食漢なので、当然出るモノも多い。ほっとくと見苦しいし、臭ってもくる。一週間に一度は掃除しましょう。床材が砂漠の砂の様に粒子の細かいモノなら、天ぷらを揚げる時に使うカス掬いが便利。面白い様に糞や尿酸だけが取れる。他の素材だったら諦めて全替えである。
繁殖に関してもそう難しい事はない。
♂♀が同居していれば勝手に殖える。とは言え、明確な繁殖期があって年中無秩序に殖えたりはしない。大体5〜7月くらいの間に頻繁に交尾して、1〜2ヶ月くらいで出産するイメージ。1シーズンの間の出産回数は1〜2回。レオパの様に一回の交尾で何回も産む事はない様子。胎生であり、まんま小さくした様な子供を2〜6匹程産む。ある日突然小さいのが跳ね回っているので結構ビックリする。
親と同じ要領で飼育して、食べられる大きさのコオロギやワームを与えればバクバク食べてグングン大きくなる。ドックフードや人工飼料も普通に食べるので、毎日バシバシ与えて早く大きくした方が良い。
体が小さい分、親に比べて水分不足に弱い。ホットスポットの関係で乾燥するので、水切れには注意。
発見が遅れて親に食われる心配があるので別居が無難。その気はなくても間違えて噛みつくとかあるかもだし。
ぶっちゃけ♂♀の区別は絶望的につき難い。色も同じだし体型もほぼ同じ。この大きさだとセックスブローブなんかも使えないし。
爬虫類の中では安価だし、ぶっちゃけ一匹だけ飼っても寂しい生き物なので繁殖目指すなら最初っから複数導入した方が良し。4〜5匹も買えば大体は両性混じる……筈。
なお、複数いるのに繁殖しないとか言う時は、数を増やす前にクーリングしてみると良いと思う。実はこいつ等、明確な休眠期間がある。
期間は秋から冬にかけて。大体、11月頃から2月くらいまで。特に何を変えるでもなく、温度を18度以下くらいになる様に維持……と言うか放置しておくと床材に潜ったまま出て来なくなる。念のためホットスポットは点けっぱに、水は切らさない様に。
生存確認の為にたまに掘り出すけど、餌は勿論水もほぼ飲んでいない状態でも痩せたりはせずにプリプリしている。この状態の個体をホットスポットの下に置いてもまたすぐに潜ってしまう。生体リズムの問題なので、起そうとして起きるモノではないのでとにかく放置。頃合いになれば自分で出てきてバスキングを始める。バスキングをする姿を頻繁に見る様になったら休眠は終わり。通常の飼育に戻す。
そのまま時期になれば繁殖行動を始める……筈。
何かタラ〜っと書いて見たが、正味万人受けはしなくとも良いトカゲである。
とにかく強健なのでよっぽどのトラブルかポカをしない限り、まず殺す事はないと思うし(最低限の知識は必要ヨ?)
元々一匹3000円ちょっとくらいと爬虫類の中でも最安値の部類だったけど、何かこの所地味に値上がりしてる様子。この手の良く見るけど安価な種類と言うのは儲けにならないんでCB化が進まない。ボンヤリしてるとある日突然規制がかかっていなくなるなんてパターンが非常に多い。
最近サイテス化して一気に万越えの値段になったトッケイは記憶に新しいし、昔はやたらと流通して3000円とか6000円とかの安値で雑に売られていたのにある日突然流通が止まり、今年ウン年ぶりに輸入されたと思ったら10万越えの値段になってて古参の皆さんがそろって腰抜かしたヒナタヨロイトカゲなんて例もある。
出回る割に明らかにWC主体のオオアシカラカネは嫌な条件がこれでもかと揃っている。
飼った人で手段がある人は、是非とも殖やしてCB個体を市場に回してもらえれば嬉しいなーとか思う。
自分も頑張りますので……。
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