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2017年08月25日

この世界は、ただの作り物?「シミュレーション仮説」



「シミュレーション仮説」とは、2003年にスウェーデン人の哲学者ニック・ボストロムによって提唱された「現在、我々が生活しているこの世界は、実は人類とは別の高度に発展した文明によって構築されたシミュレーションによるものなのではないか」という仮説のことである。この仮説は、一見すれば突拍子もないものに思えるが、地球上に生命が誕生する確率が、非現実的なほどに低いことなどに対する一つの解釈として注目を集め、その後、物理学・生物学・宇宙学などの様々な分野で議論が行われることになった。





シミュレーション仮説の詳細

このシミュレーション仮説における、哲学者ニック・ボストロムの主張は下記の通りである。

右向き三角1現在、我々が生活しているこの世界とは全く別の高度に発展した文明において、人工意識を備えた個体群を含む、一つの世界が構築されており、全ての動きがシミュレーションされている可能性がある

右向き三角1シミュレーション内の個体は、自らが「シミュレーションの中に存在していること」に気づくことはなく、その世界を「実世界」と捉えて生活することになる

右向き三角1そのような高度な文明が存在する場合、娯楽や研究などの目的により、複数のシミュレーションが同時に実行されているのかもしれない

1961年にアメリカ人の天文学者フランク・ドレイクが、人類と接触する可能性のある地球外生命の存在とその数を「ドレイクの方程式」として数学的に表している。この方程式に従えば、人類よりも高度に発展した文明を持つ地球外生命は、ほぼ間違いなく存在するということになる。

また古典物理学において、フランス人の数学者ピエール=シモン・ラプラスは、決定論の一つとして後に「ラプラスの悪魔」と呼ばれることになる理論を主張した。この理論によれば、ある瞬間における全ての物質の力学的エネルギーの状態を知ることができ、また同時に全てのデータ解析が可能な場合、理論的には世界の全ての物質の動きをシミュレーションすることが可能になる。

そのため、この仮説は一見すれば突拍子もないものに思えるが、地球上に生命が誕生する確率が、非現実的なほどに低いことなどを含む、科学的に解明することが困難とされている多くの事象に対する一つの解釈として世界中で注目を集め、その後、物理学・生物学・宇宙学などの様々な分野で議論が行われることになった。

シミュレーション仮説の根拠

このシミュレーション仮説を裏付ける根拠としては、下記のようなものが挙げられている。

右向き三角1宇宙の構成要素である、ダークエネルギー、暗黒物質、原子などの物質の割合が、「知的設計者」の存在を疑わせるほど絶妙なバランスで保たれている

右向き三角1地球は太陽からの距離をはじめ、太陽を中心に公転する他の惑星との位置関係、その軌道の性質や引力の大きさなど、生命が活動するのに必要な自然環境が奇跡に近い確率で整っている

右向き三角1地球上に生命が誕生する確率が、非現実的なほどに低いということが判明しており、一説では、その確率は「10の283万乗分の1」とも推測されているため、ただの偶然として片付けるのは難しい

右向き三角1量子力学において、観測問題、量子もつれ、量子テレポーテーションなどの科学的に解明することが困難な問題が、いくつも見つかっている

右向き三角1真空状態における光の速度は無限ではなく、「299,792,458m/s」と表されているが、これはシミュレーションを実行しているコンピュータのメモリが有限のためである

右向き三角1幽霊を目撃する人々や前世の記憶を持つ人々が存在し、また人間をはじめとする多くの動物が睡眠中に夢を見るのは、一種のバグとも考えられる

右向き三角1これまでに過去から未来への「時間の流れ」が科学的に観測されたことはなく、その理由は我々がシミュレーションによって構築された世界の中に存在しているためである

右向き三角1生物の進化論においては、一つの仮説を立証するごとに新たな矛盾が生じている状況であり、自然選択説については多くの不可解な点が見つかっているため、現実的に地球外生命の関与が大きく疑われている

右向き三角1現在、人間の脳の機能は全体の約5%ほどしか解析されておらず、また近年の研究では、その構造は最先端の精密機械よりも緻密に形成されていることが判明している

右向き三角1旧約聖書に記されている、「ノアの方舟」や「バベルの塔」、「モーゼの海割り」などの物語は、人間の文明が発展する以前にシミュレーションを実行している何らかの存在が、我々の世界に介入したことを示唆している

その真相とは?

この仮説については、その提唱者であるニック・ボストロム自身が、「シミュレーション内の個体は、自らが『シミュレーションの中に存在していること』に気づくことはなく、その世界を『実世界』と捉えて生活することになる」と主張している通り、この仮説を立証することは難しく、悪魔の証明のような状態となっている。

また道徳的な観点から、何らかの知的な存在によってこの宇宙や生命などが設計されたとする「インテリジェント・デザイン」の説などと同様に、この仮説について科学的に議論すること自体がナンセンスとされることが多く、本格的な研究などは進められていないというのが現状となっている。

今後、仮にコンピュータプログラムにおけるバグなどのような「決定的な欠陥」が発見されることがあれば、この世界とは別の高度に発展した文明の存在を、我々が知覚する手段が見つかるのかもしれない。








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