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2017年08月24日

毎日、午後2時に鳴る…。 「壁の中の電話」







「壁の中の電話」とは、フジテレビ系列の人気バラエティ番組「奇跡体験!アンビリバボー」において過去に放送されたことがある、実話に基づいたという怪談話のことである。

この話は、1999年7月22日に放送された第70回の放送回の中で紹介されており、過去に同番組内で取り上げられた数多くの怪談話の中でも、最も怖い話の一つとして挙げられることが多い。

その話の内容とは、「あるマンションへと引っ越してきた三人家族が、そこで謎の電話にまつわる恐ろしい体験をする」というものである。





「壁の中の電話」の内容

その怪談話の内容とは、下記のようなものである。

1998年、会社員の草野(当時35歳)は、転職を機に会社から与えられたマンションへと妻の晴枝(当時33歳)と息子を含む、一家三人で引っ越してきた。そのマンションは建てられてからすでに長い年月が経っていたが、三人が生活するには別に問題はないように思われた。

ある日、妻の晴枝はおかしなことに気がつく。それは毎日、午後2時丁度に隣の部屋の電話が鳴るのだ。当初、晴枝は特に気には留めていなかったが、毎日寸分の狂いもなく電話が鳴ることに対し、次第に違和感を抱き、マンションの管理人へと相談したところ、その部屋はずっと前から空き室のはずだという。居ても立ってもいられなくなった晴枝は、勤務中の夫の会社へと電話をかけた。

「隣の部屋に、毎日電話がかかってくるの。空き室なのに何か変よ」

草野は不安がる妻を落ち着かせ、電話を一旦切り、その不可解な話について考え込んでいた。その時、同僚の大竹(男性・当時35歳)が、「何かあったのか」と声をかけてきた。草野が事情を説明したところ、次の土曜日に大竹が部屋を見に来てくれることになった。

そして、土曜日の午後2時頃。草野と妻の晴枝が見守る中、草野夫婦の部屋へとやってきた大竹は、隣の部屋で鳴っている電話の音を聞き、妙な違和感を抱いた。もしやと思った大竹は、壁に耳をあててからこう言った。

「この電話の音は、隣の部屋のものじゃない。この壁の中から聞こえてる」

草野は、明日の日曜日に壁を壊して中を調べることに決め、その日は解散することになった。草野が大竹以外の同僚にも協力を求めた結果、吉野(男性・当時35歳)、古屋(男性・当時35歳)、林田(女性・当時24歳)の三人が協力してくれることになった。

そして、翌日、日曜日の午前10時頃。草野夫婦の部屋へと集まった同僚たちは、男性を中心として慎重に壁を取り壊す作業を始めた。そこには、一度壁を壊してから修復したような不自然な跡が見つかった。やがて、壁を壊し続けるとぽっかりと開いた謎の空間が現れた。その空間には、薄汚れた毛布と黒い電話が置かれていた。

同僚たちがその毛布を取り出し、広げてみると、中には血だらけの山吹色のワンピースが包まれていた。その時、唖然とする同僚たちを前に時計の針が午後2時を指し、電話が鳴った。恐る恐る、草野が電話に出たところ、小さな女性の声が聞こえてきた。

「やっと出た…。絶対に許さない。何故、1人にしてくれないの…」

その不気味な声に恐怖した草野は、慌てて受話器を放り投げた。何故か、その電話はコードが引きちぎられており、どこにも繋がってはいなかった。

その事件をきっかけに草野は会社を退職し、一家は別の場所へと引っ越した。そして、2ヵ月後、草野のもとへと一本の電話がかかってきた。それは大竹からの電話であり、林田が急死したという知らせだった。また吉野と古屋も、あの事件の後で謎の失踪を遂げたのだという。

草野は、大竹とともに林田の告別式に参列することになった。出棺の際、二人は道の反対側からこちらを無表情で眺める、若い女性の存在に気がついた。その女性は、あの山吹色のワンピースを着ていたという。


その真相とは?

この「壁の中の電話」という怪談話は、フジテレビ系列の人気バラエティ番組「奇跡体験!アンビリバボー」において、1999年7月22日に放送された第70回の放送回の中で紹介されたものである。この放送回では、実際に話の中にも登場している草野という人物が、その身元がわからないように映像処理がされた状態で番組の取材に応じており、この話を再現したイメージ映像とともに当時の体験を振り返るという構成で番組が進行がされた。

草野によれば、この事件の後では自分と妻の上の前歯が何故か黒く変色しており、後日、息子が山吹色の服を着た謎の女性を目撃するなど、奇妙な出来事が現在でも続いているという。また草野がこの話をすると、自分や相手によくないことが起きるため、この番組内において草野は「自分たちは、恐ろしい霊を目覚めさせてしまったのかもしれない」と述べている。

この話は「奇跡体験!アンビリバボー」内で取り上げられた数多くの怪談話の中でも、最も怖い話の一つとして挙げられることが多い。しかし、この話には、実は「呪いの黒電話」という、この話に酷似した怪談話が1980年代にはすでに存在していたことが確認されている。その話の内容とは、「あるマンションへと引っ越してきた若い夫婦が、壁の中で鳴り続ける電話の小さな音に気がつき、壁を壊してその電話に出たところ、夫婦は精神に異常をきたしてしまう」というものである。

そのため、この話については実際の体験談をもとにしたものではなく、同番組のスタッフによって一見すれば実体験だと思えるような番組の構成で作られた完全な創作話だと考えられている。恐らく、番組内で取材に応じている草野という人物は、番組スタッフか劇団員などではないだろうか。






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