2013年06月13日
187. 百田尚樹 放送作家・ラブアタック!・ランキングチェック 「情熱大陸」
1956年大阪生まれで、放送作家から50歳のとき小説家に転身します。7年間で世に出した12作品が売れに売れて、「海賊とよばれた男」は2013年の「本屋大賞」に選ばれます。
このときに「直木賞なんかより…」と発言し、物議をかもします。言いたい放題の作家生活ですが「(出版社は)あきらめてますね。人気商売ですから言いたいことを抑える人もいます。でも言いたいことを言わないのは情けない…」
本当に小説家らしくない人です。書店に乗り込んでは「私の本は売れてますか?」とずばり聞いてまわるのですから。
禿頭に太い眉、大柄、怖い感じがしますが笑顔が可愛く、明るい。ムードメーカーです。
それもそのはず、百田さんは、かつて関西で人気のあった視聴者参加番組「ラブアタック!」の常連参加者でした。
「ラブアタック!」は5人の若者(主に近畿圏の大学生)が様々なゲームで体力を競い、勝ち抜いたものが美女(かぐや姫)に求婚を許されるという番組でした。
この番組出身者は体力あり積極性ありユーモアありと、その後様々な業界で頭角を現します。百田さんもその1人なのです。
放送作家時代、百田さんは10本を超えるレギュラーを持ち、ひたすら企画を考え、ひたすらナレーションを書いていたそうです。
「残る仕事がしたい」と50歳を転機に小説家になります。
現在、手がける番組は「探偵!ナイトスクープ」のみとなりましたが、放送開始25年で平均視聴率20%を維持し続けている怪物番組です。
百田さんはベストセラー作家であるために様々な努力をしていますが、「情熱大陸」では9つの視点でそれを紹介していました。
1 アンテナを張る
「海賊とよばれた男」のネタをくれたのは、放送局で働く仕事仲間でした。その人いわく「ボツネタだったんです…」
それを百田さんは拾い上げ、見事「本屋大賞」です。
2 文体
百田さんの文章は短い文の連続で、テンポがよく、リズムがあります。これは大量のナレーションを書いてきたからなのだとか。
3 家族の意見はよく聞く
百田さんは奥様と1男1女の4人家族です。書いたものは家族に読んでもらい、3人中2人が「面白くない」と言ったところは、自分が気にいっていても書き直すそうです。
4 売れている本はなんでも読む
売れる理由を知れば書くときの参考になります。兵庫県川西の自宅と仕事場にしている大阪のマンションには所狭しと本が置かれています。混沌とした環境からベストセラーが生まれる?
疲れると、お気に入りのクラシックを聴きます。
「最近読んで面白かったのは?」
「『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』ノンフィクションやけど、引き込まれたね」
5 売れなければダメ
百田さんは、現在週に1回のペースで東京に通っています。幻冬舎の社長、見城徹氏との会食での会話。
見城さん「百田さんの登場はすごく小説の世界を変えつつあると思う…ビジネスですから、出版社も売れてナンボ、作家も売れてナンボなんですよ」
百田さん「売れなくっていいんだと書く人がいるんですよね。売れなくっていいんだったらブログに書いとけよ」
見城さん「数ある本の中から、その本を手に取り、レジまで持っていってお金を払うその人に向かって書くには、面白いものを書くしかないんですよ」
百田さんは放送作家として視聴率を意識した人です。その人が作家として売れ行きを意識するのは当然かもしれません。現在の趣味は本の売れ行きのランキングチェックです。
6 納得するまで自分で資料を集める
忙しい合間をぬって「大宅文庫」に足を運び、資料に目を通します。その過程で作品の構想を練っていきます。
7 1人で書店に営業に行く
最初のころは「あの人を来させないで」という苦情の電話が出版社にあったとか。書店で自分の作品にどんどんサインをしていきます。
8 小さい書店も大事にする
小さい書店にベストセラー作家がやってきて「よろしくお願いします」と頭を下げられれば、書店で働く人は感激します。そういう細かな積み重ねが「本屋大賞」につながったのだという気がします。
9 小説の基本は愛
「愛は1番重要やね」
ジャンルや題材は変わっても変わらないのは愛の重要さだと百田さんは考えます。
「人間の素晴らしさとか、人間はいかに美しいものだとかを描いていきたい。いやな部分は現実のニュースで十分。小説がそれを後追いする必要はない」
読者や書店を大事にし、愛を持って作品を描く。恐るべし、百田尚樹。このエネルギーでこれからも多くの名作を世に送り出すでしょう。そしてベストセラーも。
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