2013年05月10日
154. 綿矢りさ 芥川賞最年少受賞・太宰治・京都
綿矢さんは高2の時に「インストール」で作家デビュー。そして大学2年のときに「蹴りたい背中」で芥川賞を受賞。史上最年少での受賞となりました。
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太宰作品との出会い
子どものときから本を読んでは空想するのが好きだった綿矢さんは中学のときに太宰治の「人間失格」を読もうとしますが、「怖くて」読めませんでした。
高校生になって「もう大丈夫かな?」と思って読んでみるととてもおもしろかったそうです。そして太宰の他の作品も読んでいきます。
「太宰の空想世界に自分の空想世界と通じるものを感じた」のです。そう思わせるのが太宰のうまさ、憎たらしさですよね。
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大学時代に芥川賞
綿矢さんの処女作の舞台は高校の教室です。
女子高生同士の何気ない会話の表と裏、その表現手段を太宰から学んだのです。「今まで読んだどの本にも書いていなかった…」
大学2年の時に出した「蹴りたい背中」は芥川賞を受賞し150万部のベストセラーに。そして「インストール」も映画化され、順風満帆の作家生活をスタートしましたが、その後スランプに陥りました。
大学卒業後、作家活動に専念するのですが作品が注目されないのです。
「皆さん、(いろいろな体験から得たものを)蓄積して書いている」「自分の中には蓄積がない」
「書きたいものが本当に自分が書きたいものではなかったんです」「世界文学の(中の)憧れていたものを書いていただけなんです」
「担当の(編集者の)方も見る目がありますから、提出しても『勢いがなくなってるね』って言われて」「途中まで書いて中断しているうちに、未完のものがどんどん増えていくんです」
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苦しみの中から
この苦しみの中で綿矢さんが実行したのは「外に出ること」でした。
アパレルショップの店員、結婚式場の配膳係など、体を動かす仕事を始めたのです。
ショップの店員をしていた時、商品を勧めたわけでもないのに、世間話をしていたら買ってくれたという体験をしました。
「小説を書くことと反対すぎて楽しめました」
そして過去の自分の作品を改めて読み返しました。
その時の等身大の自分の姿に「脱力した」「呆れた」のです。好きなように書いていたときのことを思い出しました。
「これからは書きたいものを書く」と決意しました。
「自分よりちょっと年下の人の恋愛を書きたい」
復活
作家「綿矢りさ」は復活します。次々に作品を書きあげ、3年間で5冊を発表。そして「かわいそうだね?」で大江健三郎賞を受賞します。
綿矢さんは2年前に京都に戻りました。
京都に戻ったら「激しいものを書きたくなったんです、激しい恋愛を」
最新作「憤死」では恋人に裏切られ衝動的に窓から飛び降りる激しい女性が描かれています。
自分の中にある「書きたいもの」を突き詰めていく形でしか、作家が世界とつながる方法はないのでしょうね。綿矢さんの今後が楽しみです。
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