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2018年04月29日
専門化することで熟練する
中堅企業で威力を発揮する職能別組織
ほとんどの会社は、職能別に部門化されています。
例えば、総務部はどこの会社にもあります。
会社によっては総務部が経理部、人事部、
労務部に細分化されている会社もあります。
メーカーであれば、製造部、購買部、販売部などあるでしょう。
このように職能別に部門化された組織は
職能別組織と呼ばれています。
職能別に部門化するには理由があります。
人間は限られた範囲で同じ仕事を
繰り返ししているとだんだんと熟練するのです。
そのためには特定の職能に専門化していないといけません。
一度熟練しても安心はできません。
熟練後もある程度携わらなければ、
すぐに技能もさびることでしょう。
また常に新たな情報や技術を取り入れなければ
時代遅れのスキルにもなってしまいます。
これは管理職にも言えることで
何度も同じ問題に繰り返し遭遇していると
決断は早くなるし、そこから自身もついてきます。
要するにルーチン化したわけです。
これがファヨール氏が分業の原則と呼んだものです。
小さな会社ほど分業する必要はなくなりますが、
中堅企業ともなると職能別組織は一般的です。
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やり過ごしの理由
優先順位の低いものはやり過ごしてよい?
サイモン氏は単純に「意思決定=問題解決」と考えていました。
しかも多くの選択肢の中から1つを選ぶ択一問題の問題解決です。
彼は『ゲーム論理と経済行動』の
影響を受けている節があるので仕方がありません。
それに対しサイモンとの共著もあるマーチ氏たちは、
コンピュータ・シュミレーションをする際に
問題解決型以外にも意思決定のタイプが
あるはずだと考えました。
見過ごしとやり過ごしです。
例えば、恋人同士が長年付きっていると
いろいろ問題が出てくるものです。
それを全部解決しないと結婚できない
となるともう結婚はできません。
長年付き合った彼氏彼女と結局破局するなんてのは
相手を深く知りすぎたことが
原因になることが多いのです。
そのため結婚には勢いが必要です。
問題が出てくる前に決めてしまわないと。
これが見過ごしによる決定です。
すぐに離婚してしまうパターンもあるようですが。。。
一方で抱えている問題が大きすぎると
そもそも合理性に限界があるので問題は解決できません。
しかし問題をやり過ごしていれば、
そのうち問題のほうが立ち消えるになるかもしれません。
嵐が過ぎ去るのを待つ。
これがやり過ごしです。
『できる社員は「やり過ごす」』高橋信夫著
でも多くの人がやり過ごしを経験してい査結果が示されます。
現実の組織では、大問題をやり過ごしてでも
日常業務を回す必要があります。
優先順位の低い問題を上手にやり過ごすことを
もとめる会社まであるのです。
人が入れ替わっても持続する組織記憶
ひとではなく「組織」が学習し、記憶する
組織学習とは組織ルーチンの進化であると考えられています。
学習してルーチンが改善すれば、
当然組織の生産性も向上していくはずですが
それに関してはアメリカでは戦前から
学習曲線の存在が広く知られていました。
実は、戦時下の航空機・輸送船の大量調達の際には、
学習曲線を使って原価計算をしていたのです。
しかし、人間が学習するのはわかりますが、
組織が学習するとはいったいどういう事でしょうか。
例えば同じ人数からなる異なる二つの
コミュニケーションパターン
「車輪型」と「サークル型」があるとします。
車輪型とは
センターとなるAさんがいて、そこからB,C,D,Eさんに
直接コミュニケーションを取るような形。
つまり1-1の関係が4つある集団のコミュニケーションのパターンです。
サークル型とは
AさんはBさんとCさんとコミュニケーションは取るが
DさんとEさんとは連絡は取らない。
同様にBさんはAさんとDさんのみ、CさんはAさんとEさんのみ
DさんはBさんとEさんのみ、EさんはCさんとDさんのみ
丸いテーブルに座った両隣の人のみと
ミュニケーションを取るようなパターンです。
メンバーがそのコミュニケーション・パターンを身に付けた後で
それぞれの集団メンバーを一人づつ入れ替えると
コミュニケーションパターンも入れ替わるでしょうか。
そんなことはなく人が入れ替わっても
手段としては同じコミュニケーション・パターンが持続します。
これは組織記憶の一種だと考えられています。
人が会社を辞める理由
労働との釣り合いが取れているか
意思決定には、会社などで組織の一員として行う
意思決定のほかに退出の意思決定というものがある。
これが奥が深くとても複雑です。
一般的には、嫌いだから会社を辞めると思われがちですが、
「不満を口にする」行動も「会社を辞める」行動も
観察可能なので、試しに自分の周りに
そのような人がいないか確認してみましょう。
すると不満を口にしているのに
やめない人がたくさんいることがわかります。
つまり満足尺度0点で「辞める」が始まるわけではないのです。
それどころか、参加を決める理由と
辞める理由も表裏一体ではりません。
例えば、お金のためにはじめたアルバイトを辞める理由は、
お金だけではありません。
人間関係や、やりがい、仕事の中身、
仕事と何も関係ない外的要因、、、
人によって様々あります。
ただ、参加し続けている人はお金も
それ以外のものも全てひっくるめて
労働とつり合いが取れていると感じているから
続けているのでしょう。
そういった状態をサイモン氏は『経営行動』の中で
組織均衡と呼びました。
ただ、その時想定すべき参加者は
従業員だけでなく、顧客やサプライヤー、出資者も、
要するにステークホルダー全部が組織の参加者なのです。
全員から支持されて、初めて会社は回るのですから
組織均衡を考えるのは大事なことなのです。
ステークホルダー
企業の利害関係者の範囲は考え方によって異なり、
一定の定義が確立していないとも言えるが、一般的に
『投資家 、債権者、顧客(消費者)、取引先従業員(社員)、
地域社会、社会、政府・行政・国民』が挙げられる。
組織均衡論
1.組織は、組織参加者と呼ばれる複数の人々の
相互に関係した社会的システムである。
2.各参加者、各参加者集団は、
組織に貢献したお返しに組織から誘因を受け取る。
3.各参加者は提示された誘因が求められている貢献以上である限り、
組織への参加を続ける。
4.さまざまな参加者集団が提供する貢献は、
組織が参加者に提供する誘因を作り出す源泉である。
5.ゆえに、組織に「支払い能力がある」、
すなわち組織が存続するのは、十分な貢献を受け、
それとともに十分な誘因を提供し、
それで更なる貢献を引き出せるときのみである。
マーチ=サイモン『オーガニゼションズ』より引用