10年前まで道路建設などの公共事業は税金の無駄遣い、環境破壊、などと批判され続けてきた。
しかし、近年はそのような意見が減少してきた。
なぜなら、高速道路をはじめ、道路の恩恵に気がついた国民が増えたためだと思う。
例えば昨年(令和3年)12月に開通した三陸自動車道は仙台から八戸まで360kmの延長で建設後に
予想外に多い交通量で、物流をはじめ利用者が多い。
その工事や用地買収にかかった建設費は2兆2000億円と国土交通省が発表した。
東北自動車道の東京から盛岡までの区間560kmは40年前に開通したが、
それは東北自動車道は4車線であるから今回開通した三陸道の2車線の2倍に更に
道路延長が1.6倍であるから、現在の物価での換算建設費は7兆円ほどと推察される。
それに維持管理費は1兆円程度を考慮すると、40年での経済効果は
投資が8兆円に対して1000兆円を超えているだろう。
つまり100倍以上の投資効果である。
今後も100年は使い続けられると考えれば、毎日数万台の物流トラックが往来することで
大きな経済効果があるのは明白で、更に国民生活に必要な生活物資やガソリンや灯油などの供給に役立っている。
防災分野でのダムもそうだが
近年、風水害が激甚化し、国内で毎年のように水害が発生し、堤防整備や治水ダムの必要性が再認識されたためと考えられる。
多くの人が道路は人や自動車が通行するだけの交通機能だと思っているだろう。
しかし、道路には隠れた様々な多くのプラス効果があることを解説したいと思う。
道路にも高速道路、国道、県道、主要地方道、市町村道などの種類に分けることができる。
道路には交通を重要視したトラフィック機能と出入りを優先したアクセス機能があり、
高速道路などは自動車専用の交通を優先つまりトラフィック機能を高めて、
市町村道と違いインターチェンジ以外からの交通の流入を制限することで交通機能を高めている。
対して市町村道や県道などの地方道は道路に面した住居や商業施設への出入りを優先した
アクセス機能を優先道路であり、各土地や商業施設の利用を主としている道路である。
道路をつくると市街地が形成され都市構造の形成に寄与したり、街のコミニュティーの構成への寄与
上下水道やNTT、電力、ガス管、光ファイバーケーブルの収容空間になるなどの機能、
道路空間によって火災の際の延焼を食い止めるなどの防災機能、災害時の逃走経路の確保など機能がある。
道路空間があることで、市街地では採光、通風での空気の浄化作用など生活の快適性に寄与する機能
以上が道路の機能を生活用道路である市町村道として見た場合としての簡単な説明となる。
ところで国家レベル、広域地方レベルで道路を見た場合、更に大きな役割と効果がある。
それは以下のような役割、効果である。
・高速道路や自動車専用国道の場合に顕著な例
1、地域間を短時間でつなぐ
2、走行経費の節約:都市や地域を最短距離で結ぶ際の燃料経費の節約
3、走行時間の短縮
4、労働時間内での長距離物資の配送が可能になる
5、定時制の確保:信号が少ないために、ロス時間が少なく目的時間に物資を届けやすい
6、大量物資の迅速な輸送での効率化
7、交差点が少ないために、交通事故が減少する。
8、要所を最短距離で結ぶため、二酸化炭素や排ガスを抑制し環境に寄与
上記の主な効果は更に以下の効果を拡大させる。
1、運転時間の短縮や信号が少ないことによる運転疲労の軽減
2、大量輸送や遠隔地への効率的な輸送によって物価を下げる効果
3、地価や税金が安い地方への大手企業の工場などが進出することでの雇用機会の増大効果
4、物流と食品や工業製品の材料供給が効率化されることでの生産性の拡大
5、生産性拡大での企業利益の増加での税収など国家予算に寄与
6、高速道路はおおむねインターチェンジまで2時間で到達できることを目的に建設されてきたために
地方の大都市へのアクセスの容易さからの利便性の向上
7、地域開発の誘導
8、土地の有効利用促進
9、国内経済でお金と物資が日本全国広域的に取引がされることでの内需への貢献
10、内需への貢献での税収の確保
11、道路の多くがネットワークのように網の目の様に構成されており、災害時の緊急搬送路となる
12、観光産業への寄与、地方圏提携による地元活性化に寄与
13、短時間での移動が可能なために、生活での余暇時間の創出に寄与
14、仕事での1日の行動範囲の拡大による、仕事の効率化と業務可能量の増大
15、生活や医療への貢献:救急車で高度医療施設への搬送が可能
16、近年はスマホなど情報通信技術と商取引活発化による消費税納税での税収への貢献
17、生活活動の活性化に寄与:行動範囲が広まり買い物、通勤のしやすさに貢献
18、労働環境の改善(特に長距離運送事業での目的地までの所要時間減少で8時間以内の労働に寄与)
19、交通安全(目的地までの運転時間に余裕が持てるため、無理な運転の減少)
などがある。
全国に張り巡らされた高速道路や本州と四国を結ぶ、瀬戸大橋や明石海峡大橋などはその良い例だ。
世間でも特に左翼界隈ではこのような国民生活と我が国の発展に大きな役割と効果がある公共事業を
税金のバラマキで税金の無駄遣い、自然環境破壊などと批判するのは的外れであるといえる。
はっきり言って公共事業はそんなに儲かる商売ではない。
仕事の進捗が風雨などの気候に左右され、工期が決まっている現場での仕事は
未だに2週間に1回土曜日が休めればよいほうで、朝は8時前に職場へ行き、
建設職人や作業員は高所作業や危険な現場、危険な作用に従事している。
現場監督は現場で実際ものをつくる指導をするわけだから、従業員の安全管理、品質管理、工程管理
原価管理など責任も重く多種多様なスキルを必要として客先対応、地元対応など精神的にもきつい
設計技術者は毎年繁忙期になると、数カ月間毎月100時間程度の残業があり、
繁忙期でなくとも月の残業時間が40時間を下回ることが稀であり、拘束時間が多く残業手当も無くきつい。
公共事業全般の産業がもっと儲かり魅力的な職種なら、多くの人が転職してくるだろう。
社会で必要とされている職業でも儲からないのに、左翼はバラマキでの税金の無駄遣いだと流布してきた。
近年の国家予算での公共事業費は6兆円代であるのに対して、昨年は介護費の国家予算がが10兆円を超えた。
公共事業での建設業や建設に欠かせない製品の製造メーカーに従事する人々は400万人もいるとされ、
それら従事者の生活を助け、雇用創出効果や税収の増加などの副次的な効果がある。
現在の公共事業は平成25年に立法された国土強靭化基本法の目的のとおり、
新しく何かをつくる時代から、地震や台風対策などの防災事業と
今まで造ってきた、道路や上下水道などの公共施設の維持管理、老朽化への対応と安全管理に大きく舵がきられた。
今後、将来的に少子高齢化社会が進展する中で、我が国の国力、経済力を低下させないためにも、
災害防除での国民の安心で安全な暮らしを支えるためにも、経済活動を続け、国民生活、国民経済のためにも
公共インフラの維持管理と防災事業、必要最低限の新規の公共事業は必要なことだと考えられる。
毎年起きる台風や自然災害、地震などでの復旧工事は誰がやっているのかといえば、私ども公共事業に従事する人々であり、
給与もそれほど高いわけではない中で激務で大変な仕事を早期にかたずけなければいけない。
我々の仕事は社会に必要な仕事だと考えている。
税金の無駄だと言われた公共事業を50年、100年単位で見れば、マイナスとは言えない。
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