2017年09月14日
「ソーシャルレンディング」ならサラリーマンでも金貸しになれる? という記事を読みました(長いです)
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ソーシャルレンディング=金貸し
Yahooニュースに興味深いタイトルの記事がありました。
・「ソーシャルレンディング」ならサラリーマンでも金貸しになれる?
元記事は@DIMEです。
・「ソーシャルレンディング」ならサラリーマンでも金貸しになれる? (@DIME記事)
Yahooニュースにソーシャルレンディングという言葉が出現するようになったのはつい最近の事で、
それだけソーシャルレンディングの知名度が上がっているという証左でもあるでしょう。
(もっとも、知名度爆上げの最大の理由は、どこぞの業者の悪質スキームだったわけですが)
執筆者は山崎俊輔氏。
(株)企業年金研究所、(株)FP総研などを渡り歩かれ、今は独立をしています。
主に年金畑の方のようです。
記事の内容を読んでみますと、残念ながらソーシャルレンディングにはやや否定的な様子。
その理由として納得できるところもあり、納得できないところもありますので、記事として取り上げさせて
いただきたいと思います。
ちなみにタイトルの「「ソーシャルレンディング」ならサラリーマンでも金貸しになれる?」ですが、
この問いに対する答えは「YES」です。
と言いますか、金貸しこそがソーシャルレンディングの本義です。
みんなのクレジットが取り上げられています
記事の中で早速取り上げられたのが、「みんなのクレジット」問題です。
記事の一部を抜粋します。
証券取引等監視委員会が検査をした結果によれば、集めた資金は特定の会社(親会社)に集中していたうえ、利払いやキャッシュバックキャンペーンに投資資金が流用されていたとのことです。財務状況をみても借り入れの返済を継続することが困難であるとしています。
オフィシャルホームページでも最初は体制の立て直しを図る旨のプレスリリースと、きちんと配当や償還がされている旨のお知らせが掲載されていましたが、7月からそれも途絶えています。証券取引等監視委員会の報告が正しければ(たいていの場合、正しいのですが)、近々に破たんは避けられない状態です。
ここについてはその通りだと思います。
かくいう私も140万円ほど投資していますので、騙された当事者が何を人ごとのように、と思われる方も
いるかもしれませんが、事実は事実として受け止めないと先には進めません。
この一件以来、ソーシャルレンディングにおいては事業者リスクが最も重要であり、十分に調査しないと
いけないことが分かっただけでも収穫だと思っています。
この後、匿名投資組合がポンジスキームのトラブルが起こりやすい仕組みである、と指摘されていますが
これについても全く同意します。
ですから、とっととソーシャルレンディングの匿名化と案件のバスケット化はやめて欲しいと思います。
匿名化に関してはまだ、「貸し手情報を公開してしまうと個人が直接資金を貸し付ける事になり、
全ての投資家に貸金業の免許が必要になる」という解釈は百歩譲って理解できます。
ですが、案件のバスケット化はさっぱり理解できません。
このあたりの改善については、難しいかもしれませんが金融庁の英断を望みます。
「ちゃんとやっているソーシャルレンディング会社」とは?
再び、一部抜粋です。
今回もソーシャルレンディングそのものに問題があるのではなく、匿名投資組合の仕組みが悪用されたというケースなのですが、だからといって「ちゃんとやっているソーシャルレンディング会社」が外見的には見分けることが困難である、という事情は変わりません。
一方で、この部分はどうでしょうか。
「ちゃんとやっているソーシャルレンディング業者」を見分けるのは、それほど困難でしょうか?
・長期に渡って運営してきた実績がある
・財務状態が堅固、もしくは確たるバックアップ(出資者)がある
・団体や代表者、役員の過去に怪しいところがない
・受託者責任を明文化している
・情報開示(特に利益相反する場合)をしっかりやっている
このくらいの条件を満たせば、一応「ちゃんとやっている」と言えるのではないでしょうか。
もちろんこの判断は揺れ動きますし確実性もありませんが、それを言うなら「ちゃんとやっている会社」
というもの自体が見分けにくい事になると思います。
鴻海に買われたS社とか、原発巨大赤字のT社とか、ちゃんとやっている会社と判断した人は多いでしょう。
会社の中身が見られないのはどこでも一緒。一部上場でもこの体たらく。
程度の問題はあれ、要はそういう事なのではないかと思います。
ソーシャルレンディングはきれいな言葉?
次の部分です。
私たちはついつい「フィンテック」とか「ソーシャルレンディング」というような新しい言葉、見た目のいい言葉に引かれてしまいます。しかし、これは「金貸し」なのだとシンプルに考えてみるほうがいいかもしれません。
金貸しと考えれば、ソーシャルレンディングに回ってきているのは「いろんな事情があって、銀行やベンチャーキャピタルがカネを貸さない案件」かも、と考えてみることもできます。
また、あなたの手元に残る利回りはソーシャルレンディング会社が利益を「抜いた」あとの利回りであって、実際はもっと高利回りが貸し手には生じていると考えるべきです。
ソーシャルレンディングって、そこまで見た目のいい言葉でしょうか?
横文字だから見た目がいいという理屈なら仕方ありませんが、ソーシャルレンディングの仕組みを少しでも
かじった人なら、「要は金貸しだよね」と理解できるはずです。
古今東西、財を成す最も有名な方法の一つは金貸しです。だから私はこの投資法を選びました。
ソーシャルレンディング投資家という肩書きの見た目がいい、本質を誤魔化している、と思われるのなら
私はいつでも、「ネット金貸し」という肩書きを名乗ります。
それと、「いろんな事情があって、銀行やVCがカネを貸さない案件」がソーシャルレンディングに流れて
きているのは、考えるまでもなく本当のことです。
ただそれは、後ろめたい理由からではなく、銀行から借りた方が条件的に不利になる場合などいくらでも
あるからです。短期貸付とか期限前償還有りとか不動産担保がないとか。
付け加えますと、ソーシャルレンディングは黎明期のベンチャーには貸し付けません。
ベンチャー投資は株式型クラウドファンディングの守備範囲なので、VCがお金を貸さないというのは
適切な表現ではないように思いました。
最後に、ソーシャルレンディング会社が利益を抜くのは、会社の存在意義からして当たり前です。
(ソーシャルレンディング案件は、外見よりも高利率=高リスクですよ、という文意なら納得ですが)
個人が間接的に貸金業を営む事ができるプラットフォームを提供してもらえるのですから、そのサービスの
対価を払うのは当然のことだと思います。
初心者に勧められないのは当然です
この後の段落で、ソーシャルレンディングに投資するなら投信やETF、REITで代替可能とありますが、
これについては賛同しかねます。
なぜなら、投信やETF、REITは「日々の値動きがある」金融商品だからです。
一方でソーシャルレンディングは、投資案件を決めれば後は何もすることがありません。
日々の値動きを追うのに疲れ、ソーシャルレンディング投資を始めた私としては、この点に関してだけは
強く主張したいところです。
(*もっともこれは、リスクが最後まで顕在化しないことの裏返しですが)
あなたが投資についてあまり理解がないとしたら、ソーシャルレンディングを手軽かつ簡単に高利回りを得られる安全確実な手段とは考えない方がいいでしょう。どんなにホームページがオシャレで親しみやすいものであっても、そこには高いリスクがあります。
文章の結び、この部分については賛同します。
ただ、それを言われると安全確実な投資手段なんてそもそもない、という話になってしまいますが。
ソーシャルレンディングへ投資をするのであればまずは少額から。案件分散を心がけること。
投資全般に言えることですが、大事な事です。
ところで
記事の結論は「投資をするのに、無理にソーシャルレンディングを行う必要はない」というものであり、
この記事単独なら、「人それぞれだけど、そういう人もいるよね」が感想になると思います。
ところが、別記事も比較すると、ちょっと様相が異なります。
著者の山崎氏は、投資自体には肯定的です。
(これは、ご本人が年金畑を歩いてこられた事から想像がつきますが)
・投資は悪いことなのか 日本人の大いなる誤解を解く (NIKKEI STYLE)
これだけなら当たり前ですが、なぜか寄付型・購入型のクラウドファンディングには肯定的です。
・【フィンテック入門】クラウドファンディングの魅力と投資リスク (@DIME)
しかも上記記事の最後には、以下のようなチクリとする表現も。
匿名組合のしくみを用いたソーシャルレンディングの仕組みは従来からありましたが、これをポジティブイメージのある言葉として「投資型クラウドファンディング」と呼ぶことが増えているようです。
こちらについては純粋な投資案件となります。少額投資といっても10万円単位での運用を行うことになり、購入を伴うクラウドファンディングより高額になります。また、しばしば匿名組合の破たんが生じトラブルになっているのも事実です。
「応援の気持ち」で行なうクラウドファンディングとはまったく別ものですので注意してください。
これらのスタンスをまとめると、
・投資は悪ではない
・応援の気持ちを持った寄付や購入は良い
・ソーシャルレンディングには否定的
となりまして、何となく邪推してしまうところがあります。
別記事を考慮しての私の感想は、
「金貸しも立派な投資ですよ」
というものです。
資金を貸し付ける事で需給ギャップを埋めるのは、社会の資金ニーズに応える意義のあることです。
繰り返しになりますが、ソーシャルレンディングの本義は金貸しであり、恥じる事ではありません。
それを恥じるなら、全ての投資が「金儲け」として悪し様に言われるべきであり、それこそ山崎氏が
「投資は悪ではない」とご自分で主張した事に矛盾してしまうからです。
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posted by SALLOW at 10:00
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