2017年06月28日
案件紹介(SBI SL、カンボジア実習生支援ファンド)
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SBI SLからカンボジア技能実習生ファンドが登場
SBI SLから、高リスク・高利回りファンドが登場しています。
・SBISLカンボジア技能実習生支援ローンファンド
予定利率:10%(*元利均等払)
期間:12ヶ月
貸付金額:未定(第一回は500万円)
担保:無し
カンボジア技能実習生への生活資金を貸し付けるローンファンドです。
当然、無担保です。
そして、ファンド説明文の1行目には
「本ファンドへの出資には高いリスクが伴うものであることをご了承ください」
と赤字できっちり書いてあります。
SBI SLでこのような警告表現を出したのは、以下のファンドに続き2回目です。
・SBISL地方創生ローンファンド1号
このファンド(結局、不成立でした)において、SBI SLは
@ 事業用地 A 工場建物 B 製造ラインに係る設備・動産
の3種類の担保を、「換価性がないので評価ゼロ」と豪快な査定をしました。
今回同じ表現が出るということは、リスクの高さはSBI SLが既に認識している、ということでしょう。
実際、無担保で貸し出して夜逃げされたら回収のしようがありません。
貸付スキーム
本案件のスキームは以下の通りです。
(*SBI SLの該当ページより転載)
日本では技能実習制度により、様々な国から技能実習生を受け入れています。
技能実習生が日本に渡航するためには、渡航費用や日本語学習費用、ビザ費用などを一旦借りる必要が
あるわけですが、この際に高金利でないと借入できないという問題点があるようです。
この資金需要ニーズに応え、また人材育成への貢献を行うため、出光セゾンマイクロファイナンス社
(以下、出光MF社)がカンボジア技能実習生向けの事業を行う事になりました。
・参考記事:カンボジア人技能実習生向け融資事業を開始します
出光MF社はカンボジア国内での貸付を担当します(おそらく、貸付利率は相当に高いです)。
その後、日本での実習承認後にSBI SLから貸付を行い、出光MF社の貸付金を一括返済します。
日本で実習承認がされていることから、カンボジア国内で貸し付ける場合に比べリスクは低下し、
結果として10%+SBI SLの取り分の貸付利率でも、事業にはなると判断したのでしょう。
案件の特徴
この案件の特徴は二つ。
一つ目は、ロールオーバー案件であること。初回は500万円(10人分)に貸付を行うそうですが、
既に資金は9,000万円近く集まっています。この分は、次回以降の貸付に回されます。
(ロールオーバーのイメージ。SBI SLの該当ページから転載)
もう一つは、元利均等分配であることです。
元金の償還が毎年行われますので、案件の説明には10%12ヶ月とありますが、実質利率については
もう少し低くなります。
元利金が正常に分配された場合、最終的に得る事のできる利益は、税引き前利率換算で5.4%となります。
案件のリスクと取り巻く環境
本案件ですが、さすがにSBI SLが高リスク案件と言い切るだけあって、かなりハイリスクです。
まず第一に、貸付先の信用リスク。
相対的にクレジットスコアの低い実習生相手の貸付であること、また、担保や第三者保証がないことが
案件説明に明記されていることから、元本毀損の可能性は十分に考えられます。
借手が返済不能に陥る状態は、ちょっと考えただけでも
・借手の資金不足
・借手が実習している企業を解雇されるリスクや、企業破綻リスク
・借手が日本から退去させられるリスクや、借手が行方不明になるリスク
など、枚挙にいとまがありません。
実際、実習生制度の普及に伴い、2015年には実習生の失踪数が過去最高になったニュースもあります。
・ライブドアニュース 「日本で失踪した外国人技能実習生の数が過去最多 弁護士の見解」
さらに、貸し付ける相手が日本人でないことも、リスクを高めている理由になります。
日本語の理解力が乏しく、日本の法令に対する知識も十分ではないため、貸付金の延滞などが起きた場合
コミュニケーションに時間がかかり回収コストが嵩んだり、回収自体が難しくなる可能性もあります。
人種差別をするつもりはありません。単なる事実です。
日本人でも、他の国の法令や慣習に通じている人はあまりいません。外国で起きたトラブルを、日本と
同じように解決できる人はそれほど多くないでしょう。
また、技能実習生を取り巻く環境も、決して良いものとは言えません。
もちろん真っ当に実習生を受け入れる会社が多いと信じたいのですが、その一方で技能実習生を
ただの「安価な労働力(というか、奴隷)としてしか見ていない」企業があるのも事実です。
そういった企業に対する国の取り締まりは、功を奏しているとは言い難いものがあります。
結果として、技能実習生が受入先の企業でWin-Winの環境を築けるかどうかについては、正直なところ
企業による、としか言いようがないのが現実です。
もしも受入先の企業が適切な受入を行っていなければ、実習生が失踪する可能性は高くなります。
それはつまり、元本が毀損することに繋がります。
企業情報が非開示ですので、この部分のリスクが評価不能なのがもどかしいところです。
まとめ
こういった高リスク案件でもビジネスを成立させるのは、「高利率」と「小口分散」が不可欠です。
しかし、日本の上限利率のために高利率は難しく、今回は小口分散も微妙です。
*10人に50万ずつ貸し付けて、全て戻って来ても年の実質利回りは5.4%。
10人中1人でもデフォルトを起こせば、元本の毀損は免れません。
社会的意義のある貸付なので積極的に参加したいのですが、さすがにリスクが読めません。
今後、案件が無事に償還されるかどうかを確認しつつ、出資を検討していきたいと思います。
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posted by SALLOW at 13:00
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