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2017年06月03日

クラウドバンクへ証券等監視委員会が2回目の行政処分勧告:内容詳細の説明をします



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2015年の行政処分について

 昨日のニュースです。
 SESC(証券等監視委員会)がクラウドバンクの運営母体である日本クラウド証券を検査した結果として、
 総理大臣及び金融庁長官に行政処分を行うよう、勧告を行ったという情報がありました。

 日本クラウド証券と言えば、2015年にも行政処分を受けています。
 その際の理由は下記2点で、結果としてソーシャルレンディングに関する業務としては
 3ヶ月間の新規の勧誘を伴う業務が停止となりました(実際には約5ヶ月間の自主的な業務停止となった)。


  処分理由1:「財産の分別管理を適切に行っていなかった」
  業務拡大に伴い取り扱いデータが増大することにより、システム側の管理体制が追いつかなかった。
  このため、その日の取引を同日中にシステムへ反映することができず、結果として
  顧客預り金残高を正確に把握できていなかった。

  処分理由2:「顧客に対し必要な情報を適切に通知していない状況だった」
  上記システムへの取り込みが遅れたため、預かり金情報が適切に把握できない状況下で
  取引残高報告書が交付されていた。


 ということで、真因は業務拡大に伴うシステム負荷の増大を適切に処理していなかった事でした。
 その後システムやバックオフィスの増強を図り、クラウドバンクは業務を再開しました。

 そして今回、再びの行政処分勧告です。
 内容について見ていきます。

 なお、できるだけ事実のみに基づいて説明をするつもりですが、クラウドバンクには650万円あまりの
 投資を行っていますので、私も当事者の一人であることを念頭に記事を読んでいただければと思います。


 情報ソース:
  ・SESCの公式発表
  ・クラウドバンクの発表

今回の行政処分勧告の理由@

 今回の勧告理由は、
 「著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示のある広告をする行為」
 つまり、「嘘や大げさな広告を行っていた」というものです。

 その詳細は2点です。


 @「不動産開発事業に対して融資を行う広告」
  上記の公式発表にはかなり長い文章が並んでいますので、簡単に説明します。

  「メザニンローン(シニアローンに対する劣後債のようなもの)という名目で募集されていた案件で
   実際は資金の一部がエクイティにも投資されていた」


  エクイティはメザニンローンよりもさらに返済優先度が低いため、投資元本が毀損しやすい状態に
  あったということです。
  しかも、本来のエクイティは6億円の出資に対して55万円しかなかったとのことで、何か起これば
  一瞬で投資元本の一部が吹き飛ぶ危険性があったことになります。


  クラウドバンクが募集時に説明していたスキーム
  20170603CB1.png

  実際のスキーム
  20170603CB2.png
  (スキーム図2枚はいずれも、SESCの発表ページより転載)

  問題となっている案件は今年2月21日の時点で全額償還され、結果論としては問題なしでした。
  しかし、SESCとしては当然、結果OKだからセーフとはならないわけで、今回指摘に至ったわけです。

今回の行政処分勧告の理由A

 A「営業者報酬等の還元をうたった広告」
  こちらも、内容をかいつまんで説明します。

  「2014年〜2015年にかけて手数料(営業者報酬)を還元するという広告を行っていたにも関わらず、
  それらを還元することなく営業を行っていた」


  なんというか、非常に単純なアウト案件ですね。
  しかもSESCの資料には、

  「当時CB匿名組合の運用担当者であった前代表取締役は当初から営業者報酬を還元する意思はなく、
   顧客に対して、手数料等の還元を一切行っていない中、上記の表示を行っていた」


  とありますので、「前代表取締役が主導して嘘をついた」と読めます。
  この件に関して、クラウドバンクは2017年3月の時点で金額を再計算し、分配を行っています。

  (当ブログ記事 → クラウドバンク:未払い分配金が支払われました

  ただ、先の勧告理由@と同じで、「払ったから結果的にOK」とはならないのが当然であり、
  今回処分に至ったという事のようです。

感想:今回の勧告について

 勧告の結果、どのような行政処分が出るかは来週に明らかになります。
 表面に出ている情報だけで処分内容を推定するのは、無責任な行為だと思いますのでやめておきます。

 以下、私見です。

 今回の勧告は、「前代表取締役時代にやらかした事」で、「現在は結果的に問題が起きていない」
 事に関して指摘が行われました。

 少なくとも現体制の元では、クラウドバンクは過去の問題を受けた改善と問題の修正を行いましたので
 今回の勧告で、クラウドバンクに対する私の印象は悪くなっていません。

 ただ、過去に色々やらかした前代表取締役については、けじめを付ける意味でも
 代表取締役を退任する以上の責任をクラウドバンクから要求すべきではないでしょうか。

 (結果として責任を取らせられなくても、です)
 それができないなら、前代表取締役の影響はまだクラウドバンクに残っているという印象はずっと残り、
 どんな体制改善をしようとも、投資家の抱く一縷の心配は尽きないと思います。


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posted by SALLOW at 17:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 投資の話題
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