ソーシャルレンディング投資記録（旧ブログ）

　クラウドリアルティの手がける第一号プロジェクト、「京町家再生プロジェクト」に関しまして
　こちらで記事にしましたところ、クラウドリアルティより連絡をいただきました。

　記事の中で認識が誤っていたところ、また案件について掘り下げた説明を聞く事ができましたので、
　以前の記事に追加いたします。


　・京町家再生プロジェクト（愛称）

　　予定利率：10%
　　期間：36ヶ月
　　貸付総額：7,200万円
　　担保：無し？

　　


　まず本案件ですが、正確にはソーシャルレンディング案件ではありません。

　ソーシャルレンディングの場合、事業者は貸金業者と第二種金融商品取引業者登録が必要で、
　投資家との間に金融二種に基づく匿名組合契約を、貸付先との間に貸金業法に基づく契約を締結します。

　この際、投資家が貸付先の情報を正確に入手できてしまうと、実質的には投資家が直接貸付を行う事と
　同様と判断した金融庁の指導により、貸付先の匿名性と複数化が図られています。


　
　　ソーシャルレンディングに関係する契約と業者登録


　一方でこちらの案件は、貸付先の名前も明示されていますし、案件の複数化もしていません。
　この時点で、ソーシャルレンディングと異なるスキームだということが分かります。


　本案件では、投資家が出資した資金は「京町家再生PJ」として運用されます。

　「何らかの案件に出資してそのリターンを受け取る」
　「運用がうまく行けばリターンは増える。もちろん逆もあり得る」

　という性質から、本案件はセキュリテなどと同種のクラウドファンディングと言うべきでしょう。
　ただ、セキュリテが「運用益をあげたい」と「PJを応援したい」のバランス上にある案件なのに対し、
　クラウドリアルティの案件は、より「運用益をあげたい」に傾いています。

　クラウドリアルティからの情報として、案件が開始されれば途中経過は随時報告を行うのはもちろん、
　もし運用状況が芳しくなければ町家運営者の変更も選択肢としてあり得る、とお聞きしました。


　投資家にとって、ソーシャルレンディングへの出資は債券への投資と同種のデット型です。
　一方で、こちらは「京町家再生」というプロジェクトに対する出資なので、エクイティ型と言えます。

　（＊同じ不動産に関するにする金融商品でも、不動産を担保に取った貸付金へ出資するか、
　　REITや不動産関連投信に出資するかの違いのようなものです。前者がSL、後者がこちらの案件です）

　REITや投信に担保がないのと同様、こちらの案件にも担保はありません。
　一方で、出資した結果である土地やリノベーションした町家自身が、出資者にとっての資産になります。


　エクイティ型とデット型については、下記のページが理解しやすくまとめてあると思います。
　ご参考までにどうぞ。

　　・ビジネスQ&A Q0531　（J-Net21）


　先ほど、出資した結果として土地や建物は出資者の資産になると書きました。
　それなら、土地（＊）の評価額は出せるのではないか？　と、クラウドリアルティにお聞きしました。
　（＊上物の町家については、評価額があるとは思えません。
　　　リノベーション前提ですし、建築年数不明ということなので、価値はほぼゼロでしょう）

　土地の評価額については、公開すべきか否かクラウドリアルティ社内でも議論を重ねたそうです。
　公開しないことにした理由は、「将来の売却を見据えて」とのことでした。

　土地の評価額を公開すれば、出資者としては安心材料が一つ増えます。
　その一方、いずれ物件を売却する際にはその情報が買い手に知れる事になりますので、売却額が思ったほど
　伸びないという懸念も生まれます。
　つまり、評価額の公開は出資者としてもメリット、デメリットの両面が生まれるわけです。


　事業者から直接連絡を受けるのはこれが初めてで、どんな話になるかと心配していたのですが
　スキームの説明から評価額を出せない理由まで、詳しく丁寧な説明をいただくことができました。

　最後に、金額や数値としては表れない投資の価値として、町家の再利用による街並の復活という
　社会的意義があることを説明いただきました。
　社会的意義のために投資条件が悪化することは、投資家として容認できるものではありませんが、
　投資に社会的意義が付属するのは、ある意味投資家冥利に尽きるのではないでしょうか。


　投資するかどうかはまだ判断が付きませんが、興味を持ちましたので案件の調査をさせていただきました。
　物件の位置は京都府京都市東山区門脇町１８７付近。こちらです。
　ストリートビューの画像を埋め込みます。公式の写真と比較しまして、ここで間違いないでしょう。

　


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