2020年11月02日
高齢夫婦が経営する居酒屋の将来
早いものでもう11月です。今年も残り2カ月ですね。
先週末、コロナ感染による資金繰り対策で支援した八尾の居酒屋さんに行って来ました。
お元気にされていましたが、最近の状況を伺うと、以前のような客足にはなかなか戻らないと嘆いておられました。通常であれば、もうじき忘年会シーズンとなって、忙しくなるのですが、今年はこのまま盛り上がりもなく、静かに終わりそうだと、苦笑いもされていました。
長年、夫婦で経営され、地元では人気の居酒屋さんです。食べログにもお客さんが高評価のコメントを投稿されている味には絶対の自信があるお店です。ご夫婦ともに70歳を超えた今、先行きも不透明で、加えて後継者も不在で、将来店をどうするか頭を抱えながら悩んでおられます。
店は土地・建物ともに自らが所有し、その際の借入金は完済しておられます。改築して10年程度のキレイなお店ですが、もし自分達が体力的にリタイアしたら撤収するしかないかなと寂しそうに仰っておられました。
後継者を探して育てようにも、自分の年齢的にも今からこの店独自の味を継承するのは困難で、この看板を中途半端な技術水準の人に渡したくないという思いが強いようです。単に割り切って土地・建物を営業権付きで譲渡するかとも検討中のようですが、なかなか決めきれないようでした。
20年前の中小企業社長の平均年齢は47歳、20年後の今は66歳。ほぼそのままスライドする形となっており、後継者への事業承継が進んでいない事が如実に数字に表れています。小規模店の平均引退年齢が70.5歳の今、この店の経営者のように自らの年齢が既に70歳を超えているのに、後継者が不在で店の将来が決まっていない店は多いのが実状です。何の対策も講じず、このままいくと廃業は時間の問題です。
中小企業全体を見ても、今年は既に8月の段階で、休廃業・解散した企業が前年比23.9%増の3万5816件あります。これは、358万社ある国内中小企業の1%が1〜8月だけで消滅した事になるのです。コロナによる業績悪化が主な原因の企業も多いですが、後継者不在で先が見えないから廃業するというケースも増えています。また後継者不在で将来どうするか悩んでいる時に、社長が病気になり事業継続が困難になるケースも増えています。
(1947年〜1949年)の時に生まれた、団塊世代が後期高齢者(75歳)の年齢に達する「2025年問題」。後期高齢者になる中小企業社長の245万社の内、半数の127万社が後継者不在です。このまま2025年を迎えるなら、黒字経営なのに廃業せざるを得ないというのが、現実味を帯びてきています。これは日本経済にとっては大きな痛手ですね。
日本全体で60万店ある飲食店の中にはアフターコロナの経営対策と将来に於ける後継者問題も抱えています。今の内から準備を強化した今後の対策が必要ですね。
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