2019年07月05日
事業承継は待ったなしだ!(5)
(3)事業承継に向けた後継者の行動を設定する
*次期経営者という自覚を持って意欲的に行動する。
社内外の関係者に「次期経営者として認めてもらう」という立場で、自社の経営を取り巻く環境に対する理解、 経営に必要な実務能力を高めることを心がけた行動計画を設定する。企業理念や経営方針、経営者として の覚悟、振る舞いについても、経営者とコミュニケーションを図りながら身に付けていくことが大切。
1)社内研修(社内の各部署をジョブローテーションで計画的に経験していく)
2)社外での実務経験 (他社の技術・ノウハウを習得し自社へ持ち帰り活用したり自社ノウハウと融合させて付加価値を高めたりしていく。人脈形成にも必要だ)
3)外部研修 商工会議所の「経営革新塾」に参加し、経営戦略や組織マネジメントに関する基礎知識、ノウハウを習得
*経営承継円滑化法の活用で事業承継に伴う負担を軽減できる
*経営承継円滑化法の適用で受けられる支援
1)遺留分に関する民法特例 一郎の社長就任のタイミングに合わせて、ほかの兄弟(二男、長女)との間で、自社株式の評価額をあらかじめ固定する「固 定合意」を実施。一郎の努力によって株価が上昇した場合は、そのまま一郎の成果になるので、経営意欲も向上
2)事業承継税制の活用 自社株式の一括贈与に合わせて贈与税の納税猶予制度を適用する 。贈与した太郎は、適用要件を満たすまでの5年間、会長として事業の継続を見 届けてから引退する。
3)金融支援 自社株式や事業用資産の買取り資金、事業承継後の運転資金、相続税の納 税資金、遺留分減殺請求への対応資金など、幅広い資金ニーズに対応する
(4)事業承継に向けた会社の行動を設定する
経営権の分散リスクに備えた体制作りを進める
会社の行動は、自社株式の分散を防止するための行動が中心となる。経営者が経営権を掌握している 事業承継計画の早い段階で、定款の変更などを行うこと。また、経営者交代のタイミングで経営者に対する 退職金の支給があるので、原資を確保するための資金プランが必要。
(5)関係者と事業承継計画を共有する
作り上げた事業承継計画は、関係者とも共有する 事業承継計画を関係者と共有しておくことで、後継者、従業員のノウハウ習得、会社組織の再構築など経営者交代に伴う体制作りを進めることに対する理解や協力が得られやすくなる。また、事業承継後の信頼関係の維持にもつながる。一方で、後継者が関係者に認知されるかどうかは、事業承継の成否に関わる重要なポイント。社内外の経営環境を踏まえながら、計画的に対策を実施していくことが求められる。
後継者の公表のタイミングは⇒会社の利害関係者が後継者に求める条件として、経営に関する能力や知識、コミュニケーション能力を持っていることなどが挙げられる。後継者として認知してもらうためには、このような条件を満たすようになったタイミングで公表することが理想的だが、これを理由にいつまでも公表を先延ばしすることのないよう注意も必要。
後継者に対する関係者からの認知
社内 (役員・幹部・社員)⇒正しい経営決断が できるかな?
取引先⇒誠実に対応して くれるかな?
金融機関⇒信頼できる 人物か?
後継者の選び方・教育方法
1)中小企業の後継者選びの実情
多くの中小企業が後継者問題で廃業する可能性
中小企業の約5割が、事業を自分の代で廃業しようと考えている、というアンケートデータもある。廃業予定企業のうち約3割は、廃業理由として後継者問題を挙げている。 親族外承継が増加傾向である。かつては、経営者の子や親族などに事業を承継する「親族内承継」がほとんどでしたが、親族内での後継者確保が困難になっていることなどを背景に、経営者と親族関係にな い役員や従業員を後継者にする親族外承継、社外の第三者に会社や事業を譲渡するM&Aの割合が増えている。
2)後継者を決める際のポイント
事業を継続・成長させていける人材を選ぶ 、後継者を決める際には、次期経営者として資質のある人を選ぶ必要がある。以前は、経営者の長男が事 業を承継するケースが多かったが、現在では、従来の常識にとらわれずに、経営を取り巻く環境変化に対応しながら、事業を継続・成長させていくことができる人物を後継者として選定することが望まれる。
3)後継者の教育方法
経営実務のみならず、企業理念や経営方針もしっかり学習させる。後継者を選定した後は、後継者が次期経営者として必要な実務能力、心構えを習得するための教育を行う。業種や業態により後継者教育の内容は異なりますが、事業承継をスムーズに実行するためには、後 継者本人が意欲的に、経営に関する知識、実務経験の習得に取り組むことが欠かせない。環境の変化に対応する経営実務だけでなく、企業理念や経営方針も事業承継に伴い喪失してはならない知的資産。事業承継では、「以心伝心」や「阿吽の呼吸」だけでは、後継者に本当に経営者の想いが 伝わらない。後継者に次の経営者となることをよりはっきり自覚してもらうためにも、綿密なコミュニケーションが欠かせない。
後継者候補が複数いる 場合は⇒判定基準を示して選定を進めることが、 後継者争いなどのトラブ ル防止になる。
子どもはなぜ事業を継がないのか⇒ 経営者が子どもの職業選択の自由を尊重する風 潮や、自社の事業の魅力、事業承継に伴うリス クに対する不安などがある。
後継者の育成に必要な期間 後継者の育成に必要な期間は⇒「5年〜10年」
事業運営を 承継できる後継者を確保するには時間が かかるので、将来を見据えて後継者の選 定、育成を進める必要がある。
<後継者の具体的な教育方法>
•後継者には社内で実務的な勤務経験を積ませる、
•経営者が後継者をサポートしながら 経営に関する経験を積ませる
•後継者には社外で経験を積ませる
•
(1)社内での教育方法
各部門をローテーションさせる ⇒経験と知識の習得
各部門(営業・財務・経営企画等)をローテーションさせることにより、会社全般の経験と必要な知識を習得させます。
責任ある地位に就ける ⇒経営に対する自覚が生まれる
役員等の責任ある地位に就けて権限を委譲し、重要な意思決定やリーダーシップを発揮する機会を与えます。
経営者による指導 ⇒経営理念の引継ぎ
経営者の指導により経営上のノウハウ、業界事情にとどまらず、経営理念を承継していく。
(2)社外での教育方法
1)他社での勤務を経験させる⇒ 人脈の形成・新しい経営手法の習得
人脈の形成や新しい経営手法の習得が期待でき、業界の傾向を知り、広い視野で自社を客観的にみることができる。責任ある地位に就ける 経営に対する自覚が生まれる
役員等の責任ある地位に就けて権限を委譲し、重要な意思決定やリーダーシップを発揮する機会を与える。
2)子会社・関連会社等の経営を任せる⇒ 責任感の譲成・資質の確認
後継者に一定程度、実力が備わった段階で、子会社・関連会社等の経営を任せることにより、経営者としての責任感を持たせると共に、資質を確認することが大切だ。
3)セミナー等の活用 ⇒知識の習得、幅広い視野を育成
後継者を対象とした外部機関によるセミナーを受講させる。経営者に必要とされる知識全般を習得でき、後継者を自社内に置きつつ、後継者の視野を広げることが可能だ。 後継者が事業承継後、確実に求められるスキルとしては、事業を運営していくために財務や法務を含めた実務的 な経営ノウハウが挙げられる。将来に向けて、会社・事業を維持・成長させていくためには、経営戦略やマーケティ ング、第二創業の可能性の分析などを含めた自社の分析能力も必須となる。
・・・・・続く
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