2019年05月24日
飲食店も他店に模倣されにくい店づくりをしよう!
人はそれぞれ内的参照価格という考えや価値観に基づきその商品の価格が高いや安いかを判断すると言われる。例えば、同じコーラでも高級ホテルのラウンジで飲むのと大衆食堂で飲むのとは価格が違って当たり前だ。価格差があってもみんなが納得するだろうし、あまりにも差異が大きすぎたら不満も出るだろうが、大概は納得しながら注文するであろう。
同じ仕入れ値(ホテルの場合は購買力が強いので安く仕入れられるであろう)でも
高級ホテルの場合は、お客さんが高くて当たり前と思って文句は言わない。それだけ、高級な雰囲気など付加価値分が高いのだ。
価格決定方法においては、@需要A競争Bコストプラスなどの要素に基づき決定する場合が多いだろう。いくらであればお客さんが買うのかを予測して価格決定する需要予測に基づく方法、競争相手はいくらで売っているかで自店の価格を決定する方法、いくらにすれば採算が合うのかを検討しコストに必要利益を加算して価格を決定する方法など、本当に悩むものだ。
もちろん情報の非対称性も価格に対する影響は大きい。店側が多くの情報を独占し、お客さんが情報無知の状態であれば店側が高く価格設定してもお客さんは分からず、その商品を購入することになるであろう。
外食も流行に左右されやすく、最初ブームになりだしの頃は店側が持つ情報量がお客さんを圧倒して店側の思うように高価格で商売できるが、参入店が増えお客さんも色々比較したり学習することで、情報武装するようになり、高品質競争と価格競争が活発になりお客さんにとっても最適な状態になる。
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他の業種と同様だが、外食の場合は特にどんなジャンルの料理や企画も導入期⇒成長期⇒成熟期⇒衰退期のライフサイクルが短いのが特徴である。それだけ外食は成功した店を他店がすぐ模倣して同質化競争が生じるので、先行者利益が獲得できない業種業態である。製造業など知的財産権で自らを防衛し、参入障壁を高められたらいいが、それが困難な為に大変である。お客さんはいいだろうが。
まとまったお金が入ったら何がしたいかとの問いに必ず外食が上位にランクインされる。
これは、外食が日本人のライフスタイルに定着しているからだ。節約志向からくる外食頻度の減少・客単価の下落、中食、内食との競争激化など様々な要因から外食の市場規模は24兆円(1997年・29兆円)と20年で5億円減少している。
もちろんデフレの影響もあり、また小売業界と同様に、店舗数は減少しているが、1店舗当たりの面積は拡大している。これは個人店の廃業が多いが、大規模チェーン店が勢力を拡大しているからだ。個人飲食店の廃業増大は、取引先であった食品卸にも大きな影響を与えている。
その結果、販路を求める為、業務スーパーの出店拡大など、消費者市場を新規開拓している。消費者にとっては、既存の食品スーパーとの間で競争が激化し、価格面・品質面などで嬉しい事でしょう。
外食店はターゲットを絞り、それらに合致した業態パッケージを確立することは、競合他店との差別化を図ることで競争優位になる。しかし、業績が低迷するなどの焦りから、ターゲットを拡散し、あれもこれもと売上拡大策に奔走している店が多い。
気持ちはよくわかるが、そのことが結果として、既存顧客を離反をさせることになる。また、新規客もそんな中途半端な何でも屋には魅力を感じず、新規・既存とも減少する悪循環の店になるであろう。
これらは、「二度と来店したくない店」とのイメージが定着し「市場から退出せよ」とのメッセージになる恐れがある。悪い口コミ(酷評)こそ浸透速度が早く、伝わる範囲も広い。このことを理解しなければこの不振状態を払拭することはできないであろう。
お客さんにとって、外食は美味しい食事による幸福感の希求、ストレス発散、憩いの場やハレの場としての利用、大切な時間を快適に過ごしたい等、様々な動機から発生するものである。
情報過多、外食慣れした人が多い中、大概のお客さんは提供する商品の原価を分かっているであろう。その3倍もの売価で注文していただこうと思えば、それ相当の付加価値を提供せねばならない。商品・サービス・快適な雰囲気などトータル商品で顧客満足度を追求する必要があるのは当然である。
そして、顧客とのリレーション・シップを強化し、常連化・固定化を徹底していかなければならない。政治の世界での浮動票と組織票で例えると、支持してくれる顧客の数が多いほど売上と利益は安定する。なぜならば、新規客に依存する店は常に販促費用が必要であるからである。顧客の安定確保は、低コスト運営でその地域に於ける存在基盤が確立できるであろう。
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