2019年05月07日
飲食店経営は甘くない!
中小企業診断士2次試験 世界一やさしい答案作成術 (DO BOOKS)
- 作者: 斎尾裕史著,日野眞明監修
- 出版社/メーカー: 同文館出版
- 発売日: 2011/07/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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中小企業診断士/行政書士 中村事務所HPhttp://www.nakamura-shindanshi.com
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ある中小企業の社長の弟が飲食店をやりたいという相談を受けた。その社長は最近、本業の調子が良くご機嫌で「失敗してもいいからやってみろ。金はあるから」と気持ちが相当大きくなっているようで心配である。
話を元に戻すが、その社長と弟はたまたま郊外型の大型店の居抜きがあって既に下見に行ったきたらしい。「いきなり大型店かい」と思ったが知人の紹介で破格の条件でできるとの説明だったらしい。
坪当たりの単価も安く造作物譲渡もタダ当然らしいが、実際に営業をした時の空調代や店が大きいから人手も必要で人件費などのランニングコストを考慮すれば、イニシャルコストが低くても採算が取れないだろう。
地域における需要と競争の実態を見極めて立地選定をしないと金をどぶに捨てるのも一緒だ。行列ができるくらい来店客があるのであれば量産効果で固定費負担も軽減されるが、そんな一人勝ちが持続できるほど世の中甘くない。
必ず模倣した店舗が近隣にオープンし、売上が落ちていくパターンを私は何度と見てきた。飲食店はよっぽど腕に自信があり絶対に真似されない商品力を持ち、またお客さんもそれを評価した話題ある店であればともかく、模倣の繰り返しの業態特性であることを理解しなければならない。特に企画ものは、あるチェーン店が成功して話題を集めたら、すぐに競合他店が模倣して、その先駆者企業の企画に価値(価格や内容)を付加して追随するものだ。
ある飲食店を経営するオーナーは土日になると長蛇の列ができる自店を見て優越感に浸っていた。あるいつものように繁忙状態の週末に、お客さんが溢れて待つのを嫌い、他店に行かれるのを見ていたオーナーが、その機会損失を勿体ないと感じ、隣の空き地を買い取り増設する計画を立てた。
しかし平日は大したことなく週末や祝日だけの状態で、失う売上とその売上を取りに行く為の設備投資による固定費の増大などを分析し、相談を受けた私が、精緻な採算シミュレーションを作成し説明をして反対した。
目先の損とその売上を取るがために失う将来の損失を必死に説明したのだが、どうしてもやりたいオーナーが、私と同様に反対する人達の制止を振り切り、強行する決断をされた。反対もあった為に、着手から開業まで意思決定を含め、けっこう時間を要し結局1年3か月かかった。その間にそのうまみのある外食市場を狙って同じような店が、近隣に2店舗オープンし、結局8か月で閉めてテナント貸しにすることとなった。
飲食業は簡単そうでそんなに甘くないことを失敗から学ぶか、若しくは業界に精通した人から教わるか、どちらかを謙虚な姿勢で耳を傾けなければ致命傷となるだろう。
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