2023年09月16日
同じ王将でも違いが明白。
同じような看板でも、お客さんにとって紛らわしいが別会社である「王将」。王将フードサービスが展開する「餃子の王将」とイートアンドが展開する「大阪王将」で双方が餃子を主力商品にして事業展開している。
私は個人的には「餃子の王将」によく行き常連である。一人で行くこともあれば家族で行くこともある。一人でいけばカウンターに座り調理人の華麗なる鍋捌きを見ながら、美味しくボリュームのある中華料理を堪能するのが楽しみである。あの価格であの内容は本当に客にとってお得感があるが、さすがは天下の王将で原価率31%ときちんと原価管理もされており、店も存続できるくらいの利益は確保されているようで安心する。
SPAの特集記事を参考に2社の違いを簡潔に説明していきたい。
すると、王将フードサービスが飲食店の運営がコア事業で売上構成比を見ても8割ほどあるようだ。店舗数から見ても一般の人がいく「王将」は「餃子の王将」が多いのではなかろうか。
一方、イートアンドは食品販売・卸が中心の会社だといえる。イートアンドの冷凍食品である「大阪王将 羽根つき餃子」がCMでも有名であり主力商品である。同社は2023年2月末時点で463店舗もの飲食店も運営し、売上高の4割は飲食事業で構成されている。
イートアンドの業績は、2023年2月期の売上高は前期比7.0%増の330億3300万円だった。昨年9月に関東第三工場を竣工し、国内最大最速級の焼き餃子製造ラインを導入した。生産力を増強したことで、食品事業の売上高が前期比6.7%増の200億5300万円となったようだ。新ラインを相次ぎ稼働させており、製造力の増強に努めている。
ちなみに463店舗の飲食店を運営しているが、そのうちの8割程度はフランチャイズ加盟店である。要は他人の経営資源を活用し積極的で迅速な店舗展開を進展させ、スケールメリットとブランド力の強化を図っているようだ。
また、イートアンド飲食事業の主な役割は、フランチャイズ加盟店への食材の卸である。店舗運営にかかる人件費や家賃などの固定費をカットしやすく、販売管理費を抑えやすいという特徴があるが、変動費である原価率が高くなる傾向がある。その為、直営店の飲食店比率が高い「王将フードサービス」との費用構造の違いは明白である。
「王将フードサービス」の原価率は31.6%、イートアンドは59.5%。「王将フードサービス」の販管費率は59.9%で、イートアンドは37.7%で割合は真逆になっている。
「王将フードサービス」は2023年3月期の売上高が前期比9.7%増の930億2200万円で2024年3月期の売上高は同5.7%増の983億2000万円を予想しているようだ。1000億円企業目前まで到達しており、勢いのある会社である。2023年3月末の店舗数は732。そのうち、フランチャイズ加盟店は190店舗。FC比率は26.0%で、直営店主体の店舗展開を行っている。
先程説明したように、2社の違いは原価率と販管費率によく表れている。 王将は家賃や人件費の負担が重く、固定費が高いために損益分岐点の高いハイリスク・ハイリターンのビジネスを展開している。
したがって、コロナ禍のように急激な客数の減少が起こると、たちどころに営業赤字に転落することになる。しかし、王将は2021年3月期に60億7300万円もの営業利益を出している。前期と比較し、わずか2割の減益に留めるといった健闘をしている。その主要因の一つが、テイクアウト・デリバリーの業容拡大に努めたことであり、コロナ禍に「レンチンシリーズ」の新発売や、デリバリーサービスの対応店舗拡大に動いたことが功を奏したようだ。2021年3月期のテイクアウト・デリバリーの売上高は前期の1.6倍となる246億800万円で、売上高の構成比率は2割から3割に増加している。
「餃子の王将」と「イートアンド」の2社は、経営戦略も大きく異なる。イートアンドは食品事業や店舗経営でも他業態を有して事業ポートフォリオの拡大に動いている一方、「餃子の王将」は主力事業であろ飲食店経営に集中している。
「餃子の王将」は店舗を出店して拡大するという基本戦略を貫いているが、効率化の為の食品加工工場を5つ所有しており、餃子はもちろん、から揚げや春巻き、チャーハンなどの人気メニューもありから、冷凍食品などとして販売してもいけそうだがしていない。
それをしない背景の一つに株主構成があるようだ。「王将フードサービス」の筆頭株主はアサヒビールで、10.90%を保有しているようだ。筆頭株主であるアサヒビールにとっては、王将が店舗を拡大して供給するビールの量が増えた方がメリットはあるが、冷凍食品を販売しても利益には繋がらないからあまり好まない。もちろんそれを実施して業績が向上して株価が上昇すればいいのだが、あえてそれをするインセンティブがあまりないようだ。
一方で、「イートアンド」は創業者とその資産管理会社が、株式の3割近くを所有しており、株主をあまり気にすることなく創業者の意向が強く反映されているようだ。うるさい物言う株主を気にすることなく自らのやりたい経営ができるとの事の良さが発揮されているようだ。
以上であるが、どちらの王将もお客さんに支持されていることは同じであり、今後も顧客満足を更に追求され企業価値を高めて頂きたいと思う。
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