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2023年01月02日

日本型信仰 日本の神7

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人間にとって心というのが非常に大切であるということは、言うまでもありません。
体と心、心に頭を入れるかどうかまあちょっと問題があるのですが、体と心、もしかしたら体と心と頭と言ってもいいんですが、心が非常に大切であることは間違いないんですね。
その日本人の心って何でできているかっていうと、実は信教じゃないんですよね。それがここで私がお話をしたいところなんですね。

憲法20条に信教の自由ってあります。日本以外の国は、誰かに教えてもらわなきゃいけないんですね。お釈迦様に教えてもらう、イエス様に教えてもらう、ムハンマド様に教えてもらう、孔子様に教えてもらうっていうことが必要なんですが、日本はなぜか能動的信仰獲得なんですよ。つまり教えてもらわなくても、日本の自然と日本の祖先、この2つが日本人にとっての神なんですね。
この神っていうのが、ちょっと誤解を招くわけですね。

一神教と多神教とかいう神っていうのは、やや具現化した、つまりやはり受動的な意味での神なんですね。あの山は恐ろしい、だからあの山を畏敬して神として敬うという、そういうようなものなんですよ。

ところが日本人の自然に対する神という認識と、祖先に対する神という認識は、他の国とは全く違う認識なんですね。ですから一神教でもないし多神教ではなくて、抽象概念なんですね。
例えば日本の神というと、白い紙切れを短冊状に切ってひらひらとしたのを、綱の場合もあるし、糸のような場合もある、それを吊り下げたらそこがもう神なんですね。

これは非常に抽象化した概念であって、我々が例えば嘘をついてはいけない、人を殺してはいけない、ものを盗んではいけないというのを誰から学ぶかっていうと、自然と祖先の神様から学ぶんですけど、その神様っていうのは、実は中国から中央アジア、ヨーロッパに至る他の人類の神とは違うんです。だからこれ、なにか宗教の方で、神というのをもう少し砕いて、2種類か3種類にしてもらわなきゃいけないかなと思いますね。従って日本の神様ってのは全然違うので、他の場合は神様っていうのは、例えばキリスト教の場合、一番はっきりしてるわけですが、キリスト教には聖人というのがいますよね。聖アントニオとかがいっぱいますね。その人達はいくら頑張っても、どんなに偉くても、神様とは違うんですね。神様とは、天にまします我らの神と、せいぜいイエスキリストぐらいなんですね。

イエスキリストの場合はまあ三位一体論っていうのはありますが、神様といってもいいし、人間といってもいいっていう中間的な人がおひとりおられるんですね。その他の人は人間なんです。あくまでも、どんなに偉くても人間なんですね。ところが日本の神っていうのは、ちょっとその概念が違うと思うんです。
日露戦争で活躍した乃木希典大将は神である。乃木神社がありますね。それから日本海海戦で活躍した東郷平八郎、これもまあ神様のような人だからっていって東郷神社を作る。
もちろん天皇陛下ぐらいになりますと、天照大神の血を引いておられるってことになっているし、それからまあ人間だか神だかあまりはっきりしないようにしとこうということで、これも明治神宮をはじめ、神様として祀られている。その他に神様に準ぜられた人はいっぱいいるんですね。
稀に外国人もいたりするんです。

したがって日本人の神の概念っていうのは、もちろんお釈迦様も、イエスキリストも入ってるんですよ。ムハンマドも入っておられる。孔子様がどうだか分かんないけど、ちょっと学者的だから神じゃないかなと思うぐらいの感じなんですね。何でも神にはなるんです。お地蔵さんも神様と言えば神様なんですね。

つまり日本人の神というのは、これ宗教学である程度はっきりとした概念を作ってもらいたいと思うことと、それから日本人の宗教、信仰が信教ではない。教えてもらうことを信ずるんではなくて、教えてもらうことも信ずるんですけれども、それを日本人の信仰という大きな柱がある。この自然と、ご先祖様の、神様というかそれの大きな、それに対する信仰、能動的信仰ですからすごく強いんですよね。
教えてもらった信仰じゃないんで、それで例えば日本人が嘘をつかない、日本人は本当に外国人に対して、外国人と比べて嘘をつかないんですよ。それはどうして嘘つかないか。お天道様の下で嘘をつかない。それは自分で自分の道徳を獲得しているからですね。

モーセの十戒やら、なんやらあるように、日本以外の国の人は、教えてもらって初めて、盗んではいけない、殺してはいけないということを知るんであって、日本のように本来的にというんじゃないんです。これが日本の国際的なトラブルを引き起こす。悪い点では、欠点としては、トラブルを引き起こす大きな元になってるんですね。
どうしてかというと、日本人からみると、日本人は教えてもらわなくても獲得するでしょ、道徳を。だから他の国の人も、教えてもらわなくても道徳を獲得するというふうに錯覚しちゃうんですね。ですからそんなことするはずないってなっちゃうんですよ。

そんな悪いことするはずないじゃないか、人間として、しちゃいけないことじゃないか、なんて言うけれども、それは教えてもらったものを守るかどうか。それが憲法20条、アメリカ人が作ったから憲法20条に信教の自由。信仰の自由じゃないんですね。

日本は元々もう、全部信仰の自由があるんですよ。今でも11月にはハロウィンを祝い、12月の初旬には教会に行って、結婚式をあげる時にクリスチャンでもないのにイエスキリストの前で愛を誓うといい、クリスマスが来ると靴下の中にプレゼントを入れて、サンタクロースさんが持ってきたのよと言い、それから1週間後になると、家族そろって初詣に行って、今年の健康を祈る。それから帰りに墓参りに行ってお寺さんに行くっていうね、これは全部OKなんです。別に信教の自由と全然関係ないですね。

信教の自由を侵してますよね。あなた、キリスト教なの、それとも仏教、それとも神道、それとも蛮族のなんか方を信仰してるの。どこも信教してません。教えは守っておりません。キリスト教のイエス様の教えもあまりよく知らないし、お釈迦様の教えもこのところお寺に行ってもお坊さんがあまり説明してくれないんで分かりません。ただ私はもう、元々何か物心付いたときに全部自分の道徳律っていうのがあるんですよ。だから別に、イエスキリストの前で愛を誓って、サンタクロースさんからプレゼントもらって、初詣行ってお祈りするときも、本当に真剣に心から、神様この1年は健康で、家族い てくださいね、本当にお祈りするんですよ。

結婚する時も、イエス様ぜひこの2人を幸福にしてくださいと。その祈る心には紛れがない、邪心がない、別にイエスキリスト様をダシに使ったり、お寺に行ったらお釈迦様をダシに使ったりしてるんじゃありません。本心から日本人は、そこに行けば、自分よりか偉い人、もしくは偉いと思われている人、もしくは自分の道徳律を形成するのに非常に力のあった人を尊敬しているということだけなんですね。だからこれを神というのか。何か新しい概念を宗教学で作ってくれたらいいと思うんですが、だからこれはもう世界に誇るべき信仰だと思うんですよ。だから僕は、ズバリ言えば日本の信仰がですね、本来の人間の信仰だと思うんです。

本来おそらくネアンデルタール人、その前のいろんな人類がいて。人類っていっぱいいるんですよ。7百万年前に人類ができて、それからずっと、人類なわけですよね。
で、その人類が色々出来て、ごく最近、ごく最近と言ったって14万年前にネアンデルタール人っていう全然今の我々とは違う人類が活躍し、それが絶滅して、次に現代人類が、今我々なんですね。
ですから人類と一括りに言ってもいっぱいいるんですが、そのおそらく昔の人類に、もしかしたらイエス様とかお釈迦様がおられたかもしれません。

イエス様は西暦0年にお生まれになってますから、今まだ2千年しか経ってないんですが、ネアンデルタール人は14億年前ですからね。おそらく神様はもしおられたら、ネアンデルタール人の時もおられたと思うんですよ。
むしろ人間がいない時代にもおられたと思うんですよ。ですから日本人の感じている神様っていうのは本当に、大自然と一致している神様なんですね。だからその神様というのは、僕あの谷口さんという生長の家の教祖の方、谷口様と言うべきですかね、とっても偉い人ですね。私はあの人の言っておられること、あの人が書いておられることを読みますと、本当にこの人はもうイエス様クラスと言ったらちょっとキリスト教の方から文句が来るかも知れませんが、素晴らしい人だと思うんですね。
その人が言っておられること、すべてのことは感謝しなさい。これやっぱり、もちろん他の宗教の影響も受けられていますが、日本人の見方、考え方ですね。大自然、祖先、その人達そのものがあって自分がある。細かいことに気を遣って、あれが腹立つとかなんとか言ってるけど、やはりそうじゃないんだと、いうことを話しておられますね。

すべての不幸は感謝しないことによって生じるんだと。まあ言ってみれば、谷口先生の話をお聞きしますと、私もそうだなあと思うし、感謝こそが人生で一番大切なんだなあと思いますけど、こういったことも、日本人が生来獲得している、産まれたところで獲得しているという、まあ今後人間がずっと栄えていくんであれば、ほとんどの人間が、日本型信仰に変わっていくと思うんですね。
それを今我々は捨てて、憲法に信教の自由なんかを設定しているっていうのが、日本人の、日本の今の不幸の一つの原因になっているんじゃないかと、私はそういうふうに思っております。

武田邦彦 ヒバリクラブ
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2022年12月29日

子孫につなぐ 日本の神6

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日本人の心の支えが2つあってですね、一つが自然である。自然が私には水平のように見えるんですね。時間軸で見ますと、今という感じですから、今の太陽、月、山、川、海、狐、ミミズといった、そういった自分を取り巻くいろんな、まあ植物もそうですが、そういったものが自分の存在の一つの元になっている。自分の存在の元になってるわけですが、自分ばかりでなくて、自分の家族なり、自分の兄弟なり、自分の友達なり、自分の地域なり、全て同じ。なんていうか取り囲んでいる自然はみんな一緒なんですね。

ここにあの絡合の一つのポイントがあるわけで、現在の研究でも、自分の意志というものはどこから出てくるのかという研究がずいぶん行われていますが、自分がこうしたい、ああしたい、あれが嫌だとかいうのは、実は自分の周りから決まってると。自分の周りから決まったやつをただ自分の意志のように感じるだけであるという研究がずいぶん行われてますね。
必ずしも、ピタッとはしてませんが、「意識のこびと」という研究も行われておりますが、非常にそれ似た内容を持っております。

それともう一つ、日本人の精神的支柱を成しているものが、縦軸、時間軸ですね。
太古の昔からずっと来て、われわれが目の届くというか、感覚的に分かる祖先、例えばひいおじいさん、ひいおばあさん、おばあさん、おじいさん、それから父親、母親、自分、そして子供、それから孫、ひ孫と続いていくこの縦の線ですね。これでも全く同じで、自分の子供とか自分の何とかっていうのとは関係ないですね。 人間は必ず親はいるんですよ。親がいないと、自分が成立しませんので親はいるんですが、子供はまあいない時もあるんですね。
子供はいない時もありますけど、だいたい全体として人類はやや増えながら来ていますので、全体としては例えば親がふたりですから2.0だとしたら、自分の子供は平均したら2.001人とか、少し多い人数になってるわけですね。
ですからの自分の子供とかいうことをあまり意識する必要なくて、これも絡合なんですけれども、まあ一体のものなんですね。それは遺伝子的にもそうです。

日本の場合のように特に島国の場合は外国との人の流通がありませんし、大規模虐殺もありませんので、どちらかというと遺伝子は混ざって行くほうですね。
いろいろな計算を、私してみたんですよ。日本人の遺伝子というのは、どのくらい混ざってるんだろうか。人の出入りとか、色んなことがあるので、ものすごく難しいんですが、専門的にこういうものを研究していただくといいんですけれども、私がざっと計算するとだいたい日本人というのは300回ぐらいは遺伝子同士が混ざってるかなっていう感じがしますんですね。
まあそういう点では日本人っていうのは、ほとんどが兄弟だと。まあ日本人自体が兄弟だと思うんですね。 こういった遺伝子の混ざり具合で、だいたい我々はほとんど日本人というと、頭の髪の毛がだいたい黒いと、それから顔形もだいたい日本人的であると。身長もまあだいたい150から170ぐらいで、ちょっと小柄だし、筋肉なんかもそんなに発達してるわけじゃない。
明治の時に日本に来たイギリスのご婦人ですと、まあ日本人は胸が貧弱であるという風に書いておられますが、大体共通した傾向がありますよね。

もちろん性格もそうで、食べ物もそうですから、例えば体のつくりなんか言っても、血管の太さだとか、流れる度合いだとか、血圧だとかですね、それから腸の長さとか、腸、胃腸にある消火剤の比率だとか成分だとか、それから腸にある細菌ですね、腸内細菌の組成だとか分布、こういったものが、まあ同じですよね。骨格もそうです。ですから、我々は水平軸としての日本の自然というのに生かされていて、そして垂直軸としての日本人の過去から未来に流れる中の一人であるということですね。

これは東洋の思想では、インドなんかもそういう強い思想がありまして、その結果、輪廻転生なんかの思想も出てるんですが、そればかりでなくて、昔、お釈迦様時代あたりのインド人の書いたもの、言ったものを見ますとね、自分たちは祖先から出てきているという強い意識がありますね。

だから僕は、昔は日本文化っていうのがとにかく、海の外から日本文化が来たんだということを繰り返し繰り返しを教わっていたものですから、そのそういった祖先に関する日本人の感情がどこの国から来たのかなと思って、それはインドだろうと思ってたんですね。中国は結構違うもんですから。そうすると、インドから来た形跡はないんですよ。
インドと日本とどちらがその祖先とのつながりを感じたかっていう時期も、かつてはもちろんインドが先だろうと思ってたんですけど、最近私がいろいろ勉強するとですけど、日本とインドとまあ独立であって、かつ日本の方が少し早いかなっていうのは気がいたしますね。

インドは紀元前400年から500年ぐらい、紀元前500年くらいにもうはっきりとした文字のある記録が残っているので、そういう意味では向こうが早いんですが、日本は文字がなかったっていう点で、そういう記録が残ってないんですけども、全体のその文化の発達、遺跡の数なんかから言いますと、日本ではこの祖先からのものっていうのはだいたい、2〜3,000年前位、紀元前2〜3,000年位に大体そういう概念ができてきて、それを基に神話なんかが発達し、日本の社会制度ができてきたという風にも考えられるわけです。なのでまあ日本がインドより早くても全然おかしくはない。それでインドが早いか、日本が早いかっていうのは問題で、いつも問題になるのは、インドと日本とどっちが優れてるんだと。優れてる方から優れてない方に文化が流れるんだっていうふうに、もう前提条件でそう思っておられる人がいるですが、そんな事は決してありませんよね。文化が進んでる遅れてるといったって、その一つの考え方がどこの地方でできたかっていうのは、またこれ別な問題ですからね。
まあいずれにしてもそういうことなんで、この生物っていうのは元々非常に強く、その祖先と子孫というのを意識してるんですね。

祖先を意識するのはどちらかというと脳で意識できるんですよね。自分の父親、母親はこういう人だった、おじさんおばさんがこういう人だった、おじいちゃん、おばあちゃんはこうだった、ひいおじいちゃん、ひいおばあちゃんはこういう立派な人だったとかね、そこで身上(しんしょう)潰したんだとか、まあそういう頭で記憶できるわけですけども、子供の方は、これからどういうふうに子供ができるのか、自分には子供がいなくて、甥とか姪とか、少し離れたところにしか子供がいないのか、色々多種多様なんですね。
ところが生物、人間以外の生き物では、けっこうこれは強力なんですね。例えば私がいつも話に出すのが鮭なんですけど、鮭は海を普通は泳いでいるんですね。栄養は海にありますから、海にしかまあ育たないんですけど、産卵の時には川を一所懸命登ってきて、川の上流に来て、それで連れ合いを見つけて、メスが川底をきれいにした後、卵子を放出し、そこに雄が精子をかけて受精しますね。で受精したかどうか確認して、ある程度経つと、雄も雌もほぼ同時に死にます。

これは非常に不思議ことで、死ぬというのが、人間でも動物でも皆そうですけども、寿命というのが病気によって亡くなる、あの人間はそう考えていますね。だから死んだとき必ずお医者さん病名を付けますよ。老衰っていうのがありますから、老衰は病名かというのがありますけど、基本的にはコロナとかですね、なんか病名を付けるんですけれども、病気で死ぬってことはそれ程当たり前じゃありませんん。
例えばこの場合の鮭なんかも、えっと夫婦ほぼ同時に死にます。夫婦が片方ががんで、片方が脳卒中だというと、同時にそういうことが起こるってことはあまりありませんからねえ。
だからまぁそこで鮭が死ぬんですが、しばらくたちますと受精した卵から稚魚が生まれて、それが川を泳ぎ出すわけですね。しかし川っていうのは栄養があまりないので、稚魚がこの産卵場所から河口まで泳いで行く途中に餓死しちゃうんですよ。
日本みたいに国が小さくて川の長さが短くても、北海道大学の先生に一回聞いたことありますが、95%の鮭が餓死するって言うんですね。
そこでその餓死を防ぐために両親は受精してある程度経ちますと、自ら命を絶つわけですね。自ら命を絶って、夫婦同時に命を絶って、その夫婦の体が腐って散り散りになって、稚魚が食べられるようになった時に稚魚が泳ぎ出すという、そういう仕組みになっているわけですね。

つまり両親が産卵の後死ぬ時期というのは、自分の子どもが生き残るために自分の肉を犠牲にして出すということなんですね。これは明らかに、どういう意識を持っているかと言うと、動物の意識っていうのは非常に定義から何から難しいんですけれども。自分の命を子供に引き継ぐという意味で、あの人間のような場合には、まあ自分の肉体を子供が食べるっていうのは、例はあることあるんですね。インドネシアなんかでクールーの病気でかかったような例があるんですが、普通はちょっと特別なんですけども、動物では別にそれほどじゃない。つまりもともと子供ってのは自分の遺伝子というか細胞の一部というか遺伝子の一部を子供にあげているわけですから、肉を供給したって別にどうっていうことないんですが、まあそういうのもある。
これなんかはまあ意識としては、非常にこう、動物の中で自分の祖先から自分の体を受け取り、自分の体をまた子孫に引き継ぐんだという意識があることを示していると思います。

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2022年12月28日

日本人の生物観 日本の神5

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日本人は、日本の融和な自然に接して、それをよく観察したわけですね。
日本人の自然観察力っていうのはもう世界でも群を抜いておりまして、例えば人間というのは他の動物と同じである。この観察だけでも大したもんなんですね。

どうしても人間っていうのは自分勝手ですから、自分たちは他の生物と全く違うというふうに思ったりしますが、もちろんその頃には遺伝学なんてないわけで、イギリスの進化論は19世紀ですから、到底その紀元前なんかには全くそういう概念がない。
もともと遺伝という概念すらない。その時に、古事記なんかから推察される日本人の自然に対する目を見ますと人間ももちろん猿、ニホンザルですね、それから鹿も狼も狐も、それから虫けらですね、それから植物までも、同じような生物なんだという認識が非常に強いわけです。

後にインドの生まれ変わりっていうか輪廻転生という概念が、概念としては入ってくるんですが、私の見るところ日本はもう昔から輪廻転生っていうか生物の命というのは回り持ってるっていうそういう考えがあるんですね。

生物学をよく知らない人が、命あるもの必ず死ぬなんて言ってるんですけども、そんなことはないんですね。
38億年位前に生命というのが誕生して、10億年か12億年ぐらいにオス、メスっていうのが誕生するまでは、子供というのがいませんから。子供がいないってことは生きているものは死ねないっていうこと。原則としては死ねないわけですね。
どうしても死にますけれども、死んだら子供がいませんから絶滅してしまうわけですね。
ですから今とはちょっと違う考えで、死というのを迎えたわけであります。

子供ができるようになってから、死っていうのは本当は、今のその生物の死というのは、本当の死じゃないんですよね。自分の体の一部を子供に渡して、それで一部ですが、その他は体細胞はやり直さなきゃいけないんで、それで自分が死ぬということであって、本当にこう絶滅してしまうという、死ぬということではない。それも良く分かっておりました。
その意味では輪廻転生という概念も、日本とインドなんか、ほぼ同時期にできたものと考えられます。

すべての生物が同じである。同じレベルである。むしろ生物以上にですね、前回にお話したように、山でも川でも海でも誕生して成長して死亡する。だからもうみんな同じなんだと。それが非常に強い力、絡合力ですね、それによって結びついて、現在のこの世の中を作っている。そしてその一因が自分なんだ。で自分の周りに家族がいて、その家族の周りに地域があって、地域の周りに日本という国があって、それで日本という国の境がちょうど海だったものですから、それが概念の構築にはすごく役立ったわけですね。

従って、古事記なんかの中にはですね、生物を非常に深く観測した跡が見られます。
それはやがて神話となって現れているわけですね。

例えば男性と女性とを見ると、見かけ上は男性の方が強いように見えるけれども、実質は女性の方が主導的に動いた方がこの世の中はうまくいく。
これがイザナミ、イザナギの物語だとかですね。その他に反映してまして、それで常に女性が積極的で、男性がそれをサポートするという位置づけで、男と女の間は考えました。これは世界でも日本だけですね。

天照大神でも、天照大神が女性で、それを軍隊がサポートするってそういう形を成しておりますね。
これはどういうことかと言いますと、同じ生物、同じ人間といっても、人間と猿、人間と狐、というものの差と男と女の差っていうのは、それほど質的に違うもんじゃないっていう考え方なんですね。
同じような違いがあるんだと。それはオスとかメスとか、狐とか人間とかいうふうに区別するのがいけないんで、そのままありのまま見ようっていうことなんですね。

人間のオスは筋肉はあるし、論理的な頭も持っているけれども子供は産めない。子宮がないから子供を産めない。それから人間の男性にも乳房の乳首の跡が、痕跡がついてますが、乳はもう出ない。
そういうことをきちっと考えますと、やはり子供を産んで育てるのが女性であって、決して男が子供を育ててはいけない。これは浅はかな人間の頭で考えるんじゃなくて、自然が教えてくれたことを、そのまま素直に受け取ろうっていう考え方ですね。もしも女性が子供を産んで、男性が子どもを育てるのが一番良ければ、自然は女性に子宮を付けて、男性はおっぱいの出る乳首を付けるはずなんですね。ですけどそうじゃなかった。それはなぜかっていうと、自然が子供というものを大切に成長させるためには、産んだ性、つまり女性が育てるって事も両方する必要がある。従ってその分だけ、女性は仕事が増えますからね。そこで男性が命をかけて戦ったり、餌を持ってきたり、土木工事をやったりという役割をしなきゃいけない。そこで男性には筋肉をつけたと。それから頭脳で判断しなきゃいけないので、男性の頭脳を大きくしました。

男性の頭脳を大きくして、少しずつ少しずつ大きくなりますね、男性の方が。男性の方がなぜ頭脳が大きいかっていうと、男性の方が頭脳を使わなきゃいけないわけですね。つまり女性が子どもを産んだり育てたりしている間、男性は頭脳を使って外界と勝負しなきゃいけないので、男性の頭脳が大きくなります。しかし男性の頭脳が大きくなって、大脳皮質の体積が増えてくると、だんだん生物というものから離れてきます。男性の頭脳が1,000cc を越えたところで、火を使えるようになりますね。火というのを使うということは、ものすごく状態が変わったということですね。

どんな生物でも火を使うのを怖がるんですが、男性が火を使うのは、まず怖がらなくなる。これがだいたい今の研究では、180万年から200万年ぐらいでそうなったんだろうと考えられますね。

それと同時に、火を恐れるっていうのは本能の通り生きるっていうことなんで、本能が一部失われますね。その一つが男性の性欲が失われるっていうか、積極的性欲から誘導型性欲に変わりますね。それに基づいて女性がお化粧する。そういう変化も現れまして、そういう中で、日本の自然に対する考え方が決まっていきます。

もっと細かいところで決まりますね。現在の生物学でも分かってないのは、女の子は100人産まれますと、男の子が103人ぐらい生まれるんですね。これは男の子の遺伝子の中に、やや悪い遺伝子が含まれているってことと、それから男の子の方がちょっと乱暴な行動が必要なので、そうすると命を落とす可能性があると。
そういうことから、だいたい18から二十歳の生殖年齢になったときに、女性が100人いれば男性が100人になるように調整して、両親が子どもを産むんですね。つまり男の子の方を3人多く産んで、3人多く死亡するということなんですが、そういう事がなぜ行われるのかというようなことも考えまして、人間が子供を産む時には、男性が積極的にアプローチしないと奇形児って言いますかね、昔はヒルコと言ったんですけど、そういうものが産まれるというような、非常に鋭い、今の生物学でも必ずしもはっきりしてない所まで考えが及んでおりまして、これが古事記なんかにも反映しているという、驚くべき事実があるわけです。

いずれにしても非常に詳細に自然、稲の発達。昔はですね、稲が多分CO2を吸って、それで米粒にして、その米粒の炭素を人間が食べているというようなこととかですね、我々の体が大地からできたもの、日本の大地からできたもの、日本の海からできたものからできているというような本質的なことはですね、むしろ現在よりか、現在は頭でっかちで、何でも自分の頭で考えて、自分の頭がなんか、あたかもしっかりしているように思っているという、そういう状態ではなかった。もう少し人間は謙虚であったと思うんですね。

いずれにしても最終的には、自分を作っているものは水平軸でですね、大自然なんだ。山があり川があり、海があり、魚がいて、狐がいて、ミミズがいて、そして雨が降って、というですね、全体の風が吹いて、その全体の自然というものが自分を包み込んで自分というものが存在する。
こういう考え方が非常に強いわけですね。従って自然と共に生き、自然と共に死んでいくと。死んでいくっていうのは別に、生まれる時に、自分は生まれようと思って生まれたわけでないので、死ぬ時も同じように自然の中に溶け込んで死んでいく。そういうのは自分であるってことで、自然を神様というかですね、日本はですね、神様とは思わなかったんですよ。神っていったら天照大神とかそういうのは神であってですね、それでその自然っていうのは抽象化された神なんですね。だからヨーロッパと違うんです。ヨーロッパの多神教というのは山を神と思うんですが、そうじゃないですね。山も川も、全部含めた抽象概念を持って神としたと。これが日本の一つの神でありまして、これから無言の教えを受ける。これはまた大切ですね。

自然が自分たちに語りかけているから私たちに道徳ができるんじゃなくて、私たちの方から自然の方にアプローチして、必要な道徳を獲得するっていう、世界でも日本だけのですね、能動的、道徳獲得方法というものを作り上げたというのも、日本の特徴であります。

武田邦彦 ヒバリクラブ
【武田邦彦のブログ】2022年7月27日 シリーズ「日本」第二章 日本の神 D
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2022年12月26日

自然との関係性から道徳観念を身に着けてきた日本人 日本の神4

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これまで話をしてまいりましたが、日本は温帯の島国である。世界で唯一の温帯の島国であるということから、実は日本人は自然をじっくりと見る余裕があり、また自然は日本人に対しても非常に柔らかかったわけですね。

その中で今と違いますからビルはない、マンションはない、新幹線はないわけですから、本当に自然と一体となって、土と土の中に生活したわけですね。そこで自然と自分の一体感ができるわけです。
それは当然ですね。夜になって嵐になると、嵐の中で震えて過ごし、朝になってポカポカとした太陽が照って、冬の寒い時でもその太陽の中で日向ぼっこをしていると、体の芯からポカポカあったまる。それ自身が本当に、自然の中の自分というものを感じてたことは間違いないわけですね。

それから動物との間、植物とはもちろんそうですが、動物との間も非常に身近だった。周りにはいっぱい色んな動物がいましたし、ミミズとかそういった小さな土の中の動物から、身の回りの蝶々だとか蜂とかいったもの、それからさらには若干大きな、猛獣とはいかなくてもそれに近いような、人間と相争うような動物もいた。そういった自然と、それから植物と動物、それに気候変動、太陽とか月の満ち欠け、まあこういった物がすべて、自分と一体として過ごしていました。
それをずっと体験していくと、だんだん日本人の心の中に、自然との一体感というのが生まれてきたことは間違いありません。

自分がその中の一つである。それはあるいは山も生きているかもしれない。川も生きているかもしれない。それから植物、動物との関係もほとんど同じだろう。植物も華やかに咲く時もあるし、嬉しそうな咲き方をすることもある。
それから動物ももちろん感情があり、心がある。
その中でまた自分というのがある、という本当に一体感の中で、自分がその一部にしか過ぎないという気持ちを強く持ったのは間違いありません。

それからもう一つは、動物、もちろんこの理論的には山も誕生して成長して繁栄期を迎えて老化して死ぬと、そのような哲学的なことを考えなくても、どの子供の目にも、動物が生まれて成長して、そして老化して死んでいくという現実を見てます。しかしその動物は、植物は、誕生したり死んだりしてますが、しかしそれは面々として続いているわけです。
毎年毎年庭には雑草が生え、花も生え、木々も1本1本の木は少し寿命が長いけれども、それでも誕生して小さな木の時もある。それが成長して大きくなって茂ってきて、やがて枯れていく。
自分もまたそうだ。従って自分だけが特殊なものではない。この自然という営みの中、その中では生命の生まれて死んでいく期間が非常に長いものもあるし、それから本当に瞬間的に生まれて死んでいくものもある。その中で自分もその一つであるというそういう一体感。これも一体感として生じたわけですね。つまり死んで生きて死ぬということは、それほどもちろん珍しい事ではなんでもない。必ず人間には寿命があるということですね。

いつかは自分も朽ち果てなければいけない。突然朽ち果てることが来ることもあるし、長い時間が経ることもある。
しかし人間には欲があり、感情があり、人をあやめたり、いろんなこと、悪口を聞いたりするという醜い自分もある。ということを全部包含して考えてみると、自分というものはそれほど大きいものではない。そしてそれが自然の中で生かされているものである。
従って自分は自然を尊敬しながら生きなければいけない。自然の中で生きる。まさに自分に母親、父親、子供がいるように、自分に太陽があり月があり川があり海があり、そこに魚が泳いでるからこそ自分が魚を食べることができる。しばらく経つと、稲というものを育てて、そこでお米を食べることができる。 紀元前には、庶民はなかなかお米という高価なものは食べることができなくて、雑穀の中にわずかにお米を入れて食べるとか、魚もそれほど自由に手に入ったわけではないけれども、それなりにその時代には満足して食事もしていたわけですね。

もちろん着るものも寝る布団も、今と比べれば格段に貧しかったけれども、それでもやはり自分の人生を支えてくれることには間違いない。そうするとやはりその中で何を考えたか。いやあ、ここは神のような、自分を超えるものが存在するんだ。それは近代的な、近代的っていうか歴史的な時代の言葉で言えば神であり、私が言っている、将来的な言葉で言えば絡合ですね。つまりこの世は全体としての調和で生きてるんであって、自分だけが生きているのではないという強い信念を持つに至るわけです。それが自分自身の心の中に働きかける結果、自分の心でいろいろなことを学ぶわけですね。

例えばお天道様の下では嘘をつかない。お天道様の下では嘘をつかないということを、太陽が口に出すわけではありません。太陽というのは、非常に小さな元素が核融合して熱を出してるに過ぎませんから、太陽のポカポカした熱は、温まりは人間にとっては非常に心を温めるものであるけれども、科学的に言えばあれは核融合の熱がずいぶん遠くから来ることによるものであって、それ以外のものではないんですが、しかし生きるということ、生きて感情を持っているということを自身がですね、その大自然の中の一つの生活というか瞬間であるということが分かるわけですね。
そうするとこれは、宗教学なんかの勉強をかじった人はすぐヨーロッパ概念を持ち出しますので、一神教とか多神教という言い方をしますが、これは日本とは全く違うんですね。日本人というのは非常に物事を抽象化するんですね。例えばその目で見たものを、そのままとは思わないんです。従って例えば多神教、あの山を拝める、あの狐を拝むというんではないんですね。あの山を通じた後ろにあるもの、あの狐を通じた後ろにあるものというものを見るんですね。

これはの日本特有の、例えば人形浄瑠璃みたいなものがありますが、西洋の考え方は、まあ西洋とか他でもそうですが、人形劇というのは、目にできるだけ見えないほどの細い糸で上から吊って、ピノキオならピノキオっていう人形を操作する。できるだけ糸は細くて、目に見えたらいけないわけですね。目に見えるとその人形は糸で操作しているということが分かるので興が冷めるというか、そうなるわけです。
ところが日本は物事を抽象化することができるので、人形浄瑠璃では黒い服を着たものすごく大きな普通の人ですね、男の成人ですからすごく大きいんですが、その人が人形を操っている。どう見ても黒い人が、小さな人形を操っていうのが分かる。もう、見ればすぐ分かる。だけどもそれは、黒い人間は見ないわけですね。見ないというそういう抽象概念を持つことができます。

これはやはり日本という民族が、日本人のルーツのところで示しましたが、日本から発生したものであり、日本語もそうであり、日本の社会もそうなので、そういう抽象的なものの考え方というのが出来たわけですね。

浦賀にペリーが、アメリカの軍艦6隻と来た時に、そこから上陸した士官が下田の伊豆の町の少し森の方を歩いていたら、老婆が石のお地蔵さんに向かって、みかんを捧げて祈っておりました。
これは偶像を崇拝してるんだから注意しなきゃいけないと思ってその士官が、おばあさんそれは石の偶像ですよと言った。そしたらおばあさんは、そんなことは分かっておりますと。しかし何もないところに祈りするというわけでもいかないので、私の祖先と私のお世話になった人たちを、このお地蔵さんで示しているに過ぎません。このお地蔵さんが石でできたものであり、単なるお地蔵さんであるということを私はよく知っておりますと答えたという記録が残っております。

まさにヨーロッパ人は物を物として直接見て、日本人は物でもあるし、かつそこに抽象的な概念を含んだ一つの概念があると考えます。
つまり例えばお天道様の下では嘘をつかないというのは、お天道様がそれを教えてくれたかったと。お天道様は口を開きません。何も言いません。しかし日本人はお天道様の柔らかい光を日向ぼっこの時に浴びて、それで自分の体がポカポカと暖かくなっていくのを抽象化してですね、そのような素晴らしい環境を届けてくれたお天道様が出ている時に、自分はそれを裏切って嘘をついたりはしませんと、そういう道徳心が生まれます。つまり日本人は物事を抽象化することによって、自然をある意味で神と思い、その神のもとでは道徳を守らなければいけないということで、誰も道徳を教えてくれなくても、人間、日本人の心の中には道徳観念がしっかりとできるというのが日本、日本人と自然との関係であり、日本の今来的な神というものが何を意味しているかということを、はっきりと示しているわけであります。

武田邦彦 ヒバリクラブ
【武田邦彦のブログ】2022年7月26日 シリーズ「日本」第二章 日本の神 C
https://youtu.be/mUmeC2VLC8Y



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2022年12月25日

自然と人間とのつながり 日本の神3

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現在の我々は、自然を無機物のように見ているわけですね。
これは現在の我々の科学がまだ未完成で、山とか川とか海とかいうのが、どのような全体的な調和で動いているかということを必ずしも科学的には明らかにしてないんですが。

これは昔から、ヨーロッパのような合理的な国でも、ジャーナリストのマーチンという人が書いているように、山は生きてるんだろうか、死んでるんだろうか。

収縮活動で山が発生し、若い時の山は切り立っていて激しい。そこで流れる渓流も激しいし全体として荒削りである。これは人間の青年時代に相当する。やがて山はだんだん成熟し、山には木々が生え、川もゆっくり流れるようになり、山の端には色々な苔とかも生えて魚も誕生し、そこで鳥が木の上で鳴く。つまりこれが川の最も反映したときの状態で、これが人間でいえば青年期って言いますか盛りのある時ですね。ちょうどその川も盛りを迎える。それから山は少しずつその川によって削られて低くなり、また、なだらかになって優しい形になり、穏やかな山となる。これが人間で言えば老年期である。
さらに少し経つと、山はほぼ平らになって、そこでその山とか川の一生が終わる。
これを見ると一体、山とか川というのは生きているんだろうか。生きていないんだろうか。誕生して青春期を迎え、栄えが頂点があり老化して衰えて死んでいく。これは全く生物と同じではないか。それでは山がなぜ生物でないかというと、例えば子供を産まないとか動き回らないということがあるけれども、生物でも全く動き回らない生物もいる。生きているというのと山とどこに関係があるんだろうか。
という記述を、かなり詳細にいろんなものについてしております。

もちろん古代の日本人は、長い尺度で山を見ますね。それから川を見る。それから川と海の関係を見ますと、海と川は非常に強く関係していて、川の流れの海に注ぐところは、海と言っても川の注がない海のところと大きく違い、それはまさに躍動しているように見えたでしょう。

そして人間の一生はその頃は、大体20歳から25歳くらいだったと推定されますが、平均寿命が、その中でも父母また祖先から色々な自然のことを聞き、そして目で見て観察する。自然への観察の力っていうのは、今の我々とはもう比べ物にならないほど強かったと思います。
それは自然と今言いましたけども、今言ったのは例えばお天道様である、太陽である、月である、まあ空を見るとですね、今と全く違う全くキラキラとした、螺鈿(らでん)のような輝いた星を見ておりましたし、それからやはりなんてったって風の音だとか川の音を、雷の音、それはもう今の我々とは全然違う強さでもって、当時の古代日本人には響いたと思いますね。

それからそういう無機物とまた違って、植物もまた日々、花が咲き枯れていく。
例えば晩秋ですと、だんだん葉っぱが落ちて枯れていく姿を見てですね、自分の一生との関係を非常に強く感じたでしょうし、また春の花、秋の花を見るにつれてですね、多くの感情が湧いてきたと思うんですね。

そしてまたその動物と絡み合うようにして昆虫がいて、蝶が飛んで、そして大型動物が住んでいる。まあ日本ですから最も大型動物って言いますとクマだったと思うんですが、鹿もずいぶんいましたし、狼もいました。
その他の小動物ですね、民家の近くにはキツネとかタヌキ、イタチというようなものがいっぱいいましたし、それらによる害も受けながらまたメリットもあったと言う、そういうこう、今の我々とは比べ物にならないほど自然と人間との距離は近かったわけですね。

そこで自然の全体の動きですね、これは山とか川とか海といった、それから天体といったものとそれから動物、植物の全体像を自分たち人間との関わりにおいて直感的にもまた解析的にもつかんだと思うんですね。
その点ではそれらを結ぶ、まあ私が言っている絡合なんですが、それは現代科学でもやっとやっと感じることができるものであります。
例えば九州では、鹿児島の方でどんぐりの生育が悪いと、博多の方で動物の数が減るというようなこともありまして、これはドングリが減りますと山の食料が減るので、餓死を免れるような感じで動物の数があらかじめ減ったりいたします。これは非常に奇妙なことだというふうに言われることがあるんですが、奇妙であるということは我々の科学ではまだ分からないことを言うことが多いんですね。

一部分かっておりまして、例えば植物におけるエチレンのような存在ですが、植物ではエチレンがいろんな情報の伝達物質で使われておりまして、植物からエチレンが放出されるとその放出されたエチレンを非常に高感度で他の植物がそれを受け取ってですね、そしてどういう状態になったかっていう状態の変化をですね、感じ取るというのは現代の科学でもやってやっとわかる範囲であります。

植物でもそうなんですから、動物ですと特に敏感にそれらを嗅ぎ分けるということがまあしてるわけですね。いずれにしても、その全体の像はですね、今まで我々が感じるよりか、はるかに敏感であるということですね。
そしてその中における人間もまたそうで、例えば我々は森林浴という言葉を作っておりますが、森林浴がなぜ森林に入ると人間の心が穏やかになるか。もちろん現在の科学ですから、森林に入った時のアドレナリンとかそういうものの分泌の状態の変化、もしくは心の変化を測定して、それと森に入った時に人間と接するものがどういうものかということを分析いたします。

木の中心部を成している芯材っていうところがあるんですね。これは木というのは動きませんから、太陽の光を十分に受けることができません。したがって太陽の光だけで木は生息してますから、極めて厳しいんですね。したがって木というのは基本的には、数年生きると全部細胞が死んでしまいます。しかし木が太くなるためには、ある程度細胞数が必要なものですから、木というのは一番外側に皮がありますね。その内側に形成層っていう、これが本当に活発に生きている細胞層、これはまあ普通は1層ぐらいしかありません。皮が3層、形成層が1層、そしてその中に10年分ぐらいの生きている細胞があります。生きていると言っても全部が生きてるわけじゃなくて、最低の細胞だけが生きてます。普通は腐ることを防ぐための細胞が残って、ほとんど98%ぐらいの細胞が死んだ状態で芯材を形成してるって場合が多いんですね。それからさらにその内側、それが10層ぐらいあります。その内側の細胞、樹木の芯の部分は少し黄色とか茶色なんですけれども、それは防腐剤を出しまして、全部の木を殺して、そして腐敗しないように防御する、その色が茶色なんですけども、そこが少し芳香臭っていうですね、匂いがします。
10年ぐらい前までは、この匂いが人間を穏やかにさせる。つまり森林浴の正体であると言われていましたが、最近の研究ではそうではなくて、木々の葉っぱが擦れる音で、しかも人間の耳では聞こえない音、今は聞こえない音ですね、おそらくはこれはかつて古代の、今から5,000年位前の日本人にははっきりと聞こえたと思うんですが、その高い周波数の音が人間の耳もしくは人間の皮膚に、直接働きかけて、人間の心を穏やかにすると言われております。

これは人間が海に浸かった時にはもっとそうで、海からのいろいろな刺激によって、人間の精神が極めて穏やかになります。
こういうことを通じてかつての日本人は自然と自分とのつながり、それから大自然同士での絡合ですね、それぞれのつながりを強く感じていたと思われるんですね。従って山も川も海も太陽も月も、月なんか特にそうですね。満月、新月における生物の動きというのは非常に特殊なものがあります。
そういったものを感じて、今とは違って一体となった自然の中に自分たちは住んでいるんだという、非常に強い信念があったと思われます。
これは信念というか、むしろそれが本当なんですけども、現在は人間の文明的なものに取り囲まれ、我々の感受性は極めて低くなってしまったという風に考えるのが正しいかと思います。

武田邦彦 ヒバリクラブ
【武田邦彦のブログ】2022年7月25日 シリーズ「日本」第二章 日本の神 B
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2022年12月22日

恵まれた自然の中で日本人の精神的支柱は育まれた 日本の神2

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だいたい紀元前5,000年ぐらい前から、日本人の精神的支柱となる考え方ができてきたと思います。
もちろん瞬時にできたわけじゃなくて、かなりの時間を経る必要があった。一つは一人の胸の中、もしくは小さい集団の心の中に、ある考えができるのですら、若干時間がかかったでしょうけれども、それがさらに日本、その頃の遺跡の状態から見ますとだいたい九州から瀬戸内海、東海地方、関東、それから東北の一部ぐらいまでが文化圏でしたので、そこのところで次第次第に交流が行われて、統一された考え方が出てきたと考えるのが適当で、それにはかなりの時間がかかっただろうというふうに思います。
まだ全くそういう研究が行われていませんので推定ですが、千年位はかかったかなと思いますね。

そうしますと、4、5千年前、紀元前4、5千年位から始まったそういう日本人の精神統一活動っていうのは、例えば紀元前2、3千年前位ですね。紀元前2、3千年のところでできたと思います。

これはおおよそ、そういうふうに推定するのは、気象の状態とか、日本の国土の動植物の状態が収まり、人間が活力的になり、食料も安定し、かつまあ神話のレベルですが、だいたい日本人の精神的構造っていうのは紀元前千五百年ぐらいには固まってきたというような神話的な記録もありますので、そういう点ではだいたい妥当な所っていうと、紀元前2千年から3千年程度でそういう思想が固まってきたと思います。

これと諸外国と見ます。諸外国ではその当時メソポタミアを中心として、精神的な発達があり、だいたい紀元前千年頃に、モーセなり、ゾロアスター(※注1)と言った精神的活動が急激に見られるようになりますし、それの前では、古代エジプトにおいてはだいたい紀元前3千年から4千年頃に見られますので、だいたい人間の発達というのはだいたい同じ歩調を取りますので、そろそろその頃に、人間の精神的な発達が進んだと考えるのは、まあまあ全体の歴史から言って妥当ではないかというふうに思います。

そしてその時に2つの軸がありました。これは各国ともその地形によってすごく地形、気候によってすごく大きな差がありまして、当然古代エジプトではナイル川というものを中心に文化が発達しますので、ナイルの神もしくはやや砂漠的な気候の中で育ちます。
それからメソポタミア地方では現在のような乾燥状態ではありませんが、しかしかなり自然は厳しかったものですから、厳しい神からの怒りといった表現が相当多く取り入れられるわけであります。

そういうようなことですね。で、そういうその人間の精神的な最初の状態というのは固まっていくんですが、そういう意味では日本では日本の自然、これはもうエジプトなりメソポタミアなり、インドなり中国といった当時割合早い時期に発達した文化の中では、もう特異的に穏やかでありました。
これは私が前から注目していたんですけれども、地球上で温帯の島国というのが日本だけであり、かつ37万㎢っていうのは小さ過ぎもせず、大き過ぎもしておりません。

小さ過ぎるって言うのはどういう状態かといいますと、人間のように1メートル50から2mぐらいの動物が力を持ってくると、他の動物とか自然がその動物に圧迫されて、衰退していくようになります。
例えば典型的にはガラパゴスのようなものですが、あの位小さくなりますと、ほぼほぼ単一の生物種が育つということになりますね。
それから大陸からの離れ方もそうですね、1,000キロ、2,000キロというように離れると、ほとんど生物は往復できませんので、そのところに固有の種だけになります。

ところが日本は37万㎢というように、まあかなり大きい島であり、かつ陸から100キロとか200キロと言った距離にあって、そういう面でもかなり隔絶してるけど、海によって分断されているけれども、交流は可能であるという非常に適切な距離にあったということですね。

それからだいたい動物というのは、大型動物がその地区、地方で勢力を伸ばしますと、大きさが限定されてきます。
例えばスマトラのトラが有名ですけども、スマトラトラっていうのはかつてスマトラに人間がほとんど住んでいなかった時には、スマトラトラがスマトラ島を支配しておりましたが、人間がスマトラ島に徐々に移動するに連れてですね、スマトラトラがそれに比例して下がっていきます。
まぁ簡単に言うと、人間の数+スマトラトラの数が一定になるっていうことですね。足し算をしたら一定になるようになります。
まぁ日本の場合はですね、またこれについてもやや特殊な状況にあって、山谷が多いんですね。つまり山と山の間の谷はですね、その谷から次の山を越えて別の谷に行ったり別の平野に行くのにかなり大変なもんですから、まあそういう意味では多様性が保たれるわけですね。

動植物の多様性という点では日本は格別に多いわけです。例えば秋の紅葉ですと、紅葉は大陸ではだいたい3種類ぐらいの紅葉になるんですけども、日本は昔から錦織りなすというように27種類ですね。ですからこれはどうしてかって言いますと、37万㎢で山谷が大きく、山林の占める面積がだいたい7割、川も急流であり、谷も多いというそういう特別な日本列島の構造によります。これは日本列島が割合近年、割合近年と言っても地質学的ですから3,000万年とか2,000万年前なんですが、大陸から離れて東に移動し、そして新たに形成された島なもんですから、まあそういった複雑な地形をしているわけです。そういう地形の中では、極めて自然は多様でありかつ穏やかである。

ここで穏やかっていうのはですね、最近のその近代都市国家における被害というのは、台風にしても地震にしても非常に大きいんですね。しかしかつて、まあ人間がもちろんビルなんかはなく密集した人家でもなく、それからもともと自然の脅威を避けて住むという基本的な考え方があるときにはですね、災害は大きくないんですね。これのはっきりとした日本以外の記録では、カリブ海のハリケーンがあります。カリブ海のハリケーンは最近大きくなった、大きくなったって言うけどそれは違ってて、昔の方が大きいんですね。気圧とか、風速とかいう点では、かつてのハリケーンの方が大きいんですが、被害は近代の方が全然大きいんですね。それは人類が密集した土地に住み、それもしかも海岸線とかそういう比較的危険なところに住んだということの結果であって、自然現象そのものではないんですね。ですからまあ日本の地震とか日本の台風、その位は、まあ悠々と回避できるわけです。

これはまあもう一つのあの証拠を挙げますと、この前の大東亜戦争後、沖縄がアメリカ軍に占領されていましたが、アメリカ軍が沖縄の人が谷間に住んでるのを一時非常にバカにしまして、日本人とはどうしてあんな暗いとこに住んでんだろう。もっと快適なところがあるのに、と言って、丘の上に住宅を建てましたら、次の夏に全部台風で吹き飛んでしまって、それでああなるほど、日本人がそういう所に住んでいる理由が分かったということがあるわけですね。
現在沖縄の建物は全部コンクリートでできておりますので、比較い風の強いところにも建っておりますけれども、昔は鉄筋コンクリートで家を造るってことはそれほど容易なことではありませんでしたので、したがって谷間に作ったわけです。
まあこれは人間の文明というのがですね、かつてはまあ自然に従って生きるということだったわけですね。したがって日本の自然というのは、今人が考える地震とか台風と言ったものは、それほど脅威ではありませんでした。

もちろん各国ともそれはありまして、アメリカでもカリブ海のハリケーンありますし、非常に強い竜巻だとか気候の変動ですね。それから暑さ寒さは大陸気候ですから、物凄く激しいわけです。これは砂漠化が進んでくるところもそうですので、世界的にみて日本の気候が、平均として世界平均よりか激しいということは全くありません。
もちろん中学校で習うように、周りが海洋に囲まれておりますので、海洋の影響で非常に穏やかであり、かつ雨が適切に降り、そして川が氾濫するったって、川が氾濫するところに住んでなければいいわけですから。

そういう知恵をわずか出せばですね、人口は非常に、何百万人というぐらいの少なさでしたから、十分に土地の広さはあったということで、安全な場所に、自然の中に隠れるようにして住む。そうすると、日本の自然というのは非常に優しかったということで、日本人はまず、この母なる大地と自分達を包んでくれる優しい自然というものをよーくよーく見たと。これがよーくよーく観測して、みんなで話し合って、おそらくはですね、そして自然に対する自分たちの考えをまとめて、それを精神的な支柱の一つにしたということが言えると思います。

武田邦彦 ヒバリクラブ
【武田邦彦のブログ】2022年7月24日 シリーズ「日本」第二章 日本の神 A
https://youtu.be/Un_xFLNIJyw

※注1 ゾロアスター イランの宗教であるゾロアスター教の宗祖。ゾロアスターのドイツ語読みがツァラトゥストラ。


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2022年12月17日

日本人と外国人の違い 日本の神1

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歴史というのは非常に我々の人生によって重要なものなんですね。
それは、我々の現在というものを規定しているものはまさに歴史であり、またある程度は将来というものを決めているのも歴史なので、私たちの人生そのものが歴史の中に反映しているということが言えるわけですね。

しかしその歴史というのは、実は残念ながら人間が作ってる歴史であるというところに、問題があるわけですね。っていうのは例えば典型的には、鎌倉時代の初めというのを考えますね。そうしますとどうしても源頼朝とか北条政子とかまあそういう非常に少数な、当時鎌倉時代に住んでいた人のほんの一部、言ってみれば、なんていうか芸能界みたいなものですね。それを非常に重要視しているわけですね。

時代が貴族の時代から大きく武家の時代に変わったことは確かですが、それはどちらかと言うと指導体制の変化であって、一般の国民は、例えば95%ぐらいの国民は相変わらず、主に農民として畑を耕し、年貢を納め、そして戦争があったらどっかにちょっと逃げて行き、建物は僕、ずいぶん調べたんですがはっきりしないんですが、ある程度は竪穴住宅に近いものに住んでいたんじゃないかというふうに思うんですね。

じゃあ鎌倉時代というものがどういうことか、日本人の歴史としてどういうものだったのかということは、実はさっぱり分からないし、教えてもらっていないということになるわけですね。
どんな歴史の本を読んでも、鎌倉幕府が開かれた時の人々の生活の変化というものを書いているものは、ほとんどありません。

一時戦後、まあいわゆる民主的な歴史というものが研究された時に、そういうものが議論になったんですけど、それはまた思想に非常に強く影響されておりまして、殊更に何か庶民の歴史を書くということが意味があるという価値観に基づいておりましたので、これもダメなんですね。
それからもう一つ。大きな歴史、現在の歴史の欠点は、精神的な面での発展というものをあまり重要視しないということですね。
人間は、まあ人間として、人間とは何であるか、自然っていうのは何であるか、どういう心に支えを持ってるか、宗教というのはなぜ生まれてきたのか、そしてどう発展してきたのか。
また人間の集団性が高まるにつれての人間関係及び夫婦関係、もしくは男女の関係、男性の心の中に生じている歴史的な変遷、女性の心の中で生まれたいろいろな変化、こういったものも非常に重要な歴史なんですね。

その意味では現在の歴史を勉強する上で、非常に大きく注意しなきゃないのは、一つが自分たちの目が指導層というか、まあ、芸能界を見るような、そういう一部の人間のことだけに注目しているのではないかということを注意しなきゃいけないのと、もうひとつは人間の物質面ですね。
例えば運搬する、人が移動する手段が徒歩だったり、籠だったり、馬だったり、電車だったり、自動車だったりするという変化については、かなりはっきりと分かるんですけども、人間の心の中の変化、進歩っていうものはほとんど歴史の中では論じられないわけですね。

まあこのまとめではですね、第一に日本人のルーツと日本人、および日本列島のルーツと言っていいんですけども、もう一回ぐらい書き直したら、ある程度しっかりした日本および日本人のルーツというのがはっきりと描けると思うんですが、まあいずれにしても先を急いで、また全体を帰ってくるという方針で、この音声の歴史をやっておりますので、第2章は日本人の心の動きですね。心の動きについてまとめてみようと思いますね。

まあ日本人の神と言ってもいいんですけど。ここで言う神というのが、日本人の心と言っていいんですけど、心と言ったらちょっと漠然とするので、まずは日本人の神ということを中心に、まあ日本人の、古代日本人の心っていうものを探ってみたい。

この日本人、古代の日本人の心っていうのは古代の心じゃなくて、現代の我々の心がもうそっくりそのまま引き継がれております。約1万年経っておりますが、1万年前の日本人の心、1万年前の日本人の身体っていうのはほとんどそのまま変わらずに、現代の我々に引き継がれているという点でまさに、歴史は現在であるということが言えるんではないかと思うんですね。

で話を進めますと、日本が第一章で述べましたように、大体5,000年、今から5,000年って言ってもいいけどまあ紀元前5,000年って言ってもいいんですが、紀元前5,000年くらいに気候も徐々に安定してきて、そして木々も亜熱帯性の樹木が生えて、それに伴って気温も上がるし、それから動物も多く住むようになる。人間ももちろん暖かくなるから住みやすくなるということで、作物もできやすい。稲も一部は栽培ができるようになったというようなことで、全てにとって人間が住む、現在の人間という意味で人間が住むという環境が急激に整ってきたのが紀元前5,000年くらいですね。
この頃、もちろんまだ文字がありませんから、その人達がどういう状態であったかってことは推察するしかないんですが、火山の様子とか気温の様子とか、植生なんかは相当明らかになっておりますので、そういう中で人間が住んだらどういうふうになっていくかなってことは、相当推定はできるわけですね。

特に日本が非常に諸外国と違うわけですね。一番大きな違いは、諸外国には言語で教えてくれる神がいるんですね。例えばユダヤ教ですとモーセというのがいて、このモーセの十戒というのがありまして、殺してはいけないとか、何してはいけないっていうことを10個教えているわけで、これは教えがあるわけですね。そうすると日本人にはちょっと考えられないのはですね、モーセが殺すなかれと言わなければ、人を殺していいのかということなんですけども、これは実は、本当にモーセが殺してはいけないと言わなければ殺すというのは、良いか悪いかは判断できないと。日本以外のほとんどの国の人は、そう思うんですね。

まあこれを非常に端的に示したノーベル賞作品が、カミュの異邦人という小説であります。カミュという人はフランス人なんですが、アルジェで起こった、まあ架空のって言いますかね、殺人事件に関する、殺人犯の判決の最終段階で、殺人犯が死刑判決を受けるわけですけども、そこで神父さんかなんか来られてですね、牧師様かもしれませんが、来られて、そしてあなたがキリスト教に入ったら、そしたらこの死刑は無期懲役に減刑されると。ぜひキリスト教にお入りなさいと、こういうふうに言うわけですね。

なぜか。なぜキリスト教に入ったら死刑が無期懲役になるのかということも、端的に示されていますね。
無宗教の人は誰からも教えてもらってないので、おそらく人を殺すだろうと。今度のこの事件、この小説の事件になっている殺人事件もですね、なぜ殺人事件が起こったかっていったら、犯人がキリスト教、宗教を信じていないから何をしてもいい、つまり人を殺していいと。そういう考えだから殺人事件起こったんだ。その人を生かしておくと、また第2の殺人事件が起こる。だからその人を宗教にさえ加入させれば、例えばキリスト教に入ったらですね、イエスキリスト、イエス様が、あなたは人を殺しちゃいけませんよと教えてくれるので、それを信ずる信教ですね、信教の自由ってよく言いますけども、信教でその人は二度と再び、殺人を犯さないだろう。だから裁判官は、無期懲役に減刑できるんだっていうのは、そういう一連の考えなんですね。

これは日本人にはちょっと理解ができません。日本人は神様やイエス様とかお釈迦様が殺しちゃいけないと言うから殺すのが悪いことだと思っているわけじゃなくて、自分の心の中から湧いてくる道徳の心がですね、人を殺しちゃいけないというふうに自分自身に教えているわけですね。つまり教えを信ずるんじゃなくて、自動的に人を殺してはいけないって事を知っている。これが世界の民族のうち、まあ小さな国ではそういうのがあるんですけども、大きな国では、ほとんど日本だけといった現象なんですね。

私が第1章の日本人のルーツで繰り返し、日本は他から文化が来たんじゃない、人間も他から来たんじゃない、日本が最初に人間ができて、最初に文化というもの、言語とか文化というのを作ったんだということを、ある程度はっきりさせたのはですね、文化がどこからか来て、人間もどこからか来てれば、その影響を受けるはずだけども、日本だけは全く受けてない。その全く受けないひとつの大きなものがですね、神とか信仰とかいうものであって、これは世界の大きな国では日本だけが特出して、特別であるってことですね。

日本の一部の思想は、インドの思想の影響を受けておりますけれども、影響を受けているのか、それとも同時発生なのか、はたまた日本がの方が先なのかは、今のところはっきりしておりません。
まずはこの章では日本の神ということで、その特徴を整理していきたいと思っています。

武田邦彦 ヒバリクラブ
【武田邦彦のブログ】2022年7月23日 シリーズ「日本」第二章 日本の神 @
https://youtu.be/LOfTFu5sR-M


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2022年12月16日

大村愛知県知事も朝日新聞も、国民がやめさせられる 昭和天皇の3大功績5

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今日は昭和天皇の3大功績の5番ですね。天皇と知事という名前をつけました。
これは昭和天皇のお写真を焼いた、全く芸術作品と私は考えられませんが、こういうものを芸術作品として認めている方もおられるんですね。その方は沈黙を守っておられますので、これがどういうふうな芸術性を持ってるのかということは、私も判断できません。
私の目から見ればこれが芸術だとは全く思いませんが。

芸術っていうのはまず第一に美しいもの、これが芸術としては一番大切ですね。
2つ目は人の心を打つもの。これはまた一つあるんですね。
それから、それから全く離れていても、ある意味で画家として、デザイナーとして一つの哲学があって、それが人の心を打つような形、つまり芸術性を持っている作品というのは、ないではないんですね。

一番有名なものはピカソのゲルニカです。これは1937年の4月でしたか。当時のスペインのフランク総統がスペインの北部にあるゲルニカという町の抵抗運動に手を焼いて、それでその当時できたばかりと言いますか、第一次世界大戦で敗れたドイツは空軍を持っちゃいけなかったんですが、空軍を持つようになった。最初の空軍の爆撃隊にヒトラーを通じて依頼をしましたね。ゲルニカの住民の抵抗運動に手を焼いてるんで、ゲルニカを爆撃してくれと、こう言って、ドイツからはるばる爆撃隊がスペインの奥まで来て、それでゲルニカという街を爆撃した。
もちろんそこには兵士がいたわけじゃなくて、抵抗運動をしているわずかな方々と、それから他は住民だったわけですが、それが爆弾の下で虐殺されたわけですね。もちろんこれは戦争でありません。そのことに怒ったピカソが、ゲルニカという作品を描きます。

このゲルニカという作品は、割合と急いで描いたものがあって、ちゃんとした油絵の道具じゃなくて、ペンキみたいなものを使っておりまして、そういう意味で品質なんかでは少し問題があるんですが、それでもまあ芸術としては大変立派なもんで、さすがのピカソが描いただけあって、絵自体も非常に優れてる。絵と構図とかそういう点でも優れてるんですが、それよりも、牛と馬というものを、それから人間ですね、暴力を持って暴虐を働き、悲鳴を上げて逃げ惑うものを殺戮していくと。これはやっぱり人間としてやるべきことかということを、まあ深く考えさせられる絵だったわけですね。

もちろんだから、大作でもあるけども芸術性も高かったわけです。もしもこのピカソのゲルニカが本当に世界中の人の心を打ってそして、爆撃ってダメなんだと、戦争とは違うんだと。戦争というのは原っぱで陸軍同士が戦ったり、海の上で海軍同士が戦うと、これ戦争なんですが、全く武器を持たない人、人間の行為の中で最も卑劣なのはですね、武器を持たない相手を打ち殺すとか、刀で切り殺すというようなことが一番卑劣なんですね。

私がよく言うのは道端で縄跳びをしながら遊んでる女の子に対して、完全武装した兵士がライフルを構えてその女の子を撃ち殺すということがあった場合、それは一体許される行為なのかということになるわけですね。

人間の長い歴史で戦争というのはなかなか避けられないし、侵略的な戦争もありますけども、この前の日本の大東亜戦争のように非常に防衛的な戦争っていうのも同じだけあるんですね。侵略者がいれば防衛する方もいます。大東亜戦争っていう白人がアジアの国々を攻撃して、侵略して、かつ日本も最後に侵略しようとしたと。

直接的にはアメリカと日本の衝突なんですけれども、アメリカは地球の裏側ですよね。日本とはほとんど地理的にも隣というわけでもなし。産業的にも何もほとんど関係ない。むしろ日本はアメリカから鉄鉱石を日本の需要の70%、それから石油を日本の需要の75%を購入するっていう、まあいわば偉大なお客さんだったわけですね。
アメリカが日本を攻めようと思ったのは主には、当時ソ連という共産国が世界的な組織として作ってたコミンテルンっていうのがありまして、それがなんとか、資本主義国、自由主義国同士を戦争させて、それで力を弱まらせて、例えばこの場合ですとアメリカと日本を戦争させて、日本が負けたと、非常に弱ったと、その時に日本に共産党を占領させて、日本を共産化しようというのが主な目的でした。そのコミンテルンの人たちは、アメリカでは国務省の中枢部に入り、日本ではゾルゲっていうスパイもいました。
アメリカにももちろん有名なスパイがいるんですけども、近衛内閣、戦争に直接繋がってるような東条内閣の前の近衛内閣ですね、近衛内閣の内部にも相当そのコミンテルンのスパイが入り込んで、日本を戦争に導いたわけですね。(※注1)

そうじゃなかったら日本はアメリカと戦争はしなかったでしょう。当時は白人がどんどん攻めてくる時でした。もちろんアジアにはアジアという地域がなかったわけですね。
フィリピンもアメリカの占領ですからこれも白人の国。インドネシアなんていうのはインドネシアという名前もなくて、オランダ領東インドという名前でしたね。イギリスはインドからビルマ、マレーシア、シンガポール、これ全部イギリス領でしたね。フランスはインドシナ、今のラオス、カンボジア。中国はほとんど半分ぐらいはもう白人に取られている状態でした。
満州もロシアがとってたものを日本が代わったということはあります。
したがって世界的に見れば、日本も自衛のために、まあそういう社会では、やはり日本列島だけで頑張るって事はちょっとできなくて、いろんないきさつがあって、朝鮮と台湾それに満州国、あと千島列島、あと太平洋の諸島ですね、今ではトンガとかそういうとこですけど、そういうところを領土にして、なんとか国を少し膨らませて独立を保っていた。

その頃有色人種として完全に独立を保ててたのは日本だけ、世界で日本だけですね。だからこれを何とか潰そうっていうのが、アメリカ及びコミンテルンの政策でした。
したがって日本があの当時その独立を保って、日本という国を保つというのはもう大変な、今では考えられないような苦痛がいっぱいあったわけですね。でまあ、その中にはもちろん反乱分子もいれば、政府に従わないのもいる。それがまあ、226事件なんかを引き起こして。

226事件のことを軍部の独裁なんです人がいますけど、全然そうじゃなくて、226事件を起こした軍人はみんな処刑されてますね、ただちに。
昭和天皇は、反乱を起こした兵士は直ちに原隊に帰れと、こういうふうにご命令をされてるわけですね。

後から難癖付けた朝日新聞及びその関係者が、当時は戦争だ戦争だって一番強く煽ったのが朝日新聞でしたね。それが戦後、自分たちの間違いに気が付いて、大きく方向を転換したというだけでは良かったんですが、それだと責任者が誰だって話になって、自分たち、つまり朝日新聞関係者に火の粉が降ってくると嫌だっていうんで、それで天皇陛下とか軍部とか、まあそういうのを非難するというそういうように手のひらを返して、朝日新聞は自分たちの発信力を利用してですね、平和を主張したりしたんですけども、それは本当に欺瞞的でしたね。それはもう今はこれ、トリエンナーレというところで展示された天皇陛下のお写真を焼いた作品なんですけども、これ作品と呼べませんけどね。それを支持したのが現在の愛知県の大村知事なんですよ。

私は大村知事とは個人的にもまあある程度よく知ってるんですね。しかし彼はもう、自分の利益だけの人なんですよ。しかし今のその自民党政治もそうなんですが、日本はですね、今こういう知事が非常に多いですね。
まず県民のためのこと考えないわけですよ。自分のことだけですね。それが一つと。
もう一つは愛知県の知事というのは、やっぱりこれは国のある意味での地方の代表者でもあるんです。私がよく言ってるように、市というのは名古屋市なら名古屋市っていうのは、どちらかというと市民の代表っていう感じなんですね。ところが知事っていうのは、県というのはどっちかというと国の出先機関という意味合いがあります。それで大村知事なんか、いつもそれを笠に着て、ものすごく傲慢なことしてるわけですね。

環境なんかの問題では、愛知県の環境なんか一つも考えておりません。小池知事と似てるんですけども、自分の身の安全だけという感じで県政をやっております。

でこの場合はですね、天皇を象徴にするというのは国の憲法で決まってるわけですね。それから昭和天皇は特に戦争も非常に素晴らしい功績があります。この3大功績っていうのは、昭和天皇の功績のこと言ってるんですが、もう少し大きいのが、昭和天皇が立憲民主制の明治憲法、大日本帝国憲法時代の天皇もおやりになり、かつ日本が無くなってしまうんじゃないか、もしかしたら分割するんじゃないか、分割される可能性があったわけですね。4分割論というのは結構力がありましたから。日本列島の4分割論。ドイツも分割されましたし、朝鮮も分割されましたが、そういう中で日本の分割を防ぎ、それから自分が責任があると言い、しかも戦後、もう焦土と化した日本の中から立ち上がる時に、積極的に全国を行脚され、かつ国民の団結を保ち、そして平和な日本をもたらし、さらに発展させて、1990年には世界の一流国に入ったというような日本を作られてきた中心の象徴的な天皇の役割も果たされた。この天皇のね、写真を焼くっていのはどういう意味なのかと。

まずどういう意味なのか。それからそれを認めた知事はどうして認めたのか。公金を出してやりましたね。大村知事は結構あの犯罪すれすれをやる傾向があるんですよ。まあ要するに本当の真実の人間の心っていうのは、残念ながら持っておられない知事なんですね。まあそれもだけど、愛知県民が選んだんですけども、よく分からないで選んだと思いますね。私は大村知事をよく知っている人間として、もう絶対にこういう人を知事にしてはいけない。今後知事にしてはいけない。

トリエンナーレの事件も、本当にみっともなかったんですよ。ご自分でトリエンナーレを支持しながら逃げ回るということをされましたね。
まあそういう点では、この昭和天皇の偉さともちろん比べ物になりませんが、昭和天皇の偉さと現在の愛知県の知事のみっともなさっていうのは、ものすごく幅があるんですね。しかし現実の世界は、天皇陛下もお亡くなりになってるので、しかも象徴天皇ですから力もありませんので、大村知事がこういった展覧会を企画されて、今でも知事の職におられるというのが残念ですね。

昭和天皇は亡くなられて、今ではまあ歴史の人です。それに対して大村知事は、まあ間違って愛知県人が選んだ知事なんですね。こういうことが行われるということが、実に残念であると私は思います。
民主主義もやっぱり、日本国民がよく考えなきゃいけないというふうに思います。

武田邦彦 ヒバリクラブ
昭和天皇の3大功績(5)天皇と知事 2022.12.04
https://youtu.be/tTivwW6jz2g

※注1 尾崎秀実(おざきほつみ) 近衛文麿政権のブレーン・朝日新聞記者・ソ連のスパイ。ゾルゲ事件の首謀者の一人として死刑。



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2022年12月15日

昭和天皇の3大功績4

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このところは寒いところが非常に多いという話をこの前いたしましたが、昨日は岩手県の北上市から帰って参りました。
このところ、秋田、仙台、それから松本、北上とですね、寒いところにご縁がありまして。
しかし私がそういってぐるっと回ってきますとね、日本人は偉いですよ。純情ですね。
ヨーロッパ、アメリカ、中国に行きますとね、騙されることに注意しなきゃなんないんですよ。とにかくどんなところでも騙しにかかりますからね。彼らの思想は自分が儲かればいいということだけですからね。
正義とか礼儀とか誠実なんていうのないですからね。恩なんていうのもないですからね。
常に緊張した毎日を送らなきゃいけないんですけども。
商売にするにしても研究でもそうなんですね。
中国なんか行くと特にそうなんですけども、中国人はとにかく人の、こちらの研究を盗むってとこに全力を注いでいきますからね。
随分日本人と違うなぁというふうに思いますし。

昭和天皇の3大功績の最初をアップしていただいたら、日本人の偉い人っていうのはどういう人が偉いのかというコメントがありまして、大変に役に立ちまして。それは今度これの7番ぐらいでお話をいたします。

開戦理由に全く意見が違うので、素直には聞けなかったという方もおられましたが、ありがとうございます。というのはですね、今の日本人の一番の問題は、自分と意見が違うと事実のすり合わせをしないってことですね。
僕は自分が述べる事実に自信はありますけども、ただ異論はいつもちゃんと聞いてるんですよ。
それで自分は人間ですから、必ず間違いますんでね。間違えたところはちゃんと直して、謝るところは必ずその時に謝る。そういう風にしてます。それこそが日本人ですよね。
自分が間違ってても何とかごまかそうなんていうのは日本人じゃないと思います。

ところで昭和天皇の3大功績の4番。まとめをちょっとしたいと思うんですね。
日本は徳川幕府が終わった時に、どうして徳川幕府をやめたかって言いますと、その時の資料をいっぱい読むと分かるんですが、日本はこれじゃ危ないと思ったわけですね。
外国がどんどんどんどん、外国って全部白人ですが、白人がどんどんどんどん攻めてくる。このままにしていくと、インドとか中国もひどい目に遭ってましたから、日本は当然日本に白人が来ているというのは、どうせ日本人をやっつけて、それで甘い汁を吸おうというのが白人の考えですからね。これに対抗するのにやっぱり徳川幕府ではちょっと不十分だなと。これは260年も続いた徳川幕府自体が制度的に少し無理があったということもあります。しかし日本が白人に狙われたことによって、日本国民は何が分かったかっていうとですね、あ、これはね、徳川の問題じゃないと思ったわけですね。

徳川の将軍は偉くて、日本を統治してましたけど、それは外国から何も来てない時に統治できたわけですね。ですから外国から来ると徳川将軍は徳川家は守るかもしれないけど、日本国民を守るっていう大義名分がありませんよね。それから島津にしても薩摩は守るかもしれないけど、日本を守るのが島津家がしてくれるかどうか分からない。
そうなりますとね、まあ天皇陛下がやっぱり日本を守るんじゃないかと、まあこういうふうに思ったんですね。その通りになりました。

Photograph_of_Emperor_Meiji_in_1873.jpg
1873年(明治6年)内田九一撮影
http://www.robundo.com/robundo/notesontypography/?tag=内田九一, CC 表示-継承 4.0,
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=126422191による

最初明治天皇がご即位をされましたね。まあ何百年と、いえばその日本の一番トップの座を奪われてるのは、ちょっと変なんですけども、奪われて、そして京都の御所におられた天皇陛下が、よく出てこられましたよね。
国家の危機ですから陛下どうぞ江戸に来てくださいなんて言われてもですね、いやいやまあ昔はそうだったよと。平安時代までそうだったかもしれないけど、もう平安時代は1,000年も前なんだと。今はまあそういう昔の日本のトップとして、京都の御所で生活をすることはしておるけども、今更日本の中心になって、圧倒的に日本より強い国と戦う責任者になれと言われてもね。お断りになったっていいと思うんですよね、明治天皇は。従って私は明治天皇のお写真を見ますと、その緊迫感っていうのがどのくらいのものだったかっていうのを、明治天皇のお写真から感じることができますね。

それからまた、日本とロシアと戦ったわけですよ、日露戦争。これはもう大変なリスクがあったわけですね。
太平洋戦争よりか大きかったんですね。で、その時に明治天皇が毎日の食事は天皇陛下のお食事をしたんじゃなくて、日露戦争で戦ってる兵士の食事をしたんですね。これからの、一体となって守るんだ、日本を守るんだという気概が、やはりロシアを退けた一番大きな原因でしょうね。

ちょっとデータを示しますと、その当時の国家予算、日本が2.5億円。当時ですから随分小さいんですけど、2.5億円。ロシアが20億円ですからね。ちょうど8倍っていうとこですよね。ロシアがですね。
それから陸軍の数、これだいたい日本が22万人ぐらいですね。それからロシアは陸軍大国ですから250万人。これは10倍以上ですね。12倍ぐらいロシアが大きいんです。
それから海軍はですね、ロシアの陸軍の国ですけども、海軍も非常に大きくて、日本が26万トンでしたね、排水量が。海軍の戦艦ですね。戦艦というか戦争する船ですね。それに対してロシアが80万トンですから、これもですね、だいたい3倍、3.5倍ぐらいということなんですね。

つまり、よくあの太平洋戦争っていうかこの前の大東亜戦争で日本は、アメリカと戦うなんて無謀なことしたとかって言われるが人いるんですけども、日露戦争もそういう意味じゃ無謀なんですよ。だって大体ですね、太平洋戦争っていうかアメリカと日本が戦争した時の産業の差が、まあだいたい6倍っていう感じでしたね。3倍から6倍って言った方がいいですかね。計算の仕方によります。
その軍事っていうのは人口にもよりましてね。それから戦艦の排水トンなんかでは、日本はアメリカの70%、それは少しは少ないですけど、まあまあそこそこ持っておりました。ただ鉄とか石油とかそういう資源がもう圧倒的に少なかったってこともありまして。しかし日露戦争の日本とロシアと比べてみれば、大東亜戦争の時の日本とアメリカの方がずっと差が小さかったとは言えるんですよ。

ただ戦争の形が違ってたんですね。日露戦争の時はまだ昔型の戦争だったんです。昔型の戦争っていうのはどういう戦争かというと、原っぱとか海の上とか、そういう人もいないところで軍隊同士が戦うわけですね。ですから例えばこのロシアと日本とか戦った場所っていうと、鴨緑江がまず一つですね。朝鮮と中国の境の鴨緑江ですね。それから2番目がまあ有名な旅順の二〇三高地の戦いですね。
これもまあ陣地の戦いですね。最後の奉天会戦、これは奉天という町の近くではありましたけれども、やはり基本的には野原ですね。そこでやったわけです。軍隊同士で戦いました。それで雌雄が決しました。

もちろん公海海戦、日本海海戦でもですね、日本の連合艦隊とロシアの旅順艦隊とかバルチック艦隊が戦ったわけですから、これも海の上で軍隊同士が戦うってこういう戦いですね。ですからこれですとね、もしかすると大東亜戦争も良い勝負になったかもしれません。
ただ大東亜戦争の時はもう戦争の形態が変わっておりまして、沖縄戦もちょっとそうなんですけども、東京大空襲とか日本に対する全体的なアメリカの空襲ですね。それから広島、長崎の原爆投下なんていうのは、これ戦争とは言えないんですね。虐殺なんですね。

ですから第一次世界大戦あたりから第二次世界大戦に移るときに、具体的には1937年のナチスドイツによるスペインのゲルニカ爆撃が、人類史上でも最初だと思うんですけども、要するに一般人虐殺を戦争と呼ぶようになったっていう、まあ人間の文化の劣化ですね。それがまあもたらした敗戦でもあったわけです。

でこれはですね、まあこの昭和天皇の3大功績の4番からですね、私は今度コメントをいただいたような人にもっとね、太平洋戦争はおかしな戦争だったとか、それからアメリカの方が正しかったんだとか、日本はどういう点で間違ってたのかということ、ぜひお聞きしたい。コメントにね書いていただきたいんですよ。

私ね、虎ノ門ニュースというのをやってたんですけども、その時も虎ノ門の企画の方にはずいぶん申し上げたんですよ。是非私と違う考えの人をゲストとして呼んでいただけないかと。なぜあの天皇陛下の業績に対して色々なことを批判されるのか。なぜ特攻隊がおかしいと言われるのか。これは私の方が間違ってる可能性もあるんですよ。しかしですね、人間とはやっぱり直接的に出てきてくれなきゃいけないんですね。

名古屋では一回そういうチャンスがあったんですね。元の社会党の方で、ベテランの人で、名前も知られてる有名な人だ。講演をいたしまして、私そこに行きまして、じっくりと日本社会党の考え方をお聞きしたんですよ。それから2、3質問しました。そしたら非常に肝心にこれは答えてほしいっていう質問をしました時ね、日本社会党のその幹部の方は、なんて言ったか。いやそれについては今度来た時にお答えしますと言いました。そこで即答してくれないんですよね。ですから私は分からないまま。私は日本社会党をやっつけようとそんな気持ちはないんですよ。自分が学問的に聞きたいこと聞くということなんですね。そういう点では昭和天皇がやはりこれだけ力の差もあるし、世界を敵に回して戦うっていうのにも問題があるということで、開戦には終始非常に慎重な態度だったということも、立憲民主主義における天皇陛下の立場としては極めて立派だったと私は思うんです。これに異議がある方は、なぜ御前会議で天皇が最後まで、開戦はあまりね、って言ったことに対して、なぜそれを評価しないのかということをちょっとお聞きしたいので、ぜひコメントに寄せていただきたい。

それから2つ目はですね、やはりあの戦争ではない虐殺ですね。日本軍はもちろん軍隊ですから、軍隊は別に間違ってないんですよ。軍隊がポツダム宣言の受諾に反対したのは。それは軍隊は軍隊ですから。最後まで戦うのは軍隊ですから、それでいいんですよね。ナチスドイツだって最後まで両方からベルリンに攻められて、西部戦線にあった88mm砲を東部に回して、ロシア軍戦車をやっつけなきゃなんないぐらい頑張ったんです。それでも頑張ったんですよね。唯々諾々と負けたわけじゃない。それが軍人ですから。だけど昭和天皇は何に耐えられなかったかったら、戦争ではないのに日本国民が次々と虐殺されるって事に耐えられなかった。
ですから軍部が戦争の終結に反対だったのに、昭和天皇はもう無理をしてポツダム宣言を受諾された。これ評価しない人がいるんですかね。やっぱりぜひ意見をお伺いしたいですね。それから最後にマッカーサーのとこに天皇陛下が出向いて。これは普通の人だったら出向きますと思いますよ。だけど天皇陛下の生まれ育ち、日本における立場と考えたらやはり屈辱的ですよ。だけどそれを忍んでマッカーサーの事務所まで行って、私に全責任があるから、殺すなら自分を殺してくれという意味のことを言われる。これでさすがのマッカーサーも大きく感激する。この3つのことが功績じゃないんですかね。どういうふうにお考えになってるのか。もうぜひお聞きしたい。ぜひお聞きたいですよ。

朝日新聞にもお伺いしたい。それから愛知のトリエンナーレでやられた責任者の方にもお伺いしたい。愛知のトリエンナーレを支持した大村知事にもお伺いしたい。これが芸術なのか。度を越してないのかということですね。もちろん程度問題ですから。
それから愛知トリエンナーレの訴訟で、あれは芸術であるという判決をした地方裁判所の裁判長、これにも聞きたいですね。ちゃんと意見を言ってほしいんですよ。形式的じゃなくて、心の底から自分はこう思うということを言ってほしい。私には昭和天皇は本当に大事な功績だった。明治天皇もロシアとのこの大きな軍事の差を克服してやられたということに敬意を表しますし、昭和天皇も大変に素晴らしかった。
だから日本が徳川幕府から天皇陛下をお呼びして日本を守った。これが今の日本人の命になってるわけですね。大変に素晴らしい選択だったと私は思います。
ぜひ反論をお聞きしたいと思います。

武田邦彦 ヒバリクラブ
昭和天皇の3大功績(4)まとめと議論
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2022年12月13日

昭和天皇とマッカーサー 昭和天皇の3大功績3

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昭和天皇の3大功績で、今日は3番目ですね。
責任の取り方ということについてお話しますが、これは本当に天皇陛下は偉いなあと思いますね。

もちろん天皇陛下の功績を云々するということは、それ自体がちょっとやりにくいことでありまして、私もちょっと迷ったんですが、そうこうしてるうちに、天皇陛下の悪口を言う人が多いもんですから、やはりこれはきちっと、こちらの方がやっとかなきゃいけないと思いましたし、もう一つは私この前、あまり思想的な背景のない講演会に行きましたら、演題に日の丸が上がってて、そしてみんなで君が代を歌ったんですね。まあ300人ぐらいおられましたかね。

もちろん私は日本国を大切にしてますし、日本国民である私が国旗の前で国家を歌うというのはごくごく普通のことなんですが、それでもちょっと引っかかるところがあったんですよ。心の中にですね。深く反省しました。やっぱり僕は自分で考えてることを一つずつ考えてきて、それで行動してきたつもりなんですけどね。やはり日本を恥ずかしめる人たちの影響を受けてるなと、こう思いましたね。

やはりもう1回、次回は日本人の誇りを持って、日本の国旗を見ながら、ちゃんと国歌を歌えるようにしたいと。もちろん歌いましたけど、心に引っかかりなく歌い方をしたいと思いました。

ところで昭和天皇の3大功績でありますが、戦争が終わりまして、マッカーサー司令官が日本に上陸してきて、ある時に天皇陛下がちょっとお会いしたいと言うんで、マッカーサーはまあいろいろお考えになったようですね。マッカーサーも。敗軍の将だから、あまりいろんなことをしたくない。かといって敗軍の将であるので、やっぱりなんとかそれは違いをつけなきゃいけないってことで、マッカーサーも非常に天皇陛下に失礼なことないように、自分の事務所に天皇陛下をお呼びし、かつ自分は比較的ラフな格好で出られたということもですね、後のマッカーサーのいろんな記述を読みますと、まあそういうふうに思います。

ここで天皇陛下が言われたことですね、これはまあ大変に素晴らしいことだと思います。
今日はマッカーサーと天皇陛下がお会いになった写真とですね、ここからちょっと画面を切り替えてもらって、次の文章をですね、ちょっと貼り付けてほしいと思います。

584px-Macarthur_hirohito.jpg
Wikipediaから

これはぜひ日本人ならですね、1回は読んでほしいと思うんですが、マッカーサーの回顧録、1963年に書かれたものですね。それの日本訳をここに付けました。

「天皇の話はこうだった。『私は戦争遂行するにあたって日本国民が政治、軍事両面で行ったすべての決定と行動に対して、責任を負うべき唯一人の者です。あなたが代表する連合国の裁定に、私自身を委ねるためにここに来ました。』――大きな感動が私をゆすぶった。死をともなう責任、それも私の知る限り、明らかに天皇に帰すべきでない責任を、進んで引き受けようとする態度に私は激しい感動をおぼえた。私は、すぐ前にいる天皇が、一人の人間としても日本で最高の紳士であると思った。」(『マッカーサー回顧録』1963年)

こう書かれております。人間ですからね、やはり失敗したと思っても、何かそれをごまかそうと思ったり、償おうと思ったり、まあ今の政局なんか見てますとね、首相にしても大臣にしても、見苦しいですよ。

やっぱりね、これは昭和天皇お一人が、僕は偉かったわけじゃないと思うんですね。日本は約2,000年前に、この天皇陛下というものをいただいて、その方は毎日毎日、日本人の幸福を祈ると。こういう形をとったわけですね。

あの男系男子相続になってるのは別に女性を軽く見てるわけじゃなくて、遺伝が男系男子しか行かないもんですからね。その後2,000年にわたって一応男系男子相続を守った形になっております。もちろんこのことはなかなか人間としては難しいことですが、しかしそういう建て前で、日本が運営されてきたということは間違いないですね。
その中でやっぱり歴史的な重みが昭和天皇にこういう態度を取らせたんだと思うんですね。

マッカーサーが言ってるように、もうすでに東京軍事裁判ではっきりとしておりましたけども、日本人の中で戦争を推進しようと思ったのは、言ってみればソ連のスパイとか、スパイに騙された人たちとか、朝日新聞とか、そういう戦後に全く違う顔をした人たちであって、日本人の本当に日本を大切にしてたり、責任を持ったりしてた人たちは、戦争がしたくなかったんだということがよく、もう既に、この時に分かっておられましたね。
これがここに書いてあるように、責任を取るべき人ではない人が、しかも死刑になるという可能性のある人が、自分で責任を負おうとしている。これこそが紳士だというわけですね。

実は日本人はこれを見て、別に特別じゃないなと。日本人の態度としてはいつもそうだと。乃木大将にしても、全部そうだと。こういうふうに思いますよね。
ただやっぱり外国人、特にアメリカ人、ヨーロッパ人、中国人なんかから見ればね、この昭和天皇が言われたことは特別なことですよ。

特別なことですね。だからマッカーサーはこれに非常に感激してる。それまではどちらかというと占領の時に、天皇陛下になんか罰を加えると、日本人がまた揉めるんじゃないかとかいう、そういうテクニカルなことで天皇陛下を軍事法廷とかそういうふうに呼ばなかったんですね。ですけど実はこの話を聞いてね、天皇陛下に会われてから全く考えが変わっちゃったんですね。

まず日本が戦争したんじゃない。周りから日本に戦争するように仕掛けて、どうにもなんないから日本が戦争したんだと。これはマッカーサーがアメリカに帰って、非常にアメリカ議会で大歓迎を受けて、有名な言葉で、その時にマッカーサーが言った言葉が、「老兵は死なず。ただ消えゆくのみ。」
演説の最後に言いました。このアメリカ中が注目してたアメリカ議会での演説の時に、日本から戦争したんではない、日本のあの戦争は日本の自衛戦争であった、というふうに発言してくれてるわけですね。

これもやはり天皇陛下のこの会見が、ものすごく大きな意味を持っていた。日本人っていうのは間違ってなかったんだ。仕方がなかったんだ。
世の中には仕方がないってことありますよね。自分の子供が殺されようとなっている時に、自衛のために父親が相手を殺すってこともありますんでね。そういうものの一環であって、人間としてはこれを非難することはできないと、マッカーサーはその時を思ったんですね。

後にマッカーサーは、トルーマン大統領とうまくいかないし、多くの政治家とうまくいかなかった。第二次世界大戦の英雄でもあるヨーロッパ戦線の英雄、アイゼンハワーでしたね。アイゼンハワーはその後、大統領になりました。マッカーサーは不遇に終わりましたが、この不遇というのはある意味ではね、マッカーサーのこういう軍人としての筋の通った、やっぱり人間だった。
アメリカ人としては非常に特殊ですよ。アメリカ人は割合と偉くなっても、我が身可愛い、自分の理に沿うことをやるというのが普通です。だからマッカーサーが日本に占領軍のトップとして来たってことは、大変に日本にも幸運だった。しかしそれは単に偶然な幸運ではなくて、やはり日本人が持っている魂、天皇陛下がお持ちになっているこういう精神に基づいて、やはりそういうふうにそれが行われたと私は感じますね。

日露戦争の時に、ロシアという非常に強い、ものすごく強い国が日本に攻めてきたんですが、日本にその時偶然な幸運っていうのがいっぱいあったんですね。
朝鮮半島に上陸した日本軍が、朝鮮半島の北の鴨緑江を渡れないんですよ。向こうにロシア軍がいて、機関銃で撃って来るから。しかしちょうど日本軍が渡るために少し場所を変えた時に濃霧が来て、そして日本軍がほとんど無傷で渡ったとかね。
それから陸軍では奉天会戦の時に、向こうは36万人の陸軍ですね、こっちが24万人の陸軍ですよ。しかもこっちは疲れ果ててる。そういう状態で戦いが始まって、劣勢だったにもかかわらず、戦いの山場になった時に突如、奉天ではそれまで見られなかったような砂嵐に見舞われて、日本人は砂嵐を背にして相手に鉄砲を撃てばいい。ロシア軍は砂がもう目の方に入ってくる。真正面から砂嵐が来るっていう状態で、退却せざるを得なくなった。陸軍においてはあの当時これが、2大素晴らしい日本の幸運でしたね。

それから海軍ではもちろん2つありましてね。1つは旅順艦隊がウラジオストックに逃げていく時に、日本艦隊がそれを追うんですけど、ちょっとヘマがありましてね、大幅に遅れて。それもやっとやっとウラジオストックの手前で、日が没する30分ぐらい前に追いついて、たまたま日本の軍艦が撃った大砲の玉がですね、大砲の玉ったら、だいたい300発に1発ぐらいしか当たらないんですよ。会戦ではだいたい6,000mとか8,000mから離れて小さい船を狙いますから。海に落ちて水柱ばかり立つんです。それが最初かどうかちょっとそれは分かんないんですけども、戦闘の最初の頃に撃ったやつがちょうど旗艦の司令官のいるところから斜めに入ってって爆発した。大きな打撃を受けたわけですね。ところが次に撃った1発が、また同じところに飛んでって、同じところに入って、それで爆発した。これでもうロシアがウラジオストックに逃げることができなくなった。これはものすごく幸運ですね。

あの大勝利をした日本海海戦では、これに類するすることが山ほどあったんですが、これは下瀬火薬(※1)とか伊集院信管(※2)とか、海軍のものすごい猛訓練とか東郷平八郎司令官の豪胆な作戦とか、こういったものもあります。
日本の教育も寄与しましたね。国語、算数、理科、社会をしっかりと兵士に教えて、平均点を取るというやり方で、優れた兵士が愛国心を基に戦ったということも非常に良かったと思いますね。まあそういうことで、まあしかし幸運でもありました。日本が周りを全部白人に囲われて戦って、結局、大東亜戦争は目的を達成せずに終戦を迎えましたが、その後再び経済で持ち直して、1990年には世界に冠たる国になった。この財産は私たちは絶対に手放しちゃいけないと思います。

天皇陛下という存在も、これもやはり私たちの宝であります。その点で、もう少しマスコミ、文化人を中心として、物事をちゃんと調べて、深く考えて言ってほしい。
自分が得をするとか、まあみんながこう言ってるからということでは、絶対に動いてほしくない。私はこの昭和天皇の3大功績という、少し気張ったヒバリクラブをやったのは、そういう私の気持ちであるというふうに理解していただきたいと思います。

武田邦彦 ヒバリクラブ
昭和天皇の3大功績(3)責任の取り方
https://youtu.be/hyV9zUcDZJQ

※1 下瀬火薬 海軍技手・下瀬雅允が開発。命中した瞬間に激しい熱を発して、敵の甲板上のものをすぐさま焼き尽くす鍛鋼榴弾。
※2 伊集院信管 海軍少将・伊集院五郎が開発した信管。少しの衝撃でも敏感に作動し、爆発を起こさせた。
(WEB歴史街道 日本海海戦で敵艦隊を震撼させた「下瀬火薬」と「伊集院信管」から
https://shuchi.php.co.jp/rekishikaido/detail/2319


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