2018年05月18日
覇穹封神演義 16話感想 つぎはぎとネタバレの悪影響が顕在化したエピソード
16話 通天教主
16話配信(Abemaビデオ)
あらすじ
金光聖母たちとの戦いで力を使い果たした楊ゼンは妖怪の本性に覚醒し力を回復させる。半妖態の楊ゼンは王天君の引合せにより父・通天教主と戦うことになる。
通天教主は妲己の術により正気を失っていたが、楊ゼンとの戦いで心の抑圧を爆発させる。
宝貝・六魂幡の暴走により周囲が崩落、楊ゼンは助かるが王天君が瓦礫の下敷きとなり封神される。
感想
アバン演出はこれまで毎回のようにやっているが、効果的だったのは3〜4回程度しかなかったと思う。今回もあまり効果を認められないように……というか、むしろマイナスの効果があったように感じる。アバンで話している”歴史の道標の打倒”は封神計画の真相だが、本編で王天君が話しているのはその真相の一つ前の段階のものなので矛盾が生じている。通天教主が出ているシーンということで適当に入れたようにしか思えないのが残念。
原作では楊ゼンの隣に玉鼎真人がいたはずだが消されている。まあ消したほうが孤独感の演出にはなるだろうが……。
完全に”白馬に乗った王子様”の構図で笑ってしまった。白馬じゃなくて白いカバだけど。
「にしても奴(王天君)は一体何者なのであろうか?」
いやもうひとりのあんたですよ。という視聴者のツッコミが聞こえてきそうである。本来なら視聴者に謎を投げかける描写として活きるのだが、覇穹では王天君の謎がほぼすべて開示されてしまっているので白々しく感じる。
「封神計画は人間界の保護のためではなかったのか?」
「あくまで仙人界のためだろ。仙人界の大敵、妲己を殺す計画だからな」
封神計画は原作では4段階で真相にたどり着くようになっている。
- 仙道を人間界から追い出す計画
- 周を助けて殷を滅ぼす計画
- 妲己を封神する計画
- 歴史の道標を滅ぼす計画
覇穹では2からスタートしている(にも関わらず太公望が1の段階の行動を取ったりする)。前述したがアバンでは4の内容について話していて、楊ゼンの認識は2で、王天君がここで明かしているのは3の内容である。もはや何が何だかわからない。
「ま、俺が聞仲をけしかけたんだけどな!」
……そうだっけ?いや原作ではそうだけど、覇穹では
聞仲「崑崙滅ぼすぞ。手伝え」
王天「ウッス」
という感じだったような。6話の感想で、原作姚天君のセリフを王天君に言わせたことを評価したので間違いないと思う。6話脚本の大草芳樹さんがせっかくアニオリで辻褄を合わせたところを今回の脚本高橋ナツコさんが台無しにするという構図、ちょっと前(14話)にもありましたね。脚本家ごとの方針がそれぞれ見えてくるのがある意味興味深い。
瓦礫の下敷きになって封神される王天君。さすがにはらわたを描写するわけにはいかなかったか。原作だと邪悪な存在が惨めに退場してホッとする反面、え、これで終わり?という複雑な思いになるわけだが、覇穹だと退場しないのが丸わかりなので少なくともそういう心の動きは得られない。封神計画といい王天君といい、重要な秘密をばんばんネタバレしてきた弊害がついに顕在化してしまった回と言える。
王天君役の岡本信彦さんの名演が光るエピソードだった。死に際の狂気の絶笑はさすがの一言である。物語上の王天君はここで退場するわけではないがこの個体の王天君は確かにここで死を迎えるわけで、それに相応しい演技だったように思う。封神計画について語るシーンは初見では早口に感じたが、改めて見てみるとさほどでもなく感じた。前回がゆっくりめで、感想を書くために本放送直前に見ていたので早く感じたのかもしれない。
「あなたに伝えたい……僕はこれからもずっと崑崙の味方です。でも……妖怪です。」
楊ゼン役、中村悠一さんの演技も情感がこもっていて素晴らしかった。父の封神を見届けた後に韋護と会話を交わすところの憑き物の落ちたような穏やかさも印象深い。前回の感想で書いたように、ここまで妖怪アピールが激しかったせいでストーリー的にはカタルシスが減衰してしまっているが、それでも役者の名演と悲壮で厳かなBGMのおかげでこの名シーンはぐっとくるものがあった。
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