ジョーク・ユーモア・笑いの館

「築４０年以上で駅からも遠くて日当たりも悪いのに１Ｋで１０万円って高くないですか？」

「それがですね、この部屋出るんですよ」

「出るって何がですか？」

「幽霊です」

「幽霊！？　それじゃなおさら高いじゃないですか」

「普通はそう思いますよね。

　ところがですね、その幽霊ときたら掃除やら洗濯やら食事の支度やら家の中の事を全てやってくれるんですよ。

　さらに話し上手に聞き上手で悩みごとの相談なんかも親身に聞いてくれて・・・」

　“ゴソゴソゴソ”

　不動産屋は鞄から１枚の写真を取り出した。

「これがその幽霊の心霊写真なんですけどね」

「うわ、凄く可愛いじゃないですか」

「そうなんですよ」

「俺、この部屋に決めます」

「ありがとうございます」



「いや〜風間社長、訳アリ物件を逆に利用するというアイデア、お見事としか言いようがありません。

　初め幽霊を説得すると言い出した時には耳を疑ってしまいましたよ」

「人の行く裏に道あり花の山。これが私のモットーなんでね」

　風間が今、不動産業界に新たなビッグウェーヴを巻き起こそうとしていた。