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2021年04月10日
水上勉の『雁の寺』
1960年代の作品。
お芝居を見たことがあった。
しばらくして文庫本を読んでみたが、やはり暗い洞窟の中にいるような感じがした。
そしてまさしくサスペンス劇場だと思った。
京都のとあるお寺の和尚磁海には、お里という愛人がいた。
お寺の小坊主慈念は、磁海が辛く当たるのでいつもびくびくしていた。
見かねたお里が慈念を気づかうようになった。
そして二人は接近することになり、その後何故か和尚の行方が分からなくなる。
確かお芝居を観終わって外に出たら、日差しが眩しかった。洞窟から抜け出すことができたかのような。そして自分はなんて幸せなんだろうとしみじみ思った。
どうしてこんな小説が書けるのだろうと不思議だったが、作者は子供の頃、お寺に預けられ大変苦労したことを最近知った。それに直木賞を受賞していたことも。
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2021年03月23日
泉鏡花『外科室』
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泉鏡花の短編集「高野聖」の中の「外科室」を読もうと思った時期があった。
それは病気をして手術をしなければならなくなった時だった。
気を紛らすため、時間をかけてゆっくり読んだ。痛々しい場面もあり、何故か「麻酔を使わないで」と懇願する伯爵夫人。心理はうわ言を人に聞かれるのが怖かったのだ。それにしても夫人と執刀医の間にいったい何があったのか?じっくり時間をかけないと理解ができない時代小説。それでも主人公の凛とした姿が想像できた。実は二人は9年前に一度だけ出会っていたというか、すれ違ったことがあったのだ。ただ一度だけのすれ違いでお互いの心に秘めた何かがうまれたのだ。でも確かなことは誰にもわからない。何故なら・・・・
それからなんとなく泉鏡花の世界を知りたくなった。
この時代の作品を時間をかけてゆったりと読むことが好きになった。
それにしても本名は鏡太郎なのに鏡花とは、何故なんだろう?
気になる!
2018年12月08日
SIDNEY SHELDON『MASTER OF THE GAME』
Master of the Game MASTER OF THE GAME [ Sidney Sheldon ] 価格:1,244円 |
ずいぶん昔の読みかけで、読み終えたのかも忘れてしまった一冊。もう一度読み直すことにしたところ、なんなく読み切ることができた。そうだった、シドニーシェルダンの英語はすらすらっと読めてしまうのだと思い出す。
とにかく昔の記憶が蘇り、こんな壮大なドラマチックだったのかと改めて思った。読みながら映像が浮かんでくるのも特徴的だ。
英語は使うことがもうないが、時間と心に余裕ができたせいかすんなり読めたことに驚いている。
<あらすじ>
今年90歳になるKate Blackwell は、誕生日会でこれまでの人生を振り返る。
人生もビジネスもゲームのようだったと・・
Kateの父Jamieは一攫千金を夢見て、生まれ故郷のスコットランドを離れダイヤモンドラッシュに沸く南アフリカへと一人旅立つ。
道のりは厳しく、痛々しく、騙されることも多々あり、血のにじむ想いでダイヤモンドを見つけ出す。
会社を立ち上げ、復讐の顛末で結ばれ女性と結婚することに。そしてKateが授かる。天真爛漫なKateだったが、父の死後は仕事を継承し巨大企業へと発展させる。
その後、Kateの息子は自由な生き方を選択するが、Kateに阻まれる。結局結婚させられ、双子の姉妹が生まれるが、精神的病を持つことになる。
Davidのサクセスストーリーから、Kateのビジネスに対する執着心、そして孫の双子姉妹が繰り広げるどろどろしたサスペンス劇場へと広がる。とにかく、展開が早く読み切ることができた。
Master of the Game [DVD] [Import]【中古】 価格:5,394円 |