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2015年08月18日
本紹介 No. 037『シャカムニの生涯』
『シャカムニの生涯』
以前、釈尊の生涯についての本を何冊か読みました(水野弘元 著『釈尊の生涯』、中村 元 著『釈尊の生涯』、ジャン・ボワスリエ著『ブッダの生涯』)。
ここでは一般的な仏伝についてもっと理解したいと思い本書を選びました。
溝口史郎 著 『シャカムニの生涯』(丸善 1994)
よく理解せずに『シャカムニの生涯』とのタイトルで本書を購入しましたが、『ボロブドル遺跡のレリーフに見る シャカムニの生涯』というのが本書の正確なタイトルのようです。
構成
B6版、168ページ、扉カラー写真8ページ、本文中にモノクロ写真多数(ボロブドル遺跡のレリーフ120枚を含む)
構成は以下の通り。
インドネシアのボロブドル遺跡のレリーフで見るシャカムニの生涯。
人類の文化遺産、ボロブドル
回廊のレリーフが語る欲界、色界、無色界
シャカムニの生涯を現すレリーフ
ボロブドル遺跡の建設年代
かのボサツからブッダへ
佛伝の中の多くの神々
001〜024 ボサツは、人間の世界に生まれることを決意した。
025〜060 ボサツは、母マーヤー妃から太子として生まれた。
061〜096 太子は、王宮から抜け出して出家し、修行を始めた。
097〜120 太子は、悟りを開いてブッダとなり、説法を始めた。
シャカムニの説法の内容
あとがき
参考書
内容
インドネシアのボロブドル遺跡のレリーフで見るシャカムニの生涯。に見られる各項目でボロブドル遺跡やレリーフについて一通りの解説があり、ボロブドル遺跡を理解する上でも興味深い内容です。
本書の主要な内容はボロブドル遺跡にあるシャカムニの生涯についての120枚のレリーフの配列にそってレリーフの図像解説とともに佛伝を記載していることです。
本文は上中下の三段組になっており、中段に120枚のうちの一枚のレリーフを載せ、レリーフ写真を挟んで、上段にレリーフ図像に該当する物語を佛伝『ラリタヴィスタラ』より対応させ、また、下段でレリーフの図像解説をしています。
これまでに読んだ水野弘元 著『釈尊の生涯』、中村 元 著『釈尊の生涯』、ジャン・ボワスリエ著『ブッダの生涯』の3冊のうち2冊の『釈尊の生涯』はより史実に近い釈尊像を明らかにすることを目的としており、釈尊の伝説的説話や神話的奇跡の類は述べられていない。
一方、ジャン・ボワスリエ著『ブッダの生涯』では伝説や奇跡を含む仏伝文学の世界を表現してはいるが一つの流れとしての仏伝を全て表現しているかどうかがわからない。
本書は仏伝文学の概要を知る上ではある程度役にたったと思います。
しかし、本書の中心はボロブドル遺跡のあるシャカムニの生涯に関する120枚のレリーフの理解がなので、仏伝文学の真髄はまだ見えていないと思います。
『ラリタヴィスタラ』のような仏伝全体に目を通す必要があるかとも思います。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ