新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
2018年12月31日
ライザップのコーポレートガバナンス改革
2019年3月期に大幅な赤字に転ずる見通しのライザップが、コーポレートガバナンス改革を含む構造改革を発表しました。
同社は、11月14日の中間発表において、当初159億円の純利益から70億円の赤字に転落する下方修正を行っています。
構造改革のポイントは以下の3つとなっています。
(1)コーポレートガバナンス改革
(2)事業ドメインの再定義
(3)強靭な事業基盤への変革
それぞれの内容を見ていきましょう。
(1)コーポレートガバナンス改革
@ 取締役会改革
2019 年1月1日付で取締役の人数を従来の12 名から5名に変更し、社内取締役2名・社外取締役3名の体制に移行します。
その狙いは、過半数の社外取締役および少数の取締役による構成に見直しを行うことにより、迅速な意思決定と適切な監督を推進するためとのことです。
今回の取締役会改革は、今まで成長戦略としていた、赤字会社を安値で買収し、黒字会社に立て直すビジネスモデルに誰もストップをかけることができなかったことに起因しています。
社外取締役を過半数入れることで、客観的な判断を期待し、同じ過ちをしないための構造改革となります。
A執行役員制度の導入
2019 年1月1日付で執行役員制度を導入することにより、執行権限および執行責任を明確にし、経営の機動性および計画実行の確実性の向上を図っていくとのこと。
業務遂行に優れた社内外の人材を執行役員に積極的に登用することで、持続的成長とさらなる企業価値向上の実現するとのことです。
B代表取締役1名体制への移行
前体制では、代表取締役が創業者の瀬戸健氏と、前カルビー会長であった松本晃氏でありましたが、今回の改革で瀬戸氏1名を代表取締役とすることになりました。
C構造改革担当取締役の設置
ライザップに移籍した前カルビー会長であった松本晃氏は、就任当初からライザップの会社がM&Aでちょっと構造的に違和感を感じていました。
11月の中間発表でも「壊れたおもちゃがある」と発言し、「しんどい会社は修理しないといけない」と言った趣旨の発言をしています。
そのため、今回の構造改革で構造改革担当取締役のポストを作り、自身が就任することにより、構造改革をさらに加速させる考えです。
(2)事業ドメインの再定義
@ 重点セグメントへの集中
ライザップはM&A戦略で大きくなりましたが、本業であるライザップとシナジーが少ない会社も多いため、重点セグメントに集中するとのことです。
今回示された内容では、美容・ヘルスケア分野を中心とした成長事業に経営資源を集中するという方針です。
A ノンコア事業の整理
重点セグメント以外は、縮小・撤退をし、グループとしてシナジーを最大化することを目的としています。
なお、SDエンターテイメントなどはアミューズメント事業などがすでに売却されています。
(3)強靭な事業基盤への変革
@キャッシュ・フロー経営への転換
ライザップは、「負ののれん」を計上することにより利益を大きく伸ばしていましたが、事業ではキャッシュを生み出すことができていませんでした。
そのため、キャッシュを生み出せるように事業の構造を変更することを目標とするようになりました。
A グループ横断的なコスト削減・合理化施策の推進
大きなグループ会社であるため、経営の合理化によりコストを削減することが可能となりました。
より精査をすることによって、合理的な仕入方法などを検討することを考えているようです。
まとめ
今回の構造改革は、松本晃氏の影響が多大に出たと思われます。
カルビーを経営危機から救い、株式上場までさせた同氏の手腕がここまでの構造改革に結びついていると思います。
また、それを素直に受け入れ実行した瀬戸健氏の経営者としての判断も素晴らしいものだと考えます。
現在は市場の評価が非常に悪く、株価もピークの10分の1近くまで落ち込んでいますが、構造改革の末更なる成長を期待でき、売上1兆円企業になる日も来るのではないかと応援しています。