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2020年11月29日
【働き者のはたらきバチ】ミツバチのつくり出す食品
ハチミツは人類の誕生以前から存在したといわれ、人類最古の甘味料です。古代エジプトや中国でも、貴重な甘味料であると同時に薬効のある食品として用いられていました。
ハチミツは、ミツバチのはたらきバチが集めた花のミツにハチの体内の酵素が作用し、熟成させたものです。人が食べる食品としてのハチミツは、これを低温でろ過したものです。花の種類によって、色や香り、成分が異なりますが、透き通った飴色で、自然で穏やかな甘味を有しています。ハチがミツを採取する花は、レンゲやミカン、クローバー、菜の花、ニセアカシア、リンゴ、そば、栗などです。
ハチミツの主成分は果糖とぶどう糖で、どちらもこれ以上分解されない単糖のため、消化吸収が良く、胃腸に負担をかけずに疲労回復ができます。たんぱく質やビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンK、ビタミンE、カリウム、鉄、リン、カルシウム、マグネシウム、マンガンなど数多くの成分を含みます。古くから、防腐や鎮静、解熱の目的で使われてきました。
ハチミツは、ジュースなど飲み物に加えることやレモン、リンゴ、パイナップル、梅などと漬け込んで果物の成分を浸出させて飲むと成分が有効に活用できます。民間療法では、ハチミツに刻んだ大根やショウガを加えて、成分が浸出するまで保管したものが、風邪薬として使用されていました。外用薬として、荒れた皮膚に塗ったりする用法もあります。
ハチミツには、緩和作用があり、慢性腸炎を患っている人には向いていません。冬季や低温の場所に置いた場合、白く結晶化することがありますが、成分が変化したわけではなく、70℃程度に温めると液状に戻ります。
プロポリスは、ミツバチが樹木から集めてきた樹脂状のものにミツバチの唾液が作用してできたもので、強い殺菌消毒効果があります。これを巣の入り口に塗ることによって、内部が無菌状態に保たれるようです。
プロポリスの「プロ」は、守るという意味で、「ポリス」は都市の意味です。ミツバチは巣を守るためにプロポリスを使用します。
ヨーロッパでプロポリスは民間薬として使用され、古代エジプトではミイラの腐敗防止に、古代ギリシャでは皮膚疾患や感染症の治療にも使用されていました。
ヨーロッパをはじめとする諸外国に比べると、日本でのプロポリスの歴史は浅く、注目されるようになったのは、1985年に名古屋で開かれた国際養蜂会議で、感染症や関節炎に対する治療効果が発表されてからです。1991年には、日本癌学会で国立予防研究所の研究者らによって、プロポリスに抗がん物質が含まれていることが発表されました。
プロポリスの成分は、樹脂やミツ蝋、精油、花粉のほか、有機酸や脂肪酸、アミノ酸、ミネラル、ビタミンなどを含みます。効用は、抗菌や抗炎症、鎮痛、組織再生促進、酸化防止、血液浄化、免疫機能増強など多岐にわたり、糖尿病や胃腸の病気、循環器障害などにも効くとされています。
プロポリスには、液状や粒状、カプセル、ドリンク剤などの製品があります。やけどや皮膚炎の治療など外用にも用いられます。プロポリスの副作用は特にありません。
ローヤルゼリーは、滋養強壮の効果が期待される食品として知られています。本来ミツバチの女王バチの餌となるもので、若いはたらきバチの咽頭腺から分泌される白色の半流動体です。強い粘り気があり、ほのかに甘酸っぱい味です。
はたらきバチは、花々から花粉とミツを採取し、餌として食べますが、体内の酵素の働きでローヤルゼリーを合成します。
女王バチはミツバチの中で唯一生殖力を持っており、1日に2,000個近く、1年に数十万個もの卵を産むと言われています。寿命もはたらきバチの1〜2カ月に対して3〜4年で、その生命力は驚異的です。この秘密は餌にあると考えられています。
ハチミツと異なり、ローヤルゼリーの糖質は10%程度で、たんぱく質をはじめ、ビタミンAやビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンE、パントテン酸、ニコチン酸、葉酸、銅、リン、亜鉛、鉄、カルシウムなどを含んでおり、老化防止や新陳代謝の促進、食欲不振の改善、神経症の改善など幅広い機能を持っていると考えられています。ローヤルゼリーには、現在わかっているだけでも60種類以上の成分が含まれており、まだ科学的に解明されていない成分もあります。
また、デセン酸はローヤルゼリーだけに含まれる特有の成分です。さまざまな健康効果がありますが、際立っているのは女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをすることです。更年期に摂取すれば、女性ホルモンの減少から起こる自律神経失調症やイライラなどの不調が和らぐといわれています。さらに糖尿病治療などに使われるインスリンとよく似た働きをすします。糖代謝を高め、血糖値を下げると言われ、ほかにも悪玉コレステロールの抑制、抗菌作用が期待されています。デセン酸は、ローヤルゼリーの品質を決める成分でもあり「全国ローヤルゼリー公正取引協議会」が基準を設けています。
生のローヤルゼリーのほかにローヤルゼリー入りの食品やドリンク剤などがあります。生のローヤルゼリーはそのまま、あるいは飲み物や食べ物に加えて使用します。
ハチミツは人類の誕生以前から存在したといわれ、人類最古の甘味料です。古代エジプトや中国でも、貴重な甘味料であると同時に薬効のある食品として用いられていました。ハチミツは、ミツバチのはたらきバチが集めた花のミツにハチの体内の酵素が作用し、熟成させたものです。人が食べる食品としてのハチミツは、これを低温でろ過したものです。花の種類によって、色や香り、成分が異なりますが、透き通った飴色で、自然で穏やかな甘味を有しています。ハチミツの主成分は果糖とぶどう糖で、どちらもこれ以上分解されない単糖のため、消化吸収が良く、胃腸に負担をかけずに疲労回復ができます。
プロポリスは、ミツバチが樹木から集めてきた樹脂状のものにミツバチの唾液が作用してできたもので、強い殺菌消毒効果があります。プロポリスの成分は、樹脂やミツ蝋、精油、花粉のほか、有機酸や脂肪酸、アミノ酸、ミネラル、ビタミンなどを含みます。効用は、抗菌や抗炎症、鎮痛、組織再生促進、酸化防止、血液浄化、免疫機能増強など多岐にわたり、糖尿病や胃腸の病気、循環器障害などにも効くとされています。
ローヤルゼリーは、滋養強壮の効果が期待される食品として知られています。本来ミツバチの女王バチの餌となるもので、若いはたらきバチの咽頭腺から分泌される白色の半流動体です。強い粘り気があり、ほのかに甘酸っぱい味です。ハチミツと異なり、ローヤルゼリーの糖質は10%程度で、たんぱく質をはじめ、ビタミンAやビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンE、パントテン酸、ニコチン酸、葉酸、銅、リン、亜鉛、鉄、カルシウムなどを含んでおり、老化防止や新陳代謝の促進、食欲不振の改善、神経症の改善など幅広い機能を持っていると考えられています。また、デセン酸はローヤルゼリーだけに含まれる特有の成分です。さまざまな健康効果がありますが、際立っているのは女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをすることです。更年期に摂取すれば、女性ホルモンの減少から起こる自律神経失調症やイライラなどの不調が和らぐといわれています。
2020年11月28日
【光合成】葉緑素/クロロフィルを多く含む食品
スピルリナは、水前寺ノリなどと同じ藍藻類の一種で、アフリカや中南米など主に亜熱帯地方の塩分が高く、アルカリ性の強い湖で繁殖しています。スピルリナというのは、ラテン語で「らせん」という意味で、くるくるとねじれた形をしていることから名付けられました。
多種類の栄養素が豊富に含まれており、食生活の偏りがちな人の栄養を補う食品として、使用されています。
乾燥スピルリナ100g中にたんぱく質は60〜70gと極めて豊富に含まれています。これは大豆のたんぱく質量のおおよそ2倍にあたります。たんぱく質を構成するアミノ酸のバランスにも優れ、必須アミノ酸を全て含みます。必須アミノ酸は、体内で合成することができないイソロイシンやスレオニン、トリプトファン、バリン、フェニルアラニン、メチオニン、リジン、ロイシン、ヒスチジンです。なお、ヒスチジンは体内での生合成が遅いため、FAOやWHOは1985年にこれを必須アミノ酸としています。
また、ホウレンソウの65〜75倍ものβ-カロテンを含んでいます。そのほかにビタミンB1やビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、ニコチン酸、葉酸、パントテン酸、ミネラルはカリウムやカルシウム、リン、マグネシウム、鉄分などを含みます。さらに葉緑素(クロロフィル)も多く、各種の有効成分が凝縮されたような食品です。
スピルリナの栄養素は、一般の食品より消化吸収に優れ、不足しがちな栄養素を補うのに好都合です。生活習慣病など栄養バランスが崩れることで生じる諸症状の予防や改善に役立ちます。なお、葉緑素(クロロフィル)が分解されてできるフェオホルバイドは皮膚障害の原因となるため、厚生労働省により含量が規制されており、基準を超える製品は流通することは基本的にありません。
クロレラは緑藻類クロレラ科の淡水性単細胞藻類で、多種類の有効成分を含んでいます。1890年にオランダの微生物学者バイエリングによって発見され、ドイツを中心に研究が続けられました。
第2次世界大戦後には未来の食糧として、各国で研究が行われるようになり、アメリカ航空宇宙局(NASA)が宇宙食としての使用を検討したことから、クロレラは注目を集めました。その後、クロレラによる皮膚炎が報告されて、ブームは収まりましたが、人体に有効な成分が豊富であることは間違いなく、現在も健康に寄与する食品として高く評価されています。
乾燥クロレラ100g中にたんぱく質は55〜65g、葉緑素(クロロフィル)3gを含んでいます。そのほかにカルシウムやマグネシウム、鉄分などのミネラル、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンE、ナイアシンなどを豊富に含む栄養バランスのとれた食品で、不足しがちな栄養素を補うことができます。
葉緑素(クロロフィル)には、膵炎や肝炎、腎炎を予防、改善する効果が、臨床的に認められているようです。しかし、葉緑素(クロロフィル)の分解物であるフェオホルバイドには、皮膚障害を起こすことがあるため、厚生労働省によって含量が規制されています。厚生労働省のクロレラ加工品に関するフェオホルバイド量の指導基準は、既存フェオホルバイド量100mg%以下、総フェオホルバイド量160mg%以下となっています。mg%は、野菜加工食品100gに含まれるフェオホルバイド量mg(1/1000g)を表す単位です。当然ですが、流通しているクロレラ加工品は、この基準をクリアしています。
クロレラ加工品としては、濃縮液やソフトカプセル、錠剤、顆粒、粉末の製品があります。
クマザサは、温帯から亜熱帯にかけて分布するササの一種で、山野にも自生しており、庭園などでは植えられて観賞用にされている植物です。冬季には葉の外側が白くなって隈ができるので隈笹、あるいは冬眠から覚めた熊が好んで食べるので、熊笹ともいいます。
食品として用いられているのは、有効成分に富んでいる緑色の濃い一年物の若葉です。夏季に生える葉に有効成分が多く含まれています。
クマザサの葉には、鉄分やカリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルやビタミンC、ビタミンK、ビタミンB1、ビタミンB2、葉緑素(クロロフィル)、多糖類のパンフォリン、食物繊維のリグニンが含まれています。
クマザサには、コレステロールの低下作用や血栓の溶解、血圧低下、貧血改善、胃腸の強化、免疫機能の増強などさまざまな作用が報告されています。
主な使用方法は、乾燥させた葉をお茶として飲用します。食品としては、抽出液を濃縮、粉末化、顆粒化したものがあります。新鮮な生の葉が手に入れば、1回あたり20〜30gをミキサーにかけて青汁として飲むと、健胃や胃もたれの解消に効果があるようです。採取してから時間が経つと有効成分は分解されてしまうので、なるべく早く使用します。
クマザサは外用薬としても用いられ、皮膚病や切り傷、口内炎などに塗ることもあります。また、ササの葉には、防腐効果があり、以前から食品の保存にも使用されてきました。
スピルリナは、水前寺ノリなどと同じ藍藻類の一種で、アフリカや中南米など主に亜熱帯地方の塩分が高く、アルカリ性の強い湖で繁殖しています。乾燥スピルリナ100g中にたんぱく質は60〜70gと極めて豊富に含まれています。たんぱく質を構成するアミノ酸のバランスにも優れ、必須アミノ酸を全て含みます。また、ホウレンソウの65〜75倍ものβ-カロテンを含んでいます。そのほかにビタミンやミネラル、葉緑素(クロロフィル)も多く、各種の有効成分が凝縮されたような食品です。スピルリナの栄養素は、一般の食品より消化吸収に優れ、不足しがちな栄養素を補うのに好都合です。なお、葉緑素(クロロフィル)が分解されてできるフェオホルバイドは皮膚障害の原因となるため、含量が規制されており、基準を超える製品は流通することは基本的にありません。
クロレラは緑藻類クロレラ科の淡水性単細胞藻類で、多種類の有効成分を含んでいます。アメリカ航空宇宙局(NASA)が宇宙食としての使用を検討したことから、クロレラは注目を集めました。乾燥クロレラ100g中にたんぱく質を55〜65g、葉緑素(クロロフィル)を3g含み、栄養バランスのとれた食品で、不足しがちな栄養素を補うことができます。葉緑素(クロロフィル)には、膵炎や肝炎、腎炎を予防、改善する効果が、臨床的に認められているようです。しかし、葉緑素(クロロフィル)の分解物であるフェオホルバイドには、皮膚障害を起こすことがあるため、厚生労働省によって含量が規制されています。流通しているクロレラ加工品は、この基準をクリアしています。
クマザサは、温帯から亜熱帯にかけて分布するササの一種で、山野にも自生しており、庭園などでは植えられて観賞用にされている植物です。クマザサの葉には、ミネラルやビタミン、葉緑素(クロロフィル)、多糖類のパンフォリン、食物繊維のリグニンが含まれています。クマザサには、コレステロールの低下作用や血栓の溶解、血圧低下、貧血改善、胃腸の強化、免疫機能の増強などさまざまな作用が報告されています。
2020年11月27日
【創造性の追求】ヌーベルキュイジーヌ
ヌーベルキュイジーヌとは、1960〜70年代にフランスで創作されたフランス料理の新しい料理法です。伝統的な高級フランス料理オートキュイジーヌは、こってりとした濃厚な味わいで、いかにも贅沢な雰囲気に対し、ヌーベルキュイジーヌは食材のもつ自然な風味を重視しています。
ヌーベルキュイジーヌの確立に大きな影響を与えたのは日本料理でした。バターやクリームを使用したソースが、食材を覆うそれまでのフランス料理から、現代の健康志向の生活スタイルに合わせるという流れのきっかけとなりました。
ヌーベルキュイジーヌの特徴は、料理を過度に複雑化せずにできるだけシンプルにすること、食材の持っている本来の味が損なわれないよう加熱調理時間を短縮し、自然の味を残すこと、市場でできるだけ新鮮な食材を選び、その食材の料理を考えること、肉などに施す過度な熟成をやめること、濃くて重いソースではなく、脂肪分を控えたソースを用いること、新しい調理技法を取り入れること、そして料理の創造性を追求することです。
ヌーベルキュイジーヌとは、1960〜70年代にフランスで創作されたフランス料理の新しい料理法です。新鮮さやすっきりとした風味を特徴としています。伝統的な高級フランス料理はこってりとした濃厚な味わいで、いかにも贅沢な雰囲気に対し、ヌーベルキュイジーヌは食材のもつ自然な風味を重視しています。
油脂や砂糖などの糖質、精製された穀物、塩分の多い食事は、健康に良くないという立場から、こうした成分の使用を最小限に抑えています。盛りつけには、日本料理が影響しています。基本となる特徴は、ソースのとろみに小麦粉と油脂を合わせて加熱したルーを用いず、野菜や果物のピューレでとろみをつけること、大きな皿に斬新な組み合わせの少量の食材を芸術的に盛りつけること、食材の入手先を重視すること、細部への徹底したこだわりなどです。肉や魚介類との組み合わせで、キウイフルーツやラズベリー、マンゴーなどの果物を使うことも多々あり、果実酢も調味料として好んで使われます。
ヌーベルキュイジーヌという言葉は、ポール・ボキューズをはじめとするフランス料理のシェフたちがつくり出した新しい料理のスタイルを表す用語として、フランスの料理評論家が考案しました。ポール・ボキューズは世界でいちばん有名な料理人と言われ、1926年にリヨン近郊で生まれました。ボキューズ家はもともと料理人の家系で、ポール・ボキューズも16歳になると料理人としての修行を始めます。リヨンやパリをはじめ、1950年にヴィエンヌ県の超一流レストラン「ラ・ピラミッド」の厨房で修行を続けます。ポール・ボキューズは、このレストランで「もっとバターを!」という名言を残した史上最高と評されるフランス料理のシェフ、フェルナン・ポワンの薫陶を受けました。1959年に実家の「ポール・ボキューズ」を継ぐと、店は1961年に早くもミシュランガイドの1つ星に輝きます。さらに1965年になると初の3つ星を獲得しています。1970年代になると、ポール・ボキューズは辻調理師専門学校の招聘で来日します。このときに懐石料理や京料理に触れ、そこから季節ごとの素材を活かす調理法、料理にふさわしい器を用いた美しい盛りつけの方法を学びました。ポール・ボキューズは、フランスに戻るとこの技法を自身のレストランで提供する料理に取り入れ、ヌーベルキュイジーヌの旗手となりました。
1970年代にブームとなったヌーベルキュイジーヌは、当時画期的で、世界の料理の話題の中心となりました。しかし、中には伝統的なフランス料理から大きく外れた料理も横行し、世間の評価から賛否を巻き起こしました。
というのは、伝統技法に新たな技法を取り入れることから逸脱し、食材を塩で焼いただけの料理をヌーベルキュイジーヌと言い提供するお店が出現したからです。最終的にヌーベルキュイジーヌは、ただの手抜きと評されることもありました。この状況で、ヌーベルキュイジーヌを正面から否定し、完全に背を向けるシェフも現れ、流行の見せかけだけの料理といった声もあがり、フランス料理界は混乱しました。
このような混乱を背景に古典回帰の運動が起こり、長い年月の中で築き上げられた伝統的なフランス料理こそ神髄とされ、あくまで伝統技法を土台としながら、新しい技法を融合させていくというスタイルが提唱されました。この代表的なシェフが、ジョエル・ロブションやアラン・デュカス、ピエール・ガニェールです。再びバターや伝統的なソースの重要性が認識され、いずれも三ツ星シェフとして世界的な名声を博しました。
フランスの伝統的高級料理は、オートキュイジーヌといいます。1900年頃にフランス人シェフのオーギュスト・エスコフィエがそれまでの宮廷料理などを集大成し、スタンダードとして確立させました。
エスコフィエが確立したオートキュイジーヌは、現代でもフランス料理の基礎とされており、著書「料理の手引き」はバイブル化されています。元々が宮廷料理のため、濃厚でこってりしたソースが主体の料理です。オートキュイジーヌが、あまりにも洗練された料理体系であったため、料理人の自由な発想を制限してしまう大きな壁として、立ちはだかっていました。
そこに突如として現れた新しいブームが、ヌーベルキュイジーヌです。食材の自然な味を重視し、脂や塩分を抑えた身体に良い料理方法は、オートキュイジーヌを部分的に否定するものでした。盛り付けにも徹底的にこだわり、大きな器に斬新な食材を少量盛り付けるといった方法は、料理自体を芸術の域に高めたという違いがあります。
ヌーベルキュイジーヌの確立に大きな影響を与えたのは日本料理でした。バターやクリームを使用したソースが、食材を覆うそれまでのフランス料理から、現代の健康志向の生活スタイルに合わせるという流れのきっかけとなりました。つまり、食材やソースを何層にも重ねていく従来のフランス料理に、日本料理が多大な影響を与えたのです。
ヌーベルキュイジーヌには、いくつかの特徴があります。
ひとつは、料理を過度に複雑化することをやめ、できるだけシンプルにすることを目指します。次に食材の持っている本来の味が損なわれないよう加熱調理時間を短縮し、自然の味を残すことを心がけます。3つ目は、流通が発展したことにより、新鮮な食材が市場に並ぶようになったため、市場でできるだけ新鮮な食材を選び、その食材の料理を考えるということです。新鮮な食材をシンプルな方法で調理するという考え方は、メニューの簡素化にもつながりました。4つ目は、肉などに施す過度な熟成をやめることです。これまでのフランス料理は、ギリギリまで肉を熟成させる方法が採られていました。これは鮮度の良くない食材を美味しく食べるための苦肉の策でもありました。流通の進歩で新鮮な食材が入手できるようになったこともあり、過度な熟成は徐々になくなりました。5つ目は、濃くて重いソースではなく、脂肪分を控えたソースを用いることです。ソースが主役のフランス料理は、ソースにとろみを付けるために小麦粉とバターを使用したルーを用いていました。ヌーベルキュイジーヌでは、野菜や果物のピューレでとろみを付け、脂肪分を控えたソースを用います。6つ目は、新しい調理技法を取り入れることです。食材の持つ本来の味を活かし、シンプルな料理を作るため、ヌーベルキュイジーヌでは新しい調理技法や器具も積極的に取り入れています。食材の食感に影響し、パフォーマンスで食べる人が驚きを感じる液体窒素や海藻の成分であるアルギン酸ナトリウムを用いた料理、さらには泡状化機器や粉砕加熱器、冷凍粉砕器なども使用されています。最後は、料理の創造性を追求することです。オートキュイジーヌがあまりにも完成されたものだったため、料理人は創造性を失っていました。ヌーベルキュイジーヌでは、絶えず創作意欲を燃やすことに注力しています。
ヌーベルキュイジーヌとは、1960〜70年代にフランスで創作されたフランス料理の新しい料理法です。伝統的な高級フランス料理オートキュイジーヌは、こってりとした濃厚な味わいで、いかにも贅沢な雰囲気に対し、ヌーベルキュイジーヌは食材のもつ自然な風味を重視しています。
ヌーベルキュイジーヌの確立に大きな影響を与えたのは日本料理でした。バターやクリームを使用したソースが、食材を覆うそれまでのフランス料理から、現代の健康志向の生活スタイルに合わせるという流れのきっかけとなりました。
ヌーベルキュイジーヌの特徴は、料理を過度に複雑化せずにできるだけシンプルにすること、食材の持っている本来の味が損なわれないよう加熱調理時間を短縮し、自然の味を残すこと、市場でできるだけ新鮮な食材を選び、その食材の料理を考えること、肉などに施す過度な熟成をやめること、濃くて重いソースではなく、脂肪分を控えたソースを用いること、新しい調理技法を取り入れること、そして料理の創造性を追求することです。
2020年11月26日
【ひとりひとりができること】食の問題点と解決方法
食生活の不規則化や生活習慣病、食料自給率など、さまざまな食にまつわる問題があります。その背景には、飽食や食文化の変化などがあります。
現在、朝食を食べない人がたくさんいます。朝食を食べない理由としては、「寝坊」、「いつも食べないから」などといった時間や習慣によるものが多数を占めます。また、「食欲がない」など体調面もあり、「ダイエットのため」という意見もあります。朝食を食べないことで、脳のエネルギー源が不足するため、集中力や記憶力の低下につながります。この解決方法としては、規則正しい生活をすることです。規則正しい生活により、体内時計が整い生活リズムが定着します。
厚生労働省は、野菜を1日に350g以上摂取することを目標としていますが、現在の摂取量の平均値は280gに留まっているが現状です。偏食を克服するためには、栄養バランスについて理解し、主食、主菜、副食をバランス良く食べることです。
生活習慣病は、食事や運動不足、喫煙や飲酒などの生活習慣が原因で発症する疾患のことです。特に肥満は、生活習慣病と密接な関係にあり、肥満の人は生活習慣病が悪化しやすくなります。バランスの優れた食事だけでなく、適度な運動を取り入れることで、健康の維持だけでなく、ストレスの発散にも効果があります。
国内で消費された食料のうち、国産の占める割合のことを食料自給率といいます。農林水産省の発表によれば、2018年度の日本の食料自給率は37%(カロリーベースによる試算)と過去最低を記録しています。日本の食料自給率が下がってしまった要因として考えられているのが、食生活の欧米化です。食料自給率が改善しない理由としては、高齢化による農業生産者の減少とそれに伴う耕作放棄地の増加といった農業そのものの衰退が挙げられます。農産物の生産量を向上させる方策としては、スマート農業の活用があります。また、ひとりひとりが日本の伝統的な食生活を見直し、大切にすることも食料自給率の改善に効果があるかもしれません。
現在、朝食を食べない人がたくさんいます。厚生労働省の統計によると朝食を食べないというのは、「なにも食べていない」、「菓子や果物のみ」、「錠剤のみ」の場合のことを指しており、最も多い20歳代では、男性の30%、女性の24%が朝食を食べていません。年齢を重ねるごとに朝食を食べない人は、減少していますが、全体的に男性のほうが朝食を食べていない人が多い印象です。
朝食を食べない理由としては、「寝坊」、「いつも食べないから」などといった時間や習慣によるものが多数を占めます。また、「食欲がない」など体調面もあり、「ダイエットのため」という意見もあります。
実家で暮らしている人や既婚者の場合には、朝食を食べる人の割合が多くなりますが、未婚の一人暮らしは、朝食を食べる機会が少なくなっています。20歳代に朝食を食べない人が多い理由としては、一人暮らしや社会人になったばかりで忙しく、食べる時間も寝ていたいなどです。
朝食を食べないことで、脳のエネルギー源が不足するため、集中力や記憶力の低下につながります。 さらに脳にエネルギーが供給されないため、イライラや仕事がはかどらないといった弊害を招きやすくなります。
この解決方法としては、規則正しい生活をすることです。規則正しい生活により、体内時計が整い生活リズムが定着します。また、きちんと食べて十分な睡眠をとることで、健康的な生活をおくることができます。
厚生労働省は、野菜を1日に350g以上摂取することを目標としていますが、現在の摂取量の平均値は、朝食53g、昼食70g、夕食157gの合計280gに留まっており、目標の350gまで達していないのが現状です。
その上、朝食を摂取しない人の場合、より野菜不足が深刻となるかもしれません。
野菜不足に限らず、コンビニのお弁当やインスタント食品など手軽に食べられるものだけを摂取する人が増えています。このような食事では、野菜をあまり摂取することができないだけでなく、栄養バランスが崩れ、脂質過多や塩分が高い食事になってしまいます。
偏食を克服するためには、栄養バランスについて理解することです。一汁三菜を心がけて栄養を摂取すること、すなわち主食、主菜、副食を適切に食べることです。主食、主菜、副食から糖質やタンパク質、ビタミンやカルシウムなどをバランス良く摂取していくことが欠かせません。
生活習慣病は、食事や運動不足、喫煙や飲酒などの生活習慣が原因で発症する疾患のことです。食生活が原因で発症する疾患は、肥満や高血圧、高脂血症、糖尿病、歯周病などがあり、進行すると心筋梗塞や脳血管障害などを発症するリスクが高くなります。
特に肥満は、生活習慣病と密接な関係にあり、肥満の人は生活習慣病が悪化しやすくなります。そうなると病気の進行だけでなく、動脈硬化などを引き起こすことにもなります。そのため、肥満は未然に防ぐことが重要で、放置できない問題です。
生活習慣病と密接に関係している肥満は、統計から見ても年々増加傾向にあります。男性の場合、30〜60歳代の約3割が肥満、70歳代の約2割が肥満となっています。女性の場合、60〜70歳代の約3割が肥満で、年齢を重ねるごとに肥満の割合が高くなっています。
年齢を重ねるごとに体への負担は大きくなり、生活習慣病の悪化が懸念されます。回復も遅れ、最悪の事態に陥ることもあるため、注意が必要です。
また、糖尿病は血糖値が高い状態のことを指します。原因としては、血糖値を下げるインスリンが不足している、あるいは効きにくい状態にあることです。インスリンが不足する、あるいは効きにくい状態にある理由は、遺伝的な面もありますが、生活習慣病やストレス、加齢などが影響を及ぼしています。特に脂質が蓄積して肥大化した大型脂肪細胞は、インスリンが効きにくい物質を分泌します。
糖尿病になると合併症が起こる可能性が高まります。しかし、血糖値をコントロールすることで合併症を防ぎ、あるいは合併症の進行を抑えることもできます。合併症には、糖尿病腎症や糖尿病網膜症、糖尿病神経障害などがあり、動脈硬化も起きやすくなります。
バランスの優れた食事だけでなく、適度な運動を取り入れることで、健康の維持だけでなく、ストレスの発散にも効果があります。
※気になるときはまず行動
気になるときは、まず行動です。行動しなければ、何も始まりません。行動することが何よりも一番の近道です。満足できなければ、納得して次回は別のものを試すことができます。
国内で消費された食料のうち、国産の占める割合のことを食料自給率といいます。農林水産省の発表によれば、2018年度の日本の食料自給率は37%(カロリーベースによる試算)と過去最低を記録しています。これは日本で食べられているもののうち、37%が国内で生産されたもので、残りの63%は海外からの輸入に頼っているということになります。
日本の食料自給率は、主要先進国のなかでも最低の水準です。そのため、海外依存度が高ければ高いほど、輸入元の不作や情勢の変化により、輸入ができなくなると、途端に食料不足に陥ることになります。
戦後1946年度の日本の食料自給率は、88%でした。以降緩やかに下がり始め、2000年度以降は40%前後でほぼ横ばいに推移しています。一方、農林水産省の試算によると、カナダは264%、オーストラリア224%、アメリカ130%、フランス127%となっており、日本との差は歴然としています。
日本の食料自給率が下がってしまった要因として考えられているのが、急激な食生活の変化です。かつて、日本人の主食といえばお米でしたが、次第に豊かになっていくと食生活の欧米化が進みました。お米の消費が減る中、肉やパンの需要が急激に増えることになりました。
品目別の自給率として、お米の自給率は100%ですが、牛肉36%、豚肉49%、鶏肉64%となっています。これら肉類は、外国産の飼料で育てられたものを省くとさらに低下します。また、小麦14%、大麦9%、大豆7%、果実38%、魚介類55%、砂糖34%、油脂類13%となります。
そもそも食料自給率は、どのように計算されているのでしょうか。日本で採用されているのが、カロリーベースの食料自給率です。これは、それぞれの品目の重さを、人が生きていくのに必要なカロリーを基準にして割り出しています。
食料自給率の算出に、このカロリーベースを採用することについて問題が指摘されることも少なくありません。輸入された餌で育った牛や豚や鶏などは、国内で育てられても算入しないのが、カロリーベースにおける食料自給率の特徴です。食べられずに廃棄された食料も含まれるため、年間2,000万トン前後もの食品廃棄のある日本では、必然的に自給率が低くなります。そのため、いわゆる食品ロスを減らした方が自給率自体のアップにつながるとの指摘もあるくらいです。
主要先進国をはじめ、国際的に主流となる算出方法は、生産額ベースの食料自給率です。これは、それぞれの品目の重さを、生産額を基準にして割り出しています。これに基づけば、日本の食料自給率は2018年度で66%となります。各国の自給率を生産額ベースでみると、カナダ121%、オーストラリア128%、アメリカ92%、フランス83%。イタリア80%、ドイツ70%。イギリス58%となります。
食料自給率が改善しない理由としては、高齢化による農業生産者の減少とそれに伴う耕作放棄地の増加といった農業そのものの衰退が挙げられます。そのため、食料自給率の好転に向けた対応策が進められています。
農産物の生産量を向上させる方策としては、スマート農業の活用があります。高齢化が進む農業の担い手に対して、労力を軽減し、増え続ける耕作放棄地を少人数で活用して収量を上げ、収入増加と収益アップを図るべく、ドローンやロボットなどによる農作業の省力化、新規就農者の経験不足を補うAI技術などが導入され始めています。
また、ひとりひとりができることは小さなことかもしれませんが、日本の伝統的な食生活を見直し、大切にすることも食料自給率の改善に効果があるかもしれません。
食生活の不規則化や生活習慣病、食料自給率など、さまざまな食にまつわる問題があります。その背景には、飽食や食文化の変化などがあります。
現在、朝食を食べない人がたくさんいます。朝食を食べない理由としては、「寝坊」、「いつも食べないから」などといった時間や習慣によるものが多数を占めます。また、「食欲がない」など体調面もあり、「ダイエットのため」という意見もあります。朝食を食べないことで、脳のエネルギー源が不足するため、集中力や記憶力の低下につながります。この解決方法としては、規則正しい生活をすることです。規則正しい生活により、体内時計が整い生活リズムが定着します。
厚生労働省は、野菜を1日に350g以上摂取することを目標としていますが、現在の摂取量の平均値は280gに留まっているが現状です。偏食を克服するためには、栄養バランスについて理解し、主食、主菜、副食をバランス良く食べることです。
生活習慣病は、食事や運動不足、喫煙や飲酒などの生活習慣が原因で発症する疾患のことです。特に肥満は、生活習慣病と密接な関係にあり、肥満の人は生活習慣病が悪化しやすくなります。バランスの優れた食事だけでなく、適度な運動を取り入れることで、健康の維持だけでなく、ストレスの発散にも効果があります。
国内で消費された食料のうち、国産の占める割合のことを食料自給率といいます。農林水産省の発表によれば、2018年度の日本の食料自給率は37%(カロリーベースによる試算)と過去最低を記録しています。日本の食料自給率が下がってしまった要因として考えられているのが、食生活の欧米化です。食料自給率が改善しない理由としては、高齢化による農業生産者の減少とそれに伴う耕作放棄地の増加といった農業そのものの衰退が挙げられます。農産物の生産量を向上させる方策としては、スマート農業の活用があります。また、ひとりひとりが日本の伝統的な食生活を見直し、大切にすることも食料自給率の改善に効果があるかもしれません。
2020年11月25日
【日本の美意識】わびさび
「わびさび」とは、どのような意味を持つのでしょうか。どうやらわびさびという言葉の意味が分からないということも、よくあるようです。
わびさびは、日本の好みや美の基準に今も影響を与える日本の美意識の根幹とされ、不十分のなかに心の充足をみいだそうとする意識です。閑寂の中に、奥深いものや豊かなものがおのずと感じられる美しさを指します。そのため、はかなさや哀愁、自然などの美を不十分な姿で良しとしています。
わびさびは、不十分なままで良しとしていることから、そこに想像の入り込む余地が生じ、想像力が刺激されることになります。
わびさびの概念は、中国は宋の時代に道教から生まれ、禅仏教に取り込まれました。そもそもは、禁欲的かつ控えめに美を感じる方法として捉えられていました。道教では、完璧なものには、それ以上の成長や発展がないため、完璧はすなわち死に相当すると考えられています。完璧を求め、完璧な状態を維持しようと努力する姿勢は、あまりに完璧を重視するあまり、結果的に変化と成長の喜びを失ってしまいます。
わびさびという言葉の由来は、侘しさと寂しさを表す日本語です。この世のものは、経年変化によりさびれます。これは劣化を意味しますが、逆にその変化が織りなす多様で独特な美しさをさびといいます。さびれを受け入れ、さびの美しさを見出す心がわびです。
わびさびと聞くと茶道を思い浮かべるかもしれません。
室町時代の貴族や武士の間では、中国の豪華な茶器を集める美術品鑑賞としての茶の湯が広まりました。室町時代中期以後は、茶人村田珠光によって、簡素で静寂さを感じる道具を使って行う新しいお茶の礼式がつくられました。これが「わびちゃ」です。
わびちゃは、不十分を肯定し、簡素で閑静を楽しむ茶の湯のことです。
村田珠光は、満月のこうこうと輝く月よりも、雲の間に見え隠れする月の方が美しいと述べています。このことからも、不足した美を楽しむ精神が見受けられます。
村田珠光の茶の湯をさらに深めたのが、堺の豪商武野紹鴎です。この武野紹鴎に茶の湯を学んだのが千利休となります。千利休は、心の交流を中心とした茶の湯を目指します。さらに数々の道具を創造することで、今までの茶の湯には見られなかった独創性を開花させ、わびちゃを大成しました。
「古池や蛙飛び込む水の音」、「閑さや岩にしみ入る蝉の声」でお馴染みの松尾芭蕉は、さびを作者の心情に表すものとして、積極的に志向していました。当時、華やかさがもてはやされていた俳諧において、さびを織り込んだ芭蕉の俳句は、衝撃的でした。
わびの精神をつくり出しているものは、木や土、石、そして各種の食材などの自然のものです。食品においては、食材を使って、本来持っている色や形、質感、味、香りなどを引き出して表現することによって得られる美しさが、わびの心髄といったところでしょうか。自然の中に見られる美ですが、自然に置かれている状態の美というよりは、食材の持つ良さを最大限に引き出そうとする人の手が加わることによって生れる美しさです。極めて人工的なものを排除し、ある面では見た目が悪いとも感じられる質素さと美しさの両方を兼ね備えた絶妙な美しさを意味しています。
さびは、時間が経過することによって引き出されてくる美意識を意味します。食品においては、強いて言えば熟成させることによって醸し出される味や香りといったところでしょうか。
わびさびの不十分なままで良しとする美意識が、想像力をかきたて、新たな食品の開発をかきたてるかもしれません。
わびさびは、日本の好みや美の基準に今も影響を与える日本の美意識の根幹とされ、不十分のなかに心の充足をみいだそうとする意識です。閑寂の中に、奥深いものや豊かなものがおのずと感じられる美しさを指します。そのため、はかなさや哀愁、自然などの美を不十分な姿で良しとしています。
わびさびは、不十分なままで良しとしていることから、そこに想像の入り込む余地が生じ、想像力が刺激されることになります。
2020年11月24日
【味の虜】老若男女を魅了して止まない「棒」の正体
棒状の食べ物といったら何を連想しますか。ある調査によると棒状の食べ物ランキングの1位はロールケーキ、2位うまい棒、3位フランクフルト、4位チュロス、5位エクレアとのことです。
駄菓子に絞り込めば、1位は「うまい棒」です。これほど美味い棒は、世界広しといえども見当たりません。
うまい棒が美味い理由は、豊富なラインアップで人が好むあらゆる嗜好をカバーしていること、抜群の価格設定で選ぶ楽しさを提供していること、パッケージが面白いことです。豊富なラインアップを揃えるために、味にこだわった開発が繰り返されます。大切なことは、1本だけ食べてもらうのではなく、1本食べ終わったあとにもう1本食べてもらえる味かどうかです。10円のうまい棒は、子供たちが自分で選んで自分で買えるもの、100円のスナックを買うよりも、うまい棒を10本買った方が楽しいと思えるものをコンセプトとしています。パッケージにはオリジナルキャラクターが描かれ、子供たちが親しみやすく、覚えてもらいやすい工夫を施しています。
棒状の食べ物といったら何を連想しますか。ある調査によると棒状の食べ物ランキングの1位はロールケーキ、2位うまい棒、3位フランクフルト、4位チュロス、5位エクレアとのことです。
駄菓子に絞り込めば、1位は「うまい棒」です。これほど美味い棒は、世界広しといえども見当たりません。うまい棒を見かけると、すぐに唾液腺から唾液が分泌され、走っているだけで楽しかったあの頃の懐かしさがこみ上げてきます。既に何本食べたのかわからないくらい食べています。うまい棒は、全国の老若男女をとりこにしてやまない、まさに駄菓子の王様です。
また、駄菓子は人の心を和ませることだけでなく、その活躍の場を広げ、老人ホームなどでも利用されています。アメリカの精神科医が提唱した、回想法という療法によると、子供の頃のことを思い出し、楽しい時間を過ごすことで、認知症などの予防や治療に役立つとのことです。
うまい棒をはじめ、キャベツ太郎、蒲焼さん太郎など時代を越えて親しまれている駄菓子の企画から販売までを手掛けているのは、株式会社やおきんです。やおきんは、美味しい駄菓子が大好きな子供たちの夢を一身に背負った製品を、いつも変わらずに子供たちへ届けてくれています。
うまい棒が発売以来10円という抜群な価格を維持できているのは、さまざまな企業努力のたまものです。製造ラインをフル回転させるために製品のラインアップを拡充し、原材料や包装資材は、大量発注によりコストを抑えています。
品質管理には手間とコストを惜しみません。味にこだわり、割れにくく、口に入れたときのサクサクとした食感を大切にし、湿気などから風味の劣化を防ぐためにアルミ蒸着フィルムを使っています。
うまい棒は、なぜあんなに美味いのでしょうか。その理由を探ってみました。
・豊富なラインアップで、人が好むあらゆる嗜好をカバー
何味のうまい棒がお好みでしょうか。人気のベスト3は、めんたい味、チーズ味、コーンポタージュ味です。子供に限るとコーンポタージュ味が人気ナンバーワンとなります。
うまい棒は、現在23のラインアップがあります。毎年1〜2種類の製品が加わりますが、反応があまりよくなければ、1年以内に終売となることもあります。当初はこれほどたくさんの種類を販売する予定ではありませんでした。うまい棒が発売された当初は、売上の波が激しく、一時的に人気が出た製品が下火になると、当然製造ラインが稼働しません。この製造ラインをなんとか稼働させるためにも、そしてあらゆる嗜好に応えるためにも、さまざまな製品を開発しました。製造ラインをフル稼働させ、たくさんつくることで、価格を据え置くことにもつながりました。
また、この開発から、牛タン塩味やシュガーラスク味、さとうきび味など個性的な味がたくさん生まれました。このようなアイデアは、短期的で終わってしまう製品にならないように、味にこだわった開発が繰り返されます。大切なことは、1本だけ食べてもらうのではなく、1本食べ終わったあとにもう1本食べてもらえる味かどうかです。
・抜群の価格設定で選ぶ楽しさを提供
10円のうまい棒は、子供たちが自分で選んで自分で買えるもの、100円のスナックを買うよりも、うまい棒を10本買った方が楽しいと思えるものをコンセプトとして誕生しました。
発売からおおよそ40年を経て、原材料のとうもろこしの値上がりにも、内容量を調整することで乗り越え、10円を守り続けています。そのために原材料メーカーや資材メーカーとも協力して、原材料を多く調達することでコストダウンを図り、フィルムや段ボールなどの資材は大量生産を可能にすることでコストの対策に取り組みました。。
一方、味や品質を向上できるポイントがあれば、むしろコストをかけることもあります。うまい棒には真中に穴が空いています。この穴を空けるにはコストがかかりますが、穴を空けることで食感がよくなります。このことは割れにくさにもつながり、結果として不良品が少なくなることで、コストダウンに寄与しました。
包装には、アルミ蒸着フィルムを採用し、湿気などから品質の劣化を防いでいます。以前よりもコストはかかりますが、賞味期限が伸びることから長期的には利点となります。
・パッケージの面白さ
うまい棒は、味や品質のみならず、パッケージもこだわっています。
パッケージは、基本的に派手な色使いで、楽しそうなイラストが入っています。これは、遠足で駄菓子をみんなで騒ぎながら食べることを想定し、楽しさを演出しています。そして、うまい棒はその一番でありたいというやおきんの願いが込められています。
レトロなイラストは、細部を変更するなどリニューアルが施されていますが、ロゴマークとキャラクターは、多くの世代にうまい棒を認識してほしいということから、発売以来ほとんど変わっていません。
さらにパッケージには、オリジナルキャラクターが描かれています。このことは、子供たちに親しみやすく思ってもらい、覚えてもらいやすくするためです。うまい棒のパッケージに描かれている「うまえもん」は、ラインアップが増えても継続してパッケージに登場し続けたので、かなり印象づけられています。うまえもんのプロフィールによると、妹のうまみちゃんに甘くて、ついなんでも言うことを聞いてあげてしまい、ちょっと振り回されているとのことです。めちゃくちゃモテるイケメンの設定で、ガチャピン並みになんでもでき、ある時はサッカー選手、ある時はサーカスで一輪車に乗りながら綱渡り、ある時は武将などなれないものはありません。趣味はコスプレで、誕生日は1978年9月13日です。
もともと駄菓子屋で売られている駄菓子であったことから、積極的な広告展開は行われませんでした。しかし、流通経路が駄菓子屋からスーパーやコンビニへと広がったことをきっかけに、多くの人が知る人気駄菓子へと成長しました。
認知度が徐々に高まるにつれ、うまい棒のキャラクターを使用した製品やうまい棒自体をパロディとして扱った製品が多数発売されました。それに伴い、積極的なプロモーションをおこなわずとも、人気はますます深まりました。
また、継続的に新しい味を出し続けることで、子供たちを中心にいつの間にか新しい味を楽しみに待つようになるという独特のコミュニケーションが図られ、認知度の向上に寄与したことも、付け加えておきます。
棒状の食べ物といったら何を連想しますか。ある調査によると棒状の食べ物ランキングの1位はロールケーキ、2位うまい棒、3位フランクフルト、4位チュロス、5位エクレアとのことです。
駄菓子に絞り込めば、1位は「うまい棒」です。これほど美味い棒は、世界広しといえども見当たりません。
うまい棒が美味い理由は、豊富なラインアップで人が好むあらゆる嗜好をカバーしていること、抜群の価格設定で選ぶ楽しさを提供していること、パッケージが面白いことです。豊富なラインアップを揃えるために、味にこだわった開発が繰り返されます。大切なことは、1本だけ食べてもらうのではなく、1本食べ終わったあとにもう1本食べてもらえる味かどうかです。10円のうまい棒は、子供たちが自分で選んで自分で買えるもの、100円のスナックを買うよりも、うまい棒を10本買った方が楽しいと思えるものをコンセプトとしています。パッケージにはオリジナルキャラクターが描かれ、子供たちが親しみやすく、覚えてもらいやすい工夫を施しています。
うまい棒の認知度の向上には、流通経路が駄菓子屋からスーパーやコンビニへと広がったこととキャラクターのうまえもんの活躍によるものです。
小腹がすいたら、間食として目の前のコンビニでも買えるうまい棒はいかがでしょうか。1本では止まらないかもしれません。
2020年11月23日
【刮目】視力低下の要因と視力回復が期待される食材
現在はパソコンやスマートフォンなどで目に負担をかけることが非常に多くなり、日本人の約4割がメガネやコンタクトレンズを使用しています。視力の低下は、主に生活習慣が引き起こしています。
そもそも視力がなぜ低下するのかというと、ピントを調節する筋肉が凝り固まってしまうからです。目は、毛様体筋と呼ばれる筋肉によってピントを調節しています。しかし、その筋肉がさまざまな要因で凝り固まってしまうと、自由にピントの調節ができず、視力の低下を引き起こします。毛様体筋が凝り固まる要因としては、遺伝や照明、一定の場所を長時間見続けることです。普段から姿勢や照明に注意し、パソコンなどを長時間使用する場合は、合間に遠くを見たりすることが大切です。
生活習慣で低下した視力は、同様に食事などの生活習慣で改善することが可能です。
視力回復が期待される食材としては、アントシアニンを含むブルーベリー、ルテインを含むケールやモロヘイヤ、ホウレンソウ、小松菜、アスタキサンチンを含むサケやエビなどです。ブルーベリーに含まれるアントシアニンは、ポリフェノールの一種で、体内ではロドプシンという視覚に関与するたんぱく質の合成に影響し、目の機能改善や視力低下の防止、白内障予防にも効果があることから、目に良いと言われています。ケールやモロヘイヤ、ホウレンソウに含まれるルテインには、水晶体や網膜の酸化を防止する働きがあります。また、紫外線のダメージから目を守り、白内障や黄斑変性症の予防にも効果が期待されています。アスタキサンチンは、筋肉の弛緩作用があり、目の調節に関与する毛様体筋の疲労を防ぎ、遠近を識別する視力検査でも目の機能の向上が認められることから、目の疲労回復に効果があることが期待されています。
視力の低下が気になる場合、普段の食事の中に視力を回復させる食材を取り入れてみてはいかがでしょうか。メガネやコンタクトレンズの煩わしさから解放されるかもしれません。
現在はパソコンやスマートフォンなどで目に負担をかけることが非常に多くなり、日本人の約4割がメガネやコンタクトレンズを使用しています。同じ姿勢で同じ作業をし続けることも、おのずと眼精疲労を引き起こし、視力低下の大きな原因となります。視力の低下は、主に生活習慣が引き起こしています。
そもそも視力がなぜ低下するのかというと、ピントを調節する筋肉が凝り固まってしまうからです。目は、毛様体筋と呼ばれる筋肉によってピントを調節しています。しかし、その筋肉がさまざまな要因で凝り固まってしまうと、自由にピントの調節ができず、視力の低下を引き起こします。毛様体筋が凝り固まる要因としては、遺伝や照明、一定の場所を長時間見続けることです。視力低下の要因の10%は遺伝と考えられており、既に原因となっている遺伝子が特定されています。また、現代では照明技術が向上しており、夜も強い光を浴びています。子供の頃から夜にも強い光を浴びているため、目に影響を与え、視力の低下を引き起こしている可能性があります。さらに同じ場所を一定時間見つめ続けると、毛様体筋が一定に保たれてしまい、収縮をしなくなります。同じ姿勢でずっと作業をしていると肩こりを起こすのと同じです。寝転がってテレビを見る、あるいは本を読んでいると、片方の目で見ている対象への距離が左右で異なり、どちらかが見えにくくなることもあります。
普段から姿勢や照明に注意し、パソコンなどを長時間使用する場合は、合間に遠くを見たりすることが大切です。
レーシック手術で視力を回復する人も増えていますが、生活習慣で低下した視力は、同様に食事などの生活習慣で改善することが可能です。
普段の食事の中に視力を回復させる食材を取り入れてみてはいかがでしょうか。
ブルーベリーはその名の通り、印象的な濃い青紫色の果実です。この青紫色の色素であるアントシアニンが、目に良いと言われる成分のひとつです。アントシアニンは、ブルーベリーだけが含有する成分ではなく、ナスや紫いもなどにも含まれていますが、ブルーベリーはほかの果物や野菜に比べて、含有量が高いことで知られています。
アントシアニンは、ポリフェノールの一種で、体内ではロドプシンという視覚に関与するたんぱく質の合成に影響し、目の機能改善や視力低下の防止、白内障予防にも効果があることから、目に良いと言われています。
人は目に入ってきた情報を網膜に映し出し、それを脳に伝えることで、見えると感じます。情報を伝えるときに、網膜にあるロドプシンが分解と合成を繰り返します。視覚に大きく関与するロドプシンは、疲れや加齢により、その機能が低下します。そうなると、目がかすんだり、ぼやけたりします。アントシアニンは、ロドプシンの分解と合成を助ける機能があります。
最近の研究では、アントシアニンがブルーライトから目を守ってくれるという結果も報告されています。
ブルーベリーは、アントシアニンだけでなく、ビタミンEやビタミンCも含有しています。アントシアニンに加え、これらのビタミンは、体内で発生する活性酸素を除去する抗酸化作用があります。紫外線やストレスなどで体内に発生した活性酸素は、細胞や血管など体のさまざまなところにダメージを与えます。
ブルーベリーは丸ごと全部食べられるため、無駄なく栄養を摂取することができます。
ケールやモロヘイヤ、ホウレンソウに含まれるルテインには、水晶体や網膜の酸化を防止する働きがあります。また、紫外線のダメージから目を守り、白内障や黄斑変性症の予防にも効果が期待されています。
ルテインは、カロテノイドと呼ばれる天然色素です。カロテノイドには、β-カロテンやゼアキサンチンなどがあり、全部で600種類以上もあるといわれています。ルテインは緑黄色野菜に多く含まれ、体内では特に目の水晶体や黄斑部などに存在しています。
ただし、体内で合成できない成分のため、食事などから摂る必要があります。
ケールには、100gあたり21.9mgのルテインが含まれています。これは、野菜の中でもトップクラスの含有量です。ケールには、ルテインのほかにもビタミンやミネラルなどさまざまな栄養が含まれています。ケールは、青汁に使われることが多い野菜です。
モロヘイヤには、100gあたり13.63mgのルテインが含まれています。モロヘイヤは、茎を取り除き、ゆでてから刻むことでねばねばになります。主におひたしやスープに使用されています。
ホウレンソウには、100gあたり4.51mgのルテインが含まれています。1年中いつでも手に入りやすい野菜です。おひたしやナムルなどの和え物、ハムや卵との炒め物などさまざまな食べ方ができます。
小松菜には、100gあたり7.59mgのルテインが含まれています。茹でておひたしにするのはもちろん、汁物や炒め物にも使うことができます。
アスタキサンチンは、筋肉の弛緩作用があり、目の調節に関与する毛様体筋の疲労を防ぎ、遠近を識別する視力検査でも目の機能の向上が認められています。つまり、目の疲労回復に効果があることが期待されています。
アスタキサンチンは、サケやエビなどに多く含まれている赤色の色素です。アスタキサンチンは、動植物に広く分布しています。アスタキサンチンは、活性酸素を除去する抗酸化作用があります。
さらに、近年増加している糖尿病にも効果があるとの報告があります。糖尿病の合併症には、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症などがあります。糖尿病性網膜症は失明につながり、糖尿病性腎症も網膜に悪影響をきたすなど、目の機能に関連する大きな問題です。この両方に効果が認められたとの報告があります。
アスタキサンチンを100gあたり多く含む食材としては、桜エビ7.0mg、キムチなどに使用するオキアミ4.0mg、紅サケ2.5〜3.7mgなどです。なお、サケのアスタキサンチンは、主にサケが食べるヘマトコッカスという藻に由来します。
このほかに目に効果のある成分として、ビタミンAやビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンE、DHAなどがあります。ビタミンAには抗酸化作用があり、目の細胞や網膜の新陳代謝を促してくれます。ビタミンB1は、目から脳に通じる神経の伝達を維持します。ビタミンB2は、網膜や粘膜を保護し、目の細胞の再生を促します。ビタミンB12は、視神経の働きを活性化させ、正常化します。ビタミンCは、抗酸化作用により水晶体の酸化を防ぎます。ビタミンEは、血行を促進し目の老化を防止するとともに眼精疲労やドライアイを予防します。青魚などに含まれるDHAは、網膜細胞を正常な状態に保ちます。
なお、目に良いからといって、これらの栄養素が含まれている食材ばかり食べればいいというわけではありません。バランスの優れた食生活が大切です。
現在はパソコンやスマートフォンなどで目に負担をかけることが非常に多くなり、日本人の約4割がメガネやコンタクトレンズを使用しています。視力の低下は、主に生活習慣が引き起こしています。
そもそも視力がなぜ低下するのかというと、ピントを調節する筋肉が凝り固まってしまうからです。目は、毛様体筋と呼ばれる筋肉によってピントを調節しています。しかし、その筋肉がさまざまな要因で凝り固まってしまうと、自由にピントの調節ができず、視力の低下を引き起こします。毛様体筋が凝り固まる要因としては、遺伝や照明、一定の場所を長時間見続けることです。普段から姿勢や照明に注意し、パソコンなどを長時間使用する場合は、合間に遠くを見たりすることが大切です。
生活習慣で低下した視力は、同様に食事などの生活習慣で改善することが可能です。
視力回復が期待される食材としては、アントシアニンを含むブルーベリー、ルテインを含むケールやモロヘイヤ、ホウレンソウ、小松菜、アスタキサンチンを含むサケやエビなどです。ブルーベリーに含まれるアントシアニンは、ポリフェノールの一種で、体内ではロドプシンという視覚に関与するたんぱく質の合成に影響し、目の機能改善や視力低下の防止、白内障予防にも効果があることから、目に良いと言われています。ケールやモロヘイヤ、ホウレンソウに含まれるルテインには、水晶体や網膜の酸化を防止する働きがあります。また、紫外線のダメージから目を守り、白内障や黄斑変性症の予防にも効果が期待されています。アスタキサンチンは、筋肉の弛緩作用があり、目の調節に関与する毛様体筋の疲労を防ぎ、遠近を識別する視力検査でも目の機能の向上が認められることから、目の疲労回復に効果があることが期待されています。
視力の低下が気になる場合、普段の食事の中に視力を回復させる食材を取り入れてみてはいかがでしょうか。メガネやコンタクトレンズの煩わしさから解放されるかもしれません。
2020年11月22日
【将来の不安回避】健康に関係する食品の購買行動
あるアンケートによると、健康に関係する食品の購入動機については、今以上に健康でありたいというよりは、むしろ現在生じている健康不安を減少させたい、将来生じる可能性のある健康不安を回避したいという回答が多くなっています。このことは、将来の健康が損なわれることになれば、その損失を重く捉え、未然に回避することを表しています。つまり、健康不安を強く認識することで、健康に関係する食品の購入は、その不安を減少させ、回避することにつながります。
また、健康に関係する食品の情報の入手先は、家族からが最も高く、次いでテレビや友人、知人となっています。新聞は中高年で信頼性が高く、雑誌やインターネットの信頼性は低い傾向にあります。すなわち、信頼性が高いと判断する情報源から情報を入手していることが分かります。
日本の食の消費が飽和している今日、食の需要は全般的に減少しており、今後の人口減少や少子高齢化はその傾向を、一層促すと予測されています。しかしながら、この傾向の下で、需要の伸びが期待されているのは、健康に関係する食品です。
消費者が、健康に関係する食品、いわゆる健康食品に対し、なぜ価格が多少高くても購入するのでしょうか。それが自身や家族の健康に配慮した行動であることは推測できても、どのような健康意識に基づいているのかについては、十分に明らにされていません。また、いわゆる健康食品を購買するかどうかは、健康に関する情報に大きく左右されることが多い状況です。それは、大多数の消費者は健康に対する理解が不十分であり、いわゆる健康食品の効能についての理解も不完全だからです。
消費者のいわゆる健康食品に関する購買行動について、なぜ一般の食品と違った購買行動を取るのでしょうか。
健康に関係する食品を購入する際のあるアンケート結果によると、自身の健康状態や健康に対する意識、持っている健康に関する知識に左右されることがわかりました。ある健康食品は価格が少々高くても購入する、ある健康食品の購入はテレビや口コミなどさまざまな情報に左右される、健康食品は医薬品ではないので効果を実感できないということも明らかになりました。
健康に関係する食品の購入動機については、今以上に健康でありたいというよりは、むしろ現在生じている健康不安を減少させたい、将来生じる可能性のある健康不安を回避したいという回答が多くなっています。すなわち、将来の健康不安への漠然とした対応がいわゆる健康食品の購入を動機付けています。
このことは、将来の健康が損なわれることになれば、その損失を重く捉え、未然に回避することを表しています。つまり、健康不安を強く認識することで、健康に関係する食品の購入は、その不安を減少させ、回避することにつながります。将来の健康損失を回避する行動が、購買行動に結びついています。そのため、不安が大きいことから高価格も容認することになります。将来の健康は、現在の健康状態に強く依存していることから、将来の不安がより大きくなることを示しています。健康損失の回避について、なぜ過敏となるのでしょうか。生活をしていく上で、健康に対する意識は高く、自身でコントロールできるからかもしれません。
昨今、幸福に関する研究において、健康は生きていく上で最も重要とされています。健康は自身で管理し、自身で保有していることから、健康を失うことは強い損失感を感じることになります。つまり、健康の保有効果が、損失回避を高めています。健康の保有効果の程度は、自己の健康に対する考え方に依存しています。健康に関係する食品を継続して購入すること、健康に良くないことしたから次は健康に良いことをしようという行動は、心理的な作用によるものです。
今の健康不安や将来の健康不安が、健康に関係する食品の購入にどのように影響を与えることになるのでしょうか。健康不安に影響を与える要因として、健康に対する意識、健康に関する考え方、健康について持っている知識などがあります。健康に関係する食品の購入自体に影響を与える要因としては、その食品について持つイメージ、その食品に関して入手した情報です。
厚生労働省は、特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品、いわゆる健康食品(一般食品)に分類しています。しかし、消費者は意識して明確に購入しているわけではなく、より曖昧に考えているかもしれません。
健康に関係する食品の購入についてのあるアンケート調査によると、20〜30歳代と40歳代以上で顕著な差が見られました。若年層とそれ以降では、健康に対する考え方や意識などで明らかな差異があることが判明し,40歳代以降は健康に気をつけるようになっていることが伺えます。
また、健康不安は現在よりも将来に対して強いこと、健康に関係する食品のイメージは良く価格はあまり高くないと感じていること、健康に対する考え方は高齢者ほど強いこと、健康に関する知識は大きな差があることが明らかとなっています。
健康に関係する食品の情報の入手先は、家族からが全ての世代で最も高く、次いでテレビや友人、知人となっています。新聞は中高年で信頼性が高く、雑誌やインターネットの信頼性は全世代で低い傾向にあります。すなわち、信頼性が高いと判断する情報源から情報を入手していることが分かります。しかし、家族や友人、知人もどこからか情報を得てくるので、それがテレビやインターネットであれば、この健康情報が口コミで広がって、購入に結びつくことがあり得ることを示唆しています。
日本の食の消費が飽和している今日、食の需要は全般的に減少しており、今後の人口減少や少子高齢化はその傾向を、一層促すと予測されています。しかしながら、この傾向の下で、需要の伸びが期待されているのは、健康に関係する食品です。
あるアンケートによると、健康に関係する食品の購入動機については、今以上に健康でありたいというよりは、むしろ現在生じている健康不安を減少させたい、将来生じる可能性のある健康不安を回避したいという回答が多くなっています。このことは、将来の健康が損なわれることになれば、その損失を重く捉え、未然に回避することを表しています。つまり、健康不安を強く認識することで、健康に関係する食品の購入は、その不安を減少させ、回避することにつながります。将来の健康損失を回避する行動が、購買行動に結びついています。そのため、不安が大きいことから高価格も容認することになります。
また、健康に関係する食品の情報の入手先は、家族からが最も高く、次いでテレビや友人、知人となっています。新聞は中高年で信頼性が高く、雑誌やインターネットの信頼性は低い傾向にあります。すなわち、信頼性が高いと判断する情報源から情報を入手していることが分かります。
2020年11月21日
【真実】感動が心身の健康にもたらす影響
感動したときに、身震いや鳥肌が立ちます。この理由は、感動の多くが驚きにより発動されるからです。驚きは、動物が予期しない事態を体験したときに起こる感情以前の本能的反応です。驚きは、危機的状況であれば、恐怖や怒り、悲しみなどの感情に変化し、危機的状況と結びつかなければ、喜びや快楽へと変化します。驚きの喜びや快楽への変化が感動で、幸福や安堵、満足といった気分が湧き起こります。
感動につながる驚きを与える刺激としては、雄大な自然、絵画や音楽などの芸術、書籍や演説などの内容、人の生きる様、綺麗なものや美味しいものなどさまざまなことが上げられます。このような刺激がもたらされたときに、脳は強い感動を覚え、強い記憶として残ります。感動による強い刺激は、心臓の鼓動を早め、手に汗をかき、涙が出るなどさまざまな身体反応が現れます。この反応を司っているのは、アドレナリンというホルモンです。
感動が起こると、脳内でドーパミンというホルモンが分泌されます。このドーパミンは幸福感を司っています。また、精神的なストレス解消や免疫機能を上げることでも知られています。心身ともに健康に過ごすためには、感動するということがとても大切です。
感動したときに、身震いや鳥肌が立ちます。この理由は、感動の多くが驚きにより発動されるからです。驚きは、動物が予期しない事態を体験したときに起こる感情以前の本能的反応です。驚いた動物は、瞬間的なパニックになり、体内では交感神経が興奮してアドレナリンが血中に放出され、瞳孔を開き、鳥肌を立て、心拍数を増し血圧を上げ循環系が活発になります。
驚きは、危機的状況であれば、恐怖や怒り、悲しみなどの感情に変化し、危機的状況と結びつかなければ、喜びや快楽へと変化します。驚きの喜びや快楽への変化が感動で、生理的な興奮が心理に先行することから、身震いた鳥肌が立つなどの身体反応が起こります。そして、瞬間的なパニック状態から脱することで、幸福や安堵、満足といった気分が湧き起こって感慨が深まることが、感動です。
感動は、極度な興奮で受けたダメージを減少させ、緊張の緩和から心身に余裕をもたらします。そのため恐怖や怒りにつながらない驚きは、好奇心を駆り立てます。恐怖や怒りなどの感情は、緊張している状況で保身に集中するあまり、自閉的な思考になりがちですが、感動は周りに注意を払い、新しい情報を得ようとすることで、心を開放し覚醒につながる作用があります。
喜びや満足、幸福、安らぎなど快楽につながる驚き体験としての感動は、視野を広げ探究心や学習を促し、周囲を受け入れ、人格的成長をもたらします。このことが、人間が社会を築いてきた要因でもあります。
感動は、自分の予期しない、あるいは予期した範囲を超える危機的状況と結びつかない驚きにより起こります。感動につながる驚きを与える刺激としては、雄大な自然、絵画や音楽などの芸術、書籍や演説などの内容、人の生きる様、綺麗なものや美味しいものなどさまざまなことが上げられます。
このような刺激がもたらされたときに、脳は強い感動を覚え、強い記憶として残ります。感動による強い刺激は、心臓の鼓動を早め、手に汗をかき、涙が出るなどさまざまな身体反応が現れます。この反応を司っているのは、アドレナリンというホルモンです。
アドレナリンは、副腎皮質より分泌されるホルモンで、ストレス反応の中心的な役割を果たします。人は急激なストレス状態に陥ると、闘争か逃走を選択しなければなりません。闘争と逃走に共通することは、極度の興奮状態を必要とするということです。アドレナリンが担っている具体的な役割は、運動器官への血液供給を増大させることです。このことにより、より早く走ることなど激しい運動を可能にします。また、痛覚の麻痺なども起こし、痛みを一時的に感じなくさせることもできます。アドレナリンは、体が戦闘態勢に入って戦うため、あるいは逃げるために重要なホルモンですが、感動による強い刺激でも同じようにホルモンが分泌されます。心臓の鼓動を早める、手に汗をかくというのは、アドレナリンによるものです。
日常生活で感動を覚えることは、体にとってとても大切です。時折アドレナリンが分泌されることで、体の新陳代謝が活性化し、活力につながります。感動がない、つまりアドレナリンがあまり分泌されない生活を送っていると、いざというときに体の機能が瞬時に反応しないということにもなりかねません。
感動を覚えることは、脳にも影響を及ぼします。脳の活動は、周りからの刺激で左右されますが、あまりにも刺激が少ない生活を続けていると、脳の機能が低下してしまいます。年齢を重ねると、認知症やうつにもつながりかねません。定期的に強い感動を覚え、脳に刺激を与えることによって、眠っていた脳の機能が活性化し、日常生活にも良い影響を与えることが分かっています。
感動的なできごとにより、誰でも体が震えるような心地よさを感じ、胸が熱くなるような経験を何度となくされたことがあるのではないでしょうか。一方、悩みごとにとらわれて、体が重く感じ、気分が悪くなることもあるのではないでしょうか。このような心の動きには、脳とホルモンが関与しているといわれています。当然、良くない感情を強く持つと良くない影響があり、良い感情は良い反応があります。
感動により、心が震えるような感覚を得られるということは、それだけ強いエネルギーを持っていることです。
感動が起こると、脳内でドーパミンというホルモンが分泌されます。このドーパミンは幸福感を司っています。また、精神的なストレス解消や免疫機能を上げることでも知られています。ストレスや免疫機能の低下は、老化を促し疲弊を招きます。つまり、さまざまな病気にかかりやすくなるということです。心身ともに健康に過ごすためには、感動するということがとても大切です。
なお、プラセボ効果とは、効果のない偽薬を効き目のある薬として服用していると本人が思い込むことによって、病気がよくなることです。これは、心の作用がいかに体に影響を与えるかを示しています。
心から感動することが少なくなってきている昨今、健康のためにも、身近な自然や家族との関わりの中で感動を味わってください。
感動したときに、身震いや鳥肌が立ちます。この理由は、感動の多くが驚きにより発動されるからです。驚きは、動物が予期しない事態を体験したときに起こる感情以前の本能的反応です。驚きは、危機的状況であれば、恐怖や怒り、悲しみなどの感情に変化し、危機的状況と結びつかなければ、喜びや快楽へと変化します。驚きの喜びや快楽への変化が感動で、幸福や安堵、満足といった気分が湧き起こります。
感動につながる驚きを与える刺激としては、雄大な自然、絵画や音楽などの芸術、書籍や演説などの内容、人の生きる様、綺麗なものや美味しいものなどさまざまなことが上げられます。このような刺激がもたらされたときに、脳は強い感動を覚え、強い記憶として残ります。感動による強い刺激は、心臓の鼓動を早め、手に汗をかき、涙が出るなどさまざまな身体反応が現れます。この反応を司っているのは、アドレナリンというホルモンです。
感動が起こると、脳内でドーパミンというホルモンが分泌されます。このドーパミンは幸福感を司っています。また、精神的なストレス解消や免疫機能を上げることでも知られています。心身ともに健康に過ごすためには、感動するということがとても大切です。
心から感動することが少なくなってきている昨今、健康のためにも、身近な自然や家族との関わりの中で感動を味わってください。
2020年11月20日
【悠久の歴史に裏打ちされた】和菓子の老舗
日本には、古くから続く老舗が多いことが知られています。ひとくちに老舗と言っても、その存続年数は数世紀から100年以下までさまざまです。
老舗という言葉ひとつで、信用や技術力、ブランド、伝統などはっきりとは伝えにくい多くのことを表しています。
和菓子の老舗としては、西暦1000年に創業したあぶり餅を提供する京都の老舗や室町時代後期の京都で創業し羊羹の製造販売で広く知られた老舗、1805年に下町情緒が色濃く残る江戸東京で創業したくず餅の老舗などがあります。 悠久の歴史と受け継がれた伝統に裏打ちされた老舗の和菓子を、この機会に味わってみてはいかがでしょうか。
日本には、古くから続く老舗が多いことが知られています。最古の老舗とされるのが、飛鳥時代に聖徳太子の寺院建立にも携わった金剛組です。創業は578年です。ひとくちに老舗と言っても、その存続年数は数世紀から100年以下までさまざまです。
老舗と書いて、「しにせ」と読むのは特殊な読み方で、本来の読み方通り「ろうほ」と読んでも誤読ではありません。
老舗を名乗るための明確な基準は特にありませんが、東京商工リサーチでは創業30年以上を老舗、東都のれん会では創業から100年以上が経過し、3代以上にわたって継続している店舗を老舗と定義しています。
起業の存続率としては、創業3年で65%、創業5年で15%、創業10年で6.5%、創業20年で0.29%、創業30年で0.025%程度です。
世界的に見て創業200年を越える老舗は、アメリカで14社、オランダで200社、ドイツで800社、インド3社、台湾7社、中国9社、韓国0社、日本はなんと3,000社です。
老舗という言葉ひとつで、信用や技術力、ブランド、伝統などはっきりとは伝えにくい多くのことを表しています。
京都府京都市北区の今宮神社の旧参道にあり、あぶり餅だけを提供している和菓子店があります。創業は平安時代中期となる西暦1000年で、2020年現在、飲食店としては日本最古の老舗となります。
今宮神社は、994年に悪疫退散の祈願をしたのが始まりで、祈願には竹が使われ、餅が供えられていました。1000年に初代が、これを参拝者にふるまったことがはじまりと言われています。同店が提供しているあぶり餅は、一口大の餅を竹串に刺してきな粉をまぶして店頭で焼きます。焼き色がついたら、皿にのせほんのり甘い白味噌のタレを垂らします。
室町時代後期の京都で創業し、羊羹の製造販売で広く知られています。後陽成天皇の1586〜1611年の在位期間には、御所の御用を勤めています。1869年の東京遷都にともない、天皇にお供して、京都の店はそのままに東京にも進出し、現在に至ります。
ときは十一代将軍徳川家斉の頃、1805年にくず餅の老舗は創業致しました。初代の出身地は、千葉県北部となる下総国で、当時は良質な小麦の産地でした。初代は、寺社が梅や藤の季節に参拝客でにぎわうのを見て上京し、湯で練った小麦でんぷんをせいろで蒸し、黒蜜きな粉をかけて餅をつくり上げました。それがまたたく間に参拝客の垂涎の的となり、いつしかくず餅と名づけられ、江戸の名物のひとつに数えられる程の評判になりました。
このくず餅は、明治初頭に出たかわら版の大江戸風流くらべにおいて、江戸甘いもの屋番付に横綱として位置付けられ、名声を不動のものとしました。
老舗の200余年の歴史的背景には、さまざまな出来事がありました。 関東大震災や第二次世界大戦を乗り越え、奇跡的に発酵でんぷんだけがその被害を免れることができました。江戸時代から代々受け継がれてきたこの発酵製法こそが、唯一無二となるくず餅の製法です。
くず餅の品質を支える重要な要素は、お餅の適度なやわらかさとしなやかな歯ざわりです。それを引き出すうえで欠かせないのが、ラクトバチルスという乳酸菌です。老舗では、厳選した小麦粉のでんぷんを15カ月間(450日間)、乳酸による発酵でじっくりと熟成させます。小麦でんぷんの発酵槽は、杉や檜を使用しており、その呼吸作用などから乳酸菌の働きがより活発になり、最良の小麦でんぷんをつくり上げます。こうしてでき上がった小麦でんぷんは、澄んだ乳白色となり、ほのかにヨーグルトのような香りがします。また、老舗のくず餅の原材料である小麦でんぷんは、小麦粉からグルテンを取り除く分離行程を経たものを発酵させています。そのため、小麦粉を原材料としながらも、グルテン含有率は、計測限界値以下の3ppm未満となっています。なお、関東のくず餅は、葛を原材料とする関西のくず餅とは異なり、小麦でんぷんを原材料としています。
きな粉は、厳選された大豆を、強めに焙煎し、粗めに挽きます。大豆は栄養の宝庫といわれ、たんぱく質や食物繊維、ビタミン類を多く含む上、特にサポニンやレシチン、イソフラボンといった成分が注目を集めています。サポニンは、体内で過酸化脂質の発生を防ぎ、活性酸素を除去する働きがあります。レシチンは、体脂肪を燃焼させコレステロールを低下させる働きと脳の神経伝達物質となるアセチルコリンをつくる働きがあります。イソフラボンは、更年期障害の緩和や骨粗しょう症の予防機能を有していることが、報告されています。
黒糖蜜は、沖縄産の黒糖をベースに数種類の糖を独自にブレンドした老舗秘伝の味です。黒糖蜜は、サトウキビのしぼり汁を煮詰めたもので、カルシウムやカリウムなどのミネラルをはじめ、ビタミンを豊富に含んでいます。
くず餅を美味しく、そして安心して食べてもらえるように老舗では、職人技による五感を駆使した伝統製法と原材料の受け入れから出荷までの各工程において、品質マネジメントシステムの国際規格となるISO9001:2015を取得し、入念な品質管理を行っています。
また、老舗では、創業以来受け継いでいる考え方を従業員のひとりひとりに共有してもらうため、人材育成の環境整備に力を注いでいます。老舗の理念に従業員が共感していること、給与の明確かつ公平な評価基準を設けること、社内を活性化させるアンケートを行うこと、中長期計画をパートの方も含めた従業員に浸透させること、人は感情で動くことからイベントなど仕事から離れワクワクすることを行うことなどです。つまり、くず餅を食べてくれた人に感動してもらうため、共に働く従業員のエンゲージメント、換言すれば老舗に対する愛着心や思い入れを高めることに心血を注いでいます。
こうしてできあがったくず餅は、でき立てを自然のまま食べてもらいたいということから、消費期限はわずか2日間です。製造に450日間かけて、消費期限は2日間というこの刹那の幸福を、200年経った今も老舗は大切にしています。
日本には、古くから続く老舗が多いことが知られています。ひとくちに老舗と言っても、その存続年数は数世紀から100年以下までさまざまです。
老舗を名乗るための明確な基準は特にありませんが、東京商工リサーチでは創業30年以上を老舗、東都のれん会では創業から100年以上が経過し、3代以上にわたって継続している店舗を老舗と定義しています。
老舗という言葉ひとつで、信用や技術力、ブランド、伝統などはっきりとは伝えにくい多くのことを表しています。
和菓子の老舗としては、西暦1000年に創業したあぶり餅を提供する京都の老舗や室町時代後期の京都で創業し羊羹の製造販売で広く知られた老舗、1805年に下町情緒が色濃く残る江戸東京で創業したくず餅の老舗などがあります。
悠久の歴史と受け継がれた伝統に裏打ちされた老舗の和菓子を、この機会に味わってみてはいかがでしょうか。