2024年3月4日
罪なき国民が路上で警察官から職務質問を受けて、警察に言われるがままに荷物を見せた際に、財布の中に入れていた「お清めの塩」を違法薬物と勘違いされたのか、警察署に「任意で同行」して尿検査を受け、5時間にわたり拘束される事案が発生しました
警察官が財布の中の「塩」をみつけると簡易検査を実施しましたが、検査結果は陰性になりました。
しかし、警察官は「塩だとの確証がない」などと頭の悪い発言を繰り返し、警察署に連行したうえで、写真を撮影したり、書類を書かせたりしたということです。
警察署での尿検査でも陰性となりましたが、解放されたのは職務質問を受けてから5時間後でした。
財布に塩が入っていただけで5時間拘束された人のコメント
「警察から高圧的な態度をとられて精神的にも苦痛だったが、謝罪の一言もなかった」
職務質問を実施した警察官のコメント
「ただちに違法性は認められない」
澤井康生弁護士のコメント
「本人が強く帰宅を求めたのであれば、いったん帰らせなければ任意とは言えない」
「警察には、追尾などの他の手段も可能」
「本人を留め置いた行為は、任意捜査として許容される留め置きの限度を超えている」
法律に詳しい識者のコメント
「すべての手続きは対象者の同意を得て任意でおこなっているため、違法性は認められません。」
警察の対応に不満や苦情がある場合は、問題のある警察署に対してアクションを起こしても、その対応に疑義が生じるケースもあります。
警察法79条の規定に基づき、公安委員会に対して書面により苦情の申し立てをする制度があります。
公安委員会には、申し立てを誠実に処理し、処理結果を書面により申出者に通知する義務があります。
職務質問は警察官職務執行法2条1項に基づき、警察官が対象者の人定事項などを質問する行為です。
強制力なく、あくまで任意ということになりますが、警察官は無線で応援を呼び、任意に応じるまで対象者を長時間にわたり取り囲むことになります。
職質をかける条件としては、「犯罪を犯した後」か「これから犯罪を犯しそうに見える」のが条件となりますが、実際には警察官の主観的感想や気分により実施されるケースがあるようです。
職務質問に付随する所持品検査については、明文化された規定はありません。
古い最高裁の判例(最高裁昭和53年6月20日判決)では、職務質問に付随して任意でおこなうことができるとされています。
裁判所による捜査の適法性の判断基準
「時系列的に必要性、緊急性なども考慮した上、具体的状況のもとで相当と認められる限度内にあるか否かを判断する」
〇神戸地裁姫路支部令和2年6月26日判決
警察署に任意同行された後に帰宅の意思を表示したにもかかわらず、6時間以上にわたって留め置きされた行為の違法性が指摘された事案
国家ヤクザたる公権力によって、不当な拘束がなされていたと感じます
お清めの塩は宗教的な意味合いもあり、信教の自由の侵害にもなるのではないでしょうか