2016年02月05日
民事訴訟法 予備試験平成23年度
1 Yが平成22年4月3日に死亡していたと認められる場合、第一審の訴訟係属があったとするとその時期はZが訴状の送達を受けた同年4月7日だから、訴訟係属前にYが死亡していたことになる。そして被告がYであるとするならば、二当事者対立構造を欠き、訴訟は係属していなかったことになる。そこで、控訴審はまず本件の被告は誰かを問題にすべきである。
被告が誰かを確定する基準は、原告の意思、現実に被告として行動した者、訴状の記載などが考えられるが、訴訟開始段階と訴訟がある程度進行した段階では異なる基準を用いるのが妥当である。すなわち、訴訟開始段階での被告の確定は、訴訟要件判断の基準となるから明確な訴状の記載によるべきであるが、訴訟がある程度進行した段階では、訴訟手続の安定や訴訟経済の要請が働くから誰を当事者とするのが紛争解決のために適切か、そしてその者を被告としても手続保障が十分かという視点から実質的に被告を確定すべきである。
本件を見るに、訴状の被告欄の記載はYであるが、原告Xの意思としてはYが死亡しているならばその唯一の相続人としてその財産を包括承継したZを被告とすると推測され、また、実際に第一審手続で被告として行動したのはZ自身である。そうすると、本件第一審手続の被告はZとするのが紛争解決のために適切であり、Zの手続保障も十分であると言える。
したがって、本件第一審の被告はZである。
2 そうすると、控訴審は、XとZを当事者として、控訴棄却判決をすべきである(302条1項)。
3 なお、仮に当事者確定基準で形式的表示説を採用したとしても、本件で被告をYとすることはできないと思われる。なぜならYは訴訟係属時より前に死亡しているため、Yを被告とすると訴訟係属自体がされないことになるからである。 以上
被告が誰かを確定する基準は、原告の意思、現実に被告として行動した者、訴状の記載などが考えられるが、訴訟開始段階と訴訟がある程度進行した段階では異なる基準を用いるのが妥当である。すなわち、訴訟開始段階での被告の確定は、訴訟要件判断の基準となるから明確な訴状の記載によるべきであるが、訴訟がある程度進行した段階では、訴訟手続の安定や訴訟経済の要請が働くから誰を当事者とするのが紛争解決のために適切か、そしてその者を被告としても手続保障が十分かという視点から実質的に被告を確定すべきである。
本件を見るに、訴状の被告欄の記載はYであるが、原告Xの意思としてはYが死亡しているならばその唯一の相続人としてその財産を包括承継したZを被告とすると推測され、また、実際に第一審手続で被告として行動したのはZ自身である。そうすると、本件第一審手続の被告はZとするのが紛争解決のために適切であり、Zの手続保障も十分であると言える。
したがって、本件第一審の被告はZである。
2 そうすると、控訴審は、XとZを当事者として、控訴棄却判決をすべきである(302条1項)。
3 なお、仮に当事者確定基準で形式的表示説を採用したとしても、本件で被告をYとすることはできないと思われる。なぜならYは訴訟係属時より前に死亡しているため、Yを被告とすると訴訟係属自体がされないことになるからである。 以上
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