2016年02月05日
民事訴訟法 予備試験平成25年度
設問1(1)ア
1 Bは独立当事者参加(47条)をすることができる。理由は以下のとおりである。
2 債権者代位訴訟が提起された場合、訴訟物は既に債権者によって訴訟上主張されていて債務者には訴訟物の管理処分権がないから(非訟事件手続法88条3項)、債務者には当事者適格(当事者として訴訟追行し、判決の名宛人となる資格)がなく、また、債務者が重ねて同じ訴訟物を主張する訴訟は二重起訴に当たり不適法(142条)なのが原則である。
しかし、債権者の当事者適格は被保全債権の存在によって基礎づけられているところ(民法423条)、仮に被保全債権が存在しないのであれば、債務者の管理処分権は失われず、債権者は当事者適格がなくなるのであるから、被担保債権の存在を争うことと同時であれば、債務者にも当事者適格が認められ、債務者が訴訟物を争うことも二重起訴に当たらないと解すべきである。
そして参加の方法としては、債権者に対して債務不存在確認請求をし、第三債務者に給付請求をするという三面訴訟になるから、独立当事者参加(権利主張参加)が適切である。要件は@他人間の訴訟係属、A定立する請求が請求の趣旨レベルで非両立、B当事者適格である。本件で@とBは問題なく認められる。Aについて本件を見ると、Aの訴訟の請求の趣旨は「Cは、Aに対して、500万円を支払え」であり、Bの訴訟の請求の趣旨は「Bは、Aに対して、500万円を支払え」であるから、非両立である。
設問1(1)イ
1 Aの訴えについて
甲債権はAの当事者適格を基礎づけているから、それが存在しない以上、Aには当事者適格がないことになる。したがって、裁判所は訴え却下判決をすべきである。
2 Bの訴えについて
甲債権が存在しない場合、まず、BのAに対する債務不存在確認請求に対して、裁判所は請求認容判決をすべきである。
また、甲債権の不存在はBの当事者適格の根拠となるから、BのCに対する訴えは適法である。そして、乙債権が存在することは、BのCに対する請求の本案勝訴要件となる。したがって、裁判所は請求認容判決をすべきである。
設問1(2)
1 訴訟1の口頭弁論終結時に甲債権が存在したと判断したとき
前訴の既判力(確定判決の後訴での通用力ないし拘束力)の消極的作用によって、裁判所は前訴と矛盾する判断をすることが許されない結果、訴訟2の受訴裁判所は、乙債権は存在しないものとして請求棄却判決をすべきである。
2 訴訟1の口頭弁論終結時に甲債権が存在していなかったと判断したとき
既判力は訴訟物について生じるから、訴訟1では甲債権の存在には既判力が生じていない。したがって訴訟2の裁判所は甲債権が存在しないと認定することができる。そうすると、前訴判決は当事者適格のないAによって追行されて出された判決であるから、無効な判決であり、乙債権の不存在にも既判力は生じないと考えることができる。したがって、訴訟2の受訴裁判所は請求認容判決をすべきである。
設問2
Dは共同訴訟参加(52条)によって、Cに対して乙債権の弁済を求めることができる。共同訴訟参加とは、訴訟の目的が当事者の一方及び第三者について合一にのみ確定すべき場合に、その第三者が原告または被告の共同訴訟人として参加することをいう。要件は、@他人間の訴訟係属、A合一確定の必要性、B当事者適格である。
本件は、@AC間に訴訟係属があり、A責任財産の公平分担という見地からAC間の訴訟とCD間の訴訟は類似必要的共同訴訟となると解され、したがって合一確定の必要性が認められる。
問題はB当事者適格の有無である。今まで述べてきたように、債権者が代位債権を行使する結果債務者は自らの債権の管理処分権を失い、その結果当該権利を訴訟物とする訴訟における当事者適格も失うという考え方(古い判例がある)からは、当事者適格はDに独占的に帰属していると考えるのが自然のように思える。しかし、債務者ではなく第三者が訴訟物について債権者代位訴訟をしてくる場合には、責任財産の公平分担という要請があるから、債務者が参加する場合とは異なり、当該第三者にも当事者適格を認めるべきと考える。
したがって、Dは共同訴訟参加ができる。 以上
1 Bは独立当事者参加(47条)をすることができる。理由は以下のとおりである。
2 債権者代位訴訟が提起された場合、訴訟物は既に債権者によって訴訟上主張されていて債務者には訴訟物の管理処分権がないから(非訟事件手続法88条3項)、債務者には当事者適格(当事者として訴訟追行し、判決の名宛人となる資格)がなく、また、債務者が重ねて同じ訴訟物を主張する訴訟は二重起訴に当たり不適法(142条)なのが原則である。
しかし、債権者の当事者適格は被保全債権の存在によって基礎づけられているところ(民法423条)、仮に被保全債権が存在しないのであれば、債務者の管理処分権は失われず、債権者は当事者適格がなくなるのであるから、被担保債権の存在を争うことと同時であれば、債務者にも当事者適格が認められ、債務者が訴訟物を争うことも二重起訴に当たらないと解すべきである。
そして参加の方法としては、債権者に対して債務不存在確認請求をし、第三債務者に給付請求をするという三面訴訟になるから、独立当事者参加(権利主張参加)が適切である。要件は@他人間の訴訟係属、A定立する請求が請求の趣旨レベルで非両立、B当事者適格である。本件で@とBは問題なく認められる。Aについて本件を見ると、Aの訴訟の請求の趣旨は「Cは、Aに対して、500万円を支払え」であり、Bの訴訟の請求の趣旨は「Bは、Aに対して、500万円を支払え」であるから、非両立である。
設問1(1)イ
1 Aの訴えについて
甲債権はAの当事者適格を基礎づけているから、それが存在しない以上、Aには当事者適格がないことになる。したがって、裁判所は訴え却下判決をすべきである。
2 Bの訴えについて
甲債権が存在しない場合、まず、BのAに対する債務不存在確認請求に対して、裁判所は請求認容判決をすべきである。
また、甲債権の不存在はBの当事者適格の根拠となるから、BのCに対する訴えは適法である。そして、乙債権が存在することは、BのCに対する請求の本案勝訴要件となる。したがって、裁判所は請求認容判決をすべきである。
設問1(2)
1 訴訟1の口頭弁論終結時に甲債権が存在したと判断したとき
前訴の既判力(確定判決の後訴での通用力ないし拘束力)の消極的作用によって、裁判所は前訴と矛盾する判断をすることが許されない結果、訴訟2の受訴裁判所は、乙債権は存在しないものとして請求棄却判決をすべきである。
2 訴訟1の口頭弁論終結時に甲債権が存在していなかったと判断したとき
既判力は訴訟物について生じるから、訴訟1では甲債権の存在には既判力が生じていない。したがって訴訟2の裁判所は甲債権が存在しないと認定することができる。そうすると、前訴判決は当事者適格のないAによって追行されて出された判決であるから、無効な判決であり、乙債権の不存在にも既判力は生じないと考えることができる。したがって、訴訟2の受訴裁判所は請求認容判決をすべきである。
設問2
Dは共同訴訟参加(52条)によって、Cに対して乙債権の弁済を求めることができる。共同訴訟参加とは、訴訟の目的が当事者の一方及び第三者について合一にのみ確定すべき場合に、その第三者が原告または被告の共同訴訟人として参加することをいう。要件は、@他人間の訴訟係属、A合一確定の必要性、B当事者適格である。
本件は、@AC間に訴訟係属があり、A責任財産の公平分担という見地からAC間の訴訟とCD間の訴訟は類似必要的共同訴訟となると解され、したがって合一確定の必要性が認められる。
問題はB当事者適格の有無である。今まで述べてきたように、債権者が代位債権を行使する結果債務者は自らの債権の管理処分権を失い、その結果当該権利を訴訟物とする訴訟における当事者適格も失うという考え方(古い判例がある)からは、当事者適格はDに独占的に帰属していると考えるのが自然のように思える。しかし、債務者ではなく第三者が訴訟物について債権者代位訴訟をしてくる場合には、責任財産の公平分担という要請があるから、債務者が参加する場合とは異なり、当該第三者にも当事者適格を認めるべきと考える。
したがって、Dは共同訴訟参加ができる。 以上
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