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2017年04月16日

民事訴訟法 予備試験平成28年度

設問1(1)
 弁論主義とは裁判における事実の主張と証拠の提出を当事者の権能かつ責任とする建前であり、私的自治の手続的反映がその根拠である。弁論主義の内容の一つに、裁判所は当事者の主張しない事実を裁判の基礎とすることができないという原則がある。弁論主義の対象は「事実」であるが、その範囲は主要事実(要件事実に該当する事実)と解されている。      
 本件で証拠調べの結果明らかになった事実によると、甲土地の所有権はX→Y1→X→Y2と推移しており、最後のX→Y2の部分はY1らに主張責任のある抗弁事実に当たる(所有権喪失の抗弁)。具体的には、@XY2間で甲土地譲渡担保契約が締結された事実、およびAXが受戻権を喪失した事実が主要事実である。これはXからもY1らからも主張がない。したがって、裁判所は、当事者が主張しない事実を判決の基礎とした弁論主義違反がある。
設問1(2)
 本件を弁論主義違反ではないという立場からは、以下のように立論できる。Y1らの主張は甲土地の所有権がX→Y1→Y2と推移するものだが、Y1→Y2の売買の際に、XY2間において、甲土地の将来売買の予約(民法556条1項)がなされたとする。このように構成するか、裁判所が心証を抱いた事実のように譲渡担保契約の受戻権喪失と構成するかは、事実ではなく法律構成の違いに過ぎない。なぜなら、どちらもXがY2に対して1000万円支払うことを条件としており、その支払いがなされなかったために最終的にY2に甲土地所有権が帰着した事実は共通しているからである。
 しかし、このような構成には、Xに対して不意打ちとなるという問題点がある。具体的には、Xの主張による所有権の推移はX→Y1→Xであり、Y1らの主張はX→Y1→Y2であるから、本件訴訟における争点はY1から所有権を譲り受けたのはXなのかY2なのかという点だと考えられ、Xもその点に主張を尽くせば勝訴するのに必要十分と判断していると考えられる。にもかかわらず、X→Y1→XというXの主張通りの所有権の推移を認めながら、その後にX→Y2という推移を追加して認定することは、Xに対して、X→Y2という推移を否認する手続きを与えていないことになり、Xの弁論権を侵害していると言える。
 したがって、裁判所には、譲渡担保という法律構成を当事者に指摘する、法的観点指摘義務があるというべきである。
設問2
 既判力(114条)とは、確定判決の後訴での通用力ないし拘束力を言い、訴訟法上の効力である。紛争の蒸返し防止の必要性ゆえに認められ、当事者に手続保障がなされていることにより正当化される。既判力の主観的範囲は、当事者の口頭弁論終結後の承継人に及ぶ(115条1項3号)。そうしないと紛争が蒸し返されるからである。このような紛争蒸し返し防止の観点から、「承継人」とは、紛争の主体たる地位を承継した者を言うと解する。
 本件では、訴訟物はX→Y1、Y1→Y2の各甲土地所有権移転登記の抹消登記請求権であるが、甲土地について所有権を主張する者が紛争主体である。よって、Y2から甲土地所有権を承継したZは、本件紛争の主体たる地位を承継したと言え、「承継人」に当たる。したがって、Zに対して既判力が及ぶ。               以上
 
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