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2018年03月25日

民事訴訟法論証集

間接事実の自白 
 判例は、間接事実の自白は裁判所拘束力も当事者拘束力もないとの立場であるが、重要な間接事実の自白には証明不要効が認められるべきである。

・重要な間接事実の自白に不要証効が認められることにほとんど異議はない。それに加えて裁判所拘束力や当事者拘束力を認めてよいかが問われる。

補助事実の自白
 判例は補助事実の自白に裁判所拘束力と当事者拘束力をともに否定する立場とみられる。しかし、文書の成立の真正はそもそも証拠の採否の問題である点でほかの補助事実と異なるし、成立の真正(形式的証拠力)が認められれば実質的証拠力を否定する余地は少ない。そのため、文書の成立の真正についての自白は主要事実の自白と同様に裁判所拘束力及び当事者拘束力のいずれも肯定すべきと解する。 

時機に後れた攻撃防御方法 157条1項
 要件は@「時機に後れた」提出であること、A「故意又は重大な過失」によること、B訴訟の完結が遅延することである。@はより早期の適切な時期に提出できたことを指す。Bはその攻撃防御方法を却下した時に想定される訴訟完結時と、却下しなかった場合の訴訟完結時を比較して判断する。

・@について、争点整理手続が行われたときは、その後の提出は特段の事情のない限り時機に後れたものと判断される。
・@について、控訴審での提出は、続審制が採られているため(296条2項、298条1項、301条1項)、第1審からの手続経過を通じて判断すべきである。
・Aについて、争点整理手続の後に提出されて説明義務(174条or/and167条)を果たさないときは重過失が推定されると解する。
・Aは既判力の時的限界で問題になる。

新併存説(条件説)→訴訟上の形成権行使は訴訟行為としての意味を失った場合には実体法上の効果も生じないとする解除条件付きの法律行為と解する、

訴訟要件
 訴訟要件の調査は裁判所が自ら開始するのが原則である(職権調査事項)。しかし、公益性の低いものについては例外的に当事者の主張があってから調査を開始する(抗弁事項)。そして、訴訟要件調査時の判断資料についても原則は裁判所自ら収集する(職権探知主義)。もっとも、公益性の低いものや公益性があっても本案審理と密接に関連するものについては例外的に当事者の提出した訴訟資料をを基に判断すれば足りる(弁論主義)。

抗弁事項→仲裁合意、不起訴の合意
職権調査事項だが弁論主義→任意管轄、当事者適格

確認の利益
 確認の訴えとは法律関係の存否等の確認判決を求める訴えであるが、確認対象は論理的には無限定であり、また、確認判決には執行力がなく紛争解決の実効性に乏しい場合があることから、(被告の応訴の煩を回避することや訴訟経済を考慮して)確認判決の必要性・実効性を特に吟味する必要がある。その際には、@確認対象の適否、A即時確定の利益の存否、B方法選択の適否を考慮する。
 
 A即時確定の利益の要件を満たすためには、㋐原告が保護を求める法的地位が十分に具体化・現実化しており、㋑被告の態度等から原告の法的地位に危険または不安が生じていることが必要である。
Ex)不法行為の加害者が損害額が流動的な状態で先制攻撃的に債務不存在確認を提起した場合
 給付訴訟の提起によって債権者の地位に対する危険が現実化する可能性は低いから、このような債務不存在確認の訴えは㋑原告の法的地位に対する危険がなく即時確定の利益を欠く。

既判力
 既判力とは確定判決の後袖の通用力ないし拘束力(114条1項)をいい、訴訟法上の効力である。紛争解決の実効性確保のため必要であり、手続保障が確保されたことにより正当化される。後訴裁判所は既判力の生じた前訴判決の訴訟物についての判断を前提として判断しなければならないという積極的作用と、当事者は後訴において既判力の生じた前訴判決の判断に反する主張・立証が許されず、裁判所もまたそうした主張・立証を排斥しなければならないという消極的作用がある。既判力は、@訴訟物が同一である場合、A前訴の訴訟物が後訴の訴訟物の先決問題となっている場合、B前訴の訴訟物と後訴の訴訟物とが矛盾関係に立つ場合に認められる。

独立当事者参加
 独立当事者参加とは、第三者が、当事者の一方又は双方に対して請求を定立し、その請求と既存の請求とを併合審理に付すための参加形態である(47条)。詐害防止参加と権利主張参加に分類される。いずれにも40条が準用されており(47条4項)、合一確定が保障されている。

 詐害防止参加とは、第三者が、訴訟の結果によって権利が害されることを主張して他人間の訴訟に参加する参加形態である。制度趣旨は参加人の利益保護である。要件は@他人間の訴訟係属、A他人の一方又は双方に対する請求定立、B「訴訟の結果によって権利が害される」ことである。Bは詐害意思があれば足り、判決効が拡張される必要はないと解する(詐害意思説)。

 権利主張参加とは、第三者が訴訟の目的の全部または一部が事故の権利であることを主張して参加する参加形態である。権利主張参加に40条を準用させた趣旨は、三当事者間の牽制を通じて事実上矛盾のない判決を保障する点にあると解する。
 参加を認める要件は、@他人間の訴訟係属、A他人の一方又は双方に対する請求定立、B参加人の請求が原告の請求と請求の趣旨レベルで非両立であることと解する。
※三者間の紛争を統一的に解決するという説は、原告被告の一方に対してのみ請求を定立する参加も認められたため成立しなくなった。

補助参加
 補助参加とは、当事者の一方の勝訴について法律上の利害関係を有する第三者が、その当事者を補助して訴訟追行するために訴訟に参加することをいう。
 参加の要件は、@他人間の訴訟係属、A「訴訟の結果について利害関係を有する」(42条)ことである。Aは当事者の意義があった場合にのみ問題となる(44条1項)。「訴訟の結果」とは、訴訟物限定説が伝統的通説だったが、そもそも既判力に服するわけではない第三者にとっては区別の実益が乏しいため、訴訟物に限定せず判決の理由中の判断も含むと解する(訴訟物非限定説)。「利害関係」とは法律上の利害関係である。影響は事実上のもので足りる。
 「効力」(46条柱書)とは参加的効力を意味する。これは既判力とは異なり、被参加人敗訴の場合に参加人と被参加人の間に生じる。参加的効力の客観的範囲は訴訟物に限らず理由中の判断にも及ぶが、判決の主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定及び法律判断についてのみ生じる。
Ex)被告がAである場合、「売買契約をしたのはAでない」という判断に参加的効力が生じるが、「売買契約をしたのはBである」という判断には参加的効力が生じない。

訴訟告知
 訴訟告知とは、法律上の形式に従って、当事者の一方が、訴訟係属を第三者に知らせ、参加を促す行為である。
 要件は@訴訟係属中であること(53条1項)、A参加することができる第三者であること(43条1項、独立当事者参加、補助参加、共同訴訟参加を含む)、B告知者は当事者に限らず、被告知者である補助参加人等でもよい(53条2項)。
 効果として参加的効力が生じる(53条4項、46条)ためには、補助参加の利益があれば足りるとする見解もあるが、被告知者が参加しないことがやむを得ない場合もあるから、被告知者による協力が正当に期待できることが必要であると解する。正当に期待できる場合とは、告知者が敗訴した場合、それを直接の原因として告知者が被告知者に求償ないし賠償を求めうるような実体関係がある場合をいう。

・被告知者が実際に補助参加した場合には、原則として現実の補助参加を基準に参加的効力の発生の有無を考えれば足りる。

訴訟承継
 訴訟承継とは、当事者の一方の相続人や係争物の譲受人などに従前の訴訟追行の結果を引継がせるための制度である。訴訟係属中に当事者が死亡したり係争物が譲渡された場合に新訴提起するのは非効率であること及び詐害的な係争物譲渡を防ぐことが制度趣旨である。

 参加承継とは、承継人の側から積極的に従前の訴訟の結果を引継ぐために利用される手続である(49条)。独立当事者参加の形式でなされる(49条1項、47条)ため、必要的共同訴訟に関する審理の規律が準用される(47条、40条)。
※訴訟状態承認義務により、被承継人の自白に拘束される。

 引受承継とは、相手方当事者の側で承継人に従前の訴訟の結果を引継がせるための手続である。同時審判申出訴訟の形式でなされる(50条3項、41条1項、41条3項)。

 訴訟承継の効果は、49条・51条が規定するもののほか、明文はないが承継人に訴訟状態承認義務が生じると解する。承継原因が生じるまでは被承継人が訴訟に最も密接な利害関係を有していたのであり、この者に対する手続保障によって承継人に対する手続保障もある程度代替されたと言いうるからである。

・引受承継は相手方の既得的地位を保護するための制度だから、被承継人からの申立ては認められない。

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