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第16話 人間万事塞翁が馬

陽子が帰宅するのを待っていたかのように、電話のベルが鳴った。
慌てて受話器を取ると、乾いた、ややぶっきら棒な女性の声が流れてきた。
杉原綾子、陽子が所属しているボランティア団体の先輩だった。

「あの時は、ほんとうに有難うございました」
「何が?」

凌太の高校受験の時のことです」
「何だったった?」


杉原は、裏表がなく思ったことはズバリと意見する。曲がったことが嫌いで、要領よく立ち回ろうとする人へは容赦がない。誠実で実直であるがゆえに、ともすれば融通の利かない面もある。
煙たがる仲間も多いが、陽子は好きだった。


「凌太の高校入学の時、お祝いと一緒にお手紙を頂いたでしょう」
「ああ、そんなこともあったね」

「凌太も私も、あの時の杉原さんの言葉にどれだけ勇気を頂いたことか」
「よけいなこと書いたかなって、ちょっとの間、気にしたこともあったけど」
「とんでもないです」


その時の手紙には、
『人間万事塞翁が馬と言います。きっといつか、あの時の挫折があったからこそ・・・と思える時がきっときます。諦めることなく、今の状況を受け入れ、精一杯頑張ってください。人生はまだまだ、これからです・・・・』と書かれていた。


「あの手紙を頂いて、凌太、吹っ切れたみたいでした。お陰様で、高校が合っていたようで、充実した三年間を過ごすことができました」

「それは良かったね、大学は?」
「ええ、希望してた大学へ行ってます」

「そう、ひと安心だね。じゃあ今は二人だけの生活?」
「ええ、杉原さんは如何ですか?」


その団体では、一応70歳を目安に引退される方が多かった。杉原も誕生日を最後に活動を終えた。その後、息子夫婦と同居することになり神奈川へ引っ越した。


「来週法事があって、そっちに帰るから、良かったら会えないかと思って」
「まあ、嬉しい。何時いらっしゃるんですか?・・・」


To be continuedドキドキ大


≫≫≫≫≫≫・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・クローバー

【今日の一冊】
『考えすぎて動けない人のための「すぐやる!」技術』 久米信行著

なんだか堂々巡りしている時って、ありませんか?
迷ったら、開いてみて下さい。
きっと霧が晴れます。初心に戻してくれますよ・・・。
目の届くところに置いておいて欲しい本です鐘
楽天ブックス


【伝言板】
物まね芸人、コロッケさんの母の教え 『・』をご紹介!
・・・焦るな
・・・怒るな
・・・威張るな
・・・腐るな
・・・負けるな
どう?良く出来ていますよね。壁にでも貼っておこうかな〜。




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