いつか君と愛を語ろう

今日は、『メルシーと宇宙人の生活』と題で書いたものの中から、
「親バカですが愛すべき息子です」をご紹介します。

メルシーは私、宇宙人は夫、クリフは息子というキャラクター設定です。

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息子のクリフと宇宙人の、初夏の日の一コマです。

さわやかな風が、リビングのカーテンを揺らしています。


「おーい、なんでそんな遠くで煙草吸ってんの」

ベランダに出た宇宙人が、息子のクリフに声をかけています。


我が家のベランダは、Ｌ字型になっていて、

Ｌの下部は、リビングに面していますが、Ｌの上部は少しばかり離れています。


「ああ、煙草吸ってたから」

クリフの声が風に乗って届きます。

「わざわざそんな遠くに行って吸わなくたって」

宇宙人の声も届きます。




「煙が入るから」

「煙？」

「あっちで吸うと、煙がリビングに入るから」

「ああ・・・」


クリフは風向きを計算し、煙草を吸う場所を決めたのです。

当たり前の配慮といえば、そうなのです。

親バカですね、息子の小さな思いやりを、嬉しく思うメルシーです。

冷蔵庫の中からミネラルウオッターを取り出した君は、
スマイルベビー水

それを美味しそうに飲みながら
ソファーに座っている私の方へ向かってきました。

「歩きながら飲んではいけません」
そう言おうとしたとき

君は私の頭に手を置き
笑いながら「いい子いい子」と言って優しく撫で
上機嫌で自分の部屋に戻って行きました

不意をつかれた私は、注意するのを忘れ
「ったく、何するんだか・・・」
というのが精一杯でした




その掌の大きさに
青年になった君を感じたのです

いつも見ていた君の手
得意そうにペン回しをしてみせる君
将棋の駒を挟んで冴えた音色を響かせる君
キーボードをリズミカルに叩く君
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いつの間にか君は大人になっていたのですね

父が言ってました
凌太の指はお義父さんに似て綺麗だと

生涯その細くて長い指が守られますように・・・



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【伝言板】
田舎のお祖母ちゃん家に行ってきます。
帰宅は明日、多分夜になるかな。
欲しいものがあれば、連絡下さい。送ります。
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その日、君はマンションの近くの桜公園で遊んでいました。
砂場でトンネルを作っていたのです。

そこへ、いつも遊んでいるお友達が君を迎えに来ました。
桜公園から1�qぐらい離れたところにある、大きな公園に行こうとの誘いでした。

ちょうど君たちの間では、自転車に乗るのが流行り出した頃でした。
「行かない」
君はそっけなく言い放ち、黙々とトンネル作りを続けます。

「行こうよ凌くん」
「みんな行くよ、あっちの公園の砂場で遊べばいいじゃん」
「そうだよ、行こうよ」
お友達もなかなか引き下がりません。

「行かないの、今トンネル作ってるから」
君は顔を上げることもせず、砂の山を固めています。




君もお友達も引くに引けない感じでした。そこで母は、
「ごめんね、凌くん今トンネルを完成させたいみたいだから、また今度誘ってくれる？」
と言ったのです。

「いいよ、じゃあ凌くんまた今度遊ぼうね」
そう言ってお友達は大きな公園へ向かいました。

二人きりになってから、
「ねえ凌くん、母さんも大きな公園行きたいな〜お友達とお話できるし」
と言ってみたところ
「いいよ母さんが行きたいのなら行っても、僕はここで遊んでるから」
君の意思はとても固いものがありました。

まだ4歳か5歳ぐらいのことでした・・・。



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【今日の一冊】
『水彩画プロの裏ワザ』奥津国道/著
水彩画を始めた頃に手に入れた本です。
風景の切り取り方、描き方、着彩、
君の好きな鉛筆のデッサンについても
細かなテクニックが満載。
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【伝言板】
「とうとう入れ歯の時代に突入した」
と父が言うので驚いて聞いてみたところ、
取り外しのブリッジのことでした(笑)
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