2016年09月07日
【銀の匙 Silver Spoon】マンガ あらすじ&感想 汗と涙と土にまみれた少年たちの青春物語
週刊少年サンデー。2011年19号から連載。既刊13巻
著者:荒川弘
他作品:鋼の錬金術師
見渡す限りの大自然に囲まれた大蝦夷農業高校に入学した八軒勇吾。元々は県内にある中高一貫の新学校に通っていたが、厳しい学力競争で精魂使い果たしてノイローゼになってしまったことで、担任から薦められたエゾノー高校を受験することに。
今まで全く関わりのなかった世界に飛び込んだ八軒は、初めての経験することだけで戸惑いっぱなし。スポーツもまともにやったことがなかったため、体は悲鳴を上げる。
だが、八軒はここで目指すべき目標を持った同級生たちと交流し、今まで考えることのなかった生き物の命に触れたことで、様々の物事に自ら向き合い挑戦していくようになり、手探りながらも進むべき未来への道を見つけるため奮闘していく。
・八軒勇吾
主人公。見た目は眼鏡をかけた学生服の下にパーカーを着ている平凡な少年。農業に関しては全くの素人ですが、進学校へ通っていたことから学力は高い。エゾノーで学ぶ内に何事にもアクティブに行動するようになっていきますが、少しがんばりすぎてしまう危うさもあります。あと、アキに惚れてます。
・御影アキ
ヒロイン。スタイルが良いショートカットの女の子。前向きで明るい性格をしていますが、残念な学力の持ち主。実家が酪農家で馬も飼育しているため、馬が大好きで乗馬が得意です。将来は家業を継ぐつもりでしたが、八軒と出会ったことで自分の本当にやりたいことを目指すことを決めます。
・駒場一郎
八軒と同じクラスで同じA班の大柄で筋肉質な少年。短髪で鋭い目つきの一見怖そうな見た目をしていますが、礼儀正しく優しさもある好青年です。アキとは幼馴染。高校球児で甲子園を目指していましたが、実家の経営が悪化したことで自主退学して家を助けるために働く道を選びます。
・稲田多摩子
八軒と同じ実習班・A班の太めな少女。大規模な共同経営型の牧場「ギガファーム」の娘。「お金が大好き」とはっきり公言しており、実家に就職していずれは父を経営者の座から引きずり下ろし、その立場を奪おうと画策しています。太ってまいますが、整った顔立ちをしているので痩せると超絶美女に変身します。
・その他
実家が鶏農家の息子で、教わったことは3歩歩けば忘れてしまう残念な鳥頭の常盤恵次。
長身細身で穏やかな性格をしている、獣医を目指しているのに倒れそうになるほど血が苦手な相川進之介。
そばかすとツインテールがチャームポイントの、チーズ工房を立ち上げることを夢に持つ吉野まゆみ。
などなど
【eBookJapan】 銀の匙 Silver Spoon 無料で立ち読みできます
舞台は北海道の大蝦夷農業高校。農業素人で夢も目標もない八軒が、この学校で出会った友人たちと農業・酪農に触れ、その過程で命や生きることなど多くを学び成長していく物語。
一次産業の農業・畜産について詳しく解説してはいても、あくまでこれは八軒と彼の友人たちの成長と将来への歩みを描いた作品です。
著者は『鋼の錬金術師』の荒川弘さん。しばらく家庭の事情で休載していたようですが、約8ヶ月ぶりに無事連載再開したようです。2013年7月にアニメ1期が放送され、翌年1月に2期が放送されました。2014年3月には実写映画まで放映されたわけですけど、個人的にはまあまあとしか言えませんでした。
見所はやはり年頃の少年少女たちの悩みながらも成長し歩む姿だと思います。将来どうなりたいのかという悩みは10代の多くの若者が抱いていることだと思います。この作品でも、そもそも夢も目標もない人や、目標はあっても様々な事情で進むのが困難な人、進む進路は決めているけどこのままでいいのか悩む人など、皆多かれ少なかれ悩みを抱いています。そんな子たちが農業から、それに携わる大人たちから、そして仲間たちから、何かを学び感じ取って歩みを進めていく姿には、見守ってきた読者としては心にしみるものがあります。
主人公の八軒が一番分かりやすい。高校に入るまでの八軒の環境には用意された問題と答えしかなかったのですが、エゾノーにはそんなものはありません。問題は突発的に発生するもの、あるいは自ら探すものですし、確かな答えもあるわけでもないです。この変化に悩み戸惑うわけですけど、エゾノーで学び過ごす内にどんどんアクションを起こすようになっていく姿からは、逞しさと頼もしさを感じさせてくれました。がんばりすぎて危ういこともありますけど。
知識を植えつけてくれる漫画でもあり道徳漫画でもありましたね。作者本人が農業経験者ということもあり、仕事内容や業界の実情などを分かり易く解説してくれてます。笑いもところどころに挟まれてますし、説明過多でくどくなることはなかったです。
動物に携わると必然的に命というものに触れることになり、「動物の出産」「経済動物である豚の飼育」「走れなくなった競走馬」などから、生きること、「命」をいただくという行為について真摯に伝えています。重くなりがちなテーマではありますが、この作品ではそうなり過ぎないように、ほどよい爽やかさと感動あるエピソードを交えて描いていました。
愉快な登場人物たちがこの作品を鮮やかにしているのだと思います。まあクセの強い子たちばかりなので、キャラのやりとり見てるだけでも全然飽きないんとはいえ、ボケに対してツッコミ役少なすぎですね。
個人的には吉野が好きです。見た目可愛いっていうのもありますけど、自分の将来を見据えて取り組む姿、洞察力を生かしたゲスな脅迫、惚れそうです。
あと、大人たちがまた良い味出してる人たちばかり。見た目からして普通じゃないんですけど。所々で悩む若者に与えてくれる助言、手や口を出しすぎることなく見守る姿、こんな人達から学んでみたいと思わせてくれました。
胃袋に大ダメージを与えてくることも珍しくないので注意が必要です。タマゴかけご飯、ベーコン、とろっとろのチーズにじゃがいも、そして最たるはあの全てをつめこんかのようなピザ。食べたくなり過ぎて困ったものです。
料理だけでなく、八軒を筆頭にそれを食べた人たちのリアクションが至福の極みといった感じで、胃袋にこれでもかと訴えかけてきやがりました。
素晴らしい作品でしたね。ハートフルでほのぼのした雰囲気があり、重くなりがちなテーマも鬱々させることなく爽やかさを含めて伝えているので、知識を詰め込んではいますけど比較的読みやすかったです。
当たり前のように食している肉や野菜、口に運ばれるまでにどういった工程を経て、どういった人達が携わってきたのかを知ることもできるので、いただくということを改めて考えさせてくれる作品だと思います。
笑いあり、感動あり、美味しそうな料理あり、そして恋愛もあるので、男女問わず楽しめると思います。よければ読んでみてください。
著者:荒川弘
他作品:鋼の錬金術師
あらすじ・概要
見渡す限りの大自然に囲まれた大蝦夷農業高校に入学した八軒勇吾。元々は県内にある中高一貫の新学校に通っていたが、厳しい学力競争で精魂使い果たしてノイローゼになってしまったことで、担任から薦められたエゾノー高校を受験することに。
今まで全く関わりのなかった世界に飛び込んだ八軒は、初めての経験することだけで戸惑いっぱなし。スポーツもまともにやったことがなかったため、体は悲鳴を上げる。
だが、八軒はここで目指すべき目標を持った同級生たちと交流し、今まで考えることのなかった生き物の命に触れたことで、様々の物事に自ら向き合い挑戦していくようになり、手探りながらも進むべき未来への道を見つけるため奮闘していく。
主要登場人物
・八軒勇吾
主人公。見た目は眼鏡をかけた学生服の下にパーカーを着ている平凡な少年。農業に関しては全くの素人ですが、進学校へ通っていたことから学力は高い。エゾノーで学ぶ内に何事にもアクティブに行動するようになっていきますが、少しがんばりすぎてしまう危うさもあります。あと、アキに惚れてます。
・御影アキ
ヒロイン。スタイルが良いショートカットの女の子。前向きで明るい性格をしていますが、残念な学力の持ち主。実家が酪農家で馬も飼育しているため、馬が大好きで乗馬が得意です。将来は家業を継ぐつもりでしたが、八軒と出会ったことで自分の本当にやりたいことを目指すことを決めます。
・駒場一郎
八軒と同じクラスで同じA班の大柄で筋肉質な少年。短髪で鋭い目つきの一見怖そうな見た目をしていますが、礼儀正しく優しさもある好青年です。アキとは幼馴染。高校球児で甲子園を目指していましたが、実家の経営が悪化したことで自主退学して家を助けるために働く道を選びます。
・稲田多摩子
八軒と同じ実習班・A班の太めな少女。大規模な共同経営型の牧場「ギガファーム」の娘。「お金が大好き」とはっきり公言しており、実家に就職していずれは父を経営者の座から引きずり下ろし、その立場を奪おうと画策しています。太ってまいますが、整った顔立ちをしているので痩せると超絶美女に変身します。
・その他
実家が鶏農家の息子で、教わったことは3歩歩けば忘れてしまう残念な鳥頭の常盤恵次。
長身細身で穏やかな性格をしている、獣医を目指しているのに倒れそうになるほど血が苦手な相川進之介。
そばかすとツインテールがチャームポイントの、チーズ工房を立ち上げることを夢に持つ吉野まゆみ。
などなど
【eBookJapan】 銀の匙 Silver Spoon 無料で立ち読みできます
感想
舞台は北海道の大蝦夷農業高校。農業素人で夢も目標もない八軒が、この学校で出会った友人たちと農業・酪農に触れ、その過程で命や生きることなど多くを学び成長していく物語。
一次産業の農業・畜産について詳しく解説してはいても、あくまでこれは八軒と彼の友人たちの成長と将来への歩みを描いた作品です。
著者は『鋼の錬金術師』の荒川弘さん。しばらく家庭の事情で休載していたようですが、約8ヶ月ぶりに無事連載再開したようです。2013年7月にアニメ1期が放送され、翌年1月に2期が放送されました。2014年3月には実写映画まで放映されたわけですけど、個人的にはまあまあとしか言えませんでした。
見所はやはり年頃の少年少女たちの悩みながらも成長し歩む姿だと思います。将来どうなりたいのかという悩みは10代の多くの若者が抱いていることだと思います。この作品でも、そもそも夢も目標もない人や、目標はあっても様々な事情で進むのが困難な人、進む進路は決めているけどこのままでいいのか悩む人など、皆多かれ少なかれ悩みを抱いています。そんな子たちが農業から、それに携わる大人たちから、そして仲間たちから、何かを学び感じ取って歩みを進めていく姿には、見守ってきた読者としては心にしみるものがあります。
主人公の八軒が一番分かりやすい。高校に入るまでの八軒の環境には用意された問題と答えしかなかったのですが、エゾノーにはそんなものはありません。問題は突発的に発生するもの、あるいは自ら探すものですし、確かな答えもあるわけでもないです。この変化に悩み戸惑うわけですけど、エゾノーで学び過ごす内にどんどんアクションを起こすようになっていく姿からは、逞しさと頼もしさを感じさせてくれました。がんばりすぎて危ういこともありますけど。
知識を植えつけてくれる漫画でもあり道徳漫画でもありましたね。作者本人が農業経験者ということもあり、仕事内容や業界の実情などを分かり易く解説してくれてます。笑いもところどころに挟まれてますし、説明過多でくどくなることはなかったです。
動物に携わると必然的に命というものに触れることになり、「動物の出産」「経済動物である豚の飼育」「走れなくなった競走馬」などから、生きること、「命」をいただくという行為について真摯に伝えています。重くなりがちなテーマではありますが、この作品ではそうなり過ぎないように、ほどよい爽やかさと感動あるエピソードを交えて描いていました。
愉快な登場人物たちがこの作品を鮮やかにしているのだと思います。まあクセの強い子たちばかりなので、キャラのやりとり見てるだけでも全然飽きないんとはいえ、ボケに対してツッコミ役少なすぎですね。
個人的には吉野が好きです。見た目可愛いっていうのもありますけど、自分の将来を見据えて取り組む姿、洞察力を生かしたゲスな脅迫、惚れそうです。
あと、大人たちがまた良い味出してる人たちばかり。見た目からして普通じゃないんですけど。所々で悩む若者に与えてくれる助言、手や口を出しすぎることなく見守る姿、こんな人達から学んでみたいと思わせてくれました。
胃袋に大ダメージを与えてくることも珍しくないので注意が必要です。タマゴかけご飯、ベーコン、とろっとろのチーズにじゃがいも、そして最たるはあの全てをつめこんかのようなピザ。食べたくなり過ぎて困ったものです。
料理だけでなく、八軒を筆頭にそれを食べた人たちのリアクションが至福の極みといった感じで、胃袋にこれでもかと訴えかけてきやがりました。
素晴らしい作品でしたね。ハートフルでほのぼのした雰囲気があり、重くなりがちなテーマも鬱々させることなく爽やかさを含めて伝えているので、知識を詰め込んではいますけど比較的読みやすかったです。
当たり前のように食している肉や野菜、口に運ばれるまでにどういった工程を経て、どういった人達が携わってきたのかを知ることもできるので、いただくということを改めて考えさせてくれる作品だと思います。
笑いあり、感動あり、美味しそうな料理あり、そして恋愛もあるので、男女問わず楽しめると思います。よければ読んでみてください。
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