\begin{equation*}
\mathscr{C} = (A_{0}, O_{0}, {d_{0}}^{0}, {d_{0}}^{1}, u_{0}, m_{0})
\end{equation*}
で表わす.
$O_{0} = \mathrm{Ob}(\mathscr{C})$ は $\mathscr{C}$ の対象の集まり.
$A_{0} = \mathrm{Ar}(\mathscr{C})$ は $\mathscr{C}$ の射の集まり.
関数 ${d_{0}}^{0}, {d_{0}}^{1} : A_{0} \to O_{0}$ は各々の射 $f : X \to Y$ に対してそのソース $X$ とターゲット $Y$ を与える. つまり
\begin{equation*}
{d_{0}}^{0}(f) = X, \quad {d_{0}}^{1}(f) = Y.
\end{equation*}
関数 $u_{0} : O_{0} \to A_{0}$ は各々の対象 $X$ に対してその上の恒等射 $\mathrm{id}_{X}$ を与える. つまり
\begin{equation*}
u_{0}(X) = (\mathrm{id}_{X} : X \to X).
\end{equation*}
合成可能な射の対の集まりを
\begin{equation*}
P_{0} = \{\, (f, g) \mid f, g \in A_{0},\, {d_{0}}^{0}(f) = {d_{0}}^{1}(g) \,\}
\end{equation*}
とおいたとき, 関数 $m_{0} : P_{0} \to A_{0}$ は射の合成を与える. つまり
\begin{equation*}
m_{0}(f, g) = f \circ_{\mathscr{C}} g.
\end{equation*}
後で定義する $\mathscr{C}$ の骨格における射の合成を簡潔に "$\circ$" と書きたいために $\mathscr{C}$ における射の合成を "$\circ_{\mathscr{C}}$" と表わしている.
これを元に $\mathscr{C}$ の骨格 (skeleton) と呼ばれる概念を構成する.
前に書いた 数学: ばたばたする では $\mathscr{C}$ の骨格における対象の集まり
\begin{equation*}
O = \{\, X_o \mid o \in \hat{O}_{0} \,\}
\end{equation*}
と射の集まり
\begin{equation*}
A = \{\, f_{\alpha} \mid \alpha \in \hat{A}_{0} \,\}
\end{equation*}
を定義した.
ここで
\begin{equation*}
\hat{O}_{0} = O_0\,\big/\,\simeq_\mathscr{C}
\end{equation*}
は $\mathscr{C}$ の対象の集まり $O_{0}$ を対象の同型による同値関係 $\simeq_{\mathscr{C}}$ で割った商空間.
その商写像を $q_{0} : O_{0} \to \hat{O}_{0}$ とおく.
また
\begin{equation*}
\hat{A}_{0} = A_{0}\,\big/\,\simeq_{\mathrm{Ar}(\mathscr{C})}
\end{equation*}
は $\mathscr{C}$ の射の集まり $A_{0}$ を射の同型による同型関係 $\simeq_{\mathrm{Ar}(\mathscr{C})}$ で割った商空間.
その商写像を $q_{1} : A_{0} \to \hat{A}_{0}$ とおく.
関数 $c_{0} : \hat{O}_{0} \to O$ を
\begin{equation*}
c_{0}(o) = X_{o} \quad (o \in \hat{O}_{0})
\end{equation*}
により定義する. $c_{0}$ は $\mathscr{C}$ の対象の各同値類 $o \in \hat{O}_{0}$ に対して, それに含まれる代表元で $O$ に属する対象 $X_{o}$ を与える.
関数 $c_{1} : \hat{A} \to A$ を
\begin{equation*}
c_{1}(\alpha) = f_{\alpha} \quad (\alpha \in \hat{A}_{0})
\end{equation*}
により定義する. $c_{1}$ は $\mathscr{C}$ の射の各同値類 $\alpha \in \hat{A}_{0}$ に対して, それに含まれる代表元で $A$ に属する射 $f_{\alpha}$ を与える.
関数 $s_{0} : O_{0} \to O$ と $s_{1} : A_{0} \to A$ を
\begin{equation*}
s_{0} = c_{0} \circ q_{0} \quad\text{ and }\quad s_{1} = c_{1} \circ q_{1}
\end{equation*}
により定義する.
$s_{0}$ は $\mathscr{C}$ の各々の対象に対して, それと同型な $O$ に属する対象を与える.
$s_{1}$ は $\mathscr{C}$ の各々の射に対して, それと同型な $A$ に属する射を与える.
以上の準備のもとで $\mathscr{C}$ の骨格における各種の操作を定める.
(1) $d^{0}, d^{1} : A \to O$:
関数 $d^{0}, d^{1}$ を $\mathscr{C}$ における関数 ${d_{0}}^{0}, {d_{0}}^{1}$ の $A$ への制限
\begin{equation*}
d^{0} = {d_{0}}^{0}|A, \quad\text{and}\quad d^{1} : {d_{0}}^{1}|A
\end{equation*}
と定義すると, $d^{0}, d^{1}$ は $A$ から $O$ への関数となる.
これがそれぞれ射に対してそのソースとターゲットを与える.
(2) $u : O \to A$:
関数 $u$ を $\mathscr{C}$ における関数 $u_{0}$ の $O$ への制限
\begin{equation*}
u = u_{0}|O
\end{equation*}
と定義すると, $u$ は $O$ から $A$ への関数となる.
これが対象に対してその上の恒等射を与える.
(3) $m : P \to A$:
\begin{equation*}
P = \{\, (f, g) \mid f, g \in A, d^{0}(f) = d^{1}(g) \,\}
\end{equation*}
とおいて, 関数 $m$ を
\begin{equation*}
m = s_{1} \circ (m_{0}|P)
\end{equation*}
と定義すると, $m$ は $P$ から $A$ への関数となる.
これが合成可能な射の対 $(f, g) \in P$ ($f$ のソースと $g$ のターゲットが等しい) に対してそれらの射のの合成を与える.
圏 $\mathscr{C}$ の 骨格 (skeleton) を 6 つ組
\begin{equation*}
\mathrm{sk}(\mathscr{C}) = (A, O, d^{0}, d^{1}, u, m)
\end{equation*}
によって定義する.
今日はここまでの内容を LaTeX に書き終えた.
上の (3), つまり骨格 $\mathrm{sk}(\mathscr{C})$ において射の合成 $m$ が上記により矛盾無く定義されること (well-defined) がどうにも理解できずに, 何度も繰り返してそのことを保証する議論を行っている. ノートを読み返してみたら長くくどい文章のかたまりが日々書き連らねている.
ある日に納得したことを次の日には納得できなくなっている. それでまた似たような, けれど少しだけ異なる議論を進めて納得したりしなかったり.
これが体調不良で寝込んだりして途切れながらもずっと続く. 無理をしていたんだなあ.
長い. くどい. わかり辛い. 重複がたくさん.
整理してみたら結果としてどの試みも示そうとしていることは一つの式だった. そういうものなんだろう.
任意の $(f, g) \in P_{0}$ に対して,
\begin{equation*}
s_{1} \circ m_{0}(f, g) = m(s_{1}(f), s_{1}(g))
\end{equation*}
つまり
\begin{equation*}
s_{1}(f \circ_{\mathscr{C}} g) = s_{1}(f) \circ s_{1}(g)
\end{equation*}
が成り立つこと, これを示して理解するのが壁だった.
※: 上の式の右辺 $f \circ g$ の "$\circ$" は $\mathscr{C}$ の骨格 $\mathrm{sk}(\mathscr{C})$ における射の合成を表わす.
いずれにせよ, 骨格 $\mathrm{sk}(\mathscr{C})$ の定義まで LaTeX のファイルとしてまとめることができた.
大量の冗長な箇所を整理することができた.
これは良いこと.
後は $\mathrm{sk}(\mathscr{C})$ がそれ自身圏になることを示して証明は完了する.
次の壁は $\mathrm{sk}(\mathscr{C})$ における射の合成 $m$ が結合律を満たすことを理解する部分である.
それはノートを見返すと明らかで, そこでもまた, 長くて冗長な文章による議論の束がいくつか連なっている.
そこを書くのはまた別の日に.
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