2010年10月21日
バンド BADLANDS という夢、一瞬の煌き
80年代の後期にはもうLAメタルブームが終わりかけていた。最後の断末魔のようにスーパーグループが誕生している。ひとつはビリー シーンとポール ギルバードが結成したMr.Big、もうひとつは、ジョン サイクス、カーマイン アピス、トニー フランクリンが結成したブルーマーダーである。
そして、今日の話をしようとしているバンド、BADLANDSである。バッドランズは2つのバンドに比べて地味なバンドだった。ジェイク E リーはオジー オズボーンのバンドで活躍していたが、他のメンバーはこれといって目立った活動をしていなかった。
ドラムのエリック シンガーはアリス クーパー等のバンドのサポートメンバーとして活躍していたので知る人ぞ知るドラマーという程度だったし、ヴォーカリストのレイ ギランはブラックサバスに参加したことがあるがアルバムを残していない。ベーシストのグレック チェイソンはローカルバンドで活躍していた程度だった。
バンドはジェイクの新しいバンドというとらえ方をされていた。バンド結成当時のインタビューで、オジーバンドの新しいベーシストのオーディションでグレックとジェイクがあったことがあった、とジェイクが発言している。その当時、巧いベーシストだとジェイクが思い、オジーに彼をバンドに入れよう、と提案したらすぐに却下された、と言っている。あの整備工みたいなルックスの奴は田舎に帰ってもらえ、と言われた、と言っている。要するに華がない、という理由だったらしい。
Mr.Bigのアルバムは友人が持っていたし、ブルーマーダーもいずれ購入すれば良い、と思っていたが、ジェイクの自信満々の発言と無名に近いメンバーで今までのオジーバンドでは演奏しなかったスタイルの音楽を伸び伸びと演奏している、という発言に賭けてバッドランズのニューアルバムを当時購入した。
購入して1曲目で気に入った。速いテンポの曲も気に入った。しかし、理解できない曲もあった。ブルージーな曲である。今聴くとブルージーと言ってもそれほどのものでもないが、当時は速いテンポの曲、速いギターソロを演奏している曲が良いと思っていたからである。
今あらためてバッドランズが残したアルバムを聴くと好きな人は好きだろうが、世間一般の人に受け入れられる曲がないなあ、と思う。当時は良いバラードがあればアルバムが売れた時代だった。それに逆らうようにヒット曲と無縁の曲作りをしている。
私は彼らの音楽が好きなのでもっと受け入れられていたら彼らの現状も変わっていたろうに、と残念に思うばかりである。
エリック シンガーはファーストアルバムでバンドを抜けている。理由は、もっとラジオでオンエアーされる曲を作るべきだ、というものだった。その意見に逆らうようにセカンドアルバムではもっとラジオでオンエアされない曲作りをしている。
ファーストアルバムを今聴くとジェイクのカッティングギターの音にしびれる。ミュートしているところを力任せに弾くようにカッティングしているので、ガッ、ガッ、ガッ、というようにカッ、カッ、カッ、というような弱い音ではなく凄く鋭い金属音がする。そこが良い。
レイ ギランは巧いシンガーである。彼が世間的に評価されなかった点が残念である。彼はライヴでもスタジオと同等の状態で歌っていた。あれだけ伸びやかな声と独特のパワフルなハイトーンヴォイスを持ったヴォーカリストを探すことはできないと思う。
グレック チェイソンは黙々とベースを弾くタイプだが、ジェイクが認めるだけの凄腕ベーシストである。指弾きで独特の音を出している。巧いベーシストである。彼がいたからバッドランズは成立していたと思う。
2代目ドラマーはエリック マーティンの実弟、ジェフ マーティンだった。彼はレーサーXのヴォーカリストでもあったが、ドラムも叩けた。エリック シンガーはツーバスで豪快に叩くタイプだったが、ジェフはどちらかというとイアン ペイスのようにスティック裁きで手数が多いドラマーである。パワフルさでいえばエリックの方が上だと思うが小回りが利くタイプという点ではジェフだと思う。
セカンドアルバムは完全に彼らのマスターベーションアルバムだと思う。良い曲があるが、音がクリアではなくこもっている。あえてそういう音にしたのだろうが、それはセールスにつながらない音だと思う。ファンとしてはお気に入りでも、一般受けしなければバンドの存続も考えないといけない状況になると思う。
サードアルバムの話題が雑誌に載った頃、同じスタジオにいたメタリカのメンバーから、君達はこの音をやるべきだったんだ。かっこいい、と大絶賛をされた、とジェイクが語っていた。
発売が近いと思われたバッドランズのニューアルバムだがバンドからヴォーカリストのレイが脱退した、というニュースが雑誌に掲載されていた。理由は、わがまま、勝手な行動が多く、手を焼いていたので、お互いに話し合ってやめてもらうことにした、というものだった。黒人の女性ヴォーカリストを入れたので今後も活動をしていく、というようなことも書いてあった。
その後のニュースはまったくなくなり、ジェイクが新しいヴォーカリストとバンドを始めるらしい、というニュースが掲載されていた。それがバッドランズの解散を表していた。サードアルバムは正式に発表されることはなかった。
それから、断片的にジェイクは活動していたが、どれも長続きせず、いつの間にか音楽シーンからも消えてしまった。
数年が過ぎ、いきなり幻に終わっていたサードアルバムが発売されることになった。ジェイクとグレッグが再編集して発表した。メタリカのメンバーが絶賛したというアルバムはすばらしいアルバムだった。時代が彼らを求めていたらヒットしていただろう。ファーストアルバムとセカンドアルバムでやっていたことを一歩前進させたアルバムだった。
バンド解散後の彼らはどうなったのだろうか。
ジェイクはカヴァーアルバムの参加やソロアルバムを出したりしたが、今は表立って活動していない。イナッフ ズナッフのアルバムにサポートギタリストとして参加したのが最後で今は音楽シーンで活動していない。
グレック チェイソンはジェフ マーティンとブルースバンドを結成したが1枚のアルバムを残して解散している。ソロアルバムを1枚出しているが今は音楽活動をしていない。アマチュア野球のコーチをしているそうだ。ブログを更新している。
エリック シンガーはその後KISSに参加して活動している。
ジェフ マーティンはサポートドラマーとして活動したり、レーサーXのヴォーカリストとして活動している。
レイ ギランだがバンド脱退後しばらくしてエイズで亡くなっている。一部ではそれを苦に自殺していた、とも言われているが詳しくは分からない。レイは病気のこともあり、やけになり、バンドで手がつけられなくなっていたのかもしれない。それは今となってはわからない。
バッドランズのファンは意外に日本ではコアなファンが多い。彼らのサードアルバムはポニーキャニオンから発売されたがすぐに廃盤になった。ヤフーオークション等で高値で取引されていたが、あるファン達がポニーキャニオンに再販売してくれるように頼んだといわれている。それを聞いた担当者が再発売をした、といわれている。今の音楽業界では珍しい出来事だと思う。
ジェイクが活動をやめてしまった原因のひとつにレイ ギランのように歌えるヴォカリストがいないことがあらためて分かったから、とも言われている。レイの声はすばらしい。その声に匹敵するヴォカリストを一から探すことの難しさを知ったからバンドを組むことに魅力を感じなくなったのかもしれない。
私はジェイクのファンなのでまたギターを弾いて欲しいと思う。しかし、バッドランズはもう再結成することはない。それがとても残念である。
もし、バッドランズの曲を聴いたことのない人は一度聴いてみる事をお勧めする。私が当時、バッドランズ、バッドランズ、と言っていたことを理解できなかった幼馴染がいたが、あらためて解散後にバッドランズを聴いて、解散したことがとても惜しいバンドだ、と言っていた例がある。ぜひ、彼らの音を聴いて欲しい。
バッドランズ/バッドランズ
バッドランズ/ヴードゥー・ハイウェイ
Badlands / Dusk 輸入盤 〔CD〕
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そして、今日の話をしようとしているバンド、BADLANDSである。バッドランズは2つのバンドに比べて地味なバンドだった。ジェイク E リーはオジー オズボーンのバンドで活躍していたが、他のメンバーはこれといって目立った活動をしていなかった。
ドラムのエリック シンガーはアリス クーパー等のバンドのサポートメンバーとして活躍していたので知る人ぞ知るドラマーという程度だったし、ヴォーカリストのレイ ギランはブラックサバスに参加したことがあるがアルバムを残していない。ベーシストのグレック チェイソンはローカルバンドで活躍していた程度だった。
バンドはジェイクの新しいバンドというとらえ方をされていた。バンド結成当時のインタビューで、オジーバンドの新しいベーシストのオーディションでグレックとジェイクがあったことがあった、とジェイクが発言している。その当時、巧いベーシストだとジェイクが思い、オジーに彼をバンドに入れよう、と提案したらすぐに却下された、と言っている。あの整備工みたいなルックスの奴は田舎に帰ってもらえ、と言われた、と言っている。要するに華がない、という理由だったらしい。
Mr.Bigのアルバムは友人が持っていたし、ブルーマーダーもいずれ購入すれば良い、と思っていたが、ジェイクの自信満々の発言と無名に近いメンバーで今までのオジーバンドでは演奏しなかったスタイルの音楽を伸び伸びと演奏している、という発言に賭けてバッドランズのニューアルバムを当時購入した。
購入して1曲目で気に入った。速いテンポの曲も気に入った。しかし、理解できない曲もあった。ブルージーな曲である。今聴くとブルージーと言ってもそれほどのものでもないが、当時は速いテンポの曲、速いギターソロを演奏している曲が良いと思っていたからである。
今あらためてバッドランズが残したアルバムを聴くと好きな人は好きだろうが、世間一般の人に受け入れられる曲がないなあ、と思う。当時は良いバラードがあればアルバムが売れた時代だった。それに逆らうようにヒット曲と無縁の曲作りをしている。
私は彼らの音楽が好きなのでもっと受け入れられていたら彼らの現状も変わっていたろうに、と残念に思うばかりである。
エリック シンガーはファーストアルバムでバンドを抜けている。理由は、もっとラジオでオンエアーされる曲を作るべきだ、というものだった。その意見に逆らうようにセカンドアルバムではもっとラジオでオンエアされない曲作りをしている。
ファーストアルバムを今聴くとジェイクのカッティングギターの音にしびれる。ミュートしているところを力任せに弾くようにカッティングしているので、ガッ、ガッ、ガッ、というようにカッ、カッ、カッ、というような弱い音ではなく凄く鋭い金属音がする。そこが良い。
レイ ギランは巧いシンガーである。彼が世間的に評価されなかった点が残念である。彼はライヴでもスタジオと同等の状態で歌っていた。あれだけ伸びやかな声と独特のパワフルなハイトーンヴォイスを持ったヴォーカリストを探すことはできないと思う。
グレック チェイソンは黙々とベースを弾くタイプだが、ジェイクが認めるだけの凄腕ベーシストである。指弾きで独特の音を出している。巧いベーシストである。彼がいたからバッドランズは成立していたと思う。
2代目ドラマーはエリック マーティンの実弟、ジェフ マーティンだった。彼はレーサーXのヴォーカリストでもあったが、ドラムも叩けた。エリック シンガーはツーバスで豪快に叩くタイプだったが、ジェフはどちらかというとイアン ペイスのようにスティック裁きで手数が多いドラマーである。パワフルさでいえばエリックの方が上だと思うが小回りが利くタイプという点ではジェフだと思う。
セカンドアルバムは完全に彼らのマスターベーションアルバムだと思う。良い曲があるが、音がクリアではなくこもっている。あえてそういう音にしたのだろうが、それはセールスにつながらない音だと思う。ファンとしてはお気に入りでも、一般受けしなければバンドの存続も考えないといけない状況になると思う。
サードアルバムの話題が雑誌に載った頃、同じスタジオにいたメタリカのメンバーから、君達はこの音をやるべきだったんだ。かっこいい、と大絶賛をされた、とジェイクが語っていた。
発売が近いと思われたバッドランズのニューアルバムだがバンドからヴォーカリストのレイが脱退した、というニュースが雑誌に掲載されていた。理由は、わがまま、勝手な行動が多く、手を焼いていたので、お互いに話し合ってやめてもらうことにした、というものだった。黒人の女性ヴォーカリストを入れたので今後も活動をしていく、というようなことも書いてあった。
その後のニュースはまったくなくなり、ジェイクが新しいヴォーカリストとバンドを始めるらしい、というニュースが掲載されていた。それがバッドランズの解散を表していた。サードアルバムは正式に発表されることはなかった。
それから、断片的にジェイクは活動していたが、どれも長続きせず、いつの間にか音楽シーンからも消えてしまった。
数年が過ぎ、いきなり幻に終わっていたサードアルバムが発売されることになった。ジェイクとグレッグが再編集して発表した。メタリカのメンバーが絶賛したというアルバムはすばらしいアルバムだった。時代が彼らを求めていたらヒットしていただろう。ファーストアルバムとセカンドアルバムでやっていたことを一歩前進させたアルバムだった。
バンド解散後の彼らはどうなったのだろうか。
ジェイクはカヴァーアルバムの参加やソロアルバムを出したりしたが、今は表立って活動していない。イナッフ ズナッフのアルバムにサポートギタリストとして参加したのが最後で今は音楽シーンで活動していない。
グレック チェイソンはジェフ マーティンとブルースバンドを結成したが1枚のアルバムを残して解散している。ソロアルバムを1枚出しているが今は音楽活動をしていない。アマチュア野球のコーチをしているそうだ。ブログを更新している。
エリック シンガーはその後KISSに参加して活動している。
ジェフ マーティンはサポートドラマーとして活動したり、レーサーXのヴォーカリストとして活動している。
レイ ギランだがバンド脱退後しばらくしてエイズで亡くなっている。一部ではそれを苦に自殺していた、とも言われているが詳しくは分からない。レイは病気のこともあり、やけになり、バンドで手がつけられなくなっていたのかもしれない。それは今となってはわからない。
バッドランズのファンは意外に日本ではコアなファンが多い。彼らのサードアルバムはポニーキャニオンから発売されたがすぐに廃盤になった。ヤフーオークション等で高値で取引されていたが、あるファン達がポニーキャニオンに再販売してくれるように頼んだといわれている。それを聞いた担当者が再発売をした、といわれている。今の音楽業界では珍しい出来事だと思う。
ジェイクが活動をやめてしまった原因のひとつにレイ ギランのように歌えるヴォカリストがいないことがあらためて分かったから、とも言われている。レイの声はすばらしい。その声に匹敵するヴォカリストを一から探すことの難しさを知ったからバンドを組むことに魅力を感じなくなったのかもしれない。
私はジェイクのファンなのでまたギターを弾いて欲しいと思う。しかし、バッドランズはもう再結成することはない。それがとても残念である。
もし、バッドランズの曲を聴いたことのない人は一度聴いてみる事をお勧めする。私が当時、バッドランズ、バッドランズ、と言っていたことを理解できなかった幼馴染がいたが、あらためて解散後にバッドランズを聴いて、解散したことがとても惜しいバンドだ、と言っていた例がある。ぜひ、彼らの音を聴いて欲しい。
バッドランズ/バッドランズ
バッドランズ/ヴードゥー・ハイウェイ
Badlands / Dusk 輸入盤 〔CD〕
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