2010年11月30日
I LOVE YOU / SONHOUSE
今日は週間予報と違い昼を過ぎても雨が降らなかった。自転車で30分かけて倉庫にいつものように行く。発送予定のホイール&タイヤを梱包して倉庫においてある車に梱包したホイール&タイヤを積んで帰ってきた。
今日は自転車をこぎながらサンハウスの なまずの唄 のメロディーが頭に流れていたのでサンハウスの話を書こうと思う。
1960〜1970年代の日本のロックは現在と違い、メジャーとは無縁でアンダーグラウンドな音楽だった。だから、各地域に特色があり面白い時代だったと言える。そんな中でサンハウスは九州では有名なバンドであった。
九州の土地柄は、輸入盤レコードが横浜と並び入手できやすかったそうだ。サンハウスはブルースのレコードを入手して聴いていたメンバーで結成されたバンドである。ちょうどイギリスで自分達流の解釈でブルースを基礎にロックを演奏していたことにも影響されていたのだと思う。ロックンロールの基礎にブルースがあるように彼らはブルースの匂いがするロックバンドである。
ギタリストの鮎川誠さんがあるインタビューで、キャロルのことをあまり好かん(好きではない)のはブルースを感じんからやね。俺らは(ルーツが)ブルースやから、と答えている。
彼らは東京の音楽界でも一目置かれる存在になっていたが(私はこの通称が好きではないが)めんたいロック、めんたいビートバンドの出現と代わるようにバンドを解散してサンハウスとしての活動を終えている。
彼らの代表曲は レモンティー だろう。この曲は後に鮎川誠さんとシーナさんが結成したバンド、シーナ&ザ ロケッツ でもセルフカヴァーされている。原曲はヤードバーズも演奏している曲 トレーン ケプトア ローリン である。
この曲の歌詞が凄い。一度聴いただけで憶えてしまう。歌の始めの歌詞が 絞って僕のレモンを である。この歌詞にやられない人はロック好きではないと思う。原曲の歌詞もエロいが、原曲を超えてかなりエロいがそれをセンスよくエロく歌っている歌詞がいい。下品な歌詞でもエログロな本当の下品極まりないものではなく、上手いなあ、というロックらしい歌詞である。ヴォーカルの菊(柴山俊之)さんのセンスの良さと言葉遊びがとても上手い作詞能力を感じる。
後日、柴山さんが原曲作詞者に自分の歌詞を手紙で送った時に、俺の歌詞よりエロいからいい、と褒められた、と発言している。
似たような曲で ミルク飲み人形 という曲がある。ずばりそのままである。
彼らの曲 (ビールス・カプセル)(ドゥ ザ ブギ) はThe Roostersにカヴァーされている。これらの曲がなぜカヴァーされたかはルースターズの大江慎也さんと鮎川誠さんが交流があったからだそうだ。ルースターズが結成される前から大江さんと鮎川さんは交流があり、鮎川さんの自宅で多くのブルースのアルバムを聴いていたそうだ。
大江さんの話では、当時、九州で活動していたバンドは巧いバンドが多かったが誰もプロとしてバンドで金を稼いで生活しようとは思っていなかった。 だから、プロとアマチュアという垣根がなくミュージシャンのコミュニティーは意外と狭かったので誰もが顔見知りだった、と発言している。
バンド解散後はそれぞれのメンバーがそれぞれバンド活動したり、柴山さんは一時期作詞家に転向はしていたが音楽にたずさわる仕事をしていたが1人だけ音楽の世界から離れて音楽と無縁のサラリーマンをしていたメンバーがいた。ギタリストの篠山哲雄さんだ。彼と他のバンドメンバーとは一時期距離を置いていた時期があった。うわさでは元気に毎日仕事をして生活しているようだ、と柴山さんや鮎川さんがインタビューでそれぞれ答えていた。
サンハウスはイベント限定で再結成されることになった。彼らが現役バンドで活動していた時期を知らない世代のオーディエンスがほとんどだったと思う。限定の再結成だったがステージは成功した、と聞いていた。それ以後ことあるごとに再結成の話が持ち上がった。
90年代から2000年代に度々再結成されて実際にステージを観れるようになった。私は残念ながら彼らのステージを観たことがないが観てみたいとは思う。もし、九州地区に住んでいたら間違いなく観に行っていると思う。
再結成ライヴの映像 風よ吹け で印象的だったのは先に書いた篠山さんのギター演奏である。なまずの唄 で彼がギターソロを弾いているがこの演奏を見て私は衝撃を受けた。鮎川さんと違い決して巧い演奏ではない。滑らかな指使いで弾くものではない。だが、彼が音楽業界から離れて毎日、毎日まじめに働いてきた人生の歩みを感じられる凄みがある。
ラウドネスのギタリスト 高崎晃さんがあるアルバムで、ロックというものは人生だと思う。格好だけがロックミュージシャンの人間をロックとは言わない。そんな格好をしてロックをしていると言うのは簡単であるが、中身が空っぽなので本物ではない。本当のロックとは毎日スーツを着て働いているが心の中でロックをいつも持って闘っている人の方が俺は本物のロッカーだと思う、と書いている。
そのことを表しているように他のメンバーがミュージシャン然としている中篠山さんだけ普通のサラリーマンが着ているスーツにネクタイ姿で演奏している。黙々とカッティングをしているが、この曲だけ唯一ソロを弾いていた。1音、1音弾くピッキングとチョーキングは決して巧いものではないが彼の人生を表しているように感じられる演奏で、これが高崎さんが言っていた 本物のロッカー なのだと思う。テクニカルな演奏をするギタリストでこの演奏に敵わないギタリストは多いだろう。自分のトーンを持っていないギタリストには誰も興味を持たない。いくらテクニカルな演奏をしても 器用貧乏 という烙印を押されるだけである。篠山さんは自分のトーンをちゃんと持っているギタリストだと思う。
アナーキーの仲野茂さんは作詞家としての能力を意外と評価されていないが彼の書く歌詞はすばらしいものがある。その仲野さんをして、この曲を聴いて俺はラヴソングを書くことを一生やめた、という曲がある。それはサンハウスの曲で後に鮎川誠さんが歌った曲 I LOVE YOU である。ガラガラ声で歌う菊さんの歌もいいが、鮎川さんが歌うこの曲もいい。鮎川さんは独特のしゃべり方で話される方だが、この歌詞の主人公のように不器用だが愛を一生懸命伝えようとする姿にダブって見える。
再結成ライヴのDVDは現在では簡単に入手できると思うので一度見て欲しいと思う。
サンハウスを知らずして九州、博多ロック、ビートバンドを語れないと思うし、日本のロックバンドを語れないと思う。
SONHOUSE TWIN PERFECT COLLECTION ■ サンハウス
サンハウス/THE CLASSICS 35th ANNIVERSARY
サンハウス 金輪祭(DVD)
大都市圏に14店舗を運営!楽器の事ならアフターも安心の石橋楽器店!
今日は自転車をこぎながらサンハウスの なまずの唄 のメロディーが頭に流れていたのでサンハウスの話を書こうと思う。
1960〜1970年代の日本のロックは現在と違い、メジャーとは無縁でアンダーグラウンドな音楽だった。だから、各地域に特色があり面白い時代だったと言える。そんな中でサンハウスは九州では有名なバンドであった。
九州の土地柄は、輸入盤レコードが横浜と並び入手できやすかったそうだ。サンハウスはブルースのレコードを入手して聴いていたメンバーで結成されたバンドである。ちょうどイギリスで自分達流の解釈でブルースを基礎にロックを演奏していたことにも影響されていたのだと思う。ロックンロールの基礎にブルースがあるように彼らはブルースの匂いがするロックバンドである。
ギタリストの鮎川誠さんがあるインタビューで、キャロルのことをあまり好かん(好きではない)のはブルースを感じんからやね。俺らは(ルーツが)ブルースやから、と答えている。
彼らは東京の音楽界でも一目置かれる存在になっていたが(私はこの通称が好きではないが)めんたいロック、めんたいビートバンドの出現と代わるようにバンドを解散してサンハウスとしての活動を終えている。
彼らの代表曲は レモンティー だろう。この曲は後に鮎川誠さんとシーナさんが結成したバンド、シーナ&ザ ロケッツ でもセルフカヴァーされている。原曲はヤードバーズも演奏している曲 トレーン ケプトア ローリン である。
この曲の歌詞が凄い。一度聴いただけで憶えてしまう。歌の始めの歌詞が 絞って僕のレモンを である。この歌詞にやられない人はロック好きではないと思う。原曲の歌詞もエロいが、原曲を超えてかなりエロいがそれをセンスよくエロく歌っている歌詞がいい。下品な歌詞でもエログロな本当の下品極まりないものではなく、上手いなあ、というロックらしい歌詞である。ヴォーカルの菊(柴山俊之)さんのセンスの良さと言葉遊びがとても上手い作詞能力を感じる。
後日、柴山さんが原曲作詞者に自分の歌詞を手紙で送った時に、俺の歌詞よりエロいからいい、と褒められた、と発言している。
似たような曲で ミルク飲み人形 という曲がある。ずばりそのままである。
彼らの曲 (ビールス・カプセル)(ドゥ ザ ブギ) はThe Roostersにカヴァーされている。これらの曲がなぜカヴァーされたかはルースターズの大江慎也さんと鮎川誠さんが交流があったからだそうだ。ルースターズが結成される前から大江さんと鮎川さんは交流があり、鮎川さんの自宅で多くのブルースのアルバムを聴いていたそうだ。
大江さんの話では、当時、九州で活動していたバンドは巧いバンドが多かったが誰もプロとしてバンドで金を稼いで生活しようとは思っていなかった。 だから、プロとアマチュアという垣根がなくミュージシャンのコミュニティーは意外と狭かったので誰もが顔見知りだった、と発言している。
バンド解散後はそれぞれのメンバーがそれぞれバンド活動したり、柴山さんは一時期作詞家に転向はしていたが音楽にたずさわる仕事をしていたが1人だけ音楽の世界から離れて音楽と無縁のサラリーマンをしていたメンバーがいた。ギタリストの篠山哲雄さんだ。彼と他のバンドメンバーとは一時期距離を置いていた時期があった。うわさでは元気に毎日仕事をして生活しているようだ、と柴山さんや鮎川さんがインタビューでそれぞれ答えていた。
サンハウスはイベント限定で再結成されることになった。彼らが現役バンドで活動していた時期を知らない世代のオーディエンスがほとんどだったと思う。限定の再結成だったがステージは成功した、と聞いていた。それ以後ことあるごとに再結成の話が持ち上がった。
90年代から2000年代に度々再結成されて実際にステージを観れるようになった。私は残念ながら彼らのステージを観たことがないが観てみたいとは思う。もし、九州地区に住んでいたら間違いなく観に行っていると思う。
再結成ライヴの映像 風よ吹け で印象的だったのは先に書いた篠山さんのギター演奏である。なまずの唄 で彼がギターソロを弾いているがこの演奏を見て私は衝撃を受けた。鮎川さんと違い決して巧い演奏ではない。滑らかな指使いで弾くものではない。だが、彼が音楽業界から離れて毎日、毎日まじめに働いてきた人生の歩みを感じられる凄みがある。
ラウドネスのギタリスト 高崎晃さんがあるアルバムで、ロックというものは人生だと思う。格好だけがロックミュージシャンの人間をロックとは言わない。そんな格好をしてロックをしていると言うのは簡単であるが、中身が空っぽなので本物ではない。本当のロックとは毎日スーツを着て働いているが心の中でロックをいつも持って闘っている人の方が俺は本物のロッカーだと思う、と書いている。
そのことを表しているように他のメンバーがミュージシャン然としている中篠山さんだけ普通のサラリーマンが着ているスーツにネクタイ姿で演奏している。黙々とカッティングをしているが、この曲だけ唯一ソロを弾いていた。1音、1音弾くピッキングとチョーキングは決して巧いものではないが彼の人生を表しているように感じられる演奏で、これが高崎さんが言っていた 本物のロッカー なのだと思う。テクニカルな演奏をするギタリストでこの演奏に敵わないギタリストは多いだろう。自分のトーンを持っていないギタリストには誰も興味を持たない。いくらテクニカルな演奏をしても 器用貧乏 という烙印を押されるだけである。篠山さんは自分のトーンをちゃんと持っているギタリストだと思う。
アナーキーの仲野茂さんは作詞家としての能力を意外と評価されていないが彼の書く歌詞はすばらしいものがある。その仲野さんをして、この曲を聴いて俺はラヴソングを書くことを一生やめた、という曲がある。それはサンハウスの曲で後に鮎川誠さんが歌った曲 I LOVE YOU である。ガラガラ声で歌う菊さんの歌もいいが、鮎川さんが歌うこの曲もいい。鮎川さんは独特のしゃべり方で話される方だが、この歌詞の主人公のように不器用だが愛を一生懸命伝えようとする姿にダブって見える。
再結成ライヴのDVDは現在では簡単に入手できると思うので一度見て欲しいと思う。
サンハウスを知らずして九州、博多ロック、ビートバンドを語れないと思うし、日本のロックバンドを語れないと思う。
SONHOUSE TWIN PERFECT COLLECTION ■ サンハウス
サンハウス/THE CLASSICS 35th ANNIVERSARY
サンハウス 金輪祭(DVD)
大都市圏に14店舗を運営!楽器の事ならアフターも安心の石橋楽器店!