2010年08月31日
日本が危ない(107)リチウムイオン電池市場 韓国攻勢に危機感
リチウムイオン電池市場 韓国攻勢に危機感
2010年8月2日
電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)に搭載するリチウムイオン電池で、LGグループなど韓国勢が攻勢をかけている。
NECやパナソニック、東芝など日本勢が世界の自動車メーカーと提携を進め、ほぼ独占状態だったが、韓国勢は得意の集中投資で猛追。
LG化学の受注獲得はとどまるところを知らない。
現代自動車などの韓国メーカーをはじめ、ゼネラル・モーターズ(GM)とフォードの米2社、中国企業傘下になったスウェーデンのボルボとも契約した。
供給能力を増強するため、国内に加え、先月15日には、米ミシガン州ホーランドでも新工場の建設に着手。起工式には異例とも言える、オバマ米大統領も出席し祝辞を述べた。
2013年までに3億3千万ドル(約280億円)を投じ、フォードが11年以降に投入するEV「フォーカス」向けなど年間20万台分の電池を生産する。
韓国ではサムスングループも今後10年間で4400億円を電池事業に投資する計画を打ち出している。
リチウムイオン電池を次世代の基幹産業に位置づける政府が、争奪戦が激化している原料のリチウムの確保を含めて全面的にバックアップしているのが強みだ。
韓国以外にも、低コストを武器にした中国、台湾メーカーも参入の準備を進めている。
ノートパソコンや携帯電話向けの小型も含めたリチウムイオン電池の世界市場では、シェア1位の三洋電機を筆頭に日本メーカーが上位を占めている。
しかし、「日本勢が先行しながら、世界シェアで逆転された半導体や液晶テレビの二の舞いになる」(業界関係者)と危機感を募らせ、設備増強などを急いでいる。
三洋電機では7月30日に兵庫県加西市に新工場を完成させ、年度内にもフル稼働させる。
特定の自動車メーカーと組まず、海外メーカーも含め“全方位戦略”を展開。「1位でないとメリットは享受できない」とし、車載電池でシェア40%を目指す。
三洋を完全子会社化するパナソニックも、大阪市住之江区に新工場を建設し、今春稼動させた。エコカーで先行するトヨタ自動車とガッチリと手を組み、韓国勢の追撃を振り切る構えだ。
東芝は三菱自動車とEV向け電池の共同開発に乗り出し、250億円を投じて建設中の新潟県柏崎市の工場を11年にも稼働させる。
日立製作所は、社内カンパニーを立ち上げ、契約済みのGM以外の供給先確保に向け交渉を進めている。
ただ、自動車メーカーが主導権を握る電池には標準規格がなく、メーカーごとにバラバラで、集中投資にはリスクも伴う。
政府の支援を受ける韓国勢に対抗するには、規格統一など官民一体の取り組みのほか、合従連衡による規模拡大も課題となりそうだ。
リチウムイオン電池(二次電池)とは:
二次電池とは繰返し充放電ができる電池のことで、使い捨て電池である一次電池に対するものです。リチウムイオン電池の特徴は、小型、軽量、高電圧、メモリー効果なしという点にあります。
追記: オバマはシカゴ出身。自動車産業とは結びつきが強い。
オバマは就任後の米議会演説でも、GM支援を明確にしていた。
このオバマ政権下でGMは、国有化され、負債も整理され、財務体質も大幅に改善された。北米市場ではGM、フォードの二社の巻き返しが著しい。
米自動車メーカーは、確かに小型車開発、低燃費車開発、電気自動車開発に後れをとってきたが、電池とモーターで動く電気自動車については、電池さえめどがつけば十分キャッチアップが可能なのだ。
GM、フォードはLG化学から電池供給を受けることでそれを可能にしたといえよう。
LG化学もミシガンという米民主党の地盤に工場を作ることで、オバマに恩を売ることができた。
オバマもそれに応えている。
LG化学のこの工場も、米政府のグリーンディール政策により、投資総額の半分に当たる1億5000万ドルの現金支援を受け、ミシガン州から税金減免優遇も受け、工場建設による負担を大幅に軽減できたのである。
この戦いは、またまた日本にとって厳しい展開が予想されそうである。
サッカーではないが、思わず「頑張れニッポン]と言いたくなる。
2010年8月2日
電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)に搭載するリチウムイオン電池で、LGグループなど韓国勢が攻勢をかけている。
NECやパナソニック、東芝など日本勢が世界の自動車メーカーと提携を進め、ほぼ独占状態だったが、韓国勢は得意の集中投資で猛追。
LG化学の受注獲得はとどまるところを知らない。
現代自動車などの韓国メーカーをはじめ、ゼネラル・モーターズ(GM)とフォードの米2社、中国企業傘下になったスウェーデンのボルボとも契約した。
供給能力を増強するため、国内に加え、先月15日には、米ミシガン州ホーランドでも新工場の建設に着手。起工式には異例とも言える、オバマ米大統領も出席し祝辞を述べた。
2013年までに3億3千万ドル(約280億円)を投じ、フォードが11年以降に投入するEV「フォーカス」向けなど年間20万台分の電池を生産する。
韓国ではサムスングループも今後10年間で4400億円を電池事業に投資する計画を打ち出している。
リチウムイオン電池を次世代の基幹産業に位置づける政府が、争奪戦が激化している原料のリチウムの確保を含めて全面的にバックアップしているのが強みだ。
韓国以外にも、低コストを武器にした中国、台湾メーカーも参入の準備を進めている。
ノートパソコンや携帯電話向けの小型も含めたリチウムイオン電池の世界市場では、シェア1位の三洋電機を筆頭に日本メーカーが上位を占めている。
しかし、「日本勢が先行しながら、世界シェアで逆転された半導体や液晶テレビの二の舞いになる」(業界関係者)と危機感を募らせ、設備増強などを急いでいる。
三洋電機では7月30日に兵庫県加西市に新工場を完成させ、年度内にもフル稼働させる。
特定の自動車メーカーと組まず、海外メーカーも含め“全方位戦略”を展開。「1位でないとメリットは享受できない」とし、車載電池でシェア40%を目指す。
三洋を完全子会社化するパナソニックも、大阪市住之江区に新工場を建設し、今春稼動させた。エコカーで先行するトヨタ自動車とガッチリと手を組み、韓国勢の追撃を振り切る構えだ。
東芝は三菱自動車とEV向け電池の共同開発に乗り出し、250億円を投じて建設中の新潟県柏崎市の工場を11年にも稼働させる。
日立製作所は、社内カンパニーを立ち上げ、契約済みのGM以外の供給先確保に向け交渉を進めている。
ただ、自動車メーカーが主導権を握る電池には標準規格がなく、メーカーごとにバラバラで、集中投資にはリスクも伴う。
政府の支援を受ける韓国勢に対抗するには、規格統一など官民一体の取り組みのほか、合従連衡による規模拡大も課題となりそうだ。
リチウムイオン電池(二次電池)とは:
二次電池とは繰返し充放電ができる電池のことで、使い捨て電池である一次電池に対するものです。リチウムイオン電池の特徴は、小型、軽量、高電圧、メモリー効果なしという点にあります。
追記: オバマはシカゴ出身。自動車産業とは結びつきが強い。
オバマは就任後の米議会演説でも、GM支援を明確にしていた。
このオバマ政権下でGMは、国有化され、負債も整理され、財務体質も大幅に改善された。北米市場ではGM、フォードの二社の巻き返しが著しい。
米自動車メーカーは、確かに小型車開発、低燃費車開発、電気自動車開発に後れをとってきたが、電池とモーターで動く電気自動車については、電池さえめどがつけば十分キャッチアップが可能なのだ。
GM、フォードはLG化学から電池供給を受けることでそれを可能にしたといえよう。
LG化学もミシガンという米民主党の地盤に工場を作ることで、オバマに恩を売ることができた。
オバマもそれに応えている。
LG化学のこの工場も、米政府のグリーンディール政策により、投資総額の半分に当たる1億5000万ドルの現金支援を受け、ミシガン州から税金減免優遇も受け、工場建設による負担を大幅に軽減できたのである。
この戦いは、またまた日本にとって厳しい展開が予想されそうである。
サッカーではないが、思わず「頑張れニッポン]と言いたくなる。
投稿者:がくがく|00:22