2021年06月27日
今更ながら、1984年のUWF
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『1984年のUWF』は刊行当初から存在は知っていたものの、「当事者からインタビューしていないじゃないか」「偏った書き方が多い」と批判のコメントが多かったため手に取ることはありませんでしたが、加筆した文庫本を本屋で発見したので遅ればせながら読んでみました。なるほど、これは前田日明氏が怒るのも納得です。
【ネタバレごめんなさい】
冒頭から、中井祐樹先生がUWFへの熱が冷めていく過程が綴られています。
次に、カールゴッチが五輪選手のプライドゆえにアメリカンプロレスで成功しなかった理由。
続いて、佐山サトル先生が新日本の若手時代から新格闘技を構想している中でタイガーマスクになることを余儀なくされ、新日本の資金横流しや自身の結婚トラブルに巻き込まれ失望→引退になった経緯。
ユニバーサルは新間寿氏が新日本への復讐のために立ち上げ、エースにタイガーを担ぎ上げようとしたが新日本からのクレームで無くなり、WWFとのパイプも断ち切られ旗揚げを頓挫させようとした経緯。
…とまぁ、それ以降の流れは割愛しますが、第二次UWFは旗揚げの後楽園超満員を皮切りに社会現象にまでなる中で東京ドームや大阪球場を成功させ、会社は潤っているように外野からは見えていましたが、実は経営が火の車だったとは。大阪球場大会は招待券をバラ撒いてなんとか超満員にした、と書いてあるけどこれは本当か?
ユニバーサルプロレス(旧UWF)は新日本のスタイルとなんら変わりはなく、旗揚げシリーズはメキシコやアメリカのローカルレスラーが多かったのは事実です。資金が潤沢でなかったので止むを得ない事だったとは思いますが、旗揚げ前から倒産が目に見えていたとは知りませんでした。おそらくこれは事実だと思います。
読んでみて、筆者の柳澤健氏は全体を通して前田日明氏を認めていないことは分かりました。
「前田日明が語るUWF全史」も柳澤氏は『読む価値無し』とあとがきに書いています。
佐山さんを追い出した事、3次UWFを断ち消えさせた事や新生UWFの神社長への不信感、経営が火の車なのに選手には潤沢に給料が支払われていたにも関わらず、選手側がフロントの着服を疑っていた、と。フロントと選手のどちらが真実なのかは分かりませんが、溝があったことは確かです。
SEKAI NO OWARIの「Dragon Night」という曲の歌詞に『人はそれぞれ「正義」があって 争い合うのは仕方ないのかも知れない だけど僕の嫌いな「彼」も彼なりの理由があるとおもうんだ』とありますが、正に視点が変われば反対側が悪になっていく構図ですね。
佐山さんが旧UWF退団後に「ケーフェイ」という告白本を出版しタイガーマスクを否定しています。
『今までのはプロレスの延長線上でこれから自分が立ち上げるシューティングが本物の格闘技だ』という内容が一番言いたかったことなのでしょう。
『1984年のUWF』の巻末に柳澤氏がクリス・ドールマンにインタビューした際の音声を文章に書き起こしたものが掲載されており、他の格闘技雑誌等で「ガチだった」と主張するドールマンの証言を打ち消す形になっています。ジェラルド・ゴルドーも「マエダに怪我させないように負けるのが難しかった」と証言しているようです。
『UWFも結局はプロレスだった』と言った佐山さんが新日本のリングに10数年ぶりに上がり、獣神サンダーライガーとのエキシビションマッチをした後、「久々に試合、いや芝居しました〜」と修斗のリング上からマイクコメントしたこともありました。そういった数々の「告白」があったから佐藤ルミナ氏は佐山さんを信じ、修斗に進んだそうです。
いずれにせよ、プロレスと総合格闘技の間を取り持ったUWFは、UFCとPRIDEの出現により役目は終わります。
佐山氏は自身が立ち上げた修斗から去りプロレスに回帰し(そういや制圏道や須麻比はどうなった?)、仲違いした新間寿氏ともまたくっ付いてます。船木や鈴木みのるも現在プロレスをやっています。
レスラーは個人事業主だと言いますが、経営形態(ファイトスタイル)を変えればどんなリングでも上がれる。
本当にその通りかもしれません。色々言われますが、UWFは面白かったことは間違いないです。
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