スッチーくんはその木を「モミジさん」と呼んでいました。
スッチーくんは久しぶりに、モミジさんに会いたくなったので、会いに行くことにしました。
スッチーくんが会いに行ったら、モミジさんはまだその場所に居てくれましたが、少し元気がないように見えました。
スッチーくんとモミジさんが久しぶりの再会を喜んでいるその時、けたたましい大きな音を立てた車が近くを通りすぎていきました。
スッチーくんはビックリして、その場を去ってしまいました。
しばらくして、スッチーくんはモミジさんのところへ戻ってきました。
スッチーくんが居た頃、この辺りは静かな環境でしたが、変わってしまったようです。
スッチーくんはモミジさんに、
「うるさくないの?」
と、尋ねました。
すると、モミジさんは
「聞かないようにしてるから」
と、淡々とした声で答えました。
モミジさんはスッチーくんが生まれるずーっと、ずーっと前からここで暮らしてきました。
その長年、培ってきたさまざまな経験が、その答えにあらわれているように、スッチーくんには感じました。
それでも、スズメのようにすぐに安全な場所へ移動できないモミジさんを見て、スッチーくんは、
「何とかもっと静かな環境で過ごしてほしい」
と、願わずにはいられませんでした。
スッチーくんは帰宅してから、モミジさんが
「聞かないようにしてるから」
と言った本当の意味を考えていました。
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