「103万円の壁」打開策の効果は大きい様に見えるが、そう単純ではない。
抑々「103万円の壁」とは、年収が103万円を超えると所得税を支払わなければならなくなる事を意味するが、所得税は103万円を超えた部分に掛かる為、実はそれ自体では手取りは左程減らない。
但し、扶養者の扶養控除がなくなる為、学生アルバイトなどの場合は家計単位で増税になり、この点で一定の対応は必要かも知れない。
だが、学生の本分は学業である事からすれば、苦学生の生活費には奨学金で対応するのが本筋であろう。
就業調整を行っている多数派は所謂主婦(夫)パートである。
然し、主婦(夫)パートの場合は配偶者特別控除により、収入増で手取りが減る事を避ける仕組みが導入されているのが実情だ。
こうして見れば、控除をストレートに178万円に引き上げた時の就労促進効果は左程大きくない。
働き控えで真に問題になるのは「103万円の壁」の先の「壁」である。
夫(妻)に扶養されている配偶者である「第3号被保険者」から外れて社会保険料を支払う義務が発生する「106万円の壁」と「130万円の壁」の事だ。
控除額を178万円に引き上げても、これらの「壁」は解消されない。
石破政権が議論すべきはその本格的な改革だ。
問題の本質は第3号被保険者制度にあり、その抜本改革に何処まで踏み込めるかが試金石である。
この制度は「男は仕事、女は家庭」と言う昭和的家族観を前提に、女性の社会での本格的な活躍を遅らせ、経済的自立も妨げている。
現実には、この制度を失くし、一律に保険料を求めるにしても、年金制度の移行で通常見られる十分な移行期間の設定や、本人負担の減免など移行期における支援策を工夫する事が求められる。
とは言え、労働力不足が深刻化し、3組に1組以上が離婚する我が国の現状を直視すれば、最早先送りは許されない。
法政大教授 山田 久 1963年大阪府生まれ。 京都大卒。
日本総合研究所を経て2023年から現職。 専門はマクロ経済分析や経済政策。
愛媛新聞 視標から
国民民主党も自民と同様、理論がええ加減。
騙されない様一生懸命考えよう。
先ず考えるのは「130万の壁」。
はや立憲民主が結論を出している。
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