そしてプラトンはイデア界には普遍的な「真・善・美」が存在すると考えた。
倫理と言う事が特に問題となる分野に「生命倫理学」と言う学問が挙げられる。
現在の論点は「人工授精や体外受精に保険適用する事の是非」や「臓器移植の為のドナーを増やす為の方法論」と言った事になるのである。
その論点移動(ずらし)は、社会情勢(晩婚化・少子高齢化など)に鑑みれば、或る意味当然だとも言える。
と言う訳で倫理観と言うものは、高々10年程で変節を遂げるのである。
では、僕の専門分野「美」は如何か。
幸いに、芸術と言うカテゴリーに関して言えば、倫理観とは違って社会全体のコンセンサスを必要としない。
「古代の仏像が美しい」と考える人がいても良いし「ポップアートがかっこいい」と思っても誰からも文句は言われない。
現代は美のカオス(無難な言葉で言えば「多様化」)が拡大している状態にある。
ここで必要となる哲学は「万物斉同」の老荘思想辺りになるのかも知れない。
矢原 繫長 美術エッセイスト
愛媛新聞 四季録から
現在の医学部入試小論文で「科学技術は自然の摂理を壊す事に繋がる。従って人間はその分野から手を引くべきだ」と言った論調で文章を書いてしまったら、その学生は「医師(科学者)に向いていない」と判断され、「落第」となるらしい。
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