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2019年09月21日

内視鏡検査後にタギングをすべきか? ラインコミュニティ「CTC Academy」でのやりとりから

先日、ラインコミュニティ「CTC Academy」で有用なやり取りがありました。

ご紹介したいと思います。

以下、引用です。




S先生

当院では、大腸CT(CT colonography)検査は内視鏡後に行う事が多く、ニフレックにガストロを混ぜていない事がほとんどです。
そこで内視鏡検査中に大腸CTを行うと予想された患者には経内視鏡的にガストロを噴射してもらうようにしております。しかし、担当医により噴射の仕方など様々であり、統一されていないのが現状であります。

ここで先生方に質問ですが、

@前処置でガストロ噴射していない患者で内視鏡を行う場合、内視鏡時にガストロ噴射は必要か?
Aそもそも大腸CTには必ずタギングが必要か?

この2点についてご意見を頂戴したく思います。
よろしくお願い致します。



ナガイチ
イイご質問ですね!

具体的な意見を皆さんから聞くために、検査目的についても触れると良いかもしれません。

検査目的は下記のようなことか挙げられると思います。どうでしょう?

1. 内視鏡挿入不能例の近位側腸管の腫瘍性病変の検索

2. 術前検査として病変の位置の同定

3. 内視鏡はトータルするも念の為、見逃し病変の有無の確認



S先生
ありがとうございます。
先生の仰る通りで、当院では内視鏡後に上記の3点と術前ではCTAngiographyも含めた検査目的で行なっております。
内視鏡を行う主治医からはガストロ噴射も曖昧に行なっているらしく、やりたくないというのが正直な感想らしく。
内視鏡後の大腸CTにはガストロ噴射が必要か皆さま方の意見をお伺いしたいです。



T先生
術前のCTAngiographyを行うのであれば、血管造影とコントラストがつかなくなり、タギングは不要なのではないでしょうか?
ナガイチ先生のご提示された3点においてはタギングは有効だと思いますが、どのくらいの濃度で良いタギングになるのかよくわからず、当院では行なっていません。出来るだけ、残液を吸引してもらいCTCを行なっています。

どの部位にどのくらい撒くのか、そしてゴロゴロと体位変換は必要なのかなど、良いタギングになる方法のご経験があればご教示頂きたいです。



S先生
回答ありがとうございます。
確かに造影剤のコントラストを考慮すれば、タギングの必要性は低そうですね。
当院でも、T先生のご施設同様にどのくらい撒くのか曖昧で、内視鏡を施行する医師が嫌がっています。
私も体位変換等の知識がありませんので、ご教授頂きたいです。



N先生
内視鏡挿入不能例と術前検査の時、内視鏡検査後大腸CTを施行する事があります。
当院ではタギングをするかどうかは大腸CTに一緒に携わって頂いている医師の判断ですが、タギングする場合は内視鏡検査後に希釈したガストロを服用してもらい2〜3時間後にCTCを行います。
CT angioは大腸CTと合わせて行うと画質が落ちるのと、手術時と近い状態で見たいという外科の医師の要望で最近は大腸CTとは別日に行います。
前提条件が違う話で的外れかも知れませんが、病変の位置の同定の場合もタギングされているとVR画像で残液部分の抽出がしやすいので助かってます。
服用してもらう方がひょっとしたら医師の負担感が減るかも知れません。



S先生
ご回答ありがとうございます。
内視鏡後に服用は是非真似したいと思います。



ナガイチ
ご回答いただいた先生方、どうもありがとうございました。
レベルの高いやり取りで勉強になりますね。

内視鏡がトータルできていて、その直後の大腸CTであれば、なるべく残液を吸引してもらうことで、基本的にはタギングはいらないと思います。少量残っているぶんには体位変換で十分です。

術前の血管走行の評価のためにアンギオするのであれば、タギングは不要です。描出能が低下します

内視鏡がトータルできておらず、未知の病変検索を行うのであれば、残液の吸引も不十分になりますので、基本的にはタギングすべきです。

経口服用する場合と、内視鏡から散布チューブで散布する方法があります。
前者の方がタギング能は良好ですが撮影まで十分時間をとってください。N先生のアドバイスにありますね。



F先生
当院ではトータルできなかった方に同日CTCを行なっています。ガストロ原液20ccとインジゴを混ぜて内服してもらい、インジゴの排便確認後に検査を施行しています。30分〜90分程度でインジゴが確認でき、充分なタギングができています。



S先生
ご回答ありがとうございます。
当院は内視鏡後に内服を行なっておりませんので、大変勉強になります。
また、30-90分程度であれば臨床上使いやすい手法ですね。さっそく検討させて頂きます。



ナガイチ
F先生の方法は実用的ですね。
インジゴによる判定はH先生もご発表されている便利な方法ですよ!
楽しい議論をありがとうございました!




以上、引用終わりです。

ラインコミュニティでは活発な議論も行っていますよ。
是非、皆様もご参加ください。

#タギング #内視鏡検査後
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プロフィール
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大腸の専門家 ナガイチ
大腸を専門に外科、内視鏡、画像診断のキャリアがあります。               経歴のご紹介:               1996年 国立医学部医学科卒業。       1996〜2007年 消化器外科、内視鏡医として従事。                    2007〜2011年 ハーバード大学 医学部 放射線科、マサチューセッツ総合病院に留学。 2009年〜国内のナショナルセンターに外来研究員として併任。               2011年 帰国し内視鏡医として従事。     2015年〜国内のナショナルセンターに常勤勤務。 2019年〜某国公立大学医学部医学科の特任教授として働いています。                  資格: 外科認定医・認定登録医、消化器内視鏡認定医・専門医・指導医、消化器病専門医、H. pylori(ピロリ菌)感染症認定医、消化器がん検診認定医、胃腸科専門医・指導医、アメリカ消化器内視鏡学会(American Society for Gastrointestinal Endoscopy) 国際会員、アメリカ消化器病学会(American College of Gastroenterology) 国際会員                    どうぞよろしくお願いいたします。              ご注意)個人的な病状に関するご相談、診療に準じるご相談にはお答えできませんので、何卒、ご容赦ください。
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