2017年11月22日
「大腸CT(CT colonography)検査に食事制限は必要か?」論文のスタディデザインは!?
★★第12回GAIA予定!!━━━━━━━━━━━━━━━
第12回GAIAを来年30年3月11日(日)に金沢で開催します。
「AR(augmented reality:拡張現実感)」を
国際医療福祉大学大学院の杉本真樹先生に
ご講演いただきます。
各分野のオピニオンリーダーの先生方のご講演も聞けます!!
皆様のご参加をお待ちしております。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★★
PubMedから、今日のつぶやき − 118 −
Bellini D, et al. Bowel preparation in CT colonography: Is diet restriction necessary? A randomised trial (DIETSAN). Eur Radiol. 2017 Aug 10. doi: 10.1007/s00330-017-4997-3. [Epub ahead of print]
さて、「大腸CT検査に食事制限は必要か?」の論文の続きです。
すみません。
昨日終えたつもりの【Materials and methods】が残っていました・・・。
ということで、【方法】の続きです。
いくぶんか硬い内容ですが、
まだ慣れていない研究者の方は、
是非、ご参照くださいね〜〜
5.評価項目と評価方法
・プライマリアウトカム
腸管前処置の質、液状残渣のボリューム、腸管拡張
・セカンダリアウトカム
前処置に対する受診者の受容性
プライマリアウトカムの評価方法:
腹部画像診断の経験が4-9年の5名が互いに独立して評価。
受診者情報は評価時にすべて削除。
腸管前処置の質は4段階評価した。
0点:良好〜3点:不良(0〜2点は診断可と定義)
(添付のFig 1参照:ラインコミュニティ限定特典)
i) タギングの均一性、タギングされていない固形残渣の存在
ii) 液体残渣量
iii) 腸管拡張度
客観性と再現性を高めるために、上記評価方法は
事前にトレーニングを実施した。
セカンダリアウトカムの評価方法:
大腸CT検査の検査終了直後、受診者全員に対して
検査および検査前の食事に対する受容性を質問した。
不快度をビジュアルアナログスケール(VAS)による
100段階評価した。
また、前処置に関して2つの質問を用意した。
6.サンプルサイズ
研究開始前に設定したサンプルサイズの計算方法が
記載されています。
(コメント)
近年、介入がある臨床試験では必須と言えますね。
臨床試験では対象となるサンプル数が多い方が、
仮説に対する統計学的有意差は出やすくなりますが、
多ければ多いほどいいというわけではありません。
それは、
劣っている可能性のある介入に必要以上の対象者を
さらすべきでないという倫理的理由がひとつ。
必要以上に対象者を多くするということは、
研究にかかる経済的・時間的コストを浪費してしまう理由が二つ目。
そして、必要以上に大きくすると臨床的には意味のない差に
統計学的には有意差が生じてしまうという矛盾が三つ目。
したがって、研究デザイン作成時には必要最低限のサンプル数
にする必要があります。
介入研究では事前にサンプルサイズを算出しておかないと、
患者さんに迷惑がかかるリスクはもちろん、
論文掲載にあたって確実に不利になります。
どうぞお気をつけ下さいね。
7.ランダマイゼーションとマスク(ブラインド)の方法
DR群とNDR群の2群の割付は1対1とした。
ランダマイゼーションは「ランダマイゼーション.com」による
フリーソフトで作成した。
研究参加者は、封をした封筒を渡され、その中には
食事の指導内容に関するパンフレットが入っていた。
研究に関わる医療者全員(医師、看護師、読影者、研究者関係者)
は参加者がどちらの群かはブラインドとした。
きちんとした研究デザインで進められた研究ですね。
このあたりに抜けがあると、論文の査読で突っ込まれる可能性が
高くなり、レベルの高いジャーナルだとリジェクトになってしまいます。
次回こそ、【結果】をご紹介したいと思いますね。
それでは、また。
ご注意)必ずしも論文の内容をすべて網羅している情報ではございません。詳細にご興味の方は原文をご確認ください。つぶやきは正確な情報発信を心がけますが、その内容を保証するものではないことをどうぞご了承ください。
原文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28812132
★重大ニュース!!━━━━━━━━━━━━━━━
新しい精検結果報告書雛型が国立がん研究センター
研究班ホームページにアップされました。
精密検査に大腸CT検査が明記されるようになりましたよ!
http://canscreen.ncc.go.jp/pdf/3/yoshiki4_daicho.pdf
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★★
★★重大ニュース!!━━━━━━━━━━━━━━━
日本消化器がん検診学会とGAIAの共催で実施した
「大腸CT検査の実態全国調査【臨床研究 GAIA-03】」
が放射線領域の代表的なジャーナル
「European Radiology(2016 Impact Factor: 3.967)」
に掲載されました!!
https://link.springer.com/article/10.1007/s00330-017-4920-y
委員の先生方に大変」ご尽力いただきました。
ご協力いただいた施設の医師や技師の皆様にも感謝です!
皆さま、本当にありがとうございました!!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★★
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大腸CT検査のポイント集
毎日のつぶやきを経て増えていきますね。
<適応>
・閉塞性大腸がんに対して大腸CT検査は有用だが、手技に工夫が必要。
・完全閉塞症例には「PET/CT colonography」。
・内視鏡の検査待ちの日数を減らす役割もあり。
<検診>
・検診目的の大腸CT検査が保険でカバーされることで
大腸CT検査による検診受診率は735%増加した。
・検診目的の大腸CT検査が保険でカバーされることで
大腸内視鏡検査による検診受診率は38%増加した。
・腸管外病変診断による利益・不利益バランスには注意が必要。
<検査食は不要>
・低容量腸管前処置においても、ガストログラフィンを使えば食事制限は不要。
・腸管残渣の状態は食事制限の有無に左右されない。
・水溶性造影剤によるタギングの質は食事制限の有無に左右されない。
・食事制限の撤廃は患者の受容性向上に寄与する。
<腸管前処置>
・内視鏡後にガストログラフィン30mLを服用したら約4時間後に大腸CT検査をしよう。
・自動送気装置の使用は穿孔頻度を下げる。
<腸管拡張>
・右側臥位は最適な腸管拡張を得るためのベストポジションである。
・炭酸ガス自動送気装置は良好な腸管拡張を得るのに有用である。
・ブスコパンは腸管拡張の改善に寄与しない。
・自動送気装置の使用は穿孔頻度を下げる。
<読影>
・読影の飛ばしすぎは読影精度を下げるので要注意。
・トレーニングを積めば、都市部の病院でなくとも高い精度の検査が可能。
・検診目的の大腸CT検査は有症状者に対する大腸CT検査よりも、病変をみつけづらく読影には注意が必要。
<診断>
・C-RADSにおけるC1の5-10年の検査間隔は妥当
・大腸CT検査の中間期癌の頻度は非常に低い(0.1%、2/1429)
・便潜血陽性後から内視鏡を受けるまでの期間が10ヶ月以上になると大腸がん全般・進行がんのリスクが高まる。
<受診者の受容性>
・患者さんの苦痛度は炭酸ガス自動送気装置の使用やブスコパンの使用は影響しない。
<偶発症>
・閉塞性大腸がんでは穿孔のリスクが高くなるので注意しましょう。
・術前検査目的の大腸CT検査の穿孔率は0.028%。
・検診目的の大腸CT検査の穿孔率は0.003%。
・精検目的の大腸CT検査の穿孔率は0.014%。
・穿孔率は術前検査目的に比べて検診目的で有意に低い。
・穿孔症例の81%では外科治療が不要。
・自動送気装置の使用は穿孔のリスクを低減する。
◆メルマガ登録ページ◆
メルマガタイトル:大腸CT検査アカデミー
http://www.mag2.com/m/0001679515.html
日本の大腸CT検査の知識のボトムアップを狙っています。
最新の世界の知識を身につけることで、患者さんに還元するのはもちろんですが、きっと新しい研究の芽も生まれると信じています。
皆でパワーアップしていきたいですね!!
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ライン参加者の皆様も過去の記事を読むのに便利ですよ〜
応援いただけると嬉しいです。
☆☆大腸CT検査ってなあに? 〜大腸がんをへらせるの?〜☆☆
Q&A方式で、一般の方の素朴な疑問に答えます!
ご質問もお待ちしています。
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■読影トレーニングに関して重要なお知らせです。■
ここ数年、ボランティアで読影トレーニングを行ってきましたが、自身の業務が膨大になってきたこともあり、残念ながら永続的に続けることは困難な印象です。
一方で、学会で認定制度の設立に向けた動きが活発化してきました。
そこで申しわけありませんが、読影トレーニングの個人的な実施は今年一杯までとさせていただきたいと思います。。
トレーニングのレポートの受付と解答送付は今年一杯までとさせていただきます。
何卒、ご理解のほどよろしくお願い致します。
にほんブログ村
第12回GAIAを来年30年3月11日(日)に金沢で開催します。
「AR(augmented reality:拡張現実感)」を
国際医療福祉大学大学院の杉本真樹先生に
ご講演いただきます。
各分野のオピニオンリーダーの先生方のご講演も聞けます!!
皆様のご参加をお待ちしております。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★★
PubMedから、今日のつぶやき − 118 −
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さて、「大腸CT検査に食事制限は必要か?」の論文の続きです。
すみません。
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ということで、【方法】の続きです。
いくぶんか硬い内容ですが、
まだ慣れていない研究者の方は、
是非、ご参照くださいね〜〜
5.評価項目と評価方法
・プライマリアウトカム
腸管前処置の質、液状残渣のボリューム、腸管拡張
・セカンダリアウトカム
前処置に対する受診者の受容性
プライマリアウトカムの評価方法:
腹部画像診断の経験が4-9年の5名が互いに独立して評価。
受診者情報は評価時にすべて削除。
腸管前処置の質は4段階評価した。
0点:良好〜3点:不良(0〜2点は診断可と定義)
(添付のFig 1参照:ラインコミュニティ限定特典)
i) タギングの均一性、タギングされていない固形残渣の存在
ii) 液体残渣量
iii) 腸管拡張度
客観性と再現性を高めるために、上記評価方法は
事前にトレーニングを実施した。
セカンダリアウトカムの評価方法:
大腸CT検査の検査終了直後、受診者全員に対して
検査および検査前の食事に対する受容性を質問した。
不快度をビジュアルアナログスケール(VAS)による
100段階評価した。
また、前処置に関して2つの質問を用意した。
6.サンプルサイズ
研究開始前に設定したサンプルサイズの計算方法が
記載されています。
(コメント)
近年、介入がある臨床試験では必須と言えますね。
臨床試験では対象となるサンプル数が多い方が、
仮説に対する統計学的有意差は出やすくなりますが、
多ければ多いほどいいというわけではありません。
それは、
劣っている可能性のある介入に必要以上の対象者を
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必要以上に対象者を多くするということは、
研究にかかる経済的・時間的コストを浪費してしまう理由が二つ目。
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患者さんに迷惑がかかるリスクはもちろん、
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どうぞお気をつけ下さいね。
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DR群とNDR群の2群の割付は1対1とした。
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研究に関わる医療者全員(医師、看護師、読影者、研究者関係者)
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原文
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★★重大ニュース!!━━━━━━━━━━━━━━━
日本消化器がん検診学会とGAIAの共催で実施した
「大腸CT検査の実態全国調査【臨床研究 GAIA-03】」
が放射線領域の代表的なジャーナル
「European Radiology(2016 Impact Factor: 3.967)」
に掲載されました!!
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・閉塞性大腸がんに対して大腸CT検査は有用だが、手技に工夫が必要。
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・内視鏡の検査待ちの日数を減らす役割もあり。
<検診>
・検診目的の大腸CT検査が保険でカバーされることで
大腸CT検査による検診受診率は735%増加した。
・検診目的の大腸CT検査が保険でカバーされることで
大腸内視鏡検査による検診受診率は38%増加した。
・腸管外病変診断による利益・不利益バランスには注意が必要。
<検査食は不要>
・低容量腸管前処置においても、ガストログラフィンを使えば食事制限は不要。
・腸管残渣の状態は食事制限の有無に左右されない。
・水溶性造影剤によるタギングの質は食事制限の有無に左右されない。
・食事制限の撤廃は患者の受容性向上に寄与する。
<腸管前処置>
・内視鏡後にガストログラフィン30mLを服用したら約4時間後に大腸CT検査をしよう。
・自動送気装置の使用は穿孔頻度を下げる。
<腸管拡張>
・右側臥位は最適な腸管拡張を得るためのベストポジションである。
・炭酸ガス自動送気装置は良好な腸管拡張を得るのに有用である。
・ブスコパンは腸管拡張の改善に寄与しない。
・自動送気装置の使用は穿孔頻度を下げる。
<読影>
・読影の飛ばしすぎは読影精度を下げるので要注意。
・トレーニングを積めば、都市部の病院でなくとも高い精度の検査が可能。
・検診目的の大腸CT検査は有症状者に対する大腸CT検査よりも、病変をみつけづらく読影には注意が必要。
<診断>
・C-RADSにおけるC1の5-10年の検査間隔は妥当
・大腸CT検査の中間期癌の頻度は非常に低い(0.1%、2/1429)
・便潜血陽性後から内視鏡を受けるまでの期間が10ヶ月以上になると大腸がん全般・進行がんのリスクが高まる。
<受診者の受容性>
・患者さんの苦痛度は炭酸ガス自動送気装置の使用やブスコパンの使用は影響しない。
<偶発症>
・閉塞性大腸がんでは穿孔のリスクが高くなるので注意しましょう。
・術前検査目的の大腸CT検査の穿孔率は0.028%。
・検診目的の大腸CT検査の穿孔率は0.003%。
・精検目的の大腸CT検査の穿孔率は0.014%。
・穿孔率は術前検査目的に比べて検診目的で有意に低い。
・穿孔症例の81%では外科治療が不要。
・自動送気装置の使用は穿孔のリスクを低減する。
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日本の大腸CT検査の知識のボトムアップを狙っています。
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☆☆大腸CT検査ってなあに? 〜大腸がんをへらせるの?〜☆☆
Q&A方式で、一般の方の素朴な疑問に答えます!
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ここ数年、ボランティアで読影トレーニングを行ってきましたが、自身の業務が膨大になってきたこともあり、残念ながら永続的に続けることは困難な印象です。
一方で、学会で認定制度の設立に向けた動きが活発化してきました。
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