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2014年02月04日
漫画家 東村アキコ の自伝的エッセイ漫画
今日紹介するのは、東村アキコという漫画家さんの自伝的エッセイの漫画である。
わりと有名な漫画家さんなので、必要ないかもしれないが、一応説明しておくと、少女漫画誌の『ぶ~け』などで連載をされていて、その後『ママはテンパリスト』という育児エッセイ漫画でブレイクした方である。
今は 『海月姫』 というアパレル関係のことを題材にした連載や
『メロポンだし』 という宇宙人を題材にした連載を持っておられる。
それで、今日紹介するのは 『かくかくしかじか』 という題名エッセイ漫画であるが、
これは、東村アキコさんのこれまでの人生の経験を自伝的に描いているものである。
あまり勉強ができなかった高校時代。
漫画家になるために美大に入ろうとして絵の勉強をする受験生時代。
人生をどのように形作っていけばいいのか分からなくて空費してしまった大学時代。
社会人になって就職浪人をしている時代。
いつものノリのいい会話や構成で、笑いや喜びとともに、ひりつくような不安や痛みも語られる。
実に面白いのである。名作である。名作である。大事なことだから二回言った。
これは、まったく私の独断であるが、語りの質からして、全く架空の話を語るより、エッセイみたいなのを語るほうが向いてる人っていると思うのだ。
例えば、群ようこさんとか中村うさぎさんなんかは、小説とエッセイと両方書く作家さんであるが、この方たちの作品は、やっぱり小説よりもエッセイのほうがいいものを書けていると思う。
つまり、自分のことを面白おかしく人に語って聞かせるのが上手い人たちなのだろう。
東村アキコさんも多分そういう人なのだろうと思う。
なんとなれば、この作品のシリーズこそが、かの人の最高傑作になっているのでそう思うのだ。
1巻目からもちろん面白いが、2巻目、3巻目となるにしたがって、ますます良くなってくるので、ぜひ読んでみてほしいと思う。
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2014年01月30日
ガヴァネス(女家庭教師)が主人公の名作
小説投稿サイトの、例えば 『小説家になろう』 などにアップされている小説を見ていると、舞台を中・近世ヨーロッパ風の異世界としているものは多い。
それで、そういう小説のなかには、例えばヴィクトリア時代のイギリスなどをモチーフにしたとおぼしき、執事やらメイドやらがキャラクターとして登場するパターンも多いのである。
やっぱり執事やらメイドやらのいる、ある種貴族的な、というかお金持ち的な生活に対するあこがれというものを、作者も読者も持っているからだろうと思われる。
まあ、それはいいのであるが、そういう類の小説を読んでいて少し不自然に感ずるところがいくつかある。
そのひとつは、その小説中に登場した貴族の家なり、お金持ちの家なりに、子供がいる場合の話である。
子供がいるということで、子供の世話を行う人物がキャラクターとして登場したりするわけである。
そして、その子供の世話をする人物なのであるが、作中では 『メイド』 と呼称され、一般の雑用を行うメイドと職務が未分化であったりして、そして世話をしている対象の子供に向かって敬語をつかったりして、やたら下手にでていたりするパターンが多いようにも見受けられるのである。
このことの何が不自然なのであるか?
私が思うに 『メイド』 が子供の世話をしていたり、その世話人が子供に対してやたら下手にでていたりする小説を書く人というのはおそらく 『ナニー(乳母)』 や 『ガヴァネス(女家庭教師)』 というものを知らないのではないかとも思う。
『ナニー(乳母)』 や 『ガヴァネス(女家庭教師)』というのは、字面を見たまんまに、家庭内での子供の世話をおもな職分とする人のことである。
というわけで、今日は、自分の書く小説中に『ナニー(乳母)』 や 『ガヴァネス(女家庭教師)』を登場させてみたい、ワナビの皆様のために良い資料を紹介しようと思う。
『メアリー・ポピンズ』 のシリーズと
『不機嫌なメアリー・ポピンズ』 という新書である。
そう、あのメアリー・ポピンズは 『ナニー(乳母)』 なのである。
『不機嫌なメアリー・ポピンズ』のほうでも解説されているのであるが、映画ではない原作小説のメアリー・ポピンズは、常に厳格で厳しい人物である。
だいたい不機嫌で、子供が悪いことをすると容赦なく叱り、めったに褒めず、非常に厳格で、下手に出るどころか、むしろ子供たちのほうがメアリー・ポピンズの顔色を窺っているのである。彼女が下手に出ることなどあり得ない。
この時代における子供というものは、未だ人間になりきっていない、人間未満のものとみなされる傾向があって、その人間未満の生き物をしつけることによって、人間にするという役割からして、子供たちに対して高圧的に振る舞うだけの権限を彼女は持っているのである。
貴族、メイド、執事、だけでなく、このような人物を小説中に取り入れることによって、ワナビの皆様の書く小説世界には、よりいっそうの深みが増す……かもしれない。
『ナニー(乳母)』 の資料はメアリー・ポピンズでいいとして 『ガヴァネス(女家庭教師)』 については、『不機嫌なメアリー・ポピンズ』でも多少の解説はあるが、他に、例えば小説などでは、既読のもので良い資料となる本がまだない。
また良いのを見つけたらあらためて紹介しようと思う。
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2014年01月23日
”乾いた”少女漫画――動物漫画の大傑作
今日紹介するのは 『動物のお医者さん』 という作品で、作者はマンガ界の巨匠のひとり、佐々木倫子である。
佐々木倫子というと、かつては白泉社などで連載していたことや、またその絵を見る限りにおいては、一応は少女漫画家ということになるのであろう。
かつて私には、少女漫画というと愛がどうしたとか恋がどうしたとか、そういうことばかりをメインで扱っている、自分には興味が持てないもの、というような偏見があった。
確かに少女漫画には恋愛をメインテーマとしているものは多い。それはおそらく事実であろう。
けれども、少女漫画というものが、そういう作品ばかりではないのも事実なのである。
今日紹介する 『動物のお医者さん』 も恋愛をテーマにしたような話では全然ない。
佐々木倫子という漫画家の描く人間関係は、むしろ恋愛とかそういう情念っぽいものの真反対にある。
今日紹介する作品は、内容としては、
北海道は札幌にある大学の獣医学部に通う、大学生たちとその周囲の動物たちの日常を面白楽しく描いた作品ということになるだろう。
この作品にでてくる人間関係は、穏やかであり、笑いがあり、非常に面白くもあるが、
しかし、それでいてひどく無機質な乾いた印象すら感じさせる。
恋だのなんだのということは、ほとんど出てこない。
この漫画の特徴的なところは、登場する動物たちが極めてリアルな筆致で描かれていながら、
しかし同時に、汗の記号や、怒ったときの血管の記号などが書きこまれ、かつ、動物たちの心の声が、背景にレタリングされているところである。
絵画的リアルな表現と、
漫画的な記号表現の融合の見事な事例であろうと思う。
コミックが累計で数千万部を売り上げ、かつドラマ化もされ、というような作品であり、面白さは保証できる。
未読の方がおられれば是非とも読んでいただきたい。
白泉社文庫のほうが非常に安い中古があるので、個人的にはそちらをオススメするが、
最近出版された愛蔵版には、巻末記事や連載当時のカラー口絵が収録されているらしい。
商品リンクはその二種類を貼っておくので、お好みのほうを選んでいただきたい。
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2014年01月22日
実際に聴ける音楽マンガ
どんな内容の作品にも、その内容を表現するのに適した表現形式、というものがある。
例えば、
登場人物の内心を深く掘り下げていくような内容の作品を作りたいのであれば、もっとも適した表現形式はおそらく『小説』になるだろう。
小説は、ドラマや映画と違って、いわゆるト書き、つまり地の分というものがあるので、それを使って登場人物の内心をねちっこく、微に入り細を穿って書きこむことができるから、そういう作品に適しているのである。
逆にSFや異世界ファンタジーなどの、誰も見たことがないような情景を描写したい場合には、映画や漫画などの絵がある表現形式が良いだろう。だれも見たことがない情景を文章だけで描写するのは、ツラいものがあるからだ。
このように表現する内容によって、それぞれに適した表現形式というものがあるんである。
では、音楽をテーマにした作品には、どのような表現形式がよいだろうか?
普通に考えれば、映画とかテレビドラマとかそういう音が入るものが良いと思うだろう。
それなのに、何故かこの世には、音楽を主要なテーマにした漫画というものが数多く存在するのである。
漫画ってことは、紙に印刷された単なる本であるから、当然、音は出ないんである。
音が出ない媒体で、なぜ音楽をテーマにした作品を書こうとしたのかはよく分からないが、
ともかく、昔はグループサウンズ的なバンドを主人公とした漫画などがたくさんあったのである。
そして、今日紹介するのは 『のだめカンタービレ』 というクラシック音楽をテーマにした漫画である。
しかもこれが面白くって名作であるから困る。
内容としては、
天才的なピアノの才能を持つ女性と、
エリート俺様系天才指揮者兼ピアニスト兼バイオリニストの、
音楽にかける青春と、恋愛模様を描く作品である。
漫画では音が出ないから、これまでの幾多の音楽漫画の例にもれず、主人公たちが音楽を演奏しているシーンは、なんかかっこよさげな絵を連続させることで表現しているわけである。
けれども、この漫画は、今までにあったような架空の楽曲を演奏する架空のバンドを描いた漫画と違って、クラシック音楽が主要テーマなので、オリジナルの曲がしっかり存在しているわけである。
だから、その漫画に出てくる楽曲を集めたCDが、別売で売っているんである。
そのCDを漫画とセットで買って、CDを聞きながら漫画を読めば 『音の出る漫画』 になるわけである。
漫画なのに音が出る!
これは音楽漫画の革命であると個人的には思う。
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2014年01月21日
子供向け 兼 大人向けの超良質な科学まんが
『あさりよしとお』 と言えば、知らない人は知らないが、知ってる人は知っている。
とでも言うべき漫画家だろう。
大ヒットを連発するわけではないが、熱心なファンもついている漫画家である。
その、あさりよしとお氏が長年にわたって連載しているのが、
『まんがサイエンス』というシリーズ漫画である。
このシリーズはロケットや航空、宇宙開発、天体、などや、ロボット、カメラ、CD、人体、など身近な事柄まで、様々な物事を科学的に分かりやすく解説するものである。
このシリーズは一応は児童向けという体裁で書かれてはいる。
が、内容を見る限り、結構専門的な事柄を、これ以上はないくらいに分かりやすく解説しており、
もちろん子供にとっても非常に良い読み物になることは疑いがないが、単に子供向けとしてしまうには、ちょっとレベルが高いので、もったいないのである。
例えば、今日紹介しようとしている 『まんがサイエンス第14巻』 では、初っ端から、
放射性物質、放射線、半減期、核分裂、シーベルトとベクレルの違いなど、原発事故関連でタイムリーな話題について詳細に、漫画家ならではの図案を用いて、これ以上はないというくらい分かりやすく解説される。
はっきり言ってこのシリーズは、子供向けの皮をかぶった、非常に良質な大人向け科学読み物なのである。
科学というものの楽しさを思い出させてくれる、とってもオススメなシリーズである。
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2014年01月20日
猫が主人公の小説A
今日は、昨日に続いて、猫が主人公の小説をもう一冊紹介しようと思う。
題名は 『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』 である。
著者は、『鴨川ホルモー』 などの小説で有名な 万城目 学 である。
主人公はマドレーヌ夫人という名の猫である。
彼女は外国語(犬語)がはなせる知的な猫なのである。
そして、玄三郎という犬と夫婦として暮らしている。
そして、マドレーヌ夫人の家には、かのこちゃんという小学生の女の子がいるのである。
この本はもちろんファンタジーである。フィクションである。
けれども、実際に猫を飼っている人からすれば、この本の中に出てくる、マドレーヌ夫人という猫を見て、
『そうそう、猫ってこんな生き物よね』 と思ってしまうかもしてない。
猫にも個体差があるとは思うが、
猫っていう生き物は、案外と上品であり、なんでも分かっているようで、案外と分かっていなかったりして、そうかと思えば人間に気をつかった、ような気がすると思えば、それは単なる偶然だったりするわけである。
この作品は荒唐無稽なファンタジーでありながらも、そういう猫の本質的なところをよく捉えているように思われる。
要するに”分かってる”感じがするのである。
ぬこ好きの方にはぜひご一読いただきたい作品である。
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2014年01月19日
猫が主人公の小説@
昨日は、動物が主人公の 『動物小説』 を紹介した。
この動物小説というのは、わりと自然派というか、動物の現実的なありようを題材にして書かれている、リアリズムよりの小説だったわけである。
けれども今日紹介するのは、フィクションたっぷりの 『動物小説』 なのである。
『ルドルフとイッパイアッテナ』 斉藤 洋 (著)
超有名な児童書であるから、ご存知の方も多いであろうけれども、あえて紹介する。
私の通っていた小学校の図書室の棚にも、この本と 『新ちゃんがないた! 』 という本とが何冊も大量に置かれていたのを覚えている。
つまりそれだけ本を借りる人が多かったということで、その人気のぶんだけの魅力がある作品なのである。
アマゾンの中古品なら安いのがあるので、手元に置いておいてもよいだろう。
ご存知ない方のために内容を紹介すると、
ルドルフという黒猫が主人公なのであるが、このルドルフが、うっかり長距離トラックの荷台に乗ってしまい、飼い主の家から遠く離れた見も知らぬ土地に連れてこられてしまうのである。
野良生活を余儀なくされて、途方にくれるルドルフであったが、つれてこられた先の土地には、イッパイアッテナという、とても大きくて賢い、親分肌の野良猫がいて、ルドルフは彼の助けを借りながら、いつか飼い主のもとに帰る日を夢見て強く生きていくのであった……
というようなお話である。
児童文学史に残る傑作である。
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2014年01月18日
動物小説というジャンル
私は名もなきワナビ(小説家になりたい人)である。
そういうワナビは 『小説の書き方』 とか 『小説作法なんとか』 とか、そんな感じの、小説の書き方を教えてくれるウェブページなどにアクセスし、小説の書き方を勉強したりするわけである。
そして私が以前読んだページにこんなことが書いてあった。
『あまり幼い幼児は主人公にするには適しません(意訳)』 と言うことだそうである。
確かに幼児は、自ら移動できる行動範囲が狭く、語彙も少ない。
ゆえに、幼児を主人公において小説を書くべきでない、という主張は、確かにある程度の正当性があると思う。
けれども、常に、行動範囲が広く、語彙の多い存在を、主人公として置かねばならないのかと言われればそんなことはないのである。
なんとなれば世の中には動物を主人公に置いた 『動物小説』 というジャンルがあるのである。
動物が主人公だから、もちろん語彙はゼロである。幼児以下である。
行動範囲も、動物であるから、自分の脚で動ける範囲こそ幼児を上回るかもしれないが、犬猫などのペットは別にして、野生動物などは、自動車や電車などの交通機関を利用できないから、行動範囲はある面で幼児よりも狭い。
それでも、その 『動物小説』 にも名作といわれるものは数多くあるのである。
というわけで、今日紹介するのは、 『牙王物語』 戸川幸夫 著
という 『動物小説』 である。
この戸川幸夫という人は 『動物小説』 というジャンルで小説を数多く書いている人なのである。
この 『牙王物語』 は内容としては、
人に飼われていた狼が脱走して、現地(北海道は大雪山)の野犬と交わり、一匹の狼犬が生まれる。
色々あってその狼犬は牧場の娘の早苗に飼われることになる。
そしてまた色々あって、その狼犬が逃げ出して野犬の群のボスになったり、流浪の果てに飼い主の早苗と感動の再会をしたりするわけだが、ある嵐の夜に、飼い主の早苗が野生の熊に……
とこれ以上言うとネタバレになってしまうので、このあたりでやめにするが、もう一大感動巨編と言ってもいいくらいの”泣ける”本でもある。
動物小説のなかでは、十指に入る傑作であると思う。
是非ともご一読をオススメしたい。
アマゾンでは、文庫版のほうに、商品イメージや解説がなかったので、商品リンクは、単行本と文庫と両方貼ってある。
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動物小説を書き手としては、他にも、日本では椋鳩十、外国では『狼王ロボ』などのシートン動物記シリーズで知られる、アメリカの博物学者アーネスト・トンプソン・シートンなどが有名だろう。
動物小説というのはひとつの大きな鉱脈なので、是非とも掘ってみられることをオススメする。
非常に美しい世界がそこには広がっていることだろう。
2014年01月17日
メイドや執事のいる生活を再現!
今日紹介するのはDVDボックスで、とても高価である。
アマゾンの中古価格で一番安いやつでも12,500円もする。
おいそれと手が出せない値段である。
けれども、このDVDボックスは、それだけのお金を払う価値があると言える。
内容としては、エドワード朝のイギリスのマナーハウス(貴族のお屋敷)での生活を再現してみるというプロジェクトを応募者を募って、その応募者たちで再現してみるというドキュメンタリーである。
貴族(準男爵)の一家役の人々、
執事、フットマン、ボーイ、
家政婦、ハウスメイド、
コック、キッチンメイド、スカラリー(皿洗い)メイド
御者、家庭教師、侍女、
など、様々な役柄の人を備え、90日間の生活を行うのである。
屋敷に電気やガスは無く、炊事や暖房なども石炭で行うのである。
衣装、キッチン、トイレ、などすべてにわたってその当時の生活の詳細な再現がなされる。
つまり、メイドや執事と言ってもカフェにいるそれではないんである。
つらい仕事に耐える、現実的なメイドの姿である。
しかもそのような再現が動画でたっぷりと鑑賞できるのである。
他にそのような貴重な資料が他にあるかと言われれば、私は知らない。
メイドや執事の登場する小説を書きたい(書いている)ワナビにとっても非常に役に立つ資料であると確信する。
MANOR HOUSE(マナーハウス) 英國発 貴族とメイドの90日 【3枚組】 [DVD] 中古価格 |
2014年01月16日
ゲームをするとはどういうことか2
先日の記事で、
今の若い世代の人って、ひょっとしたらテレビゲームとかネトゲとかを老人になっても、それこそ死ぬまで手放さないっていうパターンはあり得る。
だから 『ゲームをするとはどういうことか』 とか 『人生における価値ってなんなのか』 とか、そういった問題について考えておくことって大事だよね、ということを書いた。
それで、シューティングゲームを極めようとする少年を描いた 『連射王』 という小説を紹介した。
それで、今日は上記のような問題について考えるために、参考になりそうな書物をさらに紹介しようと思う。
『ネトゲ廃人』 と 『僕の見たネトゲ廃神』
この二冊である。
ネトゲ廃人、という言葉については、わりとお聞きおよびの方も多いかもしれないが、ようするに、ネットゲームにどっぷりハマって、場合によっては日常生活に支障をきたしたり、ときにはゲームの過労で過労死してしまったりする人のことである。
これらの本では、ネットゲームに狂奔し、生活における余暇の時間、あるいは本来余暇にあてるべきではない時間すらもネットゲームにささげてしまう人たちの姿が取材されている。
もちろん、これらの本に書かれているような、ネットゲームのやりすぎで過労死したり、トイレに行く暇さえ惜しんでペットボトルに排尿したり、といった方は、ネットゲームユーザーのごく少数であろうし、ネットゲームを節度あるしかたで用いている人のほうが多いのだろう。
けれども、節度あるしかたであれ、ネットゲームをするということは、時間をネットゲームのために用いているということであり、その事実は、プレイしている人が、ネットゲームに時間を用いるだけの価値を見出してしまっていると言うことなのである。
今日紹介した本のなかで、ネトゲ廃人になってしまった子供たちに対する方策として、陶芸などの、創造的なほかの楽しみごとを体験させるといった方法が紹介されている。
だが、家にマイろくろを持っていて陶芸をしている人よりは、パソコンやスマホでネットゲームしている人のほうがずっと多いだろう。
つまり、極めればまた少し違うのかもしれないが、一般的に言って、陶芸よりはネトゲのほうが楽しそうだからなのだろう。
結局のところ、世の中は、ネトゲをする人に対して、はるかに優越した分かりやすい価値を示すことができてないのである。おそらくそれこそがネトゲ廃人が生まれてしまうもっとも根本的な理由であろうと思われる。
ともかくとても考えさせられる本であるのでぜひ一度ご覧になっていただきたい。
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