新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
2013年12月03日
悪の組織についての本
『悪の組織』 というものが小説中で登場することがある。
ストーリーの展開上、悪役がいたほうがいい場合で、かつ、単なる個人の悪役だと、ちょっと力不足な場合に、悪の組織が登場する。
けれども、今まで読んできた色々な小説中に、色々な悪の組織が登場したが、そのなかには、どこか現実感が乏しいものも少なくなかった。
例えば、悪の組織というものは基本的に人目をはばかるから、人を集めるのが難しい。
必要な物資の調達も難しい。
悪というものには大義がない。
大義がないから、悪の組織は構成員にその活動を通して自尊心をややりがいを与えることができない。
だから人をひきつけておくのはとても難しい。
それなのに、そういう現実を無視して、小説世界に、どこからともなく、何の根拠もなく、強大な悪の組織が忽然と存在している小説もあるわけである。
そんなのだと、やはり不自然さは否めない。
やはり悪の組織についても、掲げる大義や、資金源、物資の調達、人材の確保、組織の維持、といった点を現実的に設定しなければリアリティーがでない。
で、今日紹介するのは、そのような悪の組織を設定するときに使える資料本である。
中古価格 |
『「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書)』
というこの本は、前半は、世界征服と悪の組織について書かれた、非常に面白いネタ本であり、笑いながら非常に楽しく読める。
が、後半になると少しトーンが変わり、文明論といか社会論というか価値論というようなものになっている。
論を追っていくと、最後には、我々の欲望とはどのようなものなのか、といったことまで考えさせてくれる良書である。