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2021年07月25日
何が面白いのかはっきり言えないけれど妙に面白い。
今回はご紹介したいのは『波よ聞いてくれ』(沙村広明:著)という漫画である。
あらすじとしては、いわく言い難い、何の漫画と言いづらいのであるが、
表面的に言えば、
『カレー屋の店員であった女性がひょんなことからラジオのパーソナリティーを務めることになる漫画』
ということにもなろうか。
これだけでは何のこっちゃとなるだろう。
だが、これがやたらと面白いのである。
何が面白いのか分からないが何かめっちゃ面白いのだ。
小説家になろうとか読んでると、ああいうのは何が面白いのか非常に分かりやすいものである。
つまり読者に与える快楽が明確である。
読みたいシチュエーションとか展開をある程度読む前から選べるみたいなところがある。
でもこの作品はそうではない。
はっきりとしたこれという快楽ポイントがないけれども面白いんである。
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せりふ回しなのかユーモアなのか、面白さの質で、強いて似ているものを探すとすれば、話が面白いエッセイストのそれに近い気がする。
分かりやすい快楽原則がないのに面白いのは、逆に言えば創作者としての作者の腕前が非常に高いといえるのではないだろうか。
だからとってもオススメの一冊である。
なお、私が読んだのは3巻までなので、面白さとか作品の道徳性とかに責任を持てるのは3巻目までであるのでそこらへんはご留意いただきたい。