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2013年12月22日
漢字のはなし
今日は漢字の話をしようと思う。
何の本で読んだのだったか忘れたが、前に、
『血』とか『毒』とか、そういう字って印象が強烈だから、そういう字を使うだけで、内容とは別に、なんか小説が書かれている紙面に、ある種の禍々しい印象がついちゃうよねー。
というような話を読んだことがある。
私もこの考え方は正しいと思う。
漢字というのは表意文字で、その文字のひとつひとつが意味を持っている。
だから、漢字のもたらす絵画的あるいは記号的表現は、良かれ悪しかれ、紙面を見る人に強い印象を与えてしまう。
もちろん、ひらがなやカタカナといった、音のつらなりからなる単語も、それなりの印象を読む人に与えるのであるが、その鮮烈さや強烈さという面で漢字にはだいぶ劣ると個人的には思う。
だから、小説を書くときに、漢字を用いる場合には、その用いる漢字の持っているイメージを正確に把握して、そのイメージを意識的に利用しなければならない。
このブログを読んでくださっている皆さんは、もちろん日本語話者であろうから、自分独自のそれぞれの漢字についてのイメージというものをお持ちであろう。
しかし、小説家になりたいワナビとしては、その漢字に対して持つ独自のイメージを、正確な(最大公約数的な)ものにし、また漢字に対して持つイメージというもの自体を深めなければならないと思うのである。
漢字の持つ読者に与える印象というものは、書き手が用いうる強力な表現手段のひとつであると思うからだ。
で、今日紹介する本は、そのための資料となり得る
『白川静 漢字の世界観 (平凡社新書) 』 という本なのである。
この白川静なる人物は、なんでも『字統』 『字訓』 『字通』 なる、
漢字に関する三部作を著した、古代漢字の研究者の『すごい人』であるらしい。
だから、本当はこの 『字統』 『字訓』 『字通』 とやらを読めばいいのだろうけれど、
これらは古くて立派な本だから、値段がすげえ高かったりして、ちょっと手が出しにくい。
というわけで、今回は漢字の世界についての入門書になりそうな本を紹介することにした。
表現のための武器が足りない! と悩んでいるワナビの皆様にはオススメなので、
ぜひご一読あれ!
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2013年11月13日
文章読本とかを、つい買ってしまうワナビの皆様へ
昔であれば、小説家になりたいと思えば原稿用紙を一字一字埋めていく必要があったし、書いたものを発表しようと思えば、どこかの雑誌やらに投稿したり、出版社やらに持ち込んだりする必要があった。
ちょっと荷が重いといえば重い。
けれども、今は状況が違う。
書くのはワープロソフトで書けるから、手書きよりははるかに速く書けるし、文章の修正・編集も、カット&ペーストで簡単だ。
書いたものも『小説家になろう』とか『Arcadia』とかのネット上の小説投稿サイトに投稿すれば、手軽に多くの人に見てもらえる。
だからこそワナビ(小説家になりたい人の意)は急増し、 ワナビとなった人は、とりあえず投稿用の小説を書いてみることだろう。
けれども、その、自分で書いてみたものを読み返してみて、
『下手だ……あまりにも下手糞すぎるッ!!』
というような感じでワナビは絶望するのだ。
文章を上手く書くのは案外と難しい。本当に難しい。
今までに何気なく読んでいた、例えば、自分の好きな小説家の文章、というものが、いかに高度な技能をもって書かれたものかを実感するのは実にこのときである。
文章というものは、色々な文章を読み、色々に書いてみれば、徐々に上手くなっていくものではある。
……と思う。
けれどもワナビはそれを待てないのだ。
『何かないか! 何か良い方法は!
私の文章力が短期間で急激にアップするような方法は!』
と、そう考えているワナビは、ある日ふらりと本屋に立ち寄る。
そして彼は見出すのだ。
『文章読本』
これだ! これこそが私を救うものだ!!
ワナビは狂喜し、さっそくそれをお買い上げになる。
そして、それをさっそく読んでみる。
……しかし、あんまりしっくりこない。
とても参考になったような気もするが、それを読んだからといって文章が劇的に上手くなったとは思えない。
それで 『そうだ。別の文章読本買ってみるか。いろんな人が書いてるみたいだし』 となる。
……そういうわけで、ワナビの本棚には文章読本や、その類の本が2・3冊入っていることが多い。
しかし、文章読本の数をそろえたからといって、必ずしも文章が上手くなるとは限らないのだ。
そこでワナビは考える。
結局のところ、文章読本とは一体何なのか、と。
そのような疑問に答えてくれるのが、今回紹介する『文章読本さん江』という本である。
この本の著者は、古今の文章読本を極めて多量に読み漁り、文章読本というものを横断的に分析し、その結果をこの本に纏めた。
この本の後には文章読本というものが書けなくなったと思われるくらいの名著であり、この本を読めば『文章読本とは一体何なのか』という疑問の答えが得られるだろう。
価格:968円 |