2017年06月23日

超初心者向け知的財産のお話し その78

かえるくんです

14歳の天才棋士の連勝記録が続いています。

ちょうど昨年3月に将棋界で唯一の将棋新聞「週刊将棋」が廃刊に

なったということを知人から聞いていたので、あと1年でも延命で

きていれば廃刊にならずに済んだのかもしれないと残念な気がします。

業界紙というのは長い時間軸を持った意味のある記録媒体でもあり

ます。

将棋の世界では、協賛金(スポンサー)が減ってプロでもなかなか

生活できないところもあり、読者層、つまりプロを目指す人も減少

傾向が続いているそうです。

話は知的財産権についてになります。

これまで棋譜については著作権は存在しないという見解が主流でした。

いまも主流だと思います。

著作物の定義については以下の通りです。

”思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、

美術又は音楽の範囲に属するもの”

棋譜がどのように当てはまるか考えると

棋譜は

”思想又は感情を創作的に表現したもの”

とは言い切れないと思います。

”文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの”

ではありません。

よって、著作物とはなりません。

正直、そのようなところまで権利を主張するとなると

ドン引きですね

「将棋はその一手一手が創造の産物なのだ」という人がいても

それは、一定のルールに従って駒を進めているにすぎません。

決して将棋を軽視しているわけではありません。

将棋は素晴らしい頭脳戦を見せてくれる最高のエンターテインメント

だと思います。

だからこそ、そこで権利を主張するようなセコイまねをしてほしく

ないのです。

一定のルールに従っているからと言って、その積み重ねに創造性も

あるのではと思う方もいるかもしれませんが、ラグビーやアメフトの

スポーツにだって、戦略的なフォーメーションみたいなものがあります。

将棋はスポーツではないというかもしれません。

ですが2006年のアジア大会ではチェスが「頭脳の格闘技」という解釈

から正式競技になりました。

チェスをスポーツの仲間に入れるのはどうかと思いますが。


再び灯り始めた将棋人気の火を絶やさないように、セコイ権利の

主張はやめていただきたいと思います。







2017年06月06日

超初心者向け知的財産のお話し その77





かえるくんです

意匠法の下で登録された意匠に対して著作権は

付与されません(著作権法15条)。

意匠は”工業製品のデザイン”であり、著作権は”一品もの”

という考えからも当然なことに思えます。

ただ、著作物でも意匠でも、誕生した時はデザインとしての

創造性を持ち合わせているので、著作物が大量生産されると

意匠という扱いになり、されなければ著作物のままという

考えもできます。

インドの法律(著作権法)では

意匠法のもとで登録されうるがされていない意匠に対する

著作権はその意匠が適用される物品が50個以上製造されたときに

消滅する事になっています。

さらに50個以上製造されると著作権が消滅すると同時に意匠権も

失いますので大量生産が明らかな場合は事前に意匠権を取得する

必要があります。

ただ、その意匠が権利化できるものではない場合は、50個以上

製造されても著作権で守られるものであり、第三者が無断で製造

すれば著作権法違反になります。







2017年05月23日

超初心者向け知的財産のお話し その76

かえるくんです

インドの意匠法についてお話ししようと思います。

2000年に意匠法1911年が意匠法2000年に置き換わり

意匠規則2000年が同年制定されました。

その後2008年、2014年に意匠規則の改正が行われています。

特許・意匠の窓口は4か所ありますが、意匠の場合

審査はコルカタ本部に集約され、ほかの3支部に出願しても

コルカタ本部に移送されます。

近年、意匠出願の件数は約10000件/年で国内出願と外国出願の

比率はおおよそ2:1となってます。

外国出願の件数は米国が1位で、その半分くらいが日本、ドイツ

となってます。

意匠登録を受けるための条件は日本とは少し違います。

意匠の定義について日本では

@物品であること
A物品自体の形態であること
B視覚に訴えるもの
C視覚を通じて美観を起こさせるもの
D意匠にかかる物品の使用目的、使用状態等に基づく用途、機能が明確
E意匠にかかる物品の形態である
F工業的に反復、大量生産できるもの

とされていますが、インドでは法2条で以下のように定義されてます。

@手工芸的か機械的か、もしくは科学的か、または分離もしくは
結合されたものかに関わらず
A工業的手法または手段により2次元もしくは3次元またはその
双方の形態かに関わらず
B物品に適用される線または色彩の形状、輪郭、模様、装飾もしくは
構成の特徴に限られるものであって
C製品において視覚に訴え、かつ、視覚によってのみ判断される
もので
D単なる機械装置、または構造の原理もしくは態様、商標や美術品
は含まれない

とされており@からDの文が繋がってます・・・長すぎ。

簡潔に言うと、物品に適用され、視覚に訴え、かつ視覚によって
のみで判断されるもので単なる機械装置または構造の原理もしくは
態様、商標や美術品は含まれないもの・・・が意匠という事です。

日本の場合は登録から20年は権利が保護されますが、インドは

原則、登録日、優先日もしくはインド出願日のうち早い日にちから

10年間+ 一度だけ5年の延長が手数料を支払えば可能で合計でも

15年しか保護されません。

次回も意匠の続きです。








2017年05月22日

超初心者向け知的財産のお話し その75





かえるくんです

インドの知財制度の続きです。

間が空いてしまいました。

商標について書こうと思いましたが先日、日本の種子法が廃止される

というニュースがありました。

日本の種子法がどういった内容かは詳しくは知りませんが、日本が

国家として守ってきた種苗が金目当ての民間(外資企業含む)に奪われる

可能性があるという話でした。

農作物に関する特許は種苗法と特許法で守られていますが、稲作など

米作りに関する知財は国で管理される部分もあります。

これは国家として安全保障の面から必要だと思いますが、その知財を

民間に積極的に開放せよとの方向らしいのです。

国民の財産を安く、民間に払い下げるということです。

当然、モンサント、デュポンなど世界の大きな種子メーカー(化学薬品

メーカーでもあります)が、虎視眈々と狙っているのは明白です。

米国をはじめとする大規模農業で培われた遺伝子組み換え作物が

日本に馴染まないのは言うまでもありません。

F1といわれる種子は、第一世代の作物は優性遺伝子が作用し、良い

作物が収穫されるが、第二世代の作物では劣性遺伝子が表出して、

まともな作物が収穫できないような仕組みが施された種子で、農家は

毎年、高いロイヤルティと支払い契約をしなければなりません。

「農業の文化」までも、特許という強い力でダメにしてしまいます。

種子法、種苗法は食に関わるデリケートな法律なので、安全保障の

観点から不特許事由をもっと強化してもよい気がします。

インドではGDPに占める農業生産額の割合が年々低下しており、

農水省のHPによると16%弱だそうです。一方、農業人口は約52%

と、国民の半数以上が第一次産業に従事しています。

インドの綿は非常に換金性の高い農作物だそうで、そこに目を付けた

外国種苗メーカーが持ち込んだF1品種により、小規模農家が

高額なロイヤリティによって負債を重ねた結果、将来に悲観して多くの

自殺者が出るといった悲しい出来事になりました。

パテントで収益を上げる企業に不用意に国や自治体が税金を使って

蓄えた知財を安く売り渡すという愚は避けなければなりません。








2017年05月02日

超初心者向け知的財産のお話し その74

かえるくんです

インドの知財制度の続きです。

日本でも異議申し立て、無効審判などで特許権の付与前・

付与後も特許の無効化を申し出ることができます。

インドの無効審判制度は

・利害関係者もしくは中央政府に申し立てに基づいて
 知的財産審判委員が、又は特許侵害訴訟における反訴
 に基づいて高等裁判所が特許権を無効にできる。

ということになっています。


インドでは、日本にはない原子力関連特許に関する規制です。

特許権を付与するということは、権利を与えると同時に

”その内容を公にする”ことでもあります。

その”内容”が国の安全保障の観点から戦略的に非常に重要で

あるため特許の付与が国益に反すると判断した場合は、

”公にしない”ため無効を指示できます。

特許法第157A条 インドの安全保障に関する規定で

「特許発明が減bン視力関連発明である場合は、中央政府
はその特許を無効にするように特許管理官に指示すること
ができる」

この指示は、インドの原子力法(第12条)に規定される

機密保持のための指示で、出願者自身の行為としても

インド中央政府により解除されるまで自身の特許出願を

第3者に開示することが制限されます。

核保有国であるインドならではの法律ですが、日本でも

安全保障の観点から必要な制限があった方が国益に適う

なら原子力に関する法整備が必要だと思います。


また、出願された特許が安全保障上、秘密保持の必要が

あるか否かを判断するために外国出願許可制度において

「インドに居住している者(国籍不明)が発明をした場合、

・その発明を先にインドに出願する必要がある(法39条)

と定められており、外国出願する場合は

・インド出願の出願日から6週間待つ
 もしくは
・特許庁の許可を得る

事となっています。

特許庁の許可を得る方法は

発明を説明する書類を提出する
      ↓
現地代理人を使う場合、委任状が必要
      ↓
申請してから約3週間で許可が下りる

となるそうです。

次回も引き続きインド知財のお話です。






タグ:原子力法

2017年05月01日

超初心者向け知的財産のお話し その73

かえるくんです

昨年11月に新設されたIoTのファセット分類記号「ZIT」

の運用が始まりました。

IoT関連技術を用途別に以下の12の分野に細分化して、

今月24日(平成29年4月24日)から特許文献に付与する

ことになりました。

【特許庁HPより】
@農業用・漁業用・工業用A製造業用B電気、ガスまたは
水道供給用Cホームアンドビルディング用・家電用
D建設業用E金融用Fサービス業用Gヘルスケア用・
社会福祉事業用Hロジスティック用I運輸用J情報通信業用
Kアミューズメント用・スポーツ用・ゲーム用




2017年04月28日

超初心者向け知的財産のお話し その72

かえるくんです

インドの特許法で不特許事由に

”農業又は園芸方法”とあります。

農業関連の権利は、日本では種苗法で守られますが

インドでは、同様の法律で”種子法”があります。

著作物についても、著作権法で別枠となってます。


特許審査について、日本では審査請求を待って審査が

行われます。そして公開は審査の有無にかかわらず、

出願から1年6か月を経過すると行われますが、

インドでは公開がされるまで審査が行われません。

急いで審査をしてほしい場合は、早期公開制度を利用

して(約1か月で公開)申請するか、2016年5月に導入

された早期審査請求制度が使えますが、利用できるのは

@インドが国際調査機関又は国際予備審査機関として指定
 されている場合
A出願人がインドで登録されているスタートアップ企業で
 ある場合

に限られているので外国人にとっての恩恵はほぼありません。




出願は特許庁のホームページなどで公開されますが、

公開されても連絡が来ないため、出願人が頻繁に公開

されているか否かを確認する必要があるそうです。

日本のように公開特許公報などはありません。


また、以下の出願は法11A条(3)により公開されません。

・秘密保持指令が発せられた出願
・本公開に取り下げられた出願
・本出願が行われずに放棄された仮出願

※ 仮出願というのは日本には制度がありません。

次回に続きます。







2017年04月26日

超初心者向け知的財産のお話し その71

かえるくんです

久しぶりの更新です。

インドの知財制度についてお話しします。

インドの知財制度と日本のそれとの一番の違いは

”インドには実用新案制度”ことです。

インドはその歴史からイギリスの法律により知財の保護が

はじまりますが自前の特許法が制定されたのが1972年の

ことになります。

知的財産をつかさどる省庁が”知的財産丁”でその中に、

特許と意匠を管理する ”特許・意匠局”

と商標を管理する ”商標登録局” に分かれます。

日本の特許庁の場合は商標の管理しますが、インドでは

違うようです。

特許・意匠局には

コルカタ本部 以下
デリー、ムンバイ、チェンナイ支局

商標局には

ムンバイ本部 以下
コルカタ、デリー、チェンナイ、アーメダバード支局

があり、住所によって出願先が決まります。

次回に続きます。








2017年02月15日

知的財産セミナー連投

かえるくんです

2月に入って知的財産セミナーが続いています。

2月10日 知的財産国際交流シンポジウム
      ”IoT時代の日米欧のイノベーション”
      @日本消防会館ホール

2月13、14日 グローバル知財戦略フォーラム
      @東京ドームホテル

2月15日 JRRC著作権セミナー
      @有楽町マリオン

KIMG0782.JPG



いずれのセミナーもよい話を聞けましたが、なかでも

グローバル知財戦略セミナーは個人的には良かった。

昨年は渋谷で行われたのですが、今年も1000人が

定員いっぱい。

普通は欠席者も多いので当日は席が空いているのですが

グローバル知財戦略セミナーは当日も満席、テーブルで

はないのでぎっしりと1000個並べられた椅子に隙間

なく座っており、膝の上で窮屈な姿勢になりながらメモ

を取りました。

写真は2月10日のセミナーです。

こちらは、空席がちらほらありました。

同時通訳がちょっと大変そうでした。

2月15日の著作権セミナーでは、JRRC副理事長の

瀬尾太一氏の講演が面白かった。

グローバル知財戦略フォーラムでもそうでしたが

ここでもAIの話題が興味深いものでした。

興味深いというよりは、恐怖を覚えるような、

そんな内容のお話でした。

概要については後日、書きたいと思います。





2017年01月26日

外国産業財産権制度セミナー

かえるくんです

先日、1月25日、外国産業財産権セミナーに行ってきました。

会場は「ベルサール神田」という東京都千代田区にある貸会議

室です。

テーマは「インド知的財産制度のポイントと侵害対策」

以前、中国、インドネシア、マレーシア編を受講したことが

あります。

今回のインドについてはとても興味があり楽しみにしていました。

インドといえば、米国のスーパー301条の優先監視国にも指定

されている知財後進国の代表です。

講師の先生も前半は日本に長く住んでいて流ちょうな日本語で

話してくれましたのでとても分かりやすいものでした。

インドの特許法は、ちょっと特殊な部分もありますので非常に

興味深いものでした。特に原子力関連発明には特許を付与しない

とした第65条とその背景にある原子力法の存在は特許制度を

考えるうえで勉強になる話でした。

詳細は後日お話ししたいと思います。

KIMG0761.JPG





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