2015年11月28日
超初心者向け知的財産のお話 その25
かえるくんです
特許請求の範囲のお話です。
特許の発明は、たった一つの発明だけで成り立つ場合より、いくつかの
複数のほかの発明に支えられることがほとんどです。
特許請求の範囲は、そうした複数の発明(請求項)から構成され、
請求項1(根幹となる発明)、請求項2、請求項3・・・と並んでいます。
また、それぞれの請求項は、それぞれ独立した発明であると同時に
請求項1と密接な関連をもっていなければなりません。
これを単一性の要件といいます。
請求項はクレームとも言われますので覚えておきましょう。
それでは、それぞれの請求項にはどんな順番で書かれているのでしょう。
それは請求項1>請求項2>請求項3・・・・とこんな序列。
請求項1・・・機能Aを備える装置
請求項2・・・機能Bを備える請求項1に記載した装置
請求項3・・・機能Cを備える請求項1に記載した装置
及び請求項2に記載した装置
請求項4・・・請求項1から3までに記載した装置を機能
が維持されるために必要な保存方法
請求項1から4は、それぞれ独立した発明であると同時に、請求項1と
密接につながっています。
請求項4については、やや無理に付け加えた感がありますが薬品など
化学物質の発明では物質自体、物質の製造方法、物質の保存方法
まで単一性を満たします。
請求項1は、請求項2の上位概念となるようにしなければなりませんが
上位概念とは、例えば”鉛筆”の上位概念は”筆記用具”ですし、”テレビ”の
上位概念は”映像装置”となります。上位概念が下位概念を含む関係ですね。
実体審査では請求項それぞれについて拒絶理由に該当するかを調べます。
拒絶理由になった請求項を削除したり整理したりして意見書を提出します。
上位概念、下位概念のお話をしましたが上位であれば良いわけではなく、
上位であればあるほど対象がぼやけてしまいますので、認められれば
”強い権利” となりますが、拒絶査定を受ける可能性も高くなります。
その辺のさじ加減がむずかしいということですね。
以前、専門家の講演会を聞いたときに「日本の製造業のクレームが下位概念
で脇が甘いものが多い」と言ってましたが今はどうでしょうか。
また、表現方法にも注意が必要です。請求項のみならず明細書においても
「大きな、高い、低い、硬い、柔らかい、およそ・・・・・・」といった曖昧で
比較対象の無い言葉は使わないことが大切です。
特許請求の範囲のお話は、かなり深いところまで行ってしまいますので
後日、またお話します。
次回は出願資料の中の明細書と図面についてお話します。
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