アフィリエイト広告を利用しています

広告

posted by fanblog

2020年01月06日

「育ててもらったのに、勝手じゃないの?」。

祖母
『実家には帰ってないの?』

理琉
「…うん。」

『どうして?かわいそうでしょ?』

「歓迎されてないから。」

『お父さん亡くなったらどうするの?それでも帰らないの?』

「絶対帰らない。あんな奴らは親でも家族でもない。」

『お父さんお母さんどっちも?』

「…うん。」



僕は言葉足らずだった。

耳の遠くなった祖母に対し、
長い文章での返答を避けようとするあまり、
実家に行きたくない理由を伝えられなかった。

完全なる後出しじゃんけんであり、
実はこう言いたかったという言い訳でしかないが、

この時に時間をかけてでも、
「一方的で、子どもの気持ちに無関心だから」
「子どもを支配したいだけで愛情なんかないから」と
少しでも伝えられていたら。

直後の祖母の言葉を真に受けて
余計に傷つくことは避けられたかも知れない。



祖母
『せっかく育ててもらったのに…それは勝手じゃないの?』

理琉
「生んでくれなんて頼んでないから!」

『あぁ〜、私の若い頃に1人いたわ。そう言ってた人。』

「…。」

『私も〇〇(叔父)にどう思われてるかねぇ…。』

「…。」



わかってる。
祖母に悪気はまったくない。

毒になる親や、アダルトチルドレンなんて概念が
なかった時代の価値観で生きてきた人。

親は無条件で立場が上、子どもは下で、
子どもは親に対し「生んで育ててもらった」と
考えるのがスタンダードな時代だったこと。

お金やモノじゃなく、子どもの「心」に寄り添うことが
重要視されていなかったであろう時代だったこと。
多くの親は
「子供は親をうやまい、親に忠実で、親に感謝しなければならない。
なぜなら子供は親に育ててもらった”借り”があるからだ」と信じています。

社会や宗教の多くはこの考えを助長しますし、
私たちのほとんどはそう教えられて育っているからです。


『不幸にする親』第五章 より



里帰りするたびに、
祖母はこの同じ質問を僕にする。

実家には帰ってないの?と。

昨年は受け流すというか、
濁す対応ができた。

でも今回はできず、
心と口調が乱れてしまった。

僕と重ならないタイミングで母や妹弟も里帰りし、
そこで僕の話題になるんだろう。

「理琉は帰って来ないかい?」といった調子で。

そこで実家がどんな話をしたかわからないが、
多くを語らない母の様子を見て、
祖母なりに心痛めているんだろう。



『勝手じゃないの』の一言で
必要以上に傷ついてしまった僕は、
言葉が出なくなり、伏し目がちになった。

つい1ヵ月くらいの間で
親と心を通わせるのを真に諦める事件に至るまで、
どれだけの自責と葛藤があったかを
1から説明する気力は残っていなかった。

→「延長戦決着、戦利品は”諦め”。
https://fanblogs.jp/yaritaikotohanokosazuyaru/archive/389/0

自分の長女と孫がうまくいっていない、
その両者を目撃し心痛めていたり、

自分が母や叔父を育てた時のことと重ねて
思い出すところがあったりするだろう、
などと配慮する余裕は僕になかった。



これ以降、僕は帰るまでほとんど祖母と
口を聞かずに別れてきてしまった。

平常心で話せなかった自分、
心乱れて投げやりになってしまった自分を
今でも後悔している。

自分の親は完全に諦めても、
家族というつながり全体に対して、
そして祖母に対しては諦められていなかった。

子どもの気持ちに寄り添う、受け止める、
そういう概念が薄かったであろう時代背景と環境。

だから僕の親族としてつながっている人には
僕の気持ちが理解されることはない、
そうわかった気になっていただけだった。

諦めなければならないことを
割り切って諦められないから苦しい。

心配性な祖母の言葉1つ1つが、
より重く、苦しくなってしまった。


posted by 理琉(ワタル) at 18:40 | TrackBack(0) | 家族

この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/9521215

※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
検索
プロフィール
理琉(ワタル)さんの画像
理琉(ワタル)
自閉傾向の強い広汎性発達障害。鬱病から再起後、低収入セミリタイア生活をしながら好きなスポーツと創作活動に没頭中。バスケ・草野球・ブログ/小説執筆・MMD動画制作・Vroidstudioオリキャラデザインに熱中。左利き。 →YouTubeチャンネル
プロフィール
最新記事
カテゴリーアーカイブ
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。