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2019年12月03日

「アンタなんかに屈しないからね!」。

僕は長い長い反抗期の中で
ほぼ毎晩、母と喧嘩していた。

始まりはだいたい、
母が「家事を手伝いなさい」と僕を呼び出した時
僕が「勉強の邪魔をするな」と反発することに端を発した。

今思えば、これは発達障害特有の
「自分のペースを崩されることに対する嫌悪感」も
強く影響していたんだと思う。

→「長かった、僕の反抗期。
https://fanblogs.jp/yaritaikotohanokosazuyaru/archive/351/0



その言い合いはたいてい、
父の車のライトが窓から見えることで終わった。

父には声も姿も晒したくない思いと、
多少は減ったとはいえ、怒鳴るイメージへの恐怖感から、
喧嘩を終わらせないと命が危ないという思いが交錯した。



そんな、期間限定の喧嘩で言い合ったことなど
内容はほとんど忘れてしまっているが、

その中で僕が今でも憶えている、
母に言われた言葉がある。

「アンタなんかに屈しないからね!」



お互い熱くなっての、
ただの売り言葉に買い言葉だろう。

たぶん、それ以上でも以下でもない。

だけど、反発心の塊だった当時の僕は
この言葉を聞いた以降、その勢いが少しだけ折れた。

おそらく咄嗟に出たであろう、母のこの言葉。
その意味を深く考え始め、純粋な反発心に迷いが生まれた。



僕は母にとって、
アンタ「なんか」という程度の存在だったんだ。

母にとって僕は、家族ではなく
負けない、屈しないという感情で見られる
「敵」という存在だったんだ。

僕は親に「お前には負けない、屈しない」と
張り合われる対象だったんだ。

この人にとって親子や家族は
支配と被支配、勝ち負けのある上下関係だったんだ。
そこに対等な人間関係を求めてはいけないんだ。

そして、こんな言葉が咄嗟に出たということは、
これが母の本音なんだ…。

反発心、怒り、憎しみに溢れていた心に
迷いという亀裂が入り始めた。



僕はその日から、自分の何が親にとって
そんなに気に入らないのかを探し始めた。

どうして勝負事のように張り合われるんだろう、
自分が親の能力を超えたり脅かしたりした覚えがないかを
掘り返し始めた。

何もかもに反発し、自分たちの思い通りに
支配できないことに苛立っていたのか。

自分では気づかなかったけど、
親自身が学生だった頃よりも
僕が何かの能力で勝っている点があって、
それに対して敵対心を燃やされたのか。

僕が今から従順になれば、煩わしい敵対心や
出どころ不明なライバル心を抱かれずに済むのか。

こんな風に、とにかくいろんな可能性を
一人で考えることしか当時はできなかった。

ストレートに
「僕の何がそんなに気に入らないんですか?」
と尋ねることはできなかった。
”子供と競おうとする親”

心の健康な親にとっては、子供が成長して
さまざまなことができるようになってくるのは、
喜び以外のなにものでもない。

だが心の不健康な親は、
自分から何かが奪われていくような気分になり、
子供に「かなわなくなってくる」ように感じる。

だが、子供に対抗しようとする親のほとんどは、
なぜ自分がそういう気持ちになるのかに気づいていない。


『毒になる親』第五章より



迷いながらも僕は結局、中高6年間
ずっと強烈な反抗期を過ごした。

その後も勉強中に呼び出されては
言い合いを繰り返した。

僕は自分が今している言い合いに
迷いがあることを認めながらも、
平和的に終了し気持ちよく手伝うことは
ついに一度もなかった。



大学進学で実家を離れてからも、
親がどうして僕に張り合おうとするのか
答えは出なかった。

親の優位性を脅かすようなことを
僕は何かしたのか、それは何なのか。

答えは今も謎のまま。

もし、この時のことを話す機会があったとしても、
彼らはきっと「憶えていない」と言うだろう。

喧嘩して言い合って、熱くなった中での
たった一言。

僕は今も、もし反抗期のどこかで
自分が一歩でも引いたり変わることができていれば、

ずっとほしかった「あたたかい親子関係」が
手に入ったのではないかと夢見る時がある。

自分が変われば、もしかしたら
一方的な彼らと「わかり合う」という
理論値に辿り着けたかも知れない、

そんな、夢みたいな幻想を
今もまだ捨て切れていない。


posted by 理琉(ワタル) at 23:42 | TrackBack(0) | 家族

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自閉傾向の強い広汎性発達障害。鬱病から再起後、低収入セミリタイア生活をしながら好きなスポーツと創作活動に没頭中。バスケ・草野球・ブログ/小説執筆・MMD動画制作・Vroidstudioオリキャラデザインに熱中。左利き。 →YouTubeチャンネル
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