明日死んでも後悔しない生き方をする

5月の下旬に3日間、
幼稚園から高校卒業まで13年間過ごした
故郷に里帰りしてきた。

この3日間のことは感情面を存分に書いたので、
自宅と学校など世界観の話を今回は書いてみる。

※地元を出る瞬間、雨を晴れにしてくれた
　「守られてる場所。」
https://fanblogs.jp/yaritaikotohanokosazuyaru/archive/181/0



かつて住んでいた教員住宅がまだ残っているか、
不審者扱いを覚悟で近くへ行ってみた。

バスケットゴールはなくなり、
未開拓だった裏側の森はきれいなマンションになっていたが、
平屋で縦長の教員住宅は変わらずにあった。



元・自宅から、小学校そして中学校までの
かつての通学路を歩いてみた。

中学校の前にある公園、
当時最新だった大きな石の滑り台は残っていた。





1つ、衝撃的だった。

家から学校まで、こんなに近かったことが。



僕は今、区がたくさんある街に住んでいる。

道路は基本的に2車線以上、
JRも地下鉄も、路面電車も走り、交通の便はとてもいい。

これでもかというくらい、人がたくさんいるし
何より広い。



地元の街はさすがにそれと比べると小さい。

だけど、この時感じた狭さは
人口や街の規模以前の問題だった。

17時や21時ルールに怯えながら、
誰もが無言、しかしイライラした雰囲気だけが
ひたすら流れていた気まずい家庭、

担任に机を隔離された小学校、

授業中にいきなり生徒指導室へ呼び出され
号泣するまで説教された中学校、

僕が13年間も苦しんで来た世界は
あまりにも狭かった。



大人になった今、身長が伸び、行動範囲も広がり、
見てきた世界の多様さも知見も広がった。

そして、今住んでる街がそれなりに広いこともあって、
余計にその差が浮き彫りになったかも知れない。

だけど、歩いたり走ったり、自転車をこいだりして
遠くまで行ったと思っていた公園や児童館には
驚くほどあっという間に着いてしまった。

ここまで自転車で来たら大冒険の感覚だった
駅前やダム公園、そして海岸線でさえ、
「え、もう見えるの？」という感覚だった。



決して、地元が狭いとバカにしているわけではない。

当時は子どもだったとはいえ、こんなに狭い世界が、
こんなに僅かな行動範囲が僕の全てだった。

その閉じた空間で繰り広げられた
閉鎖的で治外法権的ないじめや人間関係に、

抗う力も、疑うという発想もなく従い、
洗脳されていた事実に愕然とした。

”有害なコントロールのパターン”

子供の頃、私はよく母にいじめられた。
私が質問しようとすると、母はわけのわからない理由をつけて
「あんたは頭がおかしい」と言うのだった。

私は本当に頭がおかしいのかと思ったこともあったが、
本を読んだり、知識の豊富な人と話すうちに、次第に、
「頭がおかしい」のは自分ではなくて母のほうだと思うようになった。

それから何年もたって、私は大学生になって初めて、
自分が育った家はノーマルではなかったと確信するようになった。


『不幸にする親』 第二章 より

僕は大学進学を機に、千キロ単位で実家を離れ、
その後は実家に戻った時期はあれど
今を含めてあの人たちと離れられている。

離れたことで、こうやって自分の世界の狭さや、
触れることができた思想や価値観の少なさを
じっくり考える機会が生まれた。

このことは僕にとって本当によかった。

”有害なコントロール”の仕組みはこうなっている

大人になってから振り返れば、子供時代に
コントロールばかりされていたことや、
洗脳すらされていたなどというのは、
驚くべきことかもしれません。

しかしその最中には、
受け入れるより他に選択の余地はなかったのです。
そういう親が創り出す「家」という閉ざされた世界にいれば、
どんな子供でも被害をまぬがれることは不可能です。


『不幸にする親』 第三章 より

2歳下の妹と、6歳下で障害年金1級を受給する弟は
実家から一度も出たことがなく、一人暮らしの経験もない。

彼らとは口を聞かなくなって久しいので、
同居する親に対して何を考えているか知るよしもない。

だけど、家を離れる前の僕が抜け出せなかったように、
今も彼らは狭い世界で、洗脳の続きを疑いもなく
浴びているんだろうかと、たまに考える。

それが彼らにとって納得できることならいい。

僕はそこから脱出したくて、紆余曲折を経て
脱出に成功し、自由を手に入れた。